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doggyhonzawaさん
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レバンゲルボワ / 2018 ロソトニック

レバンゲルボワ

2018 ロソトニック

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/8/29 16:00:15

レバンゲルボワは時の流れを刻む香水ブランドだ。和訳すると「ゲルボワ公衆浴場」。それはパリ文化の中心地として百年以上の歴史を重ねてきた特別な場所。

19世紀末に作られたゲルボワ公衆浴場は、当時悪臭がひどかったパリ市民に受け入れられただけでなく、かつて哲学が語られたローマ風呂のごとく、時代を先取る芸術家が集うサロンとしても機能していた。マネ、ルノワール、プルーストらが顔をそろえていたという。

その後、レバンゲルボワは時代の変化に伴い、1978年に高級ナイトクラブに転身する。これが世界的にも有名なナイトスポットとなった。当時、デヴィッド・ボウイやミック・ジャガー、アンディ・ウォーホールなど国境を越えてセレブが集まり、さまざまな前衛的文化が創造され、もてはやされたという。

そんなレバンゲルボワが、2015年に3度目の大きな転生を迎えた。五つ星のホテル・レバン・パリとして生まれ変わったのだ。歴史を感じさせるバロック調のスペースがあるかと思うと、幻想的な空間やポップアート風な一画もあって、館内は芸術の宝庫だ。ホテル内には無数の植物が配置され、自然と人工物、幾何と繊細が大胆に入り乱れ、まさに「芸術と歴史と文化のカオス」として唯一無二の世界観を呈している。

そして2017年、このレバンゲルボワの歴史的な功績を香りで表現するフレグランスラインが登場した。レバンゲルボワの香水にはそれぞれ西暦の年号が刻まれていて、その数字がレバンゲルボワにとって重要な変革のあった年であることを示している。

2018ロソトニックは、その最新の歴史を刻んだメモリアル香水だ。2018年、レバンパリのリニューアルしたレストラン&バーにつけられた名前、“Roxo”(ロソ)にちなんでいる。このレストラン&バーはすでにパリでも屈指の人気スポットとなっていて、特にカウンターバーは、フレンチカクテルチャンピオンほか指折りのバーテンダーを集めるゴージャスぶりだ。ではその「ロソの飲み物」とは、いったいどんな香りだろうか?

ロソトニックを調香したのは、IFFの若き女性調香師、ファニー・バルだ。彼女は名調香師ドミニク・ロピオンの片腕として長らく活躍し、最近めきめきと名前を売り始めている。彼女によると、ロソトニックに込めたキーワードは3つ。「エネルギー スパークリング 中毒性」だという。

2018ロソトニックをスプレーする。はじめに広がるのは、スッキリ突き抜けるようなレモンの香り、そしてアールグレイのフレッシュなベルガモットの香りだ。春〜夏向けのはじけるシトラススパークリングなトップ。

3分ほどすると、とてもすずしげなフローラルが広がってくるのを感じる。しっとりとしていて内省的なグリーン調の低音フローラル。何だろうと思って調べたら、どうやらジェンティアナ(リンドウ)ノートのようだ。

このわずかにビターな清涼感をもった冷たいフローラルに、ほんのり綿アメ様の甘さが感じられてくるとミドル。ベルガモット&ティー系の香りはまだ効いていて、全体にひとさじの冷んやりフローラルをあしらったアイスレモンティーの香りといった具合になってくる。どこかアールフレグランスのティーブレイクを思わせるミドル。高温多湿な日本の夏にあっても、ふいに肌をなでていく夕暮れの涼風のように、心地よくキレのあるティー系の香りに癒される。

ティー系と言っても、緑茶や白茶、マテやウーロンなど、さまざまなノートが香水で表現されているが、このロソトニックは発酵の効いたブラックティー、つまりアイス紅茶な感じのノートだ。そこにマルトールのような砂糖系の甘さとシトラスが効いている。これはカクテルバーの飲み物と言うよりむしろ、レストランの方で供するアイスティーの香りといった印象。

ティー系の香水には季節を問わず人の心を和ませ、リフレッシュさせる効果がある。ロソトニックは、温かみあるホワイトムスク香とともに、つけてから4〜5時間ほどすずしげなアイスティーの香りが漂う汎用性の高い香りだ。そういう意味ではシーンを選ばず使えて、中毒性も高いかもしれない。

世界の文化をリードし続けてきたパリ。その中心にあって常に姿を変えながら、130年以上も最新の流行発信地として輝いてきたレバンゲルボワ。その積み重ねてきた物に思いをはせる。

バーガンディに統一されたシックな室内、本革の上質なウッドチェアー。バーテンダーは自前のシロップを惜しみなく注ぎ、華麗なシェイクで世界最高の一杯を創る。ロソのカウンターバーはいつもスタンディングの客でいっぱいだ。彼らは最高の飲み物を片手に今夜も語り合う。そして今日もかの地から新しい文化が生まれるのだろう。

笑顔でそれぞれのロソトニックを傾けながら。

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