
- doggyhonzawaさん
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2021/1/30 13:36:53
参りました。素直に。これはすばらしい香り。誰もが是非一度は肌にのせてみてほしい香水。超お薦め。
ゲランのシャリマー・フィルトル・ドゥ・パルファン。この見事なバランス感覚に脱帽。ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーと彼の調香チームの真の実力を見た。もうワサ夫とか言わない。(←最初から言わないように)
世界初のオリエンタル香水として今なお燦然と輝くゲランのシャリマー。フィルトルはその亜種で、星の数ほども出されてきたフランカーの1本。2020年12月発売の数量限定品。50mlで税込13800円。初めてだ。1本使い切らないうちにもう1本キープかなと思った香水は。
シャリマーは、香りも含めてコーラと共通点が多い。オリジナルのコーラは百年以上前に発明され、今なお世界中で愛飲されている。シャリマーも同様だ。そしてどちらもシトラス、スパイス、ヴァニラなど、多くの共通香料が使われていて香り的にも近い。さらに、チェリーやレモンやシナモンなど、構成フレーバーの一部をあえて過剰投与した限定品を次々に出している点もだ。シャリマーはいわば、薬草と樹脂と花の香りを添えたコーラのような香水だ。
ただし、シャリマーは香水の名作だけあって、亜種作品に対する愛香家の気持ちと鼻は、コーラの味以上に手厳しい。「また亜種か」という冷笑と一瞥が必ずあり、新作の度に「これはシャリマーじゃない」「オリジナルよりピンとこない」など、猛烈な批判に晒される。そして「ワサ夫、何でもオレンジフラワーとホワイトムスク入れてごまかすなよ?」などと言われる始末。(←それは貴方の意見では?)
ともあれシャリマーフィルトル、この作品はどこか超えた。少なくとも自分はそう感じた。では一体、どんな香りなのか?
フィルトルをスプレーする。その瞬間、わきあがる金色の雲。爽やかなレモンの香りに包まれる。同時にほんのりハーバルな清涼感も寄り添っている。フローラル調のラベンダーの香りだ。レモン&ラベンダーは香料的にとても相性がいい。まばゆい春の陽射し。レモン色の雲。吹き抜ける青い風。それらが世界に色彩を与えてゆく季節、春を思わせる明るいイントロ。
5分後、レモンの高い酸味の下からベルガモットのシトラスが広がってくる。ベルガモットは豊かな酸味と苦みを加えつつレモンの黄色い香りを引き継いでいる。さらに、ラベンダーとカルダモンのスッキリ感、甘辛いクローブのほのかにスパイシーな風をはらみながら、春の庭園の様相を呈してくる。光。春の光。植物のシャープな葉の香り、風に揺れる野の花の香り、そして傷ついた樹木が出すツンと甘い樹脂の香り。そんな広大な野に出でて、少女が一人、若菜を摘んでいるようなイメージ。
このトップ〜ミドルは、シャリマーシリーズでいうとパルファム(P)の雰囲気に近い。ベルガモットを過剰投与したPに対して、フィルトルはコーラで言うなら、グラスコーラにレモンを丸ごと一個しぼって入れた超生絞りレモンコークな香りだ。フィルトルは、かなりPのイントロのシトラスの爽やかさにこだわって創っている。そしてこのシトラスが想像以上に長く続いてとても驚く。ミドルは、レモン&ベルガモットが5、ラベンダー1、スパイス1、フローラル1、トルーバルサム1、パチュリ1、的な構成で展開する。この比率が凄まじくいい。PとEDPは、次第にアニマリックとアンバー&ウッディが強く出てきて温度を下げ、艶っぽい夜の密会的雰囲気になるけれど、実際そこが濃厚で苦手という方も多かった。フィルトルは、P前半の爽やかさとスッキリ感をずっと保ち続けている印象。光に満ちた庭園の香り。これはデイタイムシャリマーだ。
やがて30分ほどすると、香りはさらに変化する。このままシングルノートで終焉かと思いきや、まさかのヴァニラアイス大量投入。さらにアイリスの甘いベビーパウダー香添え。レモン色の爽やかさを落とすことなく、白いヴァニラのわた雲な香りが広がってくる。そこにほんのり香るシナモン様トルーバルサムが超絶アクセント。これは悶絶級のクリーミー&パウダリー。そのまま、まろやかクリーミーな香りでドライダウン。付けてから5〜6時間。香り立ちは柔らかく使いやすい。これはPのシトラスとヴァニラを強調して重さを除いた、いいとこ取りの香水だ。
灰色の空の切れ間。突然現れた太陽の光が、雲のエッジを金色に染めてゆく。庭園の緑が鮮やかに色を取り戻す。あたりは瞬く間に光が満ち満ちてゆく。鳥が歌い、花々が揺れ、流れる水音が聞こえる。レモンとハーブと甘いバルサムの香りがしている。少女の白い服がホリゾントの光にまばゆく浮かび上がる。そして移ろうヴァニラホワイトの夢。
それは、太陽も恋する香水。光の庭園の媚薬、シャリマーフィルトル。
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- doggyhonzawaさん
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2017/3/5 23:05:23
もしも誰かに「薔薇の香りでおすすめはありますか?」と尋ねられたら、全力で「ゲランのナエマのパルファム」と即答したい。気に入ろうが、気に入らなかろうが、関係ない。それを基準にしてほしいという願いのようなものだ。けれどもう、その至高のローズを入手できる確率はかなり低い。惜しまれながらも2016年にこの世を去ったからだ。だから実際は、「ナエマのオードパルファム(EDP)」と答えるだろう。それは香水には及ばないにしても、これまで出会ったバラをモチーフにした香りの中で、最高の逸品だと思うからだ。
ナエマEDPは、ゲランの数ある名香の中でも、特に秀でて素晴らしい香りの一つだと思う。にも関わらず、知名度は圧倒的に低い。ジッキー、ルールブルー、ミツコ、シャリマー、ボルドニュイ(夜間飛行)。これら歴史的な名香のネームバリューに比べれば、本当に知る人ぞ知る香りだ。それでも、これらに比して全くひけをとらない、ゴージャスで洗練された美しい香り。個人的には、4代目調香師ジャン・ポールの最高傑作だと思っている。
映画「めざめ」(1968)でカトリーヌ・ドヌーヴに惚れこんだジャン・ポール・ゲランが、彼女のイメージをもとに架空の美しい姫の姿を作品に投影し、彼女に捧げた香り。それがナエマの出自だ。リリースは1979年。ただ、当時香水需要が高まっていたアメリカ向けに巨額の広告宣伝費を投じたにも関わらず、商業的には振るわなかったといういわくつきだ。
さらに、「千夜一夜物語」ふうの双子の姉妹のストーリーもよく語られるが、かの膨大な伝承の中にはそのような物語は見当たらないようだ。「千夜一夜物語」じたい、何がオリジナルかも不明なほど、各地でさまざま物語が作られ、付け足されていった経緯があるので、実際は口頭伝承のみで筆記されなかった逸話かも知れないし、ゲランによるオリジナルイメージストーリーなのかも知れない。
そんなナエマEDP の香りはというと。
オープニングは、名香シャネルN°5を彷彿させるアルデハイドのキラキラしたワックス香から始まる。ややクラシカルな出だしだ。そしてすぐにグリーンノートが広がる。シャープで青い薔薇の茎やとげ、細かいギザのついた葉を思わせるようなトップ。
3分もせずに下から、甘い蜜の存在を花弁の奥に感じさせるスッキリした薔薇の香りが広がってくる。ライトなピンクの薔薇を思わせるようなフルーティーな香りは、パッションフルーツの酸味、ピーチアルデヒドによる桃のふくよかさに彩られている。ところが。
驚くべきことに、次第に薔薇の香りが濃厚になってくる。ヒヤシンスのグリーンの消失と共に、一枚、また一枚と花弁が増えていくようなイメージ。それは、爆弾の弾頭を思わせる薔薇のつぼみが開くにつれ、こんなにも多層の花弁がどこに隠されていたのだろうと驚く瞬間にも似ている。コクのあるジャスミンの花弁、妖しく誘うイランイランの花弁、可憐なスズランの花弁。そして、わずかにバルサミックな香りの花弁。それらは遂に、フルボディの極上のワインとなって、複雑かつ多層的に香り出す。これぞダマセノンを用いた秘伝のローズ香料の成せる業。至福は6〜8時間程度。
ラストは、柔らかく穏やかに薔薇の余韻を残しつつ、ヴァニラのクリーミーさとピーチのほの甘さを絡ませながら消えていく。ときにサンダルウッドの温かみをも伴いながら。不思議なことに、香りを鼻から早く吸い込むと、グリーンでシャープなローズの主張が感じられるし、ゆっくり深く吸い込むと、イランイラン様のダーク&甘い口紅のような残り香が感じられる。ナエマは最後まで本当にたくさんの香料がせめぎあっている。
拡散力はあるものの、かなりプライヴェートな距離に近づいた時に感じられるタイプ。いわば、香りのA.T.フィールドのようなイメージ。多層な花弁の奥に隠された秘密は、誰もがおいそれとのぞき見ていいものではない。ナエマには薔薇のもつ密やかなたたずまいさえ表現されているように思う。
自分には高貴すぎるとか、早すぎるとか、窮屈な型にはめてしまうのはもったいない。好きな時に好きなだけ、好きなようにつけるのがナエマには似合うだろう。
一人の天才調香師が、それでも4年もの歳月をかけて500回以上の試行錯誤を経て創り出した香り、それがナエマだ。「千夜一夜物語」ふうになぞらえたのは、ジャン・ポール自身が、シェヘラザードの語り紡ぐ伽話に夢中になったスルタンのように、千の夜を越えてやっとこの香りに出会えたからに相違ない。
短い人生でこの香りに出会えてよかった。そう思う。ナエマを越える薔薇を探すなら、覚悟した方がいい。それは幾千幾百もの夜を越え、幻の薔薇のナマエを探す壮大な旅になるかも知れないのだから。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:10ml・3,300円 / 50ml・8,800円 / 100ml・12,650円発売日:2018/9/12
2019/10/22 15:19:58
こちら、ボタニカル”コロン”と銘打っていますが、賦香率10%なのでオードトワレ相当です。ボディスプレーのようにばしゃばしゃ使える香りをお探しの方はお気をつけください。
薔薇の香り、特に本物の生花/精油/ローズウォーターに近い香りが好きで集めています。
ナチュラル系のクヴォンデミニムが、いかにもナチュラルな香りがしそうな「ボタニカルコロン」シリーズで薔薇をコンセプトにした香水を出していると知って気になり購入。大人っぽい香りの揃う「リマーカブルパルファム」シリーズで同じく薔薇を主役に据えている「スミルナ」も一緒に購入しました。
アクアパラディシは一番薔薇の庭をテーマに薔薇とゼラニウムのエッセンスをメインに合わせ、仏版公式サイトによると
「若々しく朗らかな香りのアクアパラディシ。薔薇が風味豊かなベルガモットのニュアンスを纏い、ふくよかで繊細に溶け合う。核をなすヴァイオレットの香りが薔薇の香りに現代的なエッジを利かせている。夜明けに摘まれる一番薔薇の繊細さが生み出す、慈愛あふれる香り」
とのこと。
トップは、予想ではベルガモットのほろ苦さや溌剌としたシトラスがくるかなと思っていたのですがひと吹きした瞬間から結構甘くシトラスは薄め。けれどたしかに、ベルガモットのほろ苦さの部分はしっかりあって甘くても媚びたり子供っぽい甘さではありません。個人的にはピンクペッパー系の甘さに感じます。フローラルよりはフルーティかな。
落ち着いてくると、奥にほんのりシトラスの酸味が漂いはじめます。日によってはシトラスを強く感じる日もあればほとんどシトラスが出でこない日も。なかなか気まぐれ。徐々にパウダリーさが出てきてふんわりとした香りに。どこかすーっと涼し気なのはヴァイオレットでしょうか。鼻をくっつけて一生懸命嗅ぐとなんとなーくだけゼラニウムを感じられますが、そうでもしない限りはゼラニウムも薔薇もほとんどわかりません。よく溶け合っているのかも。
香りはふんわりと優しいまま終わります。変に酸っぱくなったりはせず、嫌な残り方もしません。薔薇が欲しくて買ったので、あまり薔薇もゼラニウムもわからず悲しいところですが、嫌味がないので使いやすい部類だと思います。
公式の仰るローズ×ヴァイオレットってクラシック×クラシックでどう転んでも現代的にはならないように思えるのですが、香り自体はたしかにそんなにクラシックな、悪く言えばおばあちゃんのような香りではないです。でも現代的なエッジを加えているのはヴァイオレットというよりかはベルガモットと思しきほろ苦さじゃないのかなあと。
一緒に購入したスミルナと比較すると、スミルナの方が薔薇度高く、各段に大人っぽいです。
担当した調香師はアンヌ・ソフィー・ベアゲル。アクアパラディシは薔薇をコンセプトにしていますが、ベアゲル女史お気に入りの原料はローズオキシドだそう。クヴォンデミニムではアクアナンファエも彼女の作です。
キトノスやアクアサクラエを担当したアメリ・ブルジョワとは調香学校サンキエームソンスの同期でオーダーメイド香水などを手掛けるパフューマリー Flair を共に立ち上げています。パリ育ちで人工の香りに慣れ親しんだベアゲルと、自然に囲まれて育ったブルジョワという正反対の香りの背景を持つ二人が意気投合してタッグを組んだというのが面白いな〜と思いました。
追記:
寒くなった現在(1月)、どんどんシトラスとゼラニウムが出てくるようになりました。そのうち薔薇も出てくるかな〜と期待しています。
追記2:
こちらつけて仕事の打ち合わせをしたところクライアントから「ペンハリガン好きなんだ?」と聞かれました。「ヴァーラつけてるでしょ?私も使ってるよー!」って。えっ、似てるかな?と思って帰宅後すぐに確認したのですがたしかに似た部分があるかもしれないです。ヴァーラを甘くした感じでアクアパラディシがほんのり酸っぱく傾く日はより近く感じます(ただ手持ちのヴァーラミニボトルは年数経っているうえプラスチックの差し込み式キャップが折れてしまって多少なりと劣化しているのではと思うのでアテにはならないかも…)。ヴァーラからはしっかりと薔薇を感じ、アクアパラディシからはあまり感じないので私にとって薔薇とシトラス調の酸味は不離一体なのかもしれないです。
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2021/8/14 12:20:19
夏に纏える香りって何かな?
爽やかで、柑橘で…スッキリした香り?ハーバルな香り?でも「爽やかで」「軽い」だけの香りって纏っていてもあまり楽しくない。
そう、このヴァーラはわたしの中で纏っていて楽しくて、嬉しくて、ゴージャスな気分になる香り。
灼熱の暑さと、抜けるような青空に、岩壁に映える青い壁の家々。マルメロの果樹園の中で、優雅に散歩でもしていそうなイメージ。
もしくは、暑さが引かない夜。紺色の星空の下、賑やかな邸内をよそに庭にあるカウチで寝そべりながらマルメロの木をぼんやり眺めているような。
年中問わず楽しめる香りですね。
薄曇りの一日よりは、天気がはっきりしている時(晴れ!雨!)のほうが自分の中では物語にどっぷりひたれて好きです。
拡散力があるので、オフィスでは足首にワンプッシュでじゅうぶんかなと思います。
大好きな香りです
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2019/11/12 22:44:39
フルーティな薔薇香水で使いやすく、かつベースには軽妙なスパイシーさもあるのでよくあるチープなフルーティフローラルとは一線を画す香り。
トップは花梨(クインスって西洋花梨のことなのね)、ミドルから軽やかなローズ、黄金のサフラン、ベースにサンダルウッドっぽい香りがしますが持続性はないかな。
ちゃんとオリエンタルさはあるのにとても軽やかで可憐。
マハラジャの依頼で作られた香りだそうですが、最近読んだ「マダムプティ」という少女漫画が浮かびました。1920年代ヨーロッパからインドの美しい街並みや風景を背景に、16歳の日本人少女とインド王族の青年の恋物語かつ冒険譚。そのまっすぐで気丈で可憐なヒロインのイメージ。なんか、香水のレビューなのか漫画のレビューなのか分からなくなってきた…
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