2020/11/20 11:54:12
以前のコレクション別の分類から、香りの系統別に分かれたキリアンに新しく追加されたOlfactive Family、“The Liquors”。この「エンジェルズシェア」は、コニャックが熟成する過程で自然に蒸発して減っていく分を「美味しくて天使が飲んでしまった」と例えることから生まれた香り。
トップからはっきり感じられるのはコニャック。この香りは本物からエッセンスを抽出しているらしく、「芳醇」という言葉がふさわしい。ひょっとしたら飲めるのでは?と思うほど(もちろん飲んではいけない)。オーク樽のちょっと焦げたような風味、ぎゅっと煮詰めたようなフルーティーな甘さ、そしてアルコール濃度が高い酒を口に含んだときのような熱さを感じる。キリアン・ヘネシーがプロデュースするフレグランスにぴったりのスタート。
コニャックの熱が和らぐと、甘辛いシナモンが爽やかさを添える。トップから続くフルーティーなアコードが沈まないように香りを押し上げているようだ。同時にクマリンが乾いた甘さをプラスしてより香りに奥行きを与えている。
ドライダウンはキャラメルの甘味やナッツのコクが存分に感じられるプラリネに軽めのサンダルウッド。ベースが甘いのは、ヘネシーのコニャックは甘めなことに由来すると思われる。持続はかなり長く、八時間ほど。フルーティーなリキュール、プラリネのコクのある甘さ、彩りを添えるスパイスやオーク樽の香りが詰められたこのフレグランスは、まさに「エンジェルズシェア」。あまりに美味しいから天使が少し飲んでしまった、という例えも納得だ。
エンジェルズシェアがリリースされると聞いたときは、「ストレートトゥヘブンとキャラ被りしているのでは?」と思ったが、実際に香ってみると、ストレートトゥヘブンはラム、ドライフルーツ、苦いパチュリ、ホットスパイスの入り交じった、香りの起伏が少ないフルーティーウッディスパイシー、エンジェルズシェアはコニャック、フルーティーアコード、キャラメルにウッディと香りの変化をしっかり感じられるグルマンオリエンタルウッディ。両者はしっかり住み分けができているように感じた。シドニー・ランセッサーもホッと胸を撫で下ろしていることだろう。
「リカーズ」の二種類は、ボトルが今までと違い、ロックグラスを模した意匠。外観もさることながら、スプレーの質が向上したことにも驚いた。従来の50mlボトルはべちゃっと一ヶ所に固まって付きやすく(リフィルを入れるためにボトルの根元を一度開けてしまうとさらにひどくなる)イマイチだったが、リカーズのスプレーはまんべんなく付けることができる。質の向上は大変うれしいが、できれば最初からそうしてくれよ、とも思った。
トップ:コニャック
ミドル:シナモン、トンカビーン、オーク
ベース:プラリネ、バニラ、サンダルウッド
調香師は、ブノワ・ラプーザ。
(フレグランティカより)
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2011/9/16 11:14:59
リヨンのセフォラで購入。
あちらに滞在していると、鼻があちら仕様になるのですね。
日本にいると、どこでつけるか、と考えるようなものでも、
おフランスでは当たり前の香りとして存在します。
これは、お焼香。
それも最高級のお香。
アンブルシュルタンも寺院系の香りなのですが、
アンバーが香るのでインドの壮麗な寺院というイメージ。
こちらは、比叡山の静謐なお香でしょうか。
おフランスでは評判の良かった香りも、
日本に帰って来ると、あまり評判が良くありません。
特に夫が嫌がります。
他の男性も嫌がったなぁ。
男性に嫌われる率、高し。
日本の男性は子どもみたいな嗜好ですものね。
昔、シロップみたいな「ピンクタイフーン」というコロンがありました。
お子ちゃま用のコスメ売り場にありそうな香りでしたが、
日本男性が開発した「僕たちの好きな香り」だそうです。
日本の男性にロリコンが多いのが理解できました。
あ、でも、京都なら違和感がないかも。
写経のときに塗る、塗香がこんな感じだったような。
樹脂とシスタスの香り。
私は大好きです。
パチョリ、シナモン、アンバー、ブラックウッド
あと、様々なスパイス
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
2013/9/25 16:20:36
セルジュ・ノワール。
黒のサージ(格子模様の意味だったかな)とルタンスの黒。
両方の意味を持つ香りで、自身の名と絡めてくる辺り、渾身の作なのかな?という気がしました。
当初、VOGUEでイメーされるデカダンな装いと共に掲載されていて素敵でした。
グッチオーデパルファムと比較されていますが、スタンスは似ていますよね。
同じアパレル系ならサンローランのニュなども。
トップはとてもスパイシーだけれど、鼻が痛くなるほどのきつい感じではなく、どこかまろやかなところが質の良さを感じさせます。
次第に、クミンのような香りも出てきて、そのあとはアンバーが出て、思いのほか甘さが出てきます。
全体的に軽めで、甘さが出てからも重くなりません。
試しにラブダナム18と重ねてみると、ラストの甘さも増したものの、スパイス部分がよくあるオリエンタル調の香りになり、個性はなくなりました。
確かにスパイシーだけれど、よくあるメンズの典型的な記号(フゼア、整髪料っぽさ、スポーティ、人工的なダンディズム等)がなく、スパイス部分、特にミドルの頭くらいに出てくるクミンが去ってからは、女性でも特に違和感ないと思います。
香り立ちが穏やかなので、気負わずに使えると思いますし、案外シンプルなつくりというか。
VOGUEのイメージの、黒髪のマッシュルームカット、ピンヒールに毛皮、手にはシガーの憂いのあるゴージャス美女が纏っていたらクラクラしそうです。
- 使用した商品
- サンプル・テスター
- 購入品
2013/10/16 16:50:31
皆さまがとても参考になる解説をしてくださっているので
言葉は要らないのではないかと思うので、というより言葉が出ないです。
当たり前の表現しか。
トップは体臭の染み込んだ背広(ただし背筋の伸びた男性が着る)。
10分ほど過ぎた頃、その背広を着た男性が斎場について、
今は亡き故人への抹香を額に押し頂く。
彼には何の台詞もない。彼には念仏が風の音ほどにしか聞こえない。
この後、男は亡き故人を追悼するために足を進めるのだ。
厳粛な復讐の物語でもある。
...といった、怪しい妄想力を掻き立ずにはいられない、
渋く、厳かな、寡黙な香り。フィルム・ノワール。
お焼香の時の匂いですよね。こんなに心惹かれるとは思いませんでした。
職場では遠慮すると思いますが、オフの時はたまりませんね、この匂い。
パチョリ、シスタス、シナモン、アンバー、ウッディノート、香、クローブ、スパイス、黒檀。
※ボトルの購入は熟考してから決めたいです。(画像はフランツ・カフカ)
- 使用した商品
- サンプル・テスター
- モニター・プレゼント (提供元:友人から少し分けてもらいました。)
2015/10/22 16:21:48
フェミニティドボアでルタンスにハマり、こちらの香水を購入しました。
フェミニティド系のスパイシーな香りが好きという方なら使いこなせる香りだと思います。
スパイシー度はこちらの方が高くトップにはお焼香のような香りがするので、そこが好みの分かれる所以だと思います。
しかし、このお焼香のような香り立ちは私にほっとするような安心感や落ち着きを与えてくれます。時間が経つとともにその香りはミルキーなまろやかさをたたえ、何とも心地よい気持ちになるのです。
口コミなど見る限りでは、秋冬向けの香りとなっているようですが、私はあえて夏につけていました。幼少時にお寺参りをしたときの崇高なお焼香やお線香が漂う「お盆の香り」。
お盆の香りと簡単に言うと語弊がありますね(汗)、実際はセクシーともノスタルジックとも表現できるような香りです。
私にとってはとても大切な香りとなりました。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品