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doggyhonzawaさん
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モルトンブラウン / ミルクムスク オードトワレ

モルトンブラウン

ミルクムスク オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・15,400円発売日:2020/4/30

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5購入品

2020/9/26 12:07:05

ミルクムスク。これはやられた。この名前を聞いただけで超絶嗅ぎたくなるすばらしいネーミング。もう名前で勝利確定系。閉塞感と孤立感、不安感が強い今の時代に、ミルクのように安らぎを与える香りだろうか?ミルクムスクは世界を救うだろうか?(←そこまで言うか)

ミルクムスク。この単純にして今まで誰も思いつかなかった魅力的な名前の香水をリリースしたのはモルトンブラウン。英国のブランドで、どちらかというとトータルバスケア製品で有名だ。かのエリザベス女王のロイヤルワラント(英国王室御用達認証)を持ち、世界中の名だたる高級ホテルのアメニティにも採用されており、信頼度は抜群だ。

ミルクムスクは2020年4月に発売されたばかりの香水。やや拡散力が強いオードトワレ(EDT)と、付けた場所で香りが続くオードパルファム(EDP)の2種類を同名で展開している。EDTは50mlで税込11000円、EDPは100mlで税込22000円。EDTとEDPは香料の構成も印象も結構異なるので、単に濃度の違いではないことは留意したい。このレビューはEDTの方だ。

では、そんな名前でつかみOKなミルクムスク、実際の香りはどうなのだろうか?

可愛いたまキャップを取ってスプレーする。ほんの一瞬、アルコールの冷たい香りが抜けていくと同時に、ふんわり現れるクリーミーな柔らかい甘さ。何だろう?わからない。その下からは割合スッキリした石鹸のような香りも出ている。よくある白い石鹸の香りのようだが、ツンとしたソーピーさではない。もっと控えめでパウダリーに傾いた香りだ。

柔らかくてクリーミーで、ほんのり甘くてフルーティーな気配もする白い香り。それがミルクムスクEDTのトップだ。ブランドは構成イメージを次のように示している。

トップ:ペアー、ピーチ
ミドル:ソフトムスク、アンブロキシド、ヴァニラ
ベース:ホワイトシダー、トンカビーン

トップにペアーとピーチとあるけれど、どちらの香りも明確ではない。ただ桃のもつ柔らかな風味、洋ナシのみずみずしさあたりは感じ取ることができる。同時にソフトムスクのマイルドな清潔感&白いパウダリー感もトップから感じ取れる要素だと思う。そこに柔らかなヴァニラの白いヴェールがかかっている感じ。この白くてマイルドクリーミーな香りが、しばらく続くミドルになっていく。

トップ〜ミドルで大きな変化はないものの、次第に見えてくる香料がいくつかある。特にミルクノートの部分。その1つは乾いた粉っぽいクマリン、いわゆる杏仁霜の香りだ。それからほんのわずかナッティーなココナッツ香もかいま見える。ただ、ミルクムスクという名の「ミルク」の部分がEDTでは実はそれほど強くなくて、その白いブレンドの下からかなりエアリーでスッキリした風が流れている点が特徴的だ。これは、アンブロクサン等でウォータリーなベースを作っている感じ。

この作品を創った女性調香師マーヤ・レヌは、今回のミルクノートが特別なオリジナルであることをフィルムで語っている。その秘密はおそらく、ミルクノートの下に流れるこのスッキリした水のような香りとの配合にあるのだろう。

「ミルク」を感じさせる香りはこれまでにも多くあった。例えばディメーターのコンデンスミルクやフエギア1833のキロンボなどは、かなり練乳寄りなミルクノート系。これらは濃く煮詰めた甘さが引き立つ感じ。これに対して、ヴァニララスト系の香水は数多くあって、ほぼ2種類に分かれる。一つはヴァニラアイスクリーム系の甘く白い香り、もう一つはローストしたヴァニラビーンズ系の焦げた茶色い香りの系統だ。だが、ミルクムスクのミルクノートは確かにそれらのどれとも違う。

なぜなら、ミルクムスクのミルクは液体で流れているからだ。

これまで「ミルキー」と称されてきた香りは、割にアイスクリームやミルクキャンディを思わせる個体系の香りが多かった気がする。マーヤ・レヌは、そこにウォータリーノートを交えることで、流れる液体イメージのミルクにしたのではないだろうか。

ミルクムスクの香りは、桃でもなく梨でもない。石鹸でもなく海の香りでもない。練乳でもなく牛乳の香りでもない。それらのどこからも等距離にあって、香りの円環の中心でソフトなムスクの毛布にくるまれているピュアな香り。赤ちゃんを包みこむ柔らかなおくるみの匂い。

赤ちゃんの顔にそっと顔を近づける。干し草のようにあったかくて、ちょっと酸っぱいようなミルクの匂いがする。いつまでも嗅いでいたい不思議な香り。そして自分が遠い昔、どこかで味わって忘れかけている大切なものを思い出させてくれる根源的な匂い。

ミルクムスク。それは大人になった貴方に捧ぐ、聖母の愛の香り。

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ゲラン / シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:50ml・13,860円 (生産終了)発売日:2020/12/1

7購入品

2021/1/30 13:36:53

参りました。素直に。これはすばらしい香り。誰もが是非一度は肌にのせてみてほしい香水。超お薦め。

ゲランのシャリマー・フィルトル・ドゥ・パルファン。この見事なバランス感覚に脱帽。ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーと彼の調香チームの真の実力を見た。もうワサ夫とか言わない。(←最初から言わないように)

世界初のオリエンタル香水として今なお燦然と輝くゲランのシャリマー。フィルトルはその亜種で、星の数ほども出されてきたフランカーの1本。2020年12月発売の数量限定品。50mlで税込13800円。初めてだ。1本使い切らないうちにもう1本キープかなと思った香水は。

シャリマーは、香りも含めてコーラと共通点が多い。オリジナルのコーラは百年以上前に発明され、今なお世界中で愛飲されている。シャリマーも同様だ。そしてどちらもシトラス、スパイス、ヴァニラなど、多くの共通香料が使われていて香り的にも近い。さらに、チェリーやレモンやシナモンなど、構成フレーバーの一部をあえて過剰投与した限定品を次々に出している点もだ。シャリマーはいわば、薬草と樹脂と花の香りを添えたコーラのような香水だ。

ただし、シャリマーは香水の名作だけあって、亜種作品に対する愛香家の気持ちと鼻は、コーラの味以上に手厳しい。「また亜種か」という冷笑と一瞥が必ずあり、新作の度に「これはシャリマーじゃない」「オリジナルよりピンとこない」など、猛烈な批判に晒される。そして「ワサ夫、何でもオレンジフラワーとホワイトムスク入れてごまかすなよ?」などと言われる始末。(←それは貴方の意見では?)

ともあれシャリマーフィルトル、この作品はどこか超えた。少なくとも自分はそう感じた。では一体、どんな香りなのか?

フィルトルをスプレーする。その瞬間、わきあがる金色の雲。爽やかなレモンの香りに包まれる。同時にほんのりハーバルな清涼感も寄り添っている。フローラル調のラベンダーの香りだ。レモン&ラベンダーは香料的にとても相性がいい。まばゆい春の陽射し。レモン色の雲。吹き抜ける青い風。それらが世界に色彩を与えてゆく季節、春を思わせる明るいイントロ。

5分後、レモンの高い酸味の下からベルガモットのシトラスが広がってくる。ベルガモットは豊かな酸味と苦みを加えつつレモンの黄色い香りを引き継いでいる。さらに、ラベンダーとカルダモンのスッキリ感、甘辛いクローブのほのかにスパイシーな風をはらみながら、春の庭園の様相を呈してくる。光。春の光。植物のシャープな葉の香り、風に揺れる野の花の香り、そして傷ついた樹木が出すツンと甘い樹脂の香り。そんな広大な野に出でて、少女が一人、若菜を摘んでいるようなイメージ。

このトップ〜ミドルは、シャリマーシリーズでいうとパルファム(P)の雰囲気に近い。ベルガモットを過剰投与したPに対して、フィルトルはコーラで言うなら、グラスコーラにレモンを丸ごと一個しぼって入れた超生絞りレモンコークな香りだ。フィルトルは、かなりPのイントロのシトラスの爽やかさにこだわって創っている。そしてこのシトラスが想像以上に長く続いてとても驚く。ミドルは、レモン&ベルガモットが5、ラベンダー1、スパイス1、フローラル1、トルーバルサム1、パチュリ1、的な構成で展開する。この比率が凄まじくいい。PとEDPは、次第にアニマリックとアンバー&ウッディが強く出てきて温度を下げ、艶っぽい夜の密会的雰囲気になるけれど、実際そこが濃厚で苦手という方も多かった。フィルトルは、P前半の爽やかさとスッキリ感をずっと保ち続けている印象。光に満ちた庭園の香り。これはデイタイムシャリマーだ。

やがて30分ほどすると、香りはさらに変化する。このままシングルノートで終焉かと思いきや、まさかのヴァニラアイス大量投入。さらにアイリスの甘いベビーパウダー香添え。レモン色の爽やかさを落とすことなく、白いヴァニラのわた雲な香りが広がってくる。そこにほんのり香るシナモン様トルーバルサムが超絶アクセント。これは悶絶級のクリーミー&パウダリー。そのまま、まろやかクリーミーな香りでドライダウン。付けてから5〜6時間。香り立ちは柔らかく使いやすい。これはPのシトラスとヴァニラを強調して重さを除いた、いいとこ取りの香水だ。

灰色の空の切れ間。突然現れた太陽の光が、雲のエッジを金色に染めてゆく。庭園の緑が鮮やかに色を取り戻す。あたりは瞬く間に光が満ち満ちてゆく。鳥が歌い、花々が揺れ、流れる水音が聞こえる。レモンとハーブと甘いバルサムの香りがしている。少女の白い服がホリゾントの光にまばゆく浮かび上がる。そして移ろうヴァニラホワイトの夢。

それは、太陽も恋する香水。光の庭園の媚薬、シャリマーフィルトル。

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キリアン / グッド ガール ゴーン バッド オード パルファム

キリアン

グッド ガール ゴーン バッド オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,400円発売日:2019/3/15

7購入品

2019/8/24 19:22:40

香水界のロールスロイス、キリアン。その最高に贅沢な香水たちの中にあって、最も罪つくりな香りだと感じているのが、グッドガールゴーンバッド(「よい娘が悪くなった」以下略GGGB)だ。こちらは数あるキリアンの香水の中でも、世界中でベストセラーになっているといういわくつきの作品。

白地に金色の蛇をあしらったドキリとするようなクラッチケース。その中に納まった白いボトルは、まるで宝石のようにキラキラと輝いて美しい。クラシカルな香水のもつボトルやケースの豪華さを現代に蘇らせたいと願うキリアン・ヘネシーの美学そのものを象徴したこのラグジュアリー感こそブランドの矜持だ。GGGBは、“In the Garden of Good and Evil”「エデンの園で紡がれるアダムとイブの物語」シリーズの1つ。禁断の果実を食べたイブを良家の子女になぞらえ、少女が家族に内緒で羽目を外して一晩中夜遊びするイメージを香水で表現している。調香師はアルベルト・モリヤス。リリースは2012年。50mlボトル36720円。

GGGBをプッシュする。その瞬間、空気が変わり、甘くまろやかなフルーティー香に包まれる。それはわずかな酸味を伴った水蜜桃のようにジューシーな香りだ。この自然な甘さを伴ったトップのフルーティーな香りには本当に驚く。どうやったらこんなみずみずしい桃のような香りが作れるんだろうと思うトップだ。

ブランドのクレジットを見ると、このトップの香りはオスマンサス(キンモクセイ)の香料のようだ。といっても、かなりアプリコットの香りが強いフルーティーな物を使用しているのだろう。アプリコットの香りは桃の香りに少し酸味を伴ったようなとても芳醇な香りがする。

5分後、完熟した桃のようなしっとりした香りに、わずかにクリーミーな白い花のヴェールがかかってくる。これはチュベローズのふんわりしたファセットだろう。このクリーミーチュベローズの香料もいい。おそらくトップのフルーティーなラクトン系の香りに上質なチュベローズを合わせたことで、自分には桃のような香りに感じられるのだろうと思う。トップで感じた果実香にチュベローズのふくよかさが重なり、ジャスミンの華やかさ、軽やかなローズ香などもシンクロしながら出てきて、美しいフローラルミックスのミドルとなる。重たさがほとんど感じられず、とてもライトで繊細なフルーティーフローラルな中盤。

ラストはシダーとアンバーがクレジットされているが、自分にはほぼ感じられない。トップから香り全体の印象がほぼ変わることなく減衰してフェードアウト。付けて3時間ほどでフルーティーな甘さはなくなり、淡いフローラルミックスになって薄らいでいく。香りは真夏でも大体4〜5時間ほど持続する。

全体で見ると、トップの桃のようなあんずのような豊かな香り立ちがこの香水の最大の特徴で、フローラルよりもフルーティーをメインにした香水であることに間違いはない。この手の自然な香り立ちこそ「香水なんてきつくて複雑な香りがするから苦手」という方にぜひ試してみてほしいと思う。きっと今までの香水に対する固定概念がひっくり返るはずだ。(←値段も目ん玉ひっくり返るけどな)

もしこんなとろけそうな香りの果実が目の前にあったら、女性のみならず誰もがときめいて、思わず手に取ってかじりついてしまうかもしれない。GGGBはそんな香りがする香水だ。そしてそれがもし禁断の果実だったとしたら…?

旧約聖書によると、イブは蛇にそそのかされ、エデンの園で絶対に食べてはいけないとされた「善悪の知識の木の実」を食べてしまった。そしてアダムにもそれを勧め、食べた2人は共に罰を受け、楽園を追放されたという。アダムより造られしイブはその瞬間、「悪い女」の烙印を押されてしまったのだろうか?それ以前に、誘惑した蛇こそが悪かったのではないのか?

GGGBはとても罪な香りだ。なぜなら、そのネーミングとは裏腹に、まるでエデンの園にたゆたう調べのごとく、甘美で優雅で人の心をうっとりさせる美しい香りがするからだ。だから、この香りをつけた女性が近くにいたらと思うと、実はちょっと気が気じゃない。なぜなら男どもはおそらくとろけてしまい、悪魔の化身である蛇のように誘惑したり毒牙をむいたりするかもしれないし、女は嫉妬の炎を燃やしてその女性を地獄に突き落とす算段をしないとも限らないからだ。だとすると…。

GGGBはたぶん少女を悪女にする香りじゃない。逆に、周囲の者を誘惑して悪の道に落としかねない危険な香りなのだろう。この美しく可憐な楽園の果実は。

グッドガールゴーンバッド。少女も香りも、美しいほど罪つくりだ。キリアンの金色の蛇は、この香りをまとったあなた自身なのかもしれない。

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メゾン フランシス クルジャン / Le Beau Parfum

メゾン フランシス クルジャン

Le Beau Parfum

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2022/5/28 08:53:57

400本めの香水レビュー。ここまでちょうど9年間、書き続けてきた。週一度1本ペースだから、レビュー数じたいは多くはない。それでもその1本を書くために、香料分析、背景リサーチ、比較検討、推敲編集やらで、1本につき平均6時間はかかってるから、9年で400×6=2400時間は香水の勉強をしてきたことになる。←そのわりにわかってないけどな

珍しい機会なので、その400本の中から心に残っている香水をほんの少しまとめてみる。

◎最もリスペクトしたクラシック香水3本
・シャリマー(ゲラン) ・ルールブルーEDP(ゲラン) ・N°9(シャネル)

◎最も心に突き刺さった香水2本
・ラペルトワ(ラルチザンパフューム) ・フェミニテ・ドゥ・ボワ(セルジュ・ルタンス)

◎最も偏愛して日常使用してきた香水
・エンジェルEDP&EDT(ミュグレー) ・コローニュロワイヤル(ディオール)

◎出す作品どれも恐ろしくできがいいと思う香水ブランド
・ピュアディスタンス ・フラッサイ

◎400書いた中で心に焼きついているレビュー3つ
・ラペルトワ(ラルチザン・パフュ―ム) ・エンジェル(ミュグレー) ・ロストチェリー(トム・フォード)

世界中で年間何万本も新作が生まれる香水業界。その中にあって、これまで出会えた香水はまさに「ご縁」。そんな中、紹介する400番目の香水は、初めからちょっと「ごめんなさい」しておきたい作品。なぜなら日本未発売かつ限定品という超入手難しい系。たぶん自分も、この先もう1本ストックを入手することはできない。そういう意味では本来紹介するつもりはなかった香水。ただあまりにも香水としてできがよく、個人的にもラペルトワに匹敵するほど美しく、自分の性癖にぐっさり刺さった香りなので、このまま誰にも知られず消えていくのは悲しいと思ったから、そっとここに置いていく。

それは、フランシス・クルジャンが2015年にパリの百貨店プランタンの150周年記念のためだけに製作したル・ボー・パルファム。この香水は自分の中で特別すばらしい作品、極上品。星をつけるなら☆7満点のところ、☆70はつけたい香水。ただそれはもちろん自分にとっての超どストライクであって、貴方にとって好きな香り、またはベストマッチとは限らない。香水に「万人に好かれる香り」なんて存在しないからだ。

ルボーの香料イメージはシンプルだ。クレジットによると以下のとおり。

インドのチュベローズ&ジャスミン、チュニジアのオレンジブロッサム、マダガスカルのイランイラン。いわゆる濃厚なホワイトフローラルブーケ系統の香り。

ただ使用している花の香料はどれも高品質ですばらしく、同時にそれらを際立たせるための「つなぎ香料」が超絶いい。しかもナイスバランス。はっきり申し上げる。さすが天下のプランタン。これを作らせるために、クルジャンにどんだけ対価を支払ったのだろうというくらい、スペシャリティ香料をふんだんに使用しているように思う。つまり「売っても赤字」なくらいゴージャス&センシュアルな出来。だから周年記念の限定香水なのだろう。

ルボーを肌にのせる。その瞬間、あまりに甘くかぐわしい花の蜜の香に脳がよろめく。体がふらつく。矢吹ジョー渾身のクロスカウンター一発もらった気分。腰からくだけ落ちる。花園に倒れこむようにマットに沈む。お花畑で好きな女の子を追いかけるスローな白日夢を見る→人間終了。な開幕。それほど左脳崩壊で言葉にならない美しいフローラル爆弾なトップ。

それでも、カウント9でギリギリ立ち上がって香りを分析するなら

ルボーは偏愛するラルチザンのラペルトワにインスパイアされて創ったのでは?と思うくらい雰囲気が酷似している。クリーミーガーデニア&山椒という「花の優しさ&スパイスの棘」の取り合わせで、内面の感情を激しく揺さぶるラペルトワ。その山椒部分をごく微量のキャラメルノート&シナモンが代替するような形で、白い花束に甘いグルマンを補完している。これがたまらない。クルジャン、あなたさてはラペルトワのベースをヒントに、同ラルチザンのアムールノクターンを組み込みましたね?と言いたくなるくらい。わからない方はわからなくていい。これはほぼ自分にあてた周年記念レビューだ。

サイレージは5時間程度。ジャスミンの残香強めでルボーは消えてゆく。ルボーは「プランタンおめでとう!」で作られたけれど、その甘くてノーブルで、どこかノスタルジックなクリーミーな花束は、プランタンとクルジャンがあなたに贈る感謝の花束の香りだ。

いつもありがとう
あなたのおかげで 今があります
あなたの一日が 美しい香りに包まれますように

おめでとう あなたへ

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シャネル / シャネル N°19 パルファム

シャネル

シャネル N°19 パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:15ml・31,350円発売日:-

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7購入品

2022/12/10 13:41:09

あなたをたった5秒で強く颯爽とした女性に変える。それは簡単なことだ。シャネルN°19のパルファムを1滴指にとり、耳たぶの裏につける。それだけでいい。

「また何言ってるんだ、大げさな」そう思うなら試してみるといい。香りが好きかどうかは別。N°19パルファムは、強き女性の代名詞として君臨し続けるココ・シャネルが「世界一売れたN°5を超える香りを!」と「自分のためだけに」作らせた最強のシグネイチャー香水だ。

ただしEDPやEDTでは効果は薄い。N°19の破壊力を実感するためにはパルファム一択だ。15mlで31350円。高い?そうだろうか。「なんでこんな香料でこんなに高いの?」と首を傾げるようなそのへんのニッチ香水に比べたら、100倍良心的な価格だと思う。まず歴史とブランド信用力と品質が別格だ。さらに、スプレーでなく指で1滴ずつつけるフラコンなので、本当に減らない。そして超至近距離でだけ高濃度香料がなめらかにずっと香る。実は香害に一番なりにくいのがこのパルファム濃度だ。これぞ本物の香水。香水に詳しくない方なら、なおさら「本物の凄み」というやつをまず体験すべきだろう。

ココ・シャネルはこのN°19を創るために、調香師アンリ・ロベールに何度も試作品を用意させ、香りを纏ってパリの街を歩いたという。そして人々が香りについてどんなふうに声を掛けてくるか確かめた。全く声を掛けられなかったときは、怒号と共に調香師を責めたという話もある。当時ココは86才。ある日、長年住んでいたリッツホテルから出てきた際、若いアメリカ人男性2人に引き留められ「その香水の名前をぜひ教えてください!」と迫られたことが決定打となってこの香りは生まれたという。

ではそんなN°19パルファム、いったいどんな香りなのか?世界的に「グリーンフレグランスの最高峰」と言われる香りの展開を追ってみる。

N°19パルファムを肌にのせる。するとまずはじめに立ち上るのは、ギリリと青臭いグリーンノート、そして粉っぽいアイリスの白い香りだ。そこにまろやかなネロリの甘さが加わり、キレのいいスッキリとした緑と白の香りが広がるトップ。

3分後、ジャスミンのふくよかさとグリーン香が相まって、スズラン様のフローラルが広がってくる。同時に下の方から冷たく青いヒヤシンスの香りも感じられる。ガルバナムのシャープなキレのある香りを軸としながら、ソリッドで青緑なフローラルが感じられてくるミドルになる。

このミドルは知的でスタイリッシュ。キリっとして本当にかっこいい。全くフェミニンじゃない。若々しく、怜悧で、背筋がスッと立っているイメージ。全てに妥協を許さず、自分のめざすベクトルを見定め、どこまでも一直線で闊歩してゆくような、潔さと強さを感じさせる草原と大地の香りだ。

リラックスというなら、それは大自然の中に放り出されたような心地よさがこの香りにはある。けれどそこには同時に、厳しい自然界の現実に対峙する強さもまた要求される。そんな苛酷さを感じさせる香りでもある。ミドルは、大草原に吹く風がオークモスのビター、ベチバーの土の匂いを運びながら3〜4時間続いていく。

ラストはとてつもなく優しい。土深く眠り続け、長年かけて香りを熟成させたアイリスパリダのパウダリーが優しく心と体を包みこむ。ほのかに甘いムスクとともに、小麦粉のようにきめ細かな白い香りを呈してドライダウン。ここまで5〜6時間。たった1滴で。

N°19はココ・シャネルの誕生日である8月19日から命名されたナンバーフレグランスだ。人は一人で生まれ、空と大地の狭間で必死に生きて、その短い生を全うする。「香水をつけない女に未来はない」と言い切ったココが、人生の最後に自分のためだけに徹底的にブラッシュアップして作り上げた香り、N°19。そこに込められたのは、世界中の女性が男性の下に屈することなく、自分自身を強く美しく保ち続け、欲しいものを欲しいと言い、自分の力で未来を貪欲につかみとれ、というメッセージのように思える。

一面の大地。草原が風に揺れている。湿ったベチバーの土っぽい香りがしている。濡れた苔類のビターな匂いが森から運ばれてくる。自然はどこまでも広く、容赦なく、そして気高い香りに満ちている。服が風をはらむ。草原と森の匂いが髪を洗う。

青いガルバナム。苦みばしったオークモス、乾草のベチバー、白いアイリスパリダ。それらが織りなす、今にも発火しそうな残虐なグリーンノート。クールで、スタイリッシュで、挑戦的。常に現代で戦い続けるハンサムウーマンの香り、実装完了。

最終戦闘に備えよ。
大地を疾走するパルファム「ナンバーナインティーン」発動。

5秒だ。5秒で未来にカタをつけろ。

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芍薬と金木犀さん
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プロフィール
  • 年齢・・・66歳
  • 肌質・・・敏感肌
  • 髪質・・・未選択
  • 髪量・・・未選択
  • 星座・・・未設定
  • 血液型・・・未選択
趣味
  • 音楽鑑賞
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自己紹介

お越しいただいてありがとうございます。 「自分はぼんやりしているな〜」と 最近気が付きました。 ブランド名「新庄」のすもも。 それから… 続きをみる

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