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doggyhonzawaさん
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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / ウード & ベルガモット コロン インテンス

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)

ウード & ベルガモット コロン インテンス

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:50ml・20,350円 / 100ml・28,270円発売日:2013/10/18 (2022/12/26追加発売)

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6購入品

2014/12/31 22:21:13

「愛の経験は、知らなければなくても済ませられるが、一度知ってしまうと、以後それなしでは生きてゆけない」作家である稲垣足穂は、こんな言葉を遺している。

彼のエッセイ「A感覚とV感覚」などに見られるエロティシズムは、一元的エロス論と評されたが、ジョー・マローンの香りは、「フレッシュ」「ウォーム」という要素から成る二元論のエロス(自己愛)だ。

通常ジョー・マローンの二元論的なエロスは、香りをコンバイニングすることにより、「フレッシュ」か「ウォーム」のどちらかに傾く。しかし、調香師クリスティン・ナジェルとのコラボで生まれたコロン・インテンスシリーズは、1本の中でフレッシュとウォームが相克し合っているように思う。

このウード&ベルガモットに関しては、ウード:ベルガモットの比率は、9:1ぐらいで、明らかにウッディの香りが強く主張しているように思う。ベルガモットやレモン系のフレッシュ・シトラスは、ウッディの香りの周りを皮膜のようにおおっている程度かと。

立ち上がり。
レモンやベルガモット系の爽やかな、けれどとても軽い酸味が広がる下で、すっきりしたハニーのような甘みが感じられる。そして、そのすっきりした感じは、かん高い木の香りを含んでいる様子だ。これがウードの香り?そう思って調べる。そして愕然とする。

ウードとは、あってなきがごとき幻の香り。希少な木から樹脂が染み出し、それが付着したまま朽ちて崩れ落ち、泥土の中で何十年もうずもれたことで、土中のバクテリアによって変質して化石化し、芳香を帯びたものを言うようだ。これにより、本来比重が軽く水に浮くはずの木片は、樹脂の付着と木質の変化により、水中に入れても沈むほどの比重となる。これがウードの日本語である「沈香(じんこう)」、沈水香木だ。

香木といえば、サンダルウッド(白檀)はよく知られている。白檀はそれだけでも芳香を感じられるが、この沈香は、熱を加えることで初めて得も言われぬ芳香が漂うという。香炉を用いて一定の作法のもとに行う香道。そこで扱われる最高の香木が沈香であり、さらにその沈香の中でも、ベトナムのごく一部でしか産出されない最高峰の香木(樹脂)を「伽羅(きゃら)」というのだそうだ。調べたら、たった1gの伽羅の木片で2万円以上もするらしい。まさに純金に勝るとも劣らない価値。おそるべし、伽羅。←単に線香の種類だと思ってたし。

ミドル。
つけて5分もしないうちに、香りはすっかり、ウッディ香一色となる印象。だが、このすっきり感。優しい甘さ、そしてほのかな酸味、墨の香りのようなややスモーキーなコク。これらは気持ちを落ち着け、そしておだやかな集中力を授けてくれるようだ。ジョー・マローンの他のコロン同様、全体に透明感のある淡い香り方ではあるが、こんなに表情豊かで優しいウッディ香は珍しい。

それもそのはず。香道の資料によると、昔の日本人は、この沈香の香りに5つの味、甘さ、辛さ、苦さ、潮はゆさ、酸っぱさがあると見立てたようだ。これを五味という。つまり、この希少なウードを再現した香りは、この五味をバランスよく含ませることで、馥郁たる表情を見せているのだろう。

ラストは早い。ジョー・マローンだから。タイムリミットが1時間前後。そして、このあたりになると、当然シトラスのベールは感じられず、五味あふれるウッディな香りに、シダーっぽい清涼感を少し感じながら減衰する。全体にトップからラストまで大きな変化は感じられず、木の蜜のような優しい甘みと酸味、そして固い木の枝のような香り、墨のような深い落ち着いたベース。これらが混然一体となって静かに展開する印象。

値段は高い。そういう意味でバシャバシャ使える庶民の香りではない。自分はハンカチにプッシュして、スーツのポケットに入れて楽しむことの方が多い。ストレスを感じたとき、ハンカチを口元にもっていくだけで穏やかなウッディ香に癒され、心を落ち着けることができる。ハンカチだと、この淡い香りももちがよく、ずっと長く楽しめていい。

テーマとしては中東のインセンス、ということだが、自分はなぜか、山あいの武家の庵を思い浮かべる。いろり端の木のはじける香り。黒ずんだ天井にしみついた木々の油の香り、そして、焚きしめたお香と書棚の紙の香り。まるで小説「蜩の記」の舞台のような。

心落ち着く「大和」の原風景を思い浮かべると、「香りは、神仏の食べ物」という言葉が心によぎる。そして、稲垣足穂の言葉にそっとつたない思いが重なる。

「美しい香りを身にまとうことは、愛の経験に似ている。それを知らずとも生きていくことはできるが、一度知ってしまうと、以後それなしでは生きていけない」

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ゲラン / アンソレンス オーデパルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

アンソレンス オーデパルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:30ml・9,350円 (生産終了)発売日:2008/10/10

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6購入品

2021/3/27 12:41:43

こじらせている。心の中でいつも何かが戦っている。闘争の赤と逃走の青。2つが混じり合って心はずっと紫だ。「そんなの絶対許せない」と赤く燃える一方で、「本当はどうでもいい」と青い斜陽を決めこむ。心の色はそのときどきの土によって紫陽花のように変わる。赤くなったり青くなったり。それでも100%の赤や青にはなれない。ただ、紫色でいれば心は落ち着く。だから人は、ときに紫の香りを心のどこかで求めることがある。

紫の香りと言えば、まずスミレの花の香りが思い浮かぶ。バイオレットフィズという紫のカクテルの香りや味わいを思う方もいるだろう。バイオレットフィズに使われるのはニオイスミレの香りを用いたパルフェ・タムールという紫のリキュールだ。ゲランのアンソレンス・オードパルファム(以下EDP)は、そんなスミレの香りがする。

では、スミレの香りと評されることが多いアンソレンスEDPは、一体どんな香りだろうか。

アンソレンスをつけると、まず立ちのぼってくるのはベリーキャンディ風の甘さだ。スミレのシングルノートで有名なグタールのラ・ヴィオレットは、トップからグリーンな苦味が立ちのぼってくるのに対し、こちらは甘くフルーティーなイントロ。ただその下にメランコリックな紫色の香りが広がっているのがわかる。さながら、いちごアメとスミレの砂糖漬けを同時に口に入れたような赤と紫のトップ。

アンソレンスはよく「スパイラルに変化する香り」と紹介される。これはどういうことかというと、調合香料がどの瞬間にどんな感じで出るのか予測がつかず「連鎖的な変動」をしていく、といった捉えでよいと思う。例えばアンソレンスを構成している香料のうち、特徴的なものは次の3つだ。

・不二家ポップのイチゴキャンディっぽい甘さ(赤)
・バイオレットフィズのようなスミレとローズ(紫)
・おしろいやベビーパウダーのふんわりパウダリー(白)

これらの香料が同時に出てくるタイプで、ときにどれかが強く香ったり全く感じなかったりと、連鎖し合いながらバランスを変えて香り続ける展開をする。「あ、いちごアメだ」と思った次の瞬間、スミレの香りが届いたり、不意にベビーパウダーを感じたりと、ふわりふわり螺旋状に旋回しながら登りつめていくイメージ。まさに初期ボトルの半球らせん3段型のように。

香料の割合的には、ベリー:スミレ:アイリス=1:5:4くらいなので、スミレのイオノンとアイリスのイロンの香料が強い香水ではある。この2つは親戚みたいな関係なので、混じり合うように香る特徴がある。同時に、スミレの香りのイオノンβはベリー系にも含まれるため、こちらも親和性が高い者同士。つまり、この3つは常にシンクロしながら個々に香ることで、幅広い嗅覚レンジを攻められるよう化学的にセットされているわけだ。まさに、どこから何が飛び出してくるかわからない紫色の波状攻撃、黒い三連星のジェットストリームアタックそのものだ。(←また言ったよ)

付けてから5〜7時間。イオノンもイロンも、重くて揮発の遅い香料なので、ゆっくりじっくり長く揮発する。清楚で控えめなスミレの香りにほんのりイチゴ味が寄り添っているので、成熟した大人の女性の香りになりすぎず、ほんのり可憐さを与えている。決してガーリーではないストロベリーの甘さ、この配合バランスが奇跡的にすばらしい。

スミレの香りは、心がやられているとき、曖昧な状況で先が見えないとき、心を安らげてくれる鎮静効果を持っている。香りにもバイタリティがあって、元気な香りは心が元気でなければつけられないし、華やかな香りは心がオープンに開いていなければ似合わない。けれど、スミレの紫フローラルは、心が辛いときに何も言わずただそばにいてくれる。寡黙な友だけれど、誠実な優しさに満ちている。

年度の変わり目、季節の変わり目、新しい環境に飛び込んで、心が戸惑って居場所をなくしているとき、もし心がため息をついていたら、こんな香りとともに過ごしてみるのもいいだろう。心を二極化する必要はない。赤い闘争にも青い逃走にも疲れたら、白い繭の中にこもって、紫の夢を見てゆっくり沈んでみるといい。そんなとき、ゲランのアンソレンスはあなたのわがままにとことん付き合ってくれるだろう。

こじらせている。なんてすてきなことだろう。人間はもともとDNAの二重らせんでできているねじれた生き物だ。二極化を目指す世界は悲劇の色彩に満ちている。赤と青のらせんが紫の心になって世界を優しく沈静させるなら、空はいつでも紫色でいい。心も紫色のままでいい。

人間は不確かな生き物。あなたはあなたの心を守るためなら、もっと自分に傲慢でいい。アンソレンスの紫の香りがそっとささやいている。

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アユーラ / スピリットオブアユーラ オードパルファム(ナチュラルスプレー)

アユーラ

スピリットオブアユーラ オードパルファム(ナチュラルスプレー)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:2001/12/1

5購入品

2018/9/8 13:55:50

汚れちまったな。服も心の中も泥だらけだ。誰かの手垢まみれの自分。こんな自分いやだ。好きになれない。心も体も洗濯して漂白したい。浄化してしまいたい。

なぜだろう。季節の変わり目にはそんな思いにとらわれることがある。ふだんは透明に見える心の水が本当は泥水だったことに気付くような。ただ泥が心の底に沈んでいて透明に見えていただけで、季節が変わって水がターンオーバーし、沈殿していた心の泥を撹拌してしまったような。そして心の中は視界ゼロの泥水状態。

スピリットオブアユーラという香りに出会ったのはそんなときだった。憂鬱、怠惰、慢性的な心の疲れ。人の心は弱い。たやすく落ちる。そして得てして、落ちたら長い。そんな長さを少しだけ短くしてくれたのがこの香りだった。

アユーラはサンスクリット語で「命」を表すコスメブランド。かつては資生堂の子会社だった。西洋科学と東洋叡知の融合をコンセプトとして、独自の商品を開発・展開している。 中でも2001年に発表されたスピリットオブアユーラ・オードパルファムは、発売と共にじわじわと人気になり、ブランド認知の大きなきっかけとなった作品だ。

スピリットオブアユーラ、「アユーラの精神」。まさにブランドの方向性や考え方をこの商品で語るという大役を担った作品。それは香りでどのように表現されているのか?

スピリットオブアユーラは、まずボトルがとてもいい。大きさも色も形も夏の朝に咲くハスの花のつぼみそのものだ。ハスの花は泥水の中から茎を伸ばして水上に突き出て、やがて大きなピンク色の花を開かせる。それゆえに昔から「聖なるもの、清らかさの象徴」とされ、宗教において珍重されてきたアイコンだ。このつぼみの中にはどんな香りが隠れているのだろう?ふだん香水などに縁遠くても無意識に誘われる意匠だ。

ボトルキャップを軽くつまんで外し、スプレーする。その瞬間、ふんわりと心地よい風が吹く。どこか懐かしいような、あたたかさに包まれているような優しい香りだ。たとえるならお風呂上がりの匂いだ。ジャスミンの入浴剤の蒸気、シャンプーしたてのフローラルの残り香、クリーミーなボディーシャンプーの香り。そうしたものが自分の体から湯気とともに立ちのぼってきたような香りがする。

このトップをよく嗅ぐと、まず酸味のあるハーブの香りがしている。クレジットで見れば、ローズマリーやカモミールなどのハーブが引き立っている印象。そしてその背後からグリーンティーのスッキリした香りが広がってくる。トップからお茶の香りが強く出てくるので、ふーっと安心感を与えてくれる。マイルドハーブ&グリーンティーなトップ。

やがてわずかな清涼感を伴ってほんのり甘いフローラルが感じられてくる。みずみずしく、少しだけ酸味と苦みをもったひかえめなフローラルだ。クレジットによると匂いナデシコと沈丁花とある。匂いナデシコの香りを嗅いだことはないが、カーネーション系のクローブ香をもっているようで、実際、甘くてややツンとした感じの香りだ。ジャスミンとミュゲも背後に感じられ、ミドルは穏やかで柔らかい低音のフローラル香になる。

ところが。

このお風呂上がりの入浴剤みたいなリラグゼーション香は、あっという間に消えてしまう。体温高めの自分の場合は、30分程度であとかたもなく。ラストは淡くまろやかなムスクが残っているばかりだ。同時に樟脳のような暗いシャープな香りがずっと続いていたことが最後にわかる。これがアユーラの言うところの墨の香りだろう。アニス香に似たスッとした香りとして最初からベースに感じとれる。

全体的に見ると、これはとてもニッチな香りだ。香水とアロマテラピーの中間。嗜好品と薬の中間。高価と安価の中間。30分間の癒し&気分転換のための気付け薬的な使い方がメインとなるフレグランス。落ち込んだとき、心がもやもやしているとき、イライラしてスッキリしたいとき、ほっと一息つきたいとき。そんなときにこんな穏やかな香りが心を救ってくれる。「心につける香り」というキャッチから見ても、この作品は自分が香気を吸ってくつろぐための香りなのだろう。うつむいてしまった自分を再び立ち上がらせ、凛として背を正してまた前へ進むための。

「蓮(ハス)は泥より出でて泥に染まらず」という中国の古い言葉がある。いつしか積もったストレスの澱は、いわば心の泥だ。だがそんな泥からも育つ植物がある。ハスは泥水が濃ければ濃いほど大輪の花を咲かせるという。たとえ今が苦しくても、そんな時こそ必ず心の中で伸びている茎がある。それはやがて大きなつぼみとなる。

だから、あなたはいつか必ず咲く花だ。

スピリットオブアユーラは、そんなメッセージと共に心に寄り添ってくれる香りだ。

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