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2023/7/20 15:46:34
頬骨、頬から目尻がピリピリしました。
クマの部分と小鼻の左右の溝部分がシートが足りません。
シートはハサミで切りやすい素材なので離れ目でも目尻部分を切って調整可能でした。
保湿というより薬品ぽいハーブのようなさっぱり系です。
好みでないのでリピなし。
レーザー後に使用しても使用感(ピリピリするところは同じ)は同じ。赤みも引きませんでした。
ニキビなどにも鎮静効果は感じられませんでした。
これだったら私はコスパならクオリティーファーストのビタミン、効果もならメディヒールの緑がレーザー後の鎮静に効果ありでした。
2016/6/9 23:31:01
人は心の奥底に、暗い深淵をもっている。ときにそこから吹き出る嫉妬や怒り、憎しみといったネガティブな感情に、心全体が侵食されそうになるも、人は己を鼓舞し、孤独な戦いを続ける。
キセリュズ・ルージュは、そんな負けそうな自分を感じた時に手にする香りだ。年に何度かしか付けないけれど、その何度かはこの香りでなければ絶対だめだという手合いの。
このオード・トワレは、1995年にアニック・メナルドによって作られた、ジバンシー初のメンズ・オリエンタル・フレグランスだ。公式サイトでは、XERYUSという言葉を「ギリシャ神話に登場する神秘的なXから始まるゼウス神に象徴される、カリスマを持った男性を表現」としているが、英語やフランス語のサイトを調べてもどこにもこんな単語はなく、おそらく神っぽい名前の造語だろう。ちなみに、英語では「ゼァリアス」、仏語では「グゼハユース」と発音するので、「キセリュズ」という日本語表記も、出自が不明な怪しいネーミングだ。
そんなキセリュズ・ルージュのトップは、甲高く温かみのあるシトラスに、咳止めシロップのようなチェリー系リキュールテイスト、そこにペッパーや唐辛子の、鼻がムズムズするようなホットスパイス香がかぶさり、混然一体となって押し寄せてきて、ガツンと拡散する。
ここで嫌う人は嫌うだろう。「あ、さすがにメンズだな。きついな。スパイシーすぎるな。」ただ、好きな人はもう、このトップからいきなり鼻を奪われる。それほどこのトップは不思議な魅力をもっている。
フルーティーで、洋酒っぽくて、スパイシーで、ドライで、熱を帯びた香り。それがキセリュズ・ルージュのトップだ。トップの香料には、キンカン、カクタス(サボテン)、タラゴンなどがクレジットされているようだが、それはちょっと眉唾だ。どちらかと言うと、キンカンのリキュールに、コショウと唐辛子をくしゃみがしそうなほど放り込んで、トンカビーンのファッティーなナッツの香りをちょっとばかり添えた、といった感じのオープニング。あえて言えば、シャネルのアリュール・オム・スポーツの香りが、この香りに酷似している。名調香師ジャック・ポルジュの方が後発だけれど。
その後、10分もすると、アニック・メナルドの調香の本領発揮とも言うべき、至福のミドルが訪れる。キセリュズ・ルージュは、比較的彼女の初期の作品のようだが、ヒプノティック・プワゾンであれ、ロリータ・レンピカであれ、ブルガリ・ブラックであれ、彼女の作るフレグランスには、ミドルに特徴的な暗さがある。それは、この作品でも同じだ。
ミドルに入ると、しびれるようなホット・スパイスの香りが上の方で鳴り響きながら、下の方からゆっくりと、甘く、苦みのきいた黒い香りが浸出してくる。それは、アニスのようであり、リコリス(甘草)のようであり、どこか漢方薬系のギリギリとした強い香りだ。さながら、心の奥底では誰に対しても心を許していないことを暗に漂わせているような、「拒絶」的な香り。おそらくある種のタバコノートっぽいスモーキーなベースによるものだと思う。これもクレジットにはない香料だろう。
そんなくぐもったビターな香りが何時間も続く。日によっては、6〜7時間。スプレーした場所によっては、次の日まで香っていることも珍しくない。くれぐれも、人混みに出ることが前提のときには、付けることの是非を真剣に検討してほしい持続力。
やがて、ラストになると、ほんのりとしたアンバー様の甘さを伴いながら、ムスキーに変化していく。かつては、サンダルウッドの香ばしさとシダーのウッディさが心地よかったようだが、香料規制後、マイナーチェンジした現在の物は、ラストがほんのり甘いムスクといった印象の強いエンディングだ。
この手のスパイシーでホットな香りは、通常、秋〜冬に似つかわしい部類のものだろう。ただ、ひねくれ者のせいか、どうしてもときどき、無性に恋しくなるのが、シャネルのエゴイストやこうしたキセリュズ・ルージュの類だ。フレグランスは、そのときどきの心の状態によって、選ぶ物が異なる。心がストレスで疲れているときは、シンプルでスッキリした香りを選びたくなるし、逆に快活な気分のときは、複雑で変化に満ちた重層的な香りを選ぶパワーがある。では、キセリュズ・ルージュのような、熱く、乾いていて、スパイシーな香りを選ぶ己の心の状態とはいかがなものだろう?
きっと今の自分は攻撃的なのだ。自分に負けそうで、強烈に自己主張したい気分なのだろう。そんなとき、「どっからでもかかってこいよ」と吐き散らす代わりに、「神の赤」は、心にふきだまった思いを静かに放熱してくれる。
熱いスパイスの風、キセリュズ・ルージュ。戦う者に。己の深淵を見つめる者に。
容量・税込価格:30ml・10,890円 / 60ml・13,640円 / 100ml・17,490円 / 300ml(リフィル)・34,980円発売日:2015/10/2 (2022/11/3追加発売)
2016/7/17 01:30:35
ディオールのメンズ香水10年ぶりの新作、ソヴァージュ・オード・トワレは、その評判が賛否両論、大きく分かれているフレグランスだ。理由は簡単。あまり予備知識をもっていない方々にはわりと評判がよく、これまでのディオールの香水についてある程度知識のある方には、あまり評判がよろしくない。では、そのそれぞれの理由とは?
ソバージュを好ましく感じられている方の理由は、主に次の3つのようだ。
1つ目は、ジョニー・デップがこの香りのアイコンとして起用され、かっこいいこと。
2つ目は、ディオールの特別な高級フレグランスライン、ラ・コレクシオン・プリヴェをイメージさせる美しいボトルデザイン。
3つ目は、ソヴァージュ(野生)というネーミングとは裏腹に、穏やかで使いやすい「何となくよい香り」であること。
これに対し、がっかりされた方の理由は、主に次の3つのようだ。
1つ目は、名香オー・ソバージュ(野生の水)の名を継いでいるのに、ちっとも野生的には感じられないこと。名前に香りが負けていること。
2つ目は、合成香料ばかりで、香りにディオールらしさ、高級さが感じられないこと。ボトルは、最高級ラインに似た物を使っているのに、香りは淡く弱く、ケミカルアンバーばかりが長く続いて、これまでのディオールの作品にあった明確な「顔」が感じられないこと。
3つ目は、香り以外のところに多額のお金を使っていて本末転倒なところ。ジョニー・デップの起用、ハリウッドなみのショートフィルムの制作、ライ・クーダーの音楽など、広告宣伝費にお金をかけすぎではないかということ。しかも、そのフィルムが、40年以上前の「ヴァニシング・ポイント」などのアメリカン・ニュー・シネマ風で、古く感じること。
どちらも、同じような点が真逆の評価になっているようで興味深い。では、本質である香りは、どんな感じだろうか。
ソヴァージュのトップは、今回特別に作ったとされるベルガモットの香りから始まる。それは、心地よく優しい香りではあるが、酸味・苦みともにうっすらとしていて主張は弱めだ。そこに、エチルマルトールの綿あめっぽい甘さが重なり、さながら女性用のプリヴェのオープニングのよう。それは、穏やかで美しいが、「野生的」とは感じない。
5分もすると、不思議な透明感を保ったまま、うすくペッパーノートの雰囲気、ラベンダーの清涼感、ゼラニウムのクールなフローラル感が見え隠れする。だが、これも全体に淡くて、明確な輪郭はもたない。このへんがミドルだと思う。
やがて、下から潮風の雰囲気をもったやや香ばしい甘さが感じられてくる。エレミやベチバー、アンブロキサンなどのミックスだ。ミドルとラストの違いもわかりにくいが、ちょっと焦げた肌の香りに、甘さをのせたような感じが出てきたらラスト。
ソヴァージュの香りの売りの一つは、このラストに出てくる、貴重なアンバーグリスの香気に似せて作った香料アンブロキサンを用いているということ。これは、女性用のオリエンタル系に使用する樹脂風の合成アンバーの香料ではなく、粉薬っぽい柔らかな甘さに、ややレザー風味をのせたような香り。このアンブロキサンと他の香料をミックスした香りが、かなり長く肌にとどまり、香り続ける。1プッシュでも、1日ずっとアンバー系のそんな雰囲気が残っていて驚く。付ける場所と量には気を付けなければいけない点だ。
全体に、全ての香料の輪郭が曖昧で、何だか気の抜けた雰囲気のままミドルまで展開する印象。ラストにいくにしたがって、男の地肌の匂いにほんのり甘さがのったような香りがずっと長く続く。これは、その男の体臭に寄り添い、それをよりよく感じさせるような香水、という提案だろうか?このところ、イソEスーパーやアンブロキサンなどといった、単純な合成香料をただアルコール希釈しただけのニュータイプの香りも登場していることだし。
だから、酷評する人は酷評するのだろう。もっとガツンと、ディオールらしい新しい時代のマスキュリンを提案してほしかったと。シャネルのブルードゥに似てるとか言われている時点で残念なのは、10年ぶりのディオール・オムの新作に過大な期待を寄せ過ぎたせいだろうか。
広大な乾いた大地。吹き付ける埃っぽい熱風。むきだしの岩と灌木が続く、見渡す限りの地平。その彼方へ続く一本の道。男は車のアクセルをふかし、砂塵を巻き上げてどこまでも走り続ける。吸いこまれそうなターコイズブルーの空。強烈な陽ざしの下、灼けたアスファルトの上を。
野生とは、ただ荒々しいことではない。それは、余計なものを取りはらって、身も心も自然の中へ帰ってゆくこと。そんな声が聞こえるかのような穏やかなマスキュリン、ディオール・ソヴァージュ。
2021/1/30 13:36:53
参りました。素直に。これはすばらしい香り。誰もが是非一度は肌にのせてみてほしい香水。超お薦め。
ゲランのシャリマー・フィルトル・ドゥ・パルファン。この見事なバランス感覚に脱帽。ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーと彼の調香チームの真の実力を見た。もうワサ夫とか言わない。(←最初から言わないように)
世界初のオリエンタル香水として今なお燦然と輝くゲランのシャリマー。フィルトルはその亜種で、星の数ほども出されてきたフランカーの1本。2020年12月発売の数量限定品。50mlで税込13800円。初めてだ。1本使い切らないうちにもう1本キープかなと思った香水は。
シャリマーは、香りも含めてコーラと共通点が多い。オリジナルのコーラは百年以上前に発明され、今なお世界中で愛飲されている。シャリマーも同様だ。そしてどちらもシトラス、スパイス、ヴァニラなど、多くの共通香料が使われていて香り的にも近い。さらに、チェリーやレモンやシナモンなど、構成フレーバーの一部をあえて過剰投与した限定品を次々に出している点もだ。シャリマーはいわば、薬草と樹脂と花の香りを添えたコーラのような香水だ。
ただし、シャリマーは香水の名作だけあって、亜種作品に対する愛香家の気持ちと鼻は、コーラの味以上に手厳しい。「また亜種か」という冷笑と一瞥が必ずあり、新作の度に「これはシャリマーじゃない」「オリジナルよりピンとこない」など、猛烈な批判に晒される。そして「ワサ夫、何でもオレンジフラワーとホワイトムスク入れてごまかすなよ?」などと言われる始末。(←それは貴方の意見では?)
ともあれシャリマーフィルトル、この作品はどこか超えた。少なくとも自分はそう感じた。では一体、どんな香りなのか?
フィルトルをスプレーする。その瞬間、わきあがる金色の雲。爽やかなレモンの香りに包まれる。同時にほんのりハーバルな清涼感も寄り添っている。フローラル調のラベンダーの香りだ。レモン&ラベンダーは香料的にとても相性がいい。まばゆい春の陽射し。レモン色の雲。吹き抜ける青い風。それらが世界に色彩を与えてゆく季節、春を思わせる明るいイントロ。
5分後、レモンの高い酸味の下からベルガモットのシトラスが広がってくる。ベルガモットは豊かな酸味と苦みを加えつつレモンの黄色い香りを引き継いでいる。さらに、ラベンダーとカルダモンのスッキリ感、甘辛いクローブのほのかにスパイシーな風をはらみながら、春の庭園の様相を呈してくる。光。春の光。植物のシャープな葉の香り、風に揺れる野の花の香り、そして傷ついた樹木が出すツンと甘い樹脂の香り。そんな広大な野に出でて、少女が一人、若菜を摘んでいるようなイメージ。
このトップ〜ミドルは、シャリマーシリーズでいうとパルファム(P)の雰囲気に近い。ベルガモットを過剰投与したPに対して、フィルトルはコーラで言うなら、グラスコーラにレモンを丸ごと一個しぼって入れた超生絞りレモンコークな香りだ。フィルトルは、かなりPのイントロのシトラスの爽やかさにこだわって創っている。そしてこのシトラスが想像以上に長く続いてとても驚く。ミドルは、レモン&ベルガモットが5、ラベンダー1、スパイス1、フローラル1、トルーバルサム1、パチュリ1、的な構成で展開する。この比率が凄まじくいい。PとEDPは、次第にアニマリックとアンバー&ウッディが強く出てきて温度を下げ、艶っぽい夜の密会的雰囲気になるけれど、実際そこが濃厚で苦手という方も多かった。フィルトルは、P前半の爽やかさとスッキリ感をずっと保ち続けている印象。光に満ちた庭園の香り。これはデイタイムシャリマーだ。
やがて30分ほどすると、香りはさらに変化する。このままシングルノートで終焉かと思いきや、まさかのヴァニラアイス大量投入。さらにアイリスの甘いベビーパウダー香添え。レモン色の爽やかさを落とすことなく、白いヴァニラのわた雲な香りが広がってくる。そこにほんのり香るシナモン様トルーバルサムが超絶アクセント。これは悶絶級のクリーミー&パウダリー。そのまま、まろやかクリーミーな香りでドライダウン。付けてから5〜6時間。香り立ちは柔らかく使いやすい。これはPのシトラスとヴァニラを強調して重さを除いた、いいとこ取りの香水だ。
灰色の空の切れ間。突然現れた太陽の光が、雲のエッジを金色に染めてゆく。庭園の緑が鮮やかに色を取り戻す。あたりは瞬く間に光が満ち満ちてゆく。鳥が歌い、花々が揺れ、流れる水音が聞こえる。レモンとハーブと甘いバルサムの香りがしている。少女の白い服がホリゾントの光にまばゆく浮かび上がる。そして移ろうヴァニラホワイトの夢。
それは、太陽も恋する香水。光の庭園の媚薬、シャリマーフィルトル。
美肌は正義! アイメイクに命を捧げ、肌ケアを徹底無視していた10代20代… 結婚当初ニベアのボディクリームを洗顔後の顔に塗っていた私にドン引きした夫… 続きをみる