






























2022/2/11 02:19:15
Tom Fordとの最初の出会いは、おそらく多くの香水好きのみなさまと同じでTobacco Vanilleでした。Tom FordといえばTobacco Vanille、という揺るぎない先入観が漏れなく私にもあり、記念すべきフルボトル第一号としてお迎えしました。それ以来私の香水照準はジャック・ポルジュなきあとのシャネルからTom Fordに完全移行していったのですが、ご存じのようにプライベートブレンドは50mlで3万円以上する高級品であり、庶民の私にはおいそれと購入できる代物ではありません……。もちろん香水は芸術作品と同じなのでお金の問題ではないのです……でも、シャネルの「レ ゼクスクルジフ コレクション」が75mlで2万7千円、クルジャンの70mlが3.5万円前後のところ、プライベートブレンドは50mlで3万円超え、Lost Cherryにいたっては定価4万円以上もするなんて、可愛らしくないじゃないですか……。
そこで正攻法とは言い難いのですが、量り売りのサイトからいくつかのサンプルを取り寄せました。Noir de Noir、Vanille Fatale、Oud Wood、そしてこのLost Cherryです。もうお察しの通り、私の好みはバニラ、トンカビーン、アンバー、サンダルウッド、ウード、パチュリ、タバコなどがベースノートに含まれている比較的重めな香りです。そのサンプルの中で唯一「一目惚れ」したのが、このLost Cherryでした。アメリカンチェリーを口に含んで歯を立てた瞬間を想像してみてください。鼻腔に広がるあの甘酸っぱい感覚が忠実に再現されています。そこにリキュールの深みとビターアーモンドの温かさが寄り添っていて、チェリーとの調和が見事に保たれています。古き良きヨーロッパの香りではなく、どこか人工的な感じもするまさしくアメリカンな香り。秋口のまだクールビズをやっている最中にサンプルを早々と使い果たし、Tom Fordのフルボトル第二号としてお迎えの運びとなりました。
色々な香水を試すうちに閾値がどんどん高くなってしまって、並大抵の香りでは感動しなくなってしまった今日この頃ですが、この香りとの出会いは、久々に心ときめく至福のひとときでした。「Lost Cherry」というネーミングもどこか意味深で、涼しい顔できわどい言葉遊びをしてくるTom Fordのセンスに心から敬意を表したいと思います。
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初めまして、 某ドラッグストアでBAをしています。 購入したものを自分のメモ用にレビューしてます、 なるべく画像付きでテクスチャや色味がわかり易… 続きをみる