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doggyhonzawaさん
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ゲラン / シャリマー 香水

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー 香水

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・48,400円発売日:2002/1/2

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2016/7/2 01:18:34

シャリマー、それは女性用香水の至高の逸品。あらゆる年代の女性の魅力を底上げする香り。
女性の美しさ、高貴さ、甘美さをひきだす琥珀色のヴェール。男性の本能を無意識下で揺さぶり続け、心に刻みつける香り。恍惚の媚薬。

この世には、本当に出会った瞬間、衝撃でのけぞるような香りがある。自分にとって、シャリマーはその1つだった。本当にときどきしかないが、初対面で心を奪われる人がいるように、香りにも心をわしづかみにされる物がある。「何を大げさな」と感じる方は、まだ出会っていないだけかも知れない。かけがえのない人にも、心震わせる香りにも。

だが「彼」は出会った。その人生において、何者にも代えられない運命の女性と。

ムガール帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーン。彼と彼の愛妃、ムムターズ・マハルの物語。シャーはハーレムにいた他の女性には目もくれず、ただひたすらにタージ(ムムターズの愛称)だけを愛し、その間に13人の子をもうけたという。14人目を身ごもったタージが亡くなったとき、シャーの悲しみは天空を裂き、全ての権力と財を注いで、総大理石造りの彼女の霊廟、タージ・マハルを何十年もかけて建設させた。この愛の逸話はつとに有名だ。

もしもこの逸話に感銘を受けたジャック・ゲランが、「タージ・マハル」という名の香水を作っていたなら、それはおそらく、彼の叔父であるエメ・ゲランが作ったジッキーのように、愛する者との別離や深い喪失の色を呈した、もの哀しげなフレグランスになったことだろう。だが、彼はちがった。

ジャック・ゲランは、一途にタージを求め続けたシャーの偏愛とも言うべき姿を、2人が愛を睦み合った庭園の名である「シャリマー(愛の殿堂)」というイメージに凝集した。それは、愛する者を失った悲しみ以上に、深く強く心に刻まれていたであろう2人の歓喜の日々。そんな美しく官能的な日々を彷彿させるあたたかい香りだ。センシュアルではあれど、エロティックにはあらず。

そんなシャリマーのトップは、強烈なハーブと樹脂の辛みとベルガモットが、噴水のように空気中に霧散して開く。まるで、チェリーコークに花々やハーブを入れて煮詰めたような雰囲気だ。そして、確かにジッキーのオープニングを思わせる。シャリマーは、ジッキーのノートにさらに香料を加え、重層的にリファインしていく中で作られたようなので、なるほどと思う。心をわしづかみにする強烈なベルガモットの拡散と、その下から同じ熱量で鼻を刺激してくる薬草や樟脳っぽいスパイシーなオープニング。好き嫌いはあるにしても、ひとかぎで他の香水と全く違う繊細な複雑さ、高級さが感じ取れると思う。けれど、高慢ではない。絶え間なく鼻と脳を刺激し続け、あっという間にとりこにされる。まるで、シャーとタージの衝撃的な出会いのように。

そしてすぐにミドル。炭酸のように拡散していたベルガモットが落ち着いてくると、シャリマーのミドルは、驚くべきことに温度が上昇する。ここがジッキーとの大きな違いだ。もっと甘くかぐわしく昇りつめていく。暗くパウダリーなアイリスと樹脂の甘み、パチュリの苦みが入り混じり、重奏を奏でる。低い太鼓が鳴り、シタールの調べが聞こえる中、松明のオレンジ色の灯りに照らされて、2人の体温がどんどん上昇してゆくイメージ。それは、燃えさかる愛の調べ。誰にも邪魔されない2人の時間。

やがて気がつくと、穏やかなヴァニラとトンカビーンの香りに変わっていることに驚きを覚える。そんなクリーミーな甘さが感じられたらラスト。パルファムなので拡散力は弱めだが、点でつけたときのかぐわしさ、自分の体温や気温、湿度に応じて、さながらオーロラのようにさまざまに変化する香りの揺らぎは、トワレやオード・パルファムの比ではない。そのわずかな変化を楽しむだけで深い安息を得ることができる。それは、オポポナクスの甘い樹脂香と、白っぽくパウダリーに落ち着いたアイリスと、柔らかなヴァニラ。至福のラスト。恋人たちの体温であたたかみを増したシルクを思わせる香り。このラストに包まれて眠りにいざなわれたなら、どんなにか安らぎ、よい夢が見られるだろう、そう思えるようなドライダウン。シャリマーを特別な夜の寝香水にしている方が多いという話も頷ける。それは、2人の穏やかな寝息。白亜のパレスの蒼い夜。

シャリマー、それはゆるぎない愛と官能の泉。こんこんと湧き出る琥珀色の陶酔。一途な愛を現世にとどめつつ、時空を超え、天上での再会を誓って焚きしめられた聖なるバルサムの香り。思い出の庭園の上に広がるインディゴ・ブルーの夜空。星々のまたたきに吸いこまれ、消えていく白い燻煙のドレープ。とろけるような天使のヴァニリック・ゲルリナーデ。

その香り、別格。

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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / ネクタリン ブロッサム & ハニー コロン

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)

ネクタリン ブロッサム & ハニー コロン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・11,000円 / 100ml・21,560円発売日:-

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5購入品

2017/5/13 06:19:17

ジョー・マローンの香りを少しだけ敬遠していたのは、ハマると怖いのが分かっていたからだ。

ジョー・マローンの1本1本の香りは、とてもナチュラルで明るく、気分をスッキリさせてくれる優れた品が多い。ただ高いとは思う。コロンというカテゴリで100mlボトルが1本17000円以上。これは庶民にはなかなか手を出しづらい価格帯だ。たとえ30mlが8000円ちょっとで買えるとはいえ、これはもう立派なオードトワレやオードパルファンが買える値段。

何しろネックは、1本持ってるだけではジョー・マローンの香りの良さを知っているとは言えないことだ。これらのコロンはボトル1本1本が「素材」であり、まだ未完成品。ジョー・マローンの香りの本当の楽しさは、それらを自由に組み合わせて付けるフレグランス・コンバイニング(重ね付け)の妙にある。つまり、何本か好きな香りを集めてみて、それらをTPOに合わせて好きなようにコンバイニングした時、初めてジョー・マローンの創った香りの奥深さや本質がわかるということ。

このアイディアは本当に恐ろしい。実践すべく実際にボトルを集め出したら福沢諭吉先生がどんどんお財布から去っていかれるのが目に見えている。ジョー・マローンの「コンバイニングのすすめ」は「学問のすすめ」より強いのだ。何しろ1冊ではなく、全巻そろえたくなるのだから。

そんなコロンの中で、ネクタリンブロッサム&ハニーは、特に女性に人気が高い香りだ。トップにカシス、ハートにアカシアの蜂蜜、ベースにピーチというシンプルな構成ながら、それらのミックスが驚くほど自然なフルーティーさを感じさせる。

ピーチ系のフレグランスは、ともすると合成っぽさが強く感じられたり、わずかに合わせた苦みや酸味で「本物の桃の香りじゃない!」と受け取られたりして、なかなか難しいテーマの一つだと聞く。香水はもともと自然の花やフルーツそのものの香りではないけれど、人はフルーツ系の香りに対しては、本物っぽいかどうかこだわりやすい傾向があるようだ。それは、食べ物として「味覚」とリンクさせてしまうせいかも知れない。それでもこのコロンはかなり自然な香りを再現している部類だと思う。

ネクタリンブロッサム&ハニーは、付けてすぐ、ふわりとした上品な甘さとジューシーな桃の香がみずみずしく漂ってくる。スッキリした甘味、わずかな酸味とグリーンな風味、そして桃やネクタリンの果実がもつ果汁独特の芳醇な香り、これらが絶妙なバランスで心地よく鼻を刺激してくる。これはなかなかすごい調香だと思う。

ピーチの香りと言えば、ウンデカラクトンが有名だけれど、これは桃の表皮にそっと鼻を近づけた時の、柔らかでしっとりした香りを再現している香料だ。これにわずかなカシスの香料を合わせることで、よりフルーティーさをひきだしているのだろう。そしてそれらを支えているのが自然な甘さのハニー系の香料だ。天然のアカシア蜜のような花の香りやコクは抑えられ、すっきりしたいい感じの甘さを出している。何よりよく桃系のフレグランスにありがちなビニルっぽさや苦み、エグみのようなものがわずかなグリーン系香料で打ち消されている点が秀逸。だから、甘いのにスッキリ、桃系なのに爽やかでライトという背反を上手にバランス取りしている。

展開は単純だ。付けた時のふんわりとしたまろやかな、それでもわずかに酸味のあるネクタリン系の桃の香りがずっと同じように長く続く。他のジョー・マローンのコロンに比べて持続時間は長めで、7〜8時間ほども続く。それは合成香料がメインだからだろう。それでもとても雰囲気が穏やかで、女性向けの優しくて可愛らしい香り立ちのコロンだと思う。

コンバイニングにお薦めなのは、ナツメグ & ジンジャー、ポメグラネート・ノアール、オレンジ・ブロッサムあたりのようだ。フローラル系やスパイシー系を重ねることで、フルーティー・フローラルにしたり、スパイシーな香りに甘さを足したりするコンバイニングが面白い。ただこの香りに関しては、単品使いで十分楽しめる。高級柔軟剤を遥かに凌駕して使える単品使いがお薦め。

初夏の午後、切り込んでくる強い日差し。風にそよぐ濃い緑の葉。キラキラと明滅する厚い葉陰からそっと顔をのぞかせるネクタリンの果実。その黄色い頬に赤みが差してくる頃、あたりにはえも言われぬ香りが漂い始める。白桃とは異なるつるんとした表面には日の光が輝いている。やがて夏の太陽をいっぱいに浴びて真っ赤に熟した頃、桃園にはネクタリンの甘酸っぱい香りが、南風に乗ってどこまでも漂うことだろう。

ネクタリンブロッサム&ハニー。それは初夏を告げる香り。青空の下、赤桃色の果実からしたたる爽やかなピーチシロップ。

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ゲラン / アクア アレゴリア ハーバ フレスカ(旧)

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アクア アレゴリア ハーバ フレスカ(旧)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

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5購入品

2018/6/23 21:30:17

気温が30度近くになってくると、ふだん香りと上手に付き合っている方も、さすがにシトラスでさえうっとうしく感じるようになるという。では、そんな高温多湿の日本の夏に使えるフレグランスはないのだろうか?

答えは「ある」だ。しかも、真夏にこそ使いたいスーッとしたひんやり系の香り。陽炎ゆらめく日本の猛暑に、特に女性にヘビロテされている香りアイテム、それは、ゲランのアクア・アレゴリア・シリーズ不動のスタメン、ハーバフレスカだ。

ハーバフレスカ。フレッシュなハーブの意。1999年にゲラン4代目調香師ジャン・ポール・ゲランが、「もっとライフシーン全体で使えるライトな水を」というアイディアを思いつき、最初にリリースしたアクア・アレゴリア・シリーズ5本のうちの1本。

この作品群はたえず実験的な調香作品を提案しつつ、その反応を見ながら、フレグランスに対する現代の消費者の好みや動向をリサーチする役目を担っているゲランのアンテナだ。そのため、毎年のように新製品を投入しては、市場の反応を見て廃盤や残す物を決め、新作をリリースするというサイクルを形成しながら今に至っている。

これまでリリースされた作品は40近くあるが、店頭に並んでいる作品は毎年入れ替わっていることになる。その中でハーバフレスカは、パンプルリューヌと共に初代リリースでありながら、ずっと生き残っている貴重な作品。これは実はとてもすごいこと。では、そんな人気の高いハーバフレスカの香りはいったいどんな香りなのか?ズバリ結論から言うと。

トップ→レモンバーム。ミドル前半→強力なスペアミント。ミドル後半→グリーンティーの渋み+クローバーの青臭さ。つまりハーバフレスカは、夏の庭先で飲む「アイス・ミントグリンティー・レモン添え」の香りだ。(←きっぱり)

黄金色の蜂の巣飾りがついたボトルからハーバフレスカをスプレーすると、すぐに広がるのはミントの青くひんやりした香り。肺の奥までスーッとした清涼感を運んでくれるオープニング。歯磨き用ペーストの匂いという方も多いけれど、自分はあえて、「強めのスペアミントタブレットとレモンキャンディーを一緒に口に放り込んだ味」と言いたい。鼻から吸う空気が2〜3度下がったようで、特に夏の朝にこのハーバフレスカをスプレーして香りを嗅ぐと、かなり気分がリフレッシュできること請け合い。ミントの量が結構多めで、揮発し続ける間、付けた場所が熱をもったような冷たいような感覚になる。それでも特徴的なのは、ミントの清涼感だけでなく、そこにレモンバームの葉を揉んだときのようなグリーンなレモンの苦みも混じっているところ。まさにハーブ&ハーブなトップ。

この青いレモンバームとミントの共演は10分ほど続いてデクレッシェンドしていく。そのあと下から出てくるのは、グリーンティーの穏やかな渋味と、やや生っぽい葉っぱの香りだ。公式ではクローバーの香りとあるけれど、合成香料のグリーンノート系のブレンドだろう。トップのミントやレモンは天然っぽくて、その後のミドルは合成香料が引き継いで香りを長引かせるという構成だ。ティーのすっきりした香りが心を落ち着かせるミドル。

ミドルは大体2〜3時間ほど続いて終息。その後残るラストはかすかなフローラル。意外なラストだ。はっきり何とは言えない合成フローラルながら、ゲラン公式サイトでは、スズランやシクラメンのイメージと謳っている。ここがムスキーでない点がおもしろい。ハーバフレスカファンの方は、ふだんあまり香水をつけない人も多いという。もっと気軽にフレグランスを楽しんでほしいと願った調香師が、あえてラストをおきまりのムスクではなく、自然な感じにしようとしたように思える。

してみるとハーバフレスカ。アロマテラピーブームの頃に、香水の側から似たようなアプローチをした作品のように思える。フランスなどで飲まれているミントグリーンティーは砂糖を入れるようだが、このトワレにはそんな甘さがないので猛暑でも使える。トップのミントやグリーンはインパクトが強いものの、香りは飛びやすい。だからこそ、日に何度かタッチアップ(付け足し)して、常に気分をリフレッシュできるよう、あえてライトな調香にしたのだろう。

朝露のおりた夏の庭。そっとしゃがみこんでレモンバームの葉を揉むと、青臭さを伴ったみずみずしいレモンのような香りが立ちのぼる。わきには、濃い緑の葉をそこかしこに重ねてひしめきあっているクローバーたち。テラスのテーブルには、アイスグリーンティーが運ばれ、ミントの香りがそこかしこに漂っている。見渡す限りの緑。そのすがすがしい香りに心がスーッと透き通る。

ハーバフレスカ、それは盛夏にいっときの涼をもたらすアロマティックグリーンの風。

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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン) / ライム バジル & マンダリン コロン

Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)

ライム バジル & マンダリン コロン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・8,800円 / 50ml・13,640円 / 100ml・19,030円発売日:- (2019/7/5追加発売)

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4購入品

2014/2/13 00:49:42

「なんか、何かが、もの足りない」このコロンをつけるたび、いつも何となくそう感じる。←生意気だな

そんなことを言うと、どこからともなく、「ノン!ノン!ジョー・マローンの個々の香りは、そもそも1つの完成形ではなくて、いわば素材ね。彼女は、『フレグランス・コンバイニング』という考え方を提唱していて、それは2つの香りをブレンドすることではなく、付ける量や場所などを自身で考えて、自由に重ねづけするというフィロソフィーなの。それによって初めて、個々の香りが唯一無二のオリジナルな香りを作り出すのよ」と、BAさんもどきな声が聞こえてきそうなわけだが。顔とか斜めにして髪かきあげたぐらいにして。←嫌いなタイプではない

なるほど、「フレグランス・コンバイニング」か。さすがTMマーク(商標)をとるだけのことはある。おもしろい。

「それはまあ、わかるんだよな、でもなあ」とまたまた手首に付けた「ライム・バジル&マンダリン・コロン」の香りをかぎながら思う。

トップ。つけたて2分、酸味も苦みも強くないけれど、シトラス独特の高い香り。ライムの果皮を指で傷つけると、唾液の出そうな酸味と苦みが味わえるけど、あの独特の風味ではないな。オイルだ、まさに。高音で、天然洗剤に使用できそうな高純度のシトラスオイルの印象。ギターの手入れに使うレモンオイルっていうのがあるけど、あれをさらに蒸留かなんかして、純度を高めたような香り。

そして同時に下からあふれ出てくるお湯っぽい香り。んー、なんだろこれ?名前のイメージからバジルの「味」をイメージしていたけれど、ふだん調味料として口にしているバジルの香りとは思えない。何というか、お風呂上がりの何かの匂い。水が蒸発するときの、すこーしだけ雑味やカルキがまじったような湯気の匂い。そこにドライで甘みのないシトラスと、ちょい清涼感のあるハーブを1滴ずつたらした感じ。

つけてから2分で、高音域のライムオイル的な香りはどんどん揮発し、次第に強くなるグリーンな香り。淡いけれど、清潔感のある優しい香りだ。ほんのりとだが、甘さも出てくる。このあたりでマンダリンオイルの香に移っていったか。そして、10分もしないうちに、少し清涼感のあるうすいグリーンな香りに落ち着き、あとはそのままのテイストでドライダウン。

日によって30分で跡形もなく消え失せてしまうこともあれば、4時間以上うっすらとスッとしたグリーン香が鼻をかすめることもある。ライムもマンダリンもバジルも、素材としてはトップノートの素材なので、消えていくのが早いのはいたしかたなしだけど。

うすれていく香りの余韻を味わいながら、頭の中でまだ考えている。

うーん、やっぱ何か、もの足りない。単品じゃよさが味わえないとすると、いくつか持ってないと意味ないな。でも、ジョー・マローン、値段高いしな。30mlで7000円として、そしたら、コンバイニングのよさを楽しむためには最低2本は必要だから14000円かー。でもこれ、コロンだよな。いい香料使ってそうだけど、薄いからコスパ悪い。んー、単品じゃやっぱだめなんかな?大体コンバイニングって言ったって、身の回りにはもともといろんな匂いがあるんだし、だったらさ・・・・、あっ。

そうか!

急に瓦解する。そうだ、いいんだ、別にコンバイニングしなくたって!この香りに感じた「もの足りなさ」は、それゆえに、日常生活のさまざまな匂いにも調和していくはず。

例えば、食事中。確かに合う。もともと全て食べられる素材から抽出している香りのせいか、この香りは食事中も邪魔にならない。それどころか、軽く食欲をアップさせてくれる印象。

例えば、女性の身支度。シャンプーやヘアケア製品の混じった髪の香り、メイク用品の各々の香り、そして、ボディークリームや洋服の柔軟剤の香り。考えてみれば、女性は男性の何倍もの香りを当たり前に身に纏い、もともと複雑な香りを放っているはず。そこにこの香りが混じっても、ぶつかり合うことなく、邪魔になっていない印象。

そう考えたとたん、ジョー・マローンのすごさ、女性としての繊細な感覚に少しだけ触れられたような気がした。

「ライムバジル&マンダリンは、あなたのすでにまとっている香りにすっと合わせていきます。あなたの日常の香りになじんでいきます。だからこそ、最小限の構成なのです。」

そんなメッセージが聞こえたような気がした。

だからこれは単品でも使える香りだなと思う。なぜなら、日常のさまざまなシーンに、自動的にコンバイニングしてくれる種類の香りだと感じるから。

この香りは、「もの足りない」。そして、だからこそよいのだろう。「足るを知る」者にこそ作れる香りだから。

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BYREDO / GYPSY WATER

BYREDO

GYPSY WATER

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2015/12/17 00:06:20

秋冬になると、なぜかしらウッディとヴァニラの香りが恋しくなる。もしその2つが、これ以上ないバランスで調合されていたら、それは自分にとってたまらない快感を呼び起こすはずだ。ただ、これまでの香りの旅では、まだ「そこまでの物」には出会っていなかった。そんなとき、ジプシー・ウォーターに出会った。

バレードのジプシー・ウォーターは、自分がこれまで出会った中で、最も柔らかく穏やかなウッディ&ヴァニラの香りだ。何よりも、ウッディ系の香りを苦手とする香水嫌いの方にも、「この香り、一度つけてみて」と勧められる点で、他のウッディの名香より1つ抜きんでる。それだけシンプルで、より多くの人に好まれやすい要素を持っていると思える香りだ。

ジプシー・ウォーターのトップは、一瞬のレモンが駆け抜けたかと思うと、アール・グレイそのものの香りと言った風情の、爽やかなベルガモットがパーンと鼻腔をくすぐる。同時に、サンダルウッドの香ばしい木の香りが、背後から乾いた風を運んでくる。そして、その瞬間、まるでガムシロップを1滴こぼしたような甘さが広がる。それはまるで、芳醇な紅茶の雰囲気。そして、このトップが意外なくらい長続きする。

自分は体温が高めなので、どんな香水でもあっという間にトップ系の香料は揮発していくが、この香りに限っては、5分ほどベルガモットの酸味が持続する。これはすごいなと思ってよくよく見ると、スプレーした手首のところがテカっているのだ。おそらく、粘度の高い甘い香料が、ほんのりベタついて肌にヴェールをかけることで、ベルガモットの揮発を遅らせているのだろう。

最初はそれを見て、「こんなにテカって跡が残るんじゃ、香水としてまずいだろう」と思ったが、5分もするとテカりや粘りはかなり薄くなることが分かった。気にならない程度になる。試しになめてみたが、甘くはない。一体どんな工夫で、揮発しやすいベルガモットを保留しているのか興味深い。

やがてシトラスが静かに消え、同時に、奥からとても落ち着いたお香の香りがしてくる。それは日本のお寺の香りではなく、どこか中東の寺院を思わせるインセンス。とても静かでくせがなく、ほんのり甘い上品なお香。有名なチャンダン(白檀のお香)の香りをかなり淡くして、ちょっと暗めにしたような芳香だ。

通常、ハーブやフローラルをもってくるミドルに、いきなりのインセンス。まるで、ど真ん中を省略して、トップからいきなりラストに飛んだように感じられる大胆な構成だ。

そして、奥からクリーミーでふくよかなヴァニラの香りが浸出してくる頃、インセンスの香りは、ベースのサンダルウッドと相まって、より温かく、マイルドになってくる。そして。

驚くべきことに、自分の肌の香りと混じり合って、何ともいえない甘くせつないウッディ&ヴァニラの香りに高まってくる。これには本当に感じ入った。

試しに、ファブリックと試香紙にも香りをのせ、手首との揮発の違いを確かめたところ、布地や紙では、いつまでもトップのベルガモットの香りがしていて、なかなかインセンス&サンダルウッドが出てこなかった。さらに、ヴァニラが出ても、とてもはかなく、手首に付けた時のような心地よい香り立ちにはならない。この結果から推測できることは何かと言うと。

1つには、体温高めの人に、このウッディ&ヴァニラは、よい香り立ちが出やすいのではないかということ。そして、もう1つは、人がもともと持っている匂い、それは動物っぽいアンバーのような香りと言っていいと思うが、それを合わせたときに、この香りが完成するのではないか、ということ。言い換えれば、これは、その人の肌の匂いをひきたてるスキン・セントの部類だ。

通常、ウッディは重ための香料が強く主張するので、あまり肌の露出しているところには付けないことが多いように思う。けれど、ジプシー・ウォーターなら、例えば、うなじや首筋、手首の内側などに付けても、香り立ちがシンプルかつフェミニンなので大丈夫だと思う。体温が低めの人であれば、紅茶の香りを思わせるベルガモットの爽やかさが続くだろうし、体温高めの人なら、サンダルウッド&ヴァニラのラストを長く楽しめるだろう。このオー・デ・パルファンは、香り立ちこそ淡いけれど、ミドル〜ラストが、かなり長い時間、ゆったりと香り続ける。ほんのりと、じんわりと。日によっては、5時間以上も。

ジプシー・ウォーター。それは、理想郷を求めて旅を続ける、流浪の民の象徴。かつてインドから欧州へと移り住んだロマたちの、荒ぶる魂と自然に寄り添う静謐さを思い描いた香り。その歴史の裏に見え隠れする、不当な差別や偏見、貧困や悲しみを超えてなお、自然や世界に対峙し続けるさすらい人たちに捧げる香りだ。

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mikaoruさん
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