
- doggyhonzawaさん
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- 47歳
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2013/8/14 23:24:35
夏になると、何となく「千と千尋の神隠し」を見たくなります。あの宮崎駿氏の心象スケッチともいうべき虚構の世界に、何とも言えない郷愁を感じます。そして、そこに、主題歌「いつも何度でも」のハープが染みこんできて、何だかたまらない気持ちになってしまいます。
夏になると、毎年、ランヴァンの「エクラ・ドゥ・アルページュ」がすごく売れるそうです。行きつけのコスメショップでも、「万人受けする香り」「さわやかでかわいい香り」などのキャッチコピーがあふれてます。
初めてこの香水のボトルを見たとき、「わあ、きれいだな。」と薄紫の液体色に心を奪われました。フラスコ様のボトルも可愛いなと思いました。それをクリアプラスティックのケースにしっかり収めたパッケージングも感心しました。丸いということは倒れやすいということ。そのへんもサポートしたのかなと。
初めてこの香水を試したとき、確かに「ライトブルー系だな」と思いました。ふわりと上の方で鼻をくすぐる涼しげな花の香りは好感がもてました。あ、これは、女の子(女性ではなく)ウケするだろうな、と思いました。
よく見ると、シルバーの筒の部分にあしらわれた金のリングは指輪のようだし、さらによく見ると、筒の上部には、石までのせて爪の形にデザインされています。あ、これは、女の子(女性ではなく)ウケするだろうな、と思いました。
よく見ると、元祖アルページュのボトルにもあった、ジャンヌ・ランバン(母)と、一人娘マリーの金のシルエットが受け継がれています。あ、ここが一番大事なんだけど、元祖アルページュより目立たなくなっちゃったな、と思いました。初代は、黒ボトルに金シルエットでしたから、このシルエットこそが初代の最も重要なデザインでした。
「エクラ・ドゥ・アルページュ」直訳すると、「分散和音の輝き」。ギターをやる方なら「アルペジオ」でわかるはず。ピアノであれば、「アルペジアーレ」という指示になるようです。つまり、和音を構成する音を、単音で順番をつけてリズミカルにひく奏法ですね。
「エクラ・ドゥ・アルページュ」意を汲んで訳すと、初代アルページュをピアニストの娘のために作って送った際に、ジャンヌが、「美しい音楽が人生に与える至福の時」というメッセージを添えたという逸話から、「美しい音楽を作り出す1つ1つの音の輝き」という感じかと。
と、そこまでは、わかる。よくわかるつもり。
ただ、この香りの何か腑に落ちない点は、一体何なのかと、ずっと考えている。
トップからふわりと上の方でライラック様のやさしくすずしげなフローラルが、フルーティーな味付けで香る。これは確かによい香り。あまりないな。でもでも、何か下の方で、「匂いのしない強い匂い」が同時に出ている。これ、うまく言えないけれど、上の優しい花の香りをかごうとすればするほど、下の「匂わない強い合成臭」をかぐことになって、やや頭痛・吐き気をもよおす方が出そう。まさか、初代に使用したアルデヒドみたいな拡散性のためだけの合成香料を強く使ってる?これに気付いてしまうと、すごく「化学」っぽさを感じてしまう。気のせいならごめんなさい。
トップからずっとそんなに変化がない。名前からしたら、いろんな香りが出てきて変化したり、天候、体温、肌の湿度などによって毎回香り立ちが変わってきたりするかと思いきや、ずっと同じ感じ。フローラルからすぐにムスク、シダーウッドに流れる。その変化は小さく単調。というか減衰が早いので変化もよくわからないまま消えていく感じ。1つ1つの音、俺は聞けてないな。気のせいならごめんなさい。
アルページュって、今から88年も前に、シャネルの「No.5」に負けない香りを作ろうとしてできた香水。同じアルデヒド系で、ジャスミンやイランイランを使用していて、かなり今かぐとクラシカルでムワリとくる。でも、この現代版に比べれば、1つ1つの香りは明確に立っていたように思うな。
それに比べれば、こちらは現代風にして、かわいく、愛らしく、個性をうすくして、香りもうすくして、液体色もうすくして、「そつのない、いい娘」に育てた感じだね。
黒ボトルに浮かび上がった金のシルエットで表現した「母と娘の愛」も、ただの金色の模様にしか見えないほど目立たなくなった点だけ残念。「親子の愛もうすくなった」、なんてオチはやめてね。
アルページュ(分散和音)って、もともとの楽典上の意味は「ハープのように弾く」ことだそう。ハープは分散和音で弾くことが基本なんだって。
「いつも何度でも」のハープのアルページュを聞きながら、「時代が変わっても変えてはいけないもの」についてひとしきり考えた真夏の夜のひとときでした。
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