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FUEGUIA1833 / デュナス デ ウン クエルポ

FUEGUIA1833

デュナス デ ウン クエルポ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2021/2/6 12:13:05

夏の夜。女の息づかい。黒い闇を照らすオレンジの灯り。はぎとられたベール。エキゾティックな瞳。浅黒い肌に鼻を近づける。ウードを焚きしめた狭い部屋の中は、焦げた煙の波が漂っている。彼女の肌は汗ばみ、塩辛い海の味がする。日に灼けたアンバーの匂いとウードの紫煙の中で、灯りに照らされた琥珀色の肉体は砂丘のように稜線を描き、幾度もなめらかに波打ち、その姿を変えてゆく。

フエギア1833から2018年にリリースされた香水、デュナス・デ・ウン・クエルポには、そんな艶めかしい情景が感じられる。ブランド紹介文には、「白い砂浜と砂丘を歩いて過ごした夏の夜を彷彿とさせる香り」というロマンティックな言葉が並んでいるが、要はウードの匂いに抱かれて琥珀色の肌の女性とセンシュアルな時間を過ごしたということだろう。寝そべった女性の美しい体の曲線を「まるで肉体の砂丘だ」と感慨深げに横で眺めている情景、この香水に込められているのはそんなプライヴェートな秘密の時間。

デュナスデウンクエルポは、その香りの強さゆえか、好き嫌いが明確に分かれやすい香水だ。もっと言うと苦手と感じる方が多いタイプの香りだと思う。香水じたいが苦手という方は、このデュナスを嗅ぐと「うわ!」とか「焦げくさい」「お寺の匂い??」と煙たく感じる方が多いようだ。では、どんな香りなのか?

デュナスデウンクエルポをプッシュする。その瞬間いつも思うのは「これはマジに半プッシュでいい」ということ。プッシュした瞬間、焦げ茶色のジュースからそのままの印象の煙たい香りがぶわーっと広がってくる。ぶわーっとくるから「うわっ!」となる。香水慣れしていない人、特に「ウードって何?」系な方は、一発でKOされてのけぞるかもしれない。

つけて最初に広がってくるのは、とても煙たくスパイシーな香りだ。一瞬感じる「お寺感」がハンパない。焦げた木と香木を焚いた煙の匂い、そこに一気に中東のスパイスマーケットの匂いがかぶさってくる。一番感じるのはクローブの甘辛いしびれる香り、シナモンの辛み、乳香のバルサミックな清涼感あたりだ。これらが一気に迫るーショッカーなので(←古い)、好きな人は深く吸って悶絶するし、苦手な人は手で匂いを払おうとする。最初に言っておくとそういう「お寺系」「お香を焚いた煙が好き系」な方向けの香りということだ。

つけて10分くらい、この焦げ焦げスモーキーと中東スパイスミックスの荘厳な民族音楽の調べを聴くことになる。超焦げ感満載。スパイスは仁丹(懐かしい)や正露丸をまとめて10粒くらい口の中に放り込んだ感じの匂い。

このトップのミドルイースト寺院系な香りは、次第に和らいでいく。真っ暗な部屋に焚きしめられたウードっぽい香りは、酸味と苦味と強い煙っぽさを全開にしたあと、ゆっくりと粒子になって降り注いで落ちてゆく。

つけて20分くらいすると、サンダルウッドの香ばしく乾いた香りがメインとなる。このあたりから焦げ臭さは消失していき、とても崇高で温かみのある木の香りが強くなってくる。それは覆い布をさらりと脱いだ褐色の肌を思わせる。なめらかで光沢のある肌が温かみを増して、琥珀色の光に金色のエッジを美しく揺らす。

そして、このスパイシーな残香を伴ったスモーキーなサンダルウッドがいつまでも続く。8〜10時間。場合によってはそれ以上。フエギアの香水は、1つの作品に用いる香料数は少ないものの、賦香率がとても高く長時間香りが続く作品が多い。このデュナスに関してはそれが顕著だ。衣服についたデュナスの香りが、何日たってもずっとそのまま残って香っているということもあって驚いた。

価格は30mlが18700円。100mlもプーラもあるけれど、ウード系香水を浴びるように使う中東の方でなければ、小さいサイズで十分ではないかと思う。自分がこの香りを好きでも、周囲にスモーキーウッディな香りを強く拡散させてしまうタイプなので、使い方や付け方にはかなりコツがいる上級者向きの香水だろう。付けてから5〜6時間ほどした頃の、えも言われぬすばらしいサンダルウッドがほのかに香り続けるラストが秀逸。まるで夜の砂丘での秘め事を回想するかのように、穏やかに金色に香り続ける。

白いシーツの海。目を閉じると、彼女が白い砂の上を歩く姿が思い浮かぶ。強い風、まばゆい日差し。夏の熱い砂の上、海から吹きつける潮の香り、風になびく髪。白いドレスに着替えて自由を手にした女の軽やかな足取り。夜の砂丘で泳ぎ疲れた二人は、いつしか眠りに落ち、一炊の夢にしばしまどろむ。

夢うつつの中、腕の中に眠る女の肌の香りが、温かく香ばしいサンダルウッドに変わったことに気付く。

遠く波の音が響いている。もう夜明けが近いのだ。

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FUEGUIA1833 / ムスカラアピス

FUEGUIA1833

ムスカラアピス

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2020/11/14 14:17:03

「あ、すごい。これハチミツの香りがする!」

六本木。グランドハイアット内、フエギア1833。うす暗い店内にライトアップされた美しい香水ボトルたち。そこにかぶせられた逆さフラスコの球面が行儀よく並ぶ姿は、どこか非日常を思わせて心がときめく。と同時に「香水なんてよくわからない」と思っている方にしてみれば、興味はあってもかなり敷居が高く感じられるラグジュアリースペースかもしれない。

だからだろうか。緊張した面持ちで香水を試していた2人の女性が、隣でムスカラアピスを嗅いでハチミツの香りだと囁いた瞬間、ほっとしたような顔になって相好が崩れる。人は「その名を知っているシンプルな香り」が好きだ。そこには言葉と香りが一致して認知できた安心感もある。

店員さんが笑顔で簡単な説明をしていく。ムスカラの説明は特に力説しているようだ。「香りのない分子が〜」「肌本来のもつ香り分子を吸着して〜」「ラベンダーのハチミツが〜」そうだ。ムスカラアピスのハチミツはアロルナールに使われているラベンダーを使用していると以前聞いた。

ムスカラアピスは2017年にフエギア1833のムスカラコレクションから発売された香水だ。この香水を嗅いだ人は、ほとんどが「ハチミツの香りだ」と認識するほど分かりやすいので、とても人気がある。そこにフエギアの創設者、ジュリアン・ベデルが研究して名付けたムスカラというフェロモン類似の分子構造をもつ成分をプラスした作品だ。

ムスカラは植物由来の「香りのない分子」で、これを肌にのせるとその人自身がもつ匂い分子を吸着させて揮発を促す効果があるという。つまり、その人自身の肌がもつ匂いを引き出す成分だから、つけた人によって立ち上る香りが異なるということだ。ちなみに自分がムスカラ系香水をつけると、たいてい最後はくぐもったウッディアンバー調の香りになる。はいはい、確かに枯れてますよ。ムスカラをつけてフローラルが出る方が羨ましいよ。(←心にもないことを)

アピスというのは「蜂」を指すラテン語で、一般的に西洋ミツバチは「ハチミツを持つ」という意味のメルビラという語と組み合わせて「アピスメルビラ」と呼ばれるそうだ。こっくりとした濃密な蜂蜜の香りのムスカラアピスを嗅いでいると、これもっとシンプルに「ムスカラハニー」と名付けた方が今の10倍売れるんじゃないか?といつも思う。それほどハチミツの香りをよく再現していると思う黄色い香水だ。

ムスカラアピスをスプレーすると、最初はちょっとルナロハっぽい洋酒のような雰囲気のトップで始まる。その後は、ハチミツのもつロースティーな花蜜の香りと、暗く甘く深いコクが広がってきて、口中に唾液が出そうになる。このハチミツをホットミルクやカフェラテに入れたらどんなにおいしいだろう。そんな食欲をそそるグルマンフローラルな香りだ。

ただ、ハチミツ香だけでなく、ラベンダーの清涼感のあるエッジも確かにあって、ズーロジストのビーあたりと比べるとスッキリシャープ&ややクールな印象だ。ズーロジストのビーは蜂じたいのもつアニマリックな匂い&スパイスがかなり効いている感じだ。キリアンのゴールドナイトはハニー&パチュリだし、昔出ていたロクシタンのハニーレモンEDTはアイスレモンティーにちょっとハチミツ入れた感じだから、純粋にハチミツっぽさを求めるならムスカラアピスが一番近いと思う。

ムスカラアピスはつけた瞬間からハチミツの濃厚な香りが楽しめる香水だが、値段はそのへんの香水よりずっと高価だと感じられるだろう。パフューム50mlで27000円、100mlで43000円となっている。コロナ時代になってからはオンライン販売にも力を入れており、1mlサンプルを860円で取寄せ可能だ。小分けは手間がかかるので単価が高くつくが、全国どこからでもフエギアの香りを試せるようになったのは、時代的にいい攻めの姿勢だと思う。

くだんの若い女性たちが店を出ていきざま、外苑のイチョウが見頃だねと話していた。そうか、もうそんな季節か。ムスカラアピスのハチミツ香と黄色いイチョウ。何だかとてもいい取り合わせな感じがする。

フエギアを出て歩き始める。地下道を上がったところで、ビル風にあおられて肩をすくめる。手首をそっとマスクの下に入れると、こっくりとした甘く濃厚なハチミツの香りがした。今頃、言われているかな。あの人、私たちがいいって言ってたからアピスを手にのせてったね。はいはいごめんなさい。ちゃんと家にもありますって。エディション違いをチェックしたかっただけ。

これからアピスの香りを連れて、どこかイチョウのある公園にでも行ってみようか。

そんな秋の午後。陽射しも香りも、穏やかなハチミツ色に輝いていた。

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ゲラン / ドゥーブル ヴァニーユ

ゲラン

ドゥーブル ヴァニーユ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・49,500円 / 200ml・70,290円発売日:- (2021/9/1追加発売)

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6購入品

2021/12/4 13:49:43

女性におすすめしたいヴァニラ香水は?と聞かれたらこう答える。まずはゲランのスピリチューズ・ドゥーブル・ヴァニーユ(以下SDV)を試してみては?と。ただし賛否両論の多い香水ではある。好きな方は「最高のヴァニラ」と評するが、そうでない方はこんな風に言う。「木の香りしかしない」「ヴァニラが薄い」「値段が高い」(←それな)。

ドゥーブル・ヴァニーユ。「2倍のヴァニラ」という名の香り。ゲラン最高峰シリーズの香水で、価格も高いが人気もダントツの香り。ではなぜ評価が分かれるのか?

実は、SDVをつけた瞬間に立ちのぼる香りは2パターンある。ダークラムの洋酒っぽい香りが強く出るときと、鉛筆を削ったときの香りのようなシダーのウッディが主張してくるときだ。その混合比も日によって変わる。これは天然香料がふんだんに使われている証拠。だが、ここでウッディを感じる方には割と評価が低いようだ。

温かく酔わせるようなダークラムの香りと、冷たく内省的なシダーウッドの香りは、対比関係にある。それでもこの2つは、ほぼ同じ高さで香る印象だ。互いに拮抗しながら、絡み合うよう交互に現れる。さながらダブル香料トップといった感じ。

この2つの茶色い香料のせめぎあいは、静かながら顕著だ。日によってどちらが優位に出るかが異なる。その日の気温、体温、湿度、肌の状態等で、シダー優位orラム優位にふわふわ変わる。

まずここで「ヴァニラは?ヴァニラはいつくるの?」と思っている方は、肩すかしをくうだろう。実はこの香水、揮発の遅い天然ヴァニラを使用しているため、つけてしばらくしないと出ないからだ。

30分ほどすると、わずかにローズの片鱗が感じられるようになる。そこからはラムとシダーにとって変わるように、やっとヴァニラ香が立ちのぼってくる。

そしてこのヴァニラの香りは、確かにただものではない。

つけてしばらくして現れるヴァニラ。それはほんのりカラメル香が効いていて、クリーミーで、ラムのコクをまとった最上級のヴァニラだ。ただし、香り立ちは弱め。ふとしたときに鼻をくすぐる程度のまろやかさだ。合成ヴァニラの強さが好きな人は、ここでまたがっかりするかもしれない。だが、柔らかいベンゾインの甘さも伴ったヴァニラは、この作品でしか味わえないのでは?というくらい繊細できれいだ。そしてつける人の肌で香り立ちが変わる。だから、肌にのせたとき初めてその人のヴァニラ香になる。

ラストはラムとシダーの残香を残しながら優しくフェミニンなヴァニラで終息。時間は人にもよるが、6〜8時間ほどでドライダウン。

まとめると

SDVは、ラムとシダーのスパイラルトップから始まり、ゆっくりゆっくりヴァニラ香に変わってゆく熟成された香水だ。そのヴァニラは高級なれど、強くはない。バニリンを加えたとしても、とても2倍に増やした感じではない。一体どういうことなのか?そのヒントはこの作品名に隠されているように思う。

この香水の正式名称は「スピリチューズ・ドゥーブル・ヴァニーユ」だ。これを英訳すると次のようになる。

「Double Vanilla Spirit(ダブル・ヴァニラ・スピリット)」

英語の「スピリット」には、「アルコール(酒)」という意味と「魂・精神」といった複数の意味がある。だとするとこれは、一般的な「ヴァニラ2倍」という意味だけでなく、「ヴァニラの酒」という意味と「ヴァニラの精神」という意味、「2つ」をもたせた掛け言葉、ともとれる。

そうした視点から、ジャン=ポール・ゲラン、最後の作品となったSDVに込めた思いを想像してみる。

1つ。極上の天然ヴァニラには、ラム酒(スピリット)に似たファセットがある。それは合成香料のバニリン等で自然に出せるものではない。ゲランが独自に仕入れた最高級の天然ヴァニラにしか出せないものだというプライド。

1つ。ゲランにとってのヴァニラは、ゲルリナーデの根幹を成す重要な素材。その精神(スピリット)を忘れるな、という後進へのメッセージ。

この2つの「ヴァニラのスピリット」を込めた作品、という意味ではないだろうか。

別にそれが事実でなくてもいい。自分はそう受け取めた。4代にわたって香水帝国を築いてきたゲラン家の最後の調香師ジャン=ポール。彼がブランドの経営から退く際、言葉には言い表せぬ思いが多々あったことは推測に難くない。それらの思いが、この最後の作品の1つに注がれていたことは間違いないだろう。

スピリチューズ・ドゥーブル・ヴァニーユ。それは

あなたの肌にのせたとき、初めて完成する美しいヴァニラのお酒。いつまでもあなたの感性を刺激し続ける、ゲランのヴァニラの魂。

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ゲラン / ローズ バルバル

ゲラン

ローズ バルバル

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・49,500円 / 200ml・70,290円発売日:2006/11/15 (2021/9/1追加発売)

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7購入品

2019/12/7 23:55:30

自称フレグランスジプシーにとって、自分自身に合った最高のローズの香りと巡り会うことは、この旅の大きな目的の一つだ。
そしてローズバルバルに出逢ったことで、長かったローズ探しの旅を終わりにすることに決めた、、、。

野蛮なローズと題されたこのフレグランスは、2005年にあのフランシス・クルジャンによって創り出された香りだ。

トップはローズ-アルデハイド。まずダマスクローズアブソリュートのフレッシュなローズの香りがツーンと鼻に刺す。すぐにアルデハイドのごちゃごちゃした酸味が加わり、ローズの刺すような鋭さを、強引にクラシカルなフレグランスとしてまとめたような佇まい。

ミドルはローズ-スパイシー。軽いところは酸味のあるローズを漂わせながら、奥からはピリッとスパイスを効かせたローズが香る。ピラミッドにはフェヌグリークとある。言われてみると確かにカレーのスパイスのような香りだ。そこから徐々にナエマを思わせるハニーローズの甘さが増してくるものの、アンバーグリスとオリナバムを合わせたような酸味、そしてアニマリックな深みを効かせた、埃っぽいローズの香り。

シプレ-ウッディ。ピーチのような甘さが加わったハニーローズと、奥からは湿ったウッディノート。トップから顔を出していた、酸味やアニマリックな香りが、ここまで進むと、ディオールのオーソバージュのような、非常に男性的なシプレだとはっきり分かる。

クラシカルなローズからスパイシーなローズまでが1時間くらい、そこから一気に甘さを増したローズまでが3時間くらい、ローズとシプレが少しずつ逆転していく。持続時間は6時間くらい。

単純にローズ単体で評価するのであれば、同じゲランのローズの中でも、このローズバルバルは3番手の香りだと思う。ナエマのパルファム(廃盤)が1番、中東三部作レ デーゼル ドリオンのローズ ナクレ デュ デゼール(日本廃盤)が2番。

ゲランのもっとも素晴らしいローズと称されたナエマは、上品な女性の艶っぽいさを感じる香りなので、ムエットで香りを嗅ぐだけで、うっとりとした満ち足りた気分になる。

ローズナクレは、サフラン、ウード、パチョリが脇役に徹することで、まるで女優のような華やかなローズの香りに酔いしれることができる。

一方ローズバルバルは、刺すような鋭いローズを古くさいアルデハイドでぼやかし、甘いローズを男性的なシプレで濁らせたような香り。
ローズナクレのような中東色の強いローズと、ナエマのようなとろけるローズの甘さを漂わせながら、まさに「男性を魅了するとともに、男性にもまとっていただける香り」に仕上げられたシプレローズの傑作だと感じる。

いにしえより、ローズは女性のための香りだった。
ローズの耀かしさがはっきりと映る香りを使うことへの気恥ずかしさがあった。
しかし、これからは躊躇することなく、ローズの香りを楽しめる。
自分自身に合った最高のローズの香り、ローズバルバルを片手に。

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キリアン / ラブ ドント ビー シャイ オード パルファム

キリアン

ラブ ドント ビー シャイ オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,400円発売日:2019/4/5

7購入品

2021/1/17 23:50:43

抗しがたい魅力のある香り。

ルーヴル ノワール コレクション(愛が描く甘い誘惑の世界)のLOVE don't be shy(2007年)は、数多あるグルマン系の香りのなかでも珠玉1本だと感じている。

マシュマロにインスパイアされた極甘の香りでありながら、フローラルの抜け感があるため、甘さに溺れていかない。とてもセンシュアルな香りだと思う。

トップはシトラス・フローラル。
キャンディーのように甘いスイートオレンジと、みずみずしいベルガモットやマンダリンの香り。奥から軽やかなネロリのフローラル感が全体を爽快にしている。

ミドルはフローラル・グルマン。
そのネロリが、キャンディーのような甘さよりも上に香り立ってくる。とても透明感のある美しいのネロリの高音だ。中音はマルトールのザラッとした甘さと、オレンジフラワーのアーシーな深みや酸味を合わせたような香り。
キャンディーのような甘さが減退してくると、低温のみずみずしいハニーサックルやローズの甘い香りがようやく見えてくる。

ベースはグルマン・ムスキー。
ネロリを中心としたフローラルやマルトールを残しながら、バニラの白っぽい甘さがはっきりしてくる。それらをムスク、さらにはオリスが生成り色に柔らかくまとめられている。パチョリなどのウッディで甘さを助長させるのではなく、このミルクのような白色のなめらかさがとても心地よい。

フローラルをはっきりわかるミドルまでが3〜4時間、ベースのなめらかな甘さは8時間以上持続する。

どの部分を切り取ってもフェミニン全開の香りにも関わらず、このフレグランスを無性に使いたくなる。
特にウエストよりも下に使った時の、甘美なネロリの香りにやられてしまう。
正直、いい歳した男が使う香りではないのは分かっている。
でも、どこかシャネルNo.5のような、外観は女性を体現した香りでありながら、内面は母性というか、ほっと安心して気持ちも委ねたくなるような心地よさがある。

使うことに恥じらう自分と、「恥ずかしがらないで」と後押しする、もう一人の自分。
そして夜、密かにこの香りを重ねることに、この上ない喜びを感じてしまう。
使う度に、得も言われぬ背徳感に苛まれる香り。


恐るべきことにキリアンの口紅にはこの香りが賦香されている。
もちろん、口紅での香り立ちは試していないが、どういう香り方なのだろうか。
ジューシーな甘さに吸い寄せられ、甘美なフローラルに身も心も蕩け、やわらかな甘さに陶酔する。

果たして、目の前にこの香りの唇があったとき、その誘惑に抗うことができる男性はいるのだろうか。

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ROZさん
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プロフィール
  • 年齢・・・48歳
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  • 血液型・・・A型
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自己紹介

カナダ在住です。@コスメ暦16年目です*^_^* アトピーもちの敏感肌。特にアルコール、香料(メントール系)に弱いです。 5年ぶりくらいにクチコミ… 続きをみる

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