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doggyhonzawaさん
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ブルガリ / ブルガリ プールオム オードトワレ

ブルガリ

ブルガリ プールオム オードトワレ

[香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・7,920円 / 50ml・11,110円 / 100ml・15,510円発売日:1996/11/21

7購入品リピート

2013/6/2 14:11:52

この香水が日本で発売されてもう17年になる。その間、この香水は常に「女性が最も好む男性用香水」の座に君臨し続けてきた。当然、何度か店頭で確かめた。いわゆる香りをかぐサンプルボトル。そして、この17年、何度かいでも、いつも印象はよくなかった。

「・・・この少しくぐもった香りのどこがいいんだ???」

ところが、ある日その印象は激変する。

何のことはない。テスターを手首にシュッと一吹きしただけのこと。そして、その瞬間に訪れた驚きは、今も忘れられない。

ふんわりとしたベルガモットとオレンジフラワーの香りがしたかと思うと、すぐに広がっていく落ち着いたダージリンティーの優しい香り。もちろんこれは合成の香調だから、「おお!ダージリンティーだ!」などと明確に思わないのだが、確かに同じダージリンティーをメインにしているジェニファー・ロペスの「スティル」よりも、穏やかに品よく香る紅茶のテイストが秀逸。

やがてその柔らかだけれど決してパウダリーではない、透明感のある紅茶の香りの下から、ほんのりとペッパー、カルダモンのスパイシーーテイストが温かくのぞいてくる。40代男、体温高めなせいか、ふわっとまろやかな感じになってくる。

そして、ラストは、しっとりとしたみずみずしいムスクに落ち着いていく。少しだけ甘く、けれど紅茶っぽいテイストをそこはかとなく残しながら、名残惜しそうに消えていく。この穏やかで優しいムスク使いが、全体の香調をくずさないベースになっていてすばらしい。

17年間、サンプルを何度かかいだだけで、この香水を知った気になっていた俺がバカだった。そして、その17年間、この香りを身にまとえなかったことを後悔すらしている。

「顔を見ただけで、その女を知った気になることほど、愚かなことはないよ。」

まるでそんな当たり前のことを教えられたような気さえする。


まだまだちょっとかいだだけで、肌にのせていない香水は多い。
この香水をこえるものを見つけるまで、☆7は、他の香水にはつけない。


トップ: ダージリンティー、ベルガモット、オレンジフラワー、ブラックカラント、ウォーターリリー、ミュゲ
ミドル: トルコカルダモン、ペッパー、ローズウッド、アイリス、グヤックウッド
ラスト: ムスク、クリアアンバー

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doggyhonzawaさん
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アトリエ・コロン / Grand Neroli

アトリエ・コロン

Grand Neroli

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2017/7/22 15:59:48

夏のフレグランスには、シトラスの爽やかさとグリーンな青さ、そしてわずかなフローラルがミックスされているといい。シトラスだけだと10分で揮発してしまうし、グリーンだけだと飽きのくるのが早い。この2つが拮抗することで、まばゆい太陽を受けて熟した果実のジュースの匂いと、風に揺れる緑の葉の香りになって、きらめく夏のひとときを演出する。奥に広がるかすかなフローラルは、その瞬間を永遠に心に刻んでくれるだろう。

ここ数年、夏はシトラス系を中心にさまざまな物を試してきたけれど、中でもずっと気に入って使っている物がある。それがアトリエ・コロンのグラン・ネロリだ。

グラン・ネロリは、女性用のフレグランスのカテゴリではあるが、ジェンダーにとらわれず、世代を超えてどんな方にも一度試してみてほしい汎用性の高い香りだ。ただ、名前からふくよかな甘さとしっとりしたコクのあるネロリの香りをイメージすると、たぶん肩透かしを食う。ネロリと名を冠してはいるけれど、グラン・ネロリはネロリ本来の香りとかなり異なる。では、いったいどんな香りなのか?

グラン・ネロリをスプレーする。スプレーした瞬間に広がるのは、目が覚めるような柑橘ミックスの香りだ。ここ数年味わってきたさまざまなシトラス系フレグランスのトップの中でも、個人的に一番好きなブレンドだと言っていい。

それは、レモンの果汁とベルガモットの果皮のオイルがはじけるシトラスシャワー。そこにプチグレンの青くシャープな苦みがわずかに効いて、奥にネロリのフルーティー&ビターな花の香りがふわりと広がる。このトップは本当に心地よい。まさに珠玉。

そんなシトラス&グリーン&ビターオレンジの花のトップが約30分ほど続く。これがオレンジ・サングインのようにずっと続くのかと思いきや、次第にシトラスとグリーンはやや苦みを伴ったムスクのような香りに変わってくる。通常ここからがミドルかと思うが、アトリエ・コロンの作品はわりに変化が少なめなので、前半が終わって後半の香りに変わったという雰囲気。

モス系のような苦み、そしてソーピーにもパウダリーにもふれない明るく甲高いムスクの香りがこの後半の中心となる。前半の香りがレモン&グリーンといった感じで、後半はややランドリー系のクリーンな香りになったといった印象。色で言えば、オフホワイト。この香りが大体3時間〜4時間ほど淡く続く。比較的長時間シトラスが香るアトリエ・コロンにしては、前半のシトラスやネロリは早く収束するように思う。できれば前半の香りがずっと続いたらいいのに、と思うけれど、後半のムスキーな香りも、あまり合成っぽさを感じさせず、ツンとしたり、妙にロースト香になったりしていないのは好感がもてる。

ただ、いかんせん、後半のムスク&アンバー系の香りはメンズ寄りな感じがするので、女性はこのへんがセレクトするかどうかの分かれ目になるかも知れない。前半の香りにしても、好きな香りにはもちろん個人差があるから、是非試香して自分の肌でどのように香り立って後半まで変化するか確かめてみてほしいと思う。シーズンとしては春から秋までがおすすめ。香り立ちもさっぱりしているので、さまざまなシーンで使いやすいと思う。気に入れば、バーサタイルな1本として重宝するだろう。

日本の夏はただでさえ高温な上に多湿だから、夏のデイタイムに肌にのせるフレグランスは、本当に自分が付けて心地よい物、汗などに干渉されてもなお好みの香り立ちとなる物を選ぶ必要があってシビアだろう。もしデオドラントスプレーがこのグラン・ネロリの前半の香りならどんなにいいだろうと、そんなことも考えてしまう。それほどグラン・ネロリは、自分にとって夏の一番厳しい日中であっても心地よく使え、邪魔にならない希少なフレグランスの一つだ。

夏にイタリアを訪れるなら、長くつの半島の西に広がるアマルフィ海岸までの複雑な海岸線を旅してみたい。30kmに及ぶ海岸線には、海に突き出した緑の断崖が絶景を繰り広げ、斜面に張り付くように小さな美しい町が点在しているという。白亜の建物と降り注ぐ太陽。木々のむせかえる香り。地中海の風に揺れるレモンの果実。オレンジの木陰、シーフードパスタの香り。見渡せば、どこまでも青いティレニア海。

まるで映画「グラン・ブルー」の情景。心躍らせるイタリアの太陽の匂い、グラン・ネロリ。

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ゲラン / ランスタン・ド・ゲラン オーデトワレ

ゲラン

ランスタン・ド・ゲラン オーデトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:2005/4/15 (17年11月頃追加発売)

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6購入品

2019/3/9 00:13:06

ランスタン・ド・ゲランEDTはかなり反則な香りだ。こんな香りをつけて女性に街を歩かれた日には、すれ違った男の心はざわつくだろう。もしかしたらすれ違いざまに振り返るかもしれない。あるいは怒り出すかも。前者はもちろん香りにときめいてしまうからだし、後者は「惚れてしまうからやめてくれ」と、歪んだ嫉妬心に駆られる可能性さえあるからだ。

そんな。まさか。そこまでの香りじゃないでしょう?そう思われるかも知れない。だが実際、ランスタンドゲランEDTをいい香りだと認識する男性は自分の身の周りでも多い。そしてそれ以上に女性ファンが世界中にいることでも有名な香りだ。ではなぜこれほどまでにランスタンは人気があるのか?パルファム、オードパルファム(EDP)、そしてオードトワレ(EDT)とそれぞれ香りが異なるランスタン。今回はその中でもフルーティーさに定評があるEDT、その人気の秘密に勝手にせまる。

最近はビーボトルに変わったが、ランスタンは厚底ガラスの旧ボトルの方が圧倒的にいい。淡いピンクオレンジのジュースカラーは夕暮れ空の柔らかな色合いで美しい。ほっとひと息つくような安息の空の色。そんなランスタンドゲランEDTをスプレーすると。

トップ。EDTはリンゴ系のみずみずしい香りが柔らかく広がってくる。このトップがとても印象的。酸味がなく、かぐわしいフルーティー。背後でマグノリアのこっくりした白い厚ぼったい花弁の香りがしている。リンゴ果汁を滴らせたような甘いフローラルがゆったりと花開く。

5分後、サンバックジャスミンのふんわりとしたコク、イランイランのわずかに暗い陰影、そしてエキゾティックなマグノリアの香りが明確になる。EDPの少し苦みを帯びたフローラルに比べて、EDTのミドルはクリアーでクリーミー、スッキリしていて透明感がある。ミドルのホワイトフローラルになっても、トップで感じたアップルの柔らかなフルーティーは続いており、とろけそうなハニー系の甘い香りも呈している。どこまでも心をほぐしていくようなミドルだ。

世にフルーティーフローラルは数あれど、これほどソフトなフルーティーで、しっとりとした雰囲気を漂わせるフローラルはなかなかない。ベースのクリーミーなヴァニラ、キラキラと光が明滅するような特別なアンバーの香りが輝きすら添えている。エステル系のリンゴの匂いがなり持続することで、EDPよりもジューシーかつ透明感あるマグノリア香を表現している。

ラストは少し甘い蜜の香りと甲高いアンバー、そしてクリーミーなヴァニラでフェイドアウト。このラストは女性が好みそうなグルマン系だ。全体にキリッとしたところが何もなく、とかくマイルド。時間は6〜8時間ほど柔らかく続く。

たぶん男性の多くはこういう香りに弱い。香水っぽさが少なく、薔薇のシャープさもジャスミンの濃厚さもない。けれど柔軟剤よりもはるかにふくよかで優しいからだ。男性が女性に求めるような甘さと柔らかさとクリーミーさと透明感が絶妙なバランスで出ているように思う。

ただ、あえて言うならランスタンはいい子過ぎる。そつがなく、きれいにまとまりすぎている。360度どの方向からシャッターを切られても影一つできないまばゆいスタジオで微笑むモデルさんみたいだ。可憐で可愛らしくいつも笑顔。そのせいか、心が闇だらけの懐疑的な自分からは、かなりあざとくも感じられる香りだ。

ランスタンは、ゲラン社が90年代に経営危機に陥り、メゾン存続の危機を迎えた際、紆余曲折を経て遂に外部から調香師を招いて作らせた香りだ。当時、エルメスのヴァンキャトルフォーブールで名声を博したモーリス・ルーセルに白羽の矢が立った。モーリスはゲランの秘伝ともいうべき「ゲルリナーデ」の技術に敬意を払いながらも、それまでメゾンが得意としていた「オーバードーズ&ショートフォーミュラ」を見直し、「輝くような一瞬の光」をイメージしてこの香りを創作したという。

この香りにふれる度、モーリスは調香するにあたって「引き算」の考えを大事にしたのではないかと感じる。それはゲランが大事にしてきたオーバードーズ(過剰投与)と反対の仕事だ。彼はゲラン秘伝のゲルリナーデの6香料、ベルガモット、アイリス、ローズ、ジャスミン、ヴァニラ、トンカビーンのうち、本作ではジャスミンとヴァニラしか使用していない。しかも量もわずかだ。こうしてあえてゲランらしさを破壊しつつ、新しい香料を加えてゲランらしい香りをリボーンさせたかのように思えて興味深い。

女性のまとう香りが男性の心に刷りこまれるのは、ほんの1秒あれば足りる。ランスタンドゲランEDTはその瞬間に賭けた香りだ。

すれちがいざま。ふわり秒殺。

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ディオール / ジャドール オードゥ パルファン

ディオールディオールからのお知らせがあります

ジャドール オードゥ パルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・11,550円 / 50ml・16,720円 / 100ml・23,100円発売日:1999/9/15 (2018/11/2追加発売)

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6購入品

2020/9/5 16:07:45

名香、ジャドール。2011年、フランスの香水年間売り上げ高で初めてシャネルのN°5を抜いて1位になった歴史的な香水。1999年の発売以来売れ続け、今やディオールパルファムの看板商品となっているジャドール、一体なぜそんなにジャドールは売れているのか?

ジャドールを調香したジボダン社の女性調香師カリス・ベッカーは、この作品の成功について次のように語っている。

「ジャドールはパーフェクトストーム。それは、香り、価格、ボトルデザイン、広告の全てが最高の一点に集結した作品。この香水は、香水に興味を持たなかった人にも『つけてみたい』と思わせ、手に取って『試させ』、そして『嫌われなかった』。」

改めてジャドールのボトルを見る。「金色を香りにしたい」というカリスの思いを形にしたかのようなマサイネックレスのゴールド。好き好きはあるだろうが、このボトルネックの金装飾は、アンフォラ型のなめらかな形状と相まってとても映える。さらにその上にのった透明な玉のキャップ。これが壺からあふれる美しい水滴のように見えて思わずさわりたくなる愛らしさだ。このデザインは世界的なデザイナー、エルヴェ・ヴァン・デール・ストラッテンの作品。

さらに広告では、ヴォーグ誌のモデルとして絶大な人気を博していたカルマン・キャスを初代ミューズに迎え、その後はシャーリーズ・セロンを起用するなど、莫大な広告費をかけてグローバルマーケティングを仕掛けている。

唯一無二の美しいボトル、そして世界最高のモデルを起用した広告。1985年にプワゾンで世界的ヒットを飛ばしつつも、絶対に崩せなかったシャネルN°5の牙城を崩すための本気が、このプロジェクトにはあった。では、ジャドールの本質である香りは一体どうなのか?

ちなみに、現行ジャドールは2010年にフランソワ・ドゥマシーが再調香した作品だ。巷には以前のジャドールより深みがなくなったとお嘆きのマニアも多いと聞く。だが、リファインには、アレルギー規制などそれなりの理由があるはず。ドゥマシーは偉大なる編曲家だ。彼なりにジャドールの大事な骨格をくみ取って調整したものと思う。それはどんな香りに仕上がったのか?

ジャドールをスプレーする。まず広がるのは、透明感のあるみずみずしいフルーティーな香りだ。洋ナシとピーチをミックスしたようなあふれんばかりのジューシーなイントロ。とてもウォータリーだが、いわゆる瓜系の塩っぽい感じではない。酸味がなく、洋ナシ果汁の自然な甘さとコクが感じられるとてもシアーなトップ。

1分もせずに、さまざまなフローラルが豊かに広がってくる。イランイラン、ジャスミン、チュベローズ、マグノリアあたりの濃厚な白いフローラルが強めに出る。その下からわずかにローズのシャープさが見え隠れするミドル。強いのはジャスミンだ。

公式によると、ジャドールに使われているのはサンバックジャスミンと、ディオールが契約農家に委託しているグラースジャスミンの2種類。サンバックジャスミンはふわりとした軽やかな香りが特徴だが、この濃厚なホワイトフローラルからグラースジャスミンを嗅ぎ分けることは難しい。よくグラースジャスミンは樟脳っぽい匂いのインドールが多量に含まれているというけれど、確かにそうしたスパイシーな樟脳っぽさは感じられる。

ただ、2つのジャスミンの他にも、イランイランの官能的な低音、ローズの清涼感、ネロリの温かみも感じられてとても複雑な香気ではある。それらフローラルが渾然一体となって、シアーなのにクリーミー、エレガントなのに妖艶、といった相反する要素を一点で調和させている。これはすごいと思う。世界にホワイトフローラルはたくさんあれど、ひと嗅ぎでジャドールとわかる香りだ。

そしてこのミドルが驚くほど持続する。1プッシュで10時間以上。以前、手首につけたジャドールの香りを消そうとして石鹸で洗ったが、その後もジャスミン&ムスキーな香りがずっと残っていた。とても残香性が強い作品だ。

ラストは、フローラルムスクとなってソーピーに傾いて消失してゆく。複雑なジャスミン香が消えて、平板なジャスミン香になっていくので、ベンジルアセテートな感じだ。そしてホワイトムスクの温かみある香りと共にドライダウン。

価格は30mlで9350円と良心的。これは大事だ。ジャドールは、モダンでグラマラスな女性らしさと同時に、シック&エレガンスをも備えた大人の女性の香り。ノーブルで慎ましく、ときに官能的に人の心を惹きつけてやまない。そんな不可能を可能にしたゴールデンバランスの香り。

「ジャドール!(大好き)」。それは、ムッシュ・ディオールの口癖だった言葉だという。

まさにディオールが打ち立てた金字塔、ジャドール。

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アールフレグランス / ティーブレイク

アールフレグランス

ティーブレイク

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:2017/3/1

6購入品

2020/7/25 08:30:17

「あー、紅茶の香りがする!」アールフレグランスのティーブレイク、この香水をつけた瞬間、そんな感想をもらす方が後を絶たない。

お茶の香りをモチーフにした香水は実はとても多い。緑茶、白茶、マテ茶、烏龍茶エトセトラ。そして紅茶をキーノートにしたフレグランスもたくさんある。だが、ティーブレイクの香りはその中でも群を抜いて「紅茶」だと思う。なぜならティーブレイクは、日本人に昔からなじみ深いあの黄色と赤のパッケージのティーバッグ紅茶の香りがするからだ。

テレビがまだブラウン管でお茶の間の主役だった昭和の頃、どこの家庭にもあった黄色と赤の直方体のパッケージ。中には黄色い袋の紅茶のティーバッグが行儀よく並んでいた。カップにティーバッグを入れて、熱いお湯を注いだ時にふんわり立ち上るコクのある香りと美しい紅色は、大人のみならず子どもたちの心もとりこにした。砂糖をたっぷりと入れて、ときどきレモンスライスを浮かべて楽しんだ家庭的な紅茶の味。ティーブレイクは家族の憩いの原風景のような、懐かしくて切ない香りがする。

アールフレグランスは、2017年に村井千尋さんが立ち上げた日本の香水ブランド。長年企業で調香に携わっていた方による日本香水のブランディングということで、伊勢丹サロンドパルファンで紹介された時も大きな話題となった。

縦長スクゥエアなボトルは全作品共通。全体に黒と金を基調にしたデザインはストイックかつオリエンタルな感じで深みがある。特に作品ごとに表現された幾何学模様は、その作品を最も象徴した図柄になっていて、想像をかき立てられる。ティーブレイクの模様は、縦に配置された波模様だ。いったいこれは何を表現したのだろう?

ティーブレイクをスプレーする。その瞬間、パッと広がるのはまごうことなきレモンティーの香りだ。それもお砂糖たっぷりの甘いやつ。子どもの頃、好んで飲んだ粉末状のレモンティー缶を思い出す人もいるはず。「わ、あっまーい!」と言いながら笑顔ですすったあの懐かしいジャパンレモンティーの風味そのもの。

ティーブレイクはやがてトップの酸味あるベルガモットが消失して、ひたすら甘い紅茶の香りが1〜2時間ほど漂い、わりとあっさり消えてゆく展開。だからこそ、トップ〜ミドルの「どこまでも淹れたてのレモンティーの香り」にこだわったような作りが、かえって潔く感じられる。よく「お茶の香り」と称しながら後半はムスクやサンダルウッドが出て「ごめん。香水だから変化するよー」とばかりに全くお茶らしからぬ香りに収束する作品はある。いや、むしろそちらの方が多いくらい。だからこそ、最初から最後まで自分たちが知っているレモンティーの香りで終わるティーブレイクは「ザ・紅茶の香り」に思えてならない。

それでもよくよく嗅ぐと、このレモンティーアコードはとても丁寧に作りこまれていることに気付く。ブランドの表記によるとダージリンやアールグレイと書いているが、まずこれらのティーノートの作り方が上手い。コクがあるのにスッキリしていて、余計なスモーキーがない。さらにほんのひとさじのフローラルを加えて、紅茶のもつ深みある香りに華やかさと清涼感を出す「かくし味」も利かせている。村井さんの前職は分からないけれど、もしかしたら食品関係の香り付けの調香をされていたのでは?と思うほどバランスのいいなめらかな調香だ。それとも単に腕のよさか?これは香水ではない。肌につけるレモンティーだ。

ティーブレイクの香りに包まれている時間は、ずっと紅茶の香りに癒され続ける至福のときだ。紅茶文化は英国経由で日本に紹介され、アフタヌーンティーの様式は明治の社交界を支えたという。やがて昭和の頃に茶葉の輸入が自由化され、一般の人々が気軽に楽しめる飲み物としてブレイクした。当時まだ高かった白砂糖をたっぷり入れた紅茶の味は、家庭の安らぎの香りとして広くあまねく浸透していった。

カップに入れたティーバッグ。そこに熱いお湯を入れる。コポコポと音を立てるお湯の流れ方は、ティーブレイクのボトルに描かれた波型模様そのものだ。そして立ちのぼるコクのある紅茶の香り。その湯気もまた波型のシンボリック。このゆらゆら描かれた模様にはダブルミーニングが感じられる。

一日の疲れも、一杯のおいしいお茶があれば、それだけですーっと抜けていくことがある。お茶は有史以前から不老長寿の霊薬として珍重されてきた飲み物。今日も一日がんばったな。そんなひと仕事のあとに、自分だけの大切な時間をおいしいお茶とともに過ごしたい。

ふー。爽やかなレモンの香り。芳醇でどこまでも晴れやかなコクのある風味。そして疲れをいやす甘さ。はー。思わず息がもれる。

さあ、おいしい紅茶を飲もう。心がほっとするティーブレイクで。

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doggyhonzawaさん
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プロフィール
  • 年齢・・・58歳
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  • 血液型・・・O型
趣味
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自己紹介

いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水好きな方がた… 続きをみる

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