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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:10ml・2,200円 / 50ml・8,360円 / 100ml・14,960円発売日:2018/9/12
2020/12/12 17:09:07
不思議と、一瞬、冬の森が見えたような気がしました。
逆説的に、とでもいうべきか、それともあれは、透明なガラスに隔てられた窓の外の風景だったのか。
オレンジのヴェール、乾いた草木、樹脂、奥の方で静かに立ち上るお香の煙。それほど複雑さはないけれど、美しい構成だと感じました。
というか、全体としては、思ってたよりクリーミーさが主体の印象です。
それなりに甘く、それなりにグルマン的。しかしながら、食べられそうで食べられないクリーミーさというか、誘惑するようでそっと押し返すような、どこか小悪魔的な感じも。
香りと香りの交差する面のうえには、わずかに鉛筆のような、あるいはターメリックのようなビターも感じられて、個人的にその辺りをよく嗅ぎ分けようとするとすこし頭が痛くなってしまうのではありましたが、ともあれたいへん好みの香りなのは間違いないです。
ダイナミックレンジは決して広くない。けれどごく自然な起伏をもっていて、平坦なだけの甘さに終わらないのがいい。要は、プリンにきちんと苦めのカラメルが添えられているかいないか、みたいなことですけれど。
リマーカブルパルファムはこれまでに三種類試しましたが、個人的にいちばん手が伸びやすそうです。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:10ml・2,200円 / 50ml・8,360円 / 100ml・14,960円発売日:2018/9/12
2020/6/21 01:55:23
ローズは苦手なものも多いのですが、これは透明感のあるきれいに香るローズです。ブラックペッパーとの取り合わせも、はみ出しすぎず、上品さを保っていていい感じ。強さの感じ方は人それぞれだと思いますが、個人的には拡散性ふくめちょうどいいバランスで、わりと気軽に使いやすいように感じました。夏はちょっと分かりませんが、梅雨の季節くらいなら問題なく使えますね。雨降りの今日、これを纏ってすこし出かけてみましたが、雨の中でしずかに香る感じもまた素敵でした。寒い季節に使うのも楽しみです。
しばらく使ってみての追記:
トップからミドルにかけては、いくらかの生花感(茎の緑感)をともなった明白にフローラルな香調で、そこへブラックペッパーが、昔のテレビのホワイトノイズみたく、落ち着くようなざわつくような、いわば<なめらかノイジー>な具合に香って、赤みがかった半透明を内側から複雑に揺らめかせるような印象なのですが、香りの土台としてしっかりウッディな下支えがベースにあるので、全体としてはそれほど女性的な印象に偏りすぎない感じがしますね。ラストは少しのクリーミーさとともに、雨に滲んだみたいな曖昧でミステリアスなニュアンスを漂わせます。ある意味ではより男性の方が、これを纏ったとき、どこか惑わせるような、一筋縄ではいかない類の魅力を感じさせて面白いかもしれません。
かつて一大トレンドになったローズ+ウード系の香りが好きな方なんかには、とりわけ馴染みやすい一品と言えるのではないでしょうか。個人的には、手元に残っている某ローズ+ウード系香水よりもいくぶん慎ましやかで上品であるように感じるので、やはり比較的取っつきやすいなぁ、と。(ただし、好き嫌いはもちろんはっきりあると思います。しっかりめのローズが苦手な方は言うまでもありませんが、このスパイス&ウッディ感は、シンプルでライトでクリーンなフルーティ・フローラル、みたいな系統をお求めの方にとっては、おそらくだいぶ攻撃的な作りだと思いますので。)
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2016/3/20 14:28:31
系統としてはアリュールオムに非常に近しいものがあると思います。
というより、トップの印象だけで言うとかなり似てますね。
アリュールオムと違うのは、
1.少しばかり、スパイシーさが強い(両者に共通するアニス感にシナモンがプラスされた感じ?)
2.ドライフルーツのしっとりと凝縮された甘み+タバコ
3.バニラやムスク系のまろやかさ、あるいはクリーミーさがない分、香り立ちがドライでシャープ。
といったところでしょうか。
ペリーエリスの「m」辺りとも似た系統かな。
ラストはインセンスやサンダルウッドが静かに漂って、漢(おとこ)の黄昏、といった趣き。
EDTですが、特筆すべきレベルにロングラスティングです。(ワンプッシュしてその箇所を洗い流さずにおいたとしたら、丸24時間くらいは香っていそうです。)
香りの輪郭でいえばざっくりフゼア的なんですが(※実際の分類上どうなのかは無知にして存じません)、仕事をする人の香りという感じは個人的にはしないかな。
なんかオンとかオフとかそういうことではなく、ただ、是非も無く、漢(をとこ)、みたいな。(しつこい)
ともあれ、アリュールオムとか好きな方はたぶんこれも好きなんじゃないかと。
現行のマイケルコースフォーメン(名前が似てて紛らわしい)に取って代わられた結果、オークションに安く放出されたりしてることもあるので、見つけたら試してみる価値はあるかもしれません。
*
晩秋の頃だったでしょうか、いつか、がらがらの終電のなかで、この香りを漂わせた小父様と乗り合わせたことがありました。
無意味な会話を持ち寄ることもなく、誰からも少し離れた場所で、黙って暗い車窓を見つめる彼。
ジョウビタキみたいだな、なんてふと思う。
仲間と群れることもなくただ一羽で冬を越える、美しいオスのジョウビタキ。
やがて目的の駅で静かに席を立った彼のあとには、彼の喫う煙草の香りと混ざり合ったマイケルフォーメンの残り香がわずかに漂っていて、何故だかそれはどうしようもなく、一日の終わりに(さもなくば、あるひとつの季節の終わりに)、似つかわしい香りのように思えたのでした。
アリュールオムがふとした瞬間にやさしげな微笑みで人を惹きつける、そんな引力をもった香りだとしたら、マイケルフォーメンはどこか斥力を感じさせる香り。
ひとりで立つ、ということについて、なんとなく考えさせられる香り。
やはり、特に冬に似つかわしいですね。
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2023/1/12 18:10:15
いい塩梅に南国感でてます。
いつどこでまとっても、1メートル四方に小さな常夏の楽園を作りだしてくれる、そんな感じの香り。
仮にこの「常夏」の部分を「春」に置き換えたなら、それは私にとってラルチザンのカリーニャってことになるわけですが……ともあれ、そういう類の香りは貴重です。
無理なく通年使えて、ブレない、裏切らない。無遠慮な季節の風からかばってくれる、ささやかな箱庭、あるいはシェルター的な?
中心となる花部分の香りは、率直に言って「自分の香り」という感じはまったくしませんでした。
あくまで個人的な感覚ですが、なじみやすくも親しみやすくもなく、どちらかというと突き放したみたいな強さや輪郭の濃さがある。
でもその違和が、斥力が、逆に「楽園」を作りだしているようにも思います。
「日常」とか「自分」とかってものから、秒ではじき出してくれるって意味で。
(「楽園」なんてもの、番地がどこであれ、「ここ」からきわめて遠い場所であることだけは確かな気がしますしね。)
わずかに青ささえ伴った鮮やかなフランジパニのアブソリュートは、紛れもなくこの香りの前半の主役。そして、上澄みみたいに純粋で甘いイランイランエクストラ。イランイランは「花の中の花」という意味だそうですが、蒸留によって得られる最初のエキスたるエクストラはいわば、「花の中の花、の中の花」ってところでしょうか。もうほとんど花のイデアですね笑
ふたつの花の香りはどちらもサリチル酸を含んでいて、それは多くの日焼け止めとも共通している。これらがマリンソルトアコードとあいまって、目映い日差しに照らされた空想上のビーチを想い起こさせるのでしょう。
そして、光と色の奔流を抜けて辿りついた楽園の夜は、美しくなめらかなバニラのラスト。それはもう、ただただ穏やかで幸せな……。
(ここまではっきりバニラが単離されて感じられるバランスというのは、個人的にすごくうれしかったりします。)
相反するものだとか異なるもの同士は、なんというか、結局のところなめらかにつながっていて。浜辺と野原、花と肌、旅と日常、遠くと近く……。
とりとめのないレビューになりましたが、きっとこの香りはジャン=クロード・エレナが思い描いたとある空想の香水と少なからぬつながりを持っているのだと、どこかで読んだどなたかのお説に私も深く同意するものです。
10mlサイズが有難くてクヴォンの香りはいくつも試していますが、今のところこれがいちばん好きです。
(何につけても万人に薦められるものなんてない、ってことで、原則☆7はつけないことにしてるのですが、これは自分の中でだけなら、7でもいいかな……。)
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2016/2/19 20:40:13
EDP使用。
ブルガリブラックに似ているという噂をちらほら聞くのですが、そう言われる理由はわりあい明確かな、と。
トップからがっつり香るレザーとついでにマテ茶あたりがギチギチ絡まりあう安定のゴムスタート。←コレです。
といって、あとから来る甘さまで似てると言っちゃうのはちょっと乱暴かなという気も個人的にはしないではないのですが、もしそこまでざっくり似てると言い切ることができちゃうのだとしたら、確かに両者は似てるのでせう。
ワンプッシュした瞬間はちょうどこの美しいボトル色を思わせるような深い色の半透明感が一瞬香りますが、すぐに柑橘もローズマリーも分からなくなって一塊のゴム(with spicy mate)と化しますw
このパートに関しては近づいてよく嗅ごうとすればするほど攻撃的に香ります。
(ここが嫌いならロールオンタイプのアトマイザーでも使えば、量の調節がしやすいのとトップの飛びが早くなるのとで、幾分ゴム感も緩和されるのではないかと思います。)
ミドルにほんのり絡むのは、ちょうどリキュールにおけるそれっぽい人工的な雰囲気のお茶でしょうか、疲れを見せはじめた夜更けのゴムの横顔がいくぶんアンニュイですw
ありやなしやのこのパートを過ぎると、レザーの余韻を残したままスムースなラストへ。
この辺をグルマンっぽく語る向きも結構あるようなんですが、個人的にはあんまり美味しそうには感じないかなぁ。
だってレザーまだ居るし、そこの物陰に。 → |ω・`)
ゆらゆらとインセンスのまつわりつくアンバーにトンカビーン、アーモンド、ベンゾインがやさしく寄り添う夜更け過ぎは確かに甘美。
めくるめく夜歩きに疲れたふたりが、レザーのジャケットをぞんざいにソファへ放り、くすくす笑いでベッドに滑り込む、そんなひとときを思わせます。
どうなんでしょう、こういう香りを扱いやすいと語るのは、あるいは世間的に非常識であったりするのかもしれませんが、無知にしてそのあたりのことはよく分からず。
ただ、個人的にはふつうに親しみやすい香りだなと感じます。
(単に、ゴムのアンチキショウを除けば男臭いとかおじさんぽいとかって要素が感じられないからってだけかも?)
ちなみに海外サイトをちらほら見る限りでは、あちゃらさんに総じて評判のいい香水のようです。
気候のせいか、嗜好のせいか、まあ両方でしょうけれど。
秋から春までプライベートで重宝しそうですが、とりわけ、冬の夜に似合いそうですね。
もちろん、そこが芸術の都ではないにせよ。
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