TOP > doggyhonzawaさんのクチコミ投稿一覧(投稿日時順) > トム フォード ビューティ / F ファビュラス オード パルファム スプレィへのクチコミ

doggyhonzawaさん500人以上のメンバーにフォローされていますトム フォード ビューティ / F ファビュラス オード パルファム スプレィへのクチコミ

表示
一覧
個別

クチコミ289件中6件目表示

前へ

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 53歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿289
トム フォード ビューティ / F ファビュラス オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

F ファビュラス オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

本体価格:50ml・35,000円発売日:2018/5/25

5購入品

2020/1/11 12:58:50

顔の見えにくい時代だ。そう思う。匿名で好きなように語り合うネット上の文字人格。自分の顔をいつでも美しく盛ってくれる写真アプリ。素顔の自分は出さず、何層もの分厚いフィルターをかけてこれ見よがしに見せ合う人々。

AIによる街のロボット化は加速し、街から顔がどんどん消えている。切符を切る駅員の不機嫌な顔も、駐車場のやる気のない管理人の顔も、もうずっと前に消えた。ホテルの精算も店の支払いも、ただ機械の前に立つだけでいい。そこにあるのは認証モニターに映る自分の顔だけだ。

そして生まれつきの顔ですら簡単に整形し、同じ顔の美人が街にあふれだす。だからこそどこまでも人の素顔を暴こうと躍起になる人たち。疑心暗鬼が蔓延し、人々の行動を全て監視カメラとIDで管理する社会システム。それは5Gでさらに加速する。

そんな顔の見えにくい時代に生きている。

トム・フォードが2017年に限定リリースした香水がある。この香水ボトルにも顔がない。なぜならこの香水の名前の一部が、日本入荷の際に赤線で消されたからだ。この香水の正式名称はファッキン・ファビュラス。Fから始まるアレだ。ドキリとするネーミングだが、アメリカではveryの代わりにf**kingという言葉は普通に使われる。日本でも「クッ○可愛い」などと女性が話す時代だ。その程度のラフな言葉。だが、その言葉が消された形でリリースされたことで、日本ではかえって話題になった。

マットな黒ボトルは完全遮光で中のジュースが見えない。これまでのゴールドステッカーやメタルプレートも廃した徹底ぶり。そこにきての扇情的かつ挑発的なネーミング。赤線で消された文字のいわくとは?「トム・フォード、一体どうしたの??」そんな噂が飛び交い、この香水を試したい、入手したいというマニアが騒然となったことでも有名だ。ではそんなファッキンファビュラス、いったいどんな香りなのか?

黒のスプレーノズルから噴射する。一瞬のグリーンアロマ、すぐに広がるマイルドなラベンダーの嵐。ラベンダーはこれまでメンズのフゼア系香水に多用されてきた香料で、暗さとツンとくる清涼感が持ち味だ。いわゆる精油のラベンダーのイメージ。ただ、ファビュラスのトップのラベンダーは、セージの乾いたハーバルと、とてもかぐわしいクリーミーな香料によってエッジを落とされ、カシミアのようになめらかになっている。このクリーミーな香りが最も強く主張してくる。まろやかで高級なスエードレザーの雰囲気。おそらくレザー系香料とカシミアムスクのブレンドによるアコードだろう。とても品がよく、色で言うならトム・フォードが好むベージュより淡いヌーディーカラーの色彩。

草原にそよぐグリーンな風、ラベンダー紫のシャープなアロマ、牧場にはクリームで手入れしたばかりの革の匂いがそこはかとなく漂っている。そんな風情のブレンド。

むろんトム・フォードがそんな田舎の牧場風景を思い描いたわけではない。それらの香料が全体で1つの香りとなって柔らかく穏やかにしっとりと広がってくる。全体の香調はレザー系だなと感じるけれど、その強さもスモーキーさも微塵も見せない。この透明感あるふんわりした甘みすら感じるレザーは、鳥の羽のごとく軽やかで人を魅了する。現に自分の周りの自称香水嫌いな方々でさえ「この香りなに?すごく高級な感じがする」とシャージュを追いかけたほどだ。

ただ、トムフォードのプライベートブレンドは概して価格が高すぎるが、この作品は特に高い。50mlで税込み4万円ほどなり、価格が超ファッキンだ。(←これが一番言いたい)付けてから7〜8時間ほどは香り続けるが、その間、ほぼ香りが変化しないので、比較的飽きやすいという点も否めない。このあたりをどう判断するかだろう。

ファッキンファビュラスは、まろやかなレザーの香りにほんのりトンカビーンの甘さを添えて、ずっと同じ顔でたたずんでいる香水だ。刺激的なネーミングとは裏腹に、しっとりとしてなめらかで、心まで柔らかくなりそうな香りだ。この香りはありそうでなかなかない。近いテイストでシャネルのジャージーの骨格がうかがえるが、ジャージー以上に軽く、それでいて香りはしっかりと爪痕を残し続ける。間違いなく、この香りにはひと嗅ぎでそれと分かるしっかりした「顔」がある。

顔の見えにくい時代に刺激的なネーミング。さらに日本では顔の一部を消した秘密めいたボトルでリリース。トム・フォードはやはり稀代の天才デザイナーだと思う。時代の空気感を彼自身の美学でもって作品に落とし込むセンスは、まさに映画「プラダを着た悪魔」で唯一ミランダを微笑ませた超一流なのだろう。

顔の見えない時代。顔が消されたボトル。顔のある香り。

なんてファッキンファビュラス!

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済

doggyhonzawa さんのMyブログへ

プロフィール
  • 年齢・・・54歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・普通
  • 星座・・・山羊座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 音楽鑑賞
  • 映画鑑賞
  • 読書
  • Twitter
  • ブログ

もっとみる

自己紹介

いつもご覧いただき、ありがとうございます。週一ペースで香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水… 続きをみる

  • メンバーメールを送る

フォローメンバーの最新情報

フォローメンバー 一覧へ