doggyhonzawaさんのミルコ ブッフィーニ フィレンツェ(MIRKO BUFFINI FIRENZE) / KI キ オードパルファムへのクチコミ |
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ミルコ ブッフィーニ フィレンツェ(MIRKO BUFFINI FIRENZE)
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)・香水・フレグランス(その他)]
税込価格:-発売日:-
2019/3/1 23:17:55
万物を構成する源、または生命力や聖なるものとしてとらえられている根源的エネルギー、それが「氣」という概念だ。
そんな「氣」を表現して創られた香水がある。2013年にイタリアで生まれたミルコ・ブッフィーニ・フィレンツェからリリースされている「KI・オードパルファム」だ。
ちなみに「氣」は現在使用されている「気」の旧字体。しかしながら合気道や気功、その他さまざまな分野では、現在もあえて「氣」の方を使用しているという。一体それはなぜなのか?そんな漢字にまでこだわって表現した「KI(氣)」、いったいどんな香りなのか?
KIをスプレーすると、まず広がってくるのは白くクリーミーなココナッツの香りだ。すぐさまそこにフルーティーな香りが重なる。オレンジのような苦みと甘いナッツ系のコクが表出してくる。スプレーした箇所がテカテカ光るので、オイル基材で持続させるタイプだろうか。よくバイレードにある感じだ。このナッツ系に思えたコクはどうやらゴマの香りのようだ。フルーティーさはアルデヒドの一種、オクタナールのよう。ちょっとこれまで感じたことのない白いナッティーなイントロ。
3分もするとアルデハイドは消失し、不思議な透明感に包まれてくる。ほんのり甘い白いフローラル、わずかなスパイス、そして空中に吸い込まれていくようなエアリーなココナッツ香。通常ココナッツの香料というと、真夏の太陽の下でムンと押し出してくる日焼けローションのような香りを思い浮かべやすいが、何か清涼感ある香料がそれをクールに引き戻しているイメージ。あえて言うならアルコールで漂白された大気の香り。クレジットを見ると、ローズやマグノリア、クローブ、シナモン等がミドルの香料になっているものの、どれも明確ではない。ただ、やや苦味の効いた半透明なココナッツとヴァニラの片鱗がうかがえるようなミドル。このミドルが6〜7時間、柔らかく香り続ける。そしてそのままドライダウン。
全体的に見ると、ココナッツとヴァニラのクリーミーさは常にあるものの、それがスパイスや清涼感ある香料で中和されて、限りなくうすいミルキーエアーの様相を呈している不思議な香り。ヴァニラやアンバーベースのため、一応オリエンタルフローラル系になるようだが、「白」を感じさせる香料を用い、それらをシャープに見せることで霧のような薄い白のイメージを創ろうとしているかのよう。そのへんが、絶えず集中したり離散したりしつつ世界を構成しているという「氣」の概念を表したようにも思える香り。
では、なぜあえてこの香りは「気」ではなく「氣」と表現したのか?そしてなぜ旧字体の「氣」を今も使い続ける方が多いのか?そこには、言葉に魂が宿る言霊同様、漢字にも魂が宿るという考えからくる歴史上の秘密があった。
実は「氣」という漢字は、戦後GHQの統制によって「気」という表記に改めることを強制された漢字の一つだった。戦争中どんなことがあっても敵国に屈しなかった日本、それはまさに氣骨ある国だった。「氣」は「きがまえ」の中に「米」と書く。「米」は八方に広がってゆく末広がりを意味する吉字だ。アメリカはなぜかこの字を警戒したという。それは国のために自らの命を省みず特攻する「氣」の強さを恐れたせいもあったろうし、当時日本から米国と呼ばれた自分たちが「きがまえ」の中に小さく「米」として押さえつけられていると感じたせいもあるかもしれない。いずれにしろこの「米」の部分を「×」としたのだ。だから新しい「気」は「きがまえ」の中が〆(シメ)になっており、閉じるという意味を表す。GHQはたとえ漢字一字であってもそこまで考えていた。つまり日本人の氣は閉ざされたのだ。そしてそれ以来、日本人の精神性である「KI」は、八方に広がる無限の「氣」ではなく、自己を閉鎖する「気」に変化していったというのである。
イタリア発の「氣」という香水の香りを感じながらしみじみ思う。なんだかもう「気」は使いたくないなと。行きがかり上これからも使用するだろうけれど、できればエネルギーを外側に向けて放射する「氣」のイメージを常に心に描いて過ごしたいものだと。
そう言えば、浅田真央さんが勝負お守りとして大事に持っていた真っ白いお守りにも金糸で「氣」が刺繍されていた。埼玉のパワースポット、三峯神社でかつて月初めに配布されていた「氣守」だ。あまりの大人気で周辺の混雑が緩和されないため、すでに配布は見合わせられ、今は幻のお守りとなっているという。
日本もそろそろ本気で変わろう。時代がもうすぐ新たな扉を開けるのだから。なんなら新しい元号を「氣」にしてもらってもいい。いい字はいい魂を育てるのだから。
どこか仙人の霞のような「氣」の香りを感じながらそう思う春の宵。
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