2017/10/25 00:16:56
突如、このフレグランスに(旧)が付けられてしまっている。
1947年、クリスチャン・ディオールは「パルファン・クリスチャン・ディオール」を創設し、彼が思い描くモダンな女性のエレガンスにぴったりのフレグランスとして、初のフレグランス「ミスディオール」が創られた。
ミスディオールは、モダンシプレの名香として、シャネルNo.5、ゲランのシャリマーなどと肩を並べるような存在だ。
このフレグランスは2012年に、ミスディオールをハウスパフューマーのフランソワ・デュマシーが、現代風にアレンジした香りだ。
香りはライトシプレ。フルーティな甘さが抑えられており、柔らかくてどこか懐かしい香り。
トップはシトラス-フルーティ。ジューシーなマンダリンオレンジと、少しグルマン的な甘さのあるピーチやプラムのような香り。トップから、パチョリのアーシーな香りが顔を出しすぎているように感じる。
ミドルはフローラル-シプレ。パチョリを骨格に、綿菓子のような甘さのあるフルーティを残したローズの香り。少しスパイシーの効いたジャスミンが香ることで、かなりすっきりとしたライトシプレの香りに。
ベースはシプレームスキー。フルーティやジャスミンの甘さを残したライトなシプレに、オークモス、ムスクが香る。オークモスよりもムスク感が強く、柔らかくマイルドなシプレの香り。フルーティやフローラルの残香が、暖かく柔らかいパチョリやムスクにうまく溶け込んで、とても心地よい。
シャネルのココマドモアゼルやチャンスと比較して、少しキャラクターが弱く感じるが、オリジナルのアレンジなので、ヘタなキャラクターを出すべきでないとも感じる。
ここからは独り言。
最近のフランソワ・デュマシーは迷走していると感じる。
特にミスディオールはそれが顕著だ。
ここ数年、香りの出入りが忙しい。
今回は、2012年にアレンジしたばかりのミスディオールをリニューアルして、昨年発売したばかりのアブソリュートリーブルーミングと同じような、ケミカル頼りの香りに差し替えてしまった。
元々ディオールやシャネルは、フランスのグラース産オイルにこだわり、グラースに契約農園を持ち、農家の生活を保証することで、他にない上質なオイルを確保しつづけてきた。
ところが最近のディオールの香りは、水彩画のような淡く繊細な天然の香りの良さを、まるで油絵のような強いケミカルで塗りつぶしてしまっているようだ。
もちろん、ケミカルの強い香りを否定しているのではない。でもこういう香りを、何も長きにわたる歴史があるミスディールに採用しなくてもいいのではと感じてしまう。
天然の香りは、高価格で、ほとんどの店舗で取り扱いしていないレ エクストレだけがあればいいと考えているのであろうか。
- 使用した商品
- 現品
- 購入品
1件中 1〜1件表示