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2020/4/18 13:57:54
家にいる時間が多くなった。世界は目に見えない物であっという間にブルーになる。そう思うことが多くなった。
せっかく家にいるのだから、心安らかに過ごし、自分らしくありたいと強く思うようになった。だからできるだけ穏やかで、柔らかい香りをそばに置こうと思って、久しぶりにブルガリのブループールオムの香りを嗅いでみた。そして驚いた。そこには、湯上がりの赤ちゃんをそっと包みこむ柔らかなタオルやベビーパウダーのような優しさが満ちあふれていたからだ。
2001年リリース。調香師はアルベルト・モリヤス。30mlで4千円前後。香水沼の方は「安い」というだけで手にとらない方もいるかも知れない。だが香水は安くていい香りならそれにこしたことはないと思う。
ブループールオムをプッシュする。強めのアルコールに混じって最初に立ちのぼるのは、透明感あるジュニパーの爽やかな香り。それはジントニックを口にしたときの風味そのもの。クリアーでスッキリした苦味だ。すぐさま低音でじんわりと響くスパイシーミックスが感じられる。ジンジャーのホットな辛み、カルダモンの鼻に抜けていくフレッシュな感じとタバコフラワーの甘さ。それらがシームレスに出てきて、トップから多層かつ複雑な展開。クレジットにはないが、ジンジャーを効果的に見せるレモンの香りもしている。
久々につけたが、このトップはさりげなく凝った作りだ。シトラスの酸味、タバコフラワーの甘さ、ジュニパーの苦味、カルダモンの清涼感。それらがフレッシュかつ爽やかに広がるイメージだ。さすがアルベルト・モリヤスといったところか。五味をまんべんなく配置しつつ、温かみのある香料とクールさを感じさせる香料のバランスをきっちりとっている。ただ、全体な温度としてはややクールなイントロだ。
5分後、レモン様シトラスが減衰する。するとそれまで見えていなかったこの香りの本質ともいうべき、クリーミーでパウダリーなサンダルウッドとムスクのベースがみるみる明らかになってくる。それは男性が湯上がりの汗止めなどに用いるタルカムパウダーや赤ちゃん用のベビーパウダーそのものといった風合い。そんなむせかえるようなパウダリーベースが出てくる。柔らかで、まろやかで、粉粉(こなこな)している香り。
このクリーンな石鹸の香り、そしてそれを包み込むような甘くパウダリーな香りのミックスが3〜4時間ほど続く。ラストはほんのり香ばしいミルキーサンダルウッドと冷たく甘いムスク。上品で柔らかいヴァニラ様ウッディのラストでとてもいい。
ひと嗅ぎして「この香水、ただの石鹸の香りじゃないか」そう言う方は多いだろう。確かにクリーンでクリーミーで優しい香りがする。自分も昔はそう思った。そしてタカをくくった。これだったらボディソープで代用できるじゃないか、と。
バカだった。甘かった。それ以上にやはりモリヤスはすごかった。どこにでもありそうな石鹸&ベビーパウダー的な香りを、さりげなく上質かつエレガントに仕上げる職人技がこのブループールオムには感じられる。フレッシュで、クリーンで、パウダリー。この香水は、ブルーというにはあまりに白く柔らかい。
女性用に作られたブルーEDPが廃盤となった今、こちらで代用する女性も多いと聞く。トップがややクールスパイシーな点と、タバコフラワーの甘い香りが濃厚な点さえ許容できれば、十分女性にも似合うパウダリーフレグランスだと思う。
一年を通していつでも使え、デイタイムもナイトタイムにも似合う香水。何より、自分が自分でいられるために、どこにもギアを入れていないニュートラルな自分に寄り添う香りとして、肩肘はらずにいつでも使える気安さがいい。
家で過ごす時間が長くなった。こんなときは、なるべくゆったりした気分で過ごしたい。ブルーな気分はあえてブルーなままでいい。真っ白でまっさらな自分をじっくり見つめて、周囲のノイズに心乱されないよう、心安らかにゆるやかに。ブループールオムはそんなとき、柔らかくなめらかで、ふんわり肌触りの白いパイル地のシーツのように心を包みこんでくれる。
ブルーに最も似合う色は、もしかしたら白なのかもしれない。そんなことを思った。
限りなく白に近いブルー。ブルガリブループールオム。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:- (生産終了)発売日:-
2018/12/22 18:29:45
「子どもたちが空に向かい両手を広げ、鳥や雲や夢までもつかもうとしている」
この時期になると不意に久保田早紀さんの「異邦人」のメロディが心に流れることがある。今から40年前に大ヒットした歌だ。というかそんなに時間がたったのかと思うと愕然とする。彼女の1stアルバム「夢がたり」はファドやクラシックの要素を散りばめた本物の名盤中の名盤だ。しかしあれから40年とは。(←くどいな)
最近ディオールのウードイスパハンをずっと使っていたせいかも知れない。ラオスのウード、ダマスクローズ、ラブダナムabsなど、東洋系香料を贅沢にフィーチャーしたこのオーデパルファムは、2012年にディオールのラグジュアリーライン、ラコレクシオンプリヴェからリリースされた。調香師フランソワ・ドゥマシーは、若きディオールが東洋のバザールを旅した折に出会って衝撃を受けた香りを基にこの香水を創作している。
ウードイスパハンの桜色の液体は、ダマスクローズのピンクを思わせとても美しい。さらに薔薇のマカロンとして有名な「イスパハン」の名を冠していることからも、ついグルマン調の甘さやクリーミーさまで想像してしまう。だが実際の香りはその期待を大きくくつがえす。
ウードイスパハンをスプレーする。付けた瞬間、柔らかく香ばしい木の香りがする。すぐさま酸味の強いくすぶったウードの香りに包まれ、洋酒っぽいアルデヒドのようなヴェールがかかり、その下から漢方薬系スパイス香が出て鼻腔の奥を刺激してくる。とても強いウッディなトップ。全然ローズじゃない。スイーツ系のスの字もない。完全に苦く酔わせるようなウッディ。
やがて3分もすると、墨っぽいパチュリを伴ったスモーキーなウードに落ち着いてくる。焦げた木と濡れた土臭い香り。そこにシャープでグリーンな苦みがのっている。この香りはラブダナムだろう。クレジットにはサフランも書かれているが判別はできない。全体的にウッディ&正露丸少々といった香りに酸味と苦みが効いているようなイメージ。これはありそうでなかなかないウッディ。同時にたぶん日本では苦手と感じる方が多いであろうトップ〜ミドル。
シトラスもフルーツもフローラルもない。まるで中東のモスクの回廊に迷いこんだような雰囲気。あるいは東南アジアの寺院。暗がりの中、白い煙をたなびかせている香木の匂い。そういったものを思わせる。とても強く暗く、それでいて心の柔らかいところが惹きつけられる香りだ。
肝心なのは終始ほのかにローズのシャープな香りが漂っているところ。サンダルウッドとパチュリとウードを焚き火に入れて白い燻煙を上げている脇に、野生のローズを花束にして置いたようなイメージ。イスパハンはダマスクローズの一種、薔薇の名前のニュアンスなのだろう。
やがて付けて1時間もすると、かなり乾いたインセンスのようなウッディに変わってくる。ラストにいくにしたがって、香ばしく温かい感じのサンダルウッド香&ローズ香にシフトする。薔薇は最後に顔をのぞかせてくる寸法だ。わずかにシナモンも効いたこのウッディローズがとても心地よく、安らぎに満ちたドライなブレンドを長く漂わせる。よくあるトンカビーンやアンバーの甘い薬っぽさがなく、スッキリした残香で消えてゆく。
秋冬はついオリエンタルやウッディに手が伸びてしまうことが多い。そこには温かみ、包容力、心落ち着く香りを求める心理が働いているのかも知れない。ウードイスパハンのエキゾティックな香りは、どこか中東の無国籍なバザールを思わせる。乾いたスパイスマーケット、見たこともない食材の匂い、そしくすぶった焚き火の炎。だから「異邦人」のメロディーを思い出したのだろう。
冬の乾いた冷たい空気、派手なのに冷たいイルミネーション。多くの外国人で溢れる通り。意味不明の言葉たち。ここ何年かで日本の大都市はどこもそんな光景に変わってしまった。まるで自分が異国のスーク(市場)に迷いこんだような錯覚を覚える日々。そんな日々を過ごす自分にウードイスパハンはそっとアイデンティティーを示してくれる。自分がだれなのか、どこにいるのか、何をしたいのか。ややマニッシュな強い香りながら、自分という木の幹に力を与えてくれる香り、そんな気がする。
「祈りの声、ひづめの音、歌うようなざわめき」
久保田早紀さんの「異邦人」の歌詞は、時を越えて今も、砂漠の街のバザールを眼前に映し出す。石畳の通り。鮮やかな原色の織物。乾いたスパイスと花の香り。むせかえる樹脂の煙。見知らぬ人々。
そこはかつて広大な領土を広げた国イスパハンのスーク。異邦人の乾いた心にウードの妙なる調べが鳴り響いている。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:40ml・19,140円 / 125ml・39,600円 / 250ml・55,880円発売日:-
2020/4/25 14:10:12
最初はたくさんいる友達の1人だった。特にめだつ人でもなかった。けれど、気がつくといつもそばにいて笑っていた。そしていつのまにか、かけがえのない人になっていた。
そういう友達や恋人がいる人はとても幸せだ。そして、ディオールのラッキーは、どこかそんな大切な人を思わせる香水だ。
メゾンクリスチャンディオールを訪れると、いつも気分が華やぐ。清潔感あふれる白い店内、そこには色とりどりの香水ジュースで満たされたシリンダーボトルが美しく並んでいる。
たいてい最初に試香するのはサクラだ。そこからローズ系に移行する。ラコルノワール、ローズカブキ、ローズジプシーあたりを嗅ぎ比べする。ピンクジュース系からのグラデ。その頃合いで話しかけてくる店員さんに「全部ローズなのに結構違いますね」なんて話をちょっとする。すると詳しい方ならそこからいろんな事を教えてくれる。その話に耳を傾けながら、次々と他のボトルを試していくのがパターンだ。ただ、いつも通り過ぎてしまう香水があった。
ラッキーだ。
なぜラッキーはいつもスルーしてしまうのか?
1つはその淡いグリーン系カラーのせいかなと思う。色とりどりのジュースの中、なぜか淡い緑のジュース系には手が伸びにくい。不思議だ。それでも、テカシミアはティーのスッキリした香りで鼻をリセットしたくて必ず手に取る。ただラッキーは「うん、ま、今日はいっか」になっていた。なぜか?
それは、初めてラッキーを試したときにあっさり香りを覚えてしまったからだと思う。フルーティーでグリーンでジャスミンが強めのスズラン香。「これは洋ナシスズランだ!」そう鼻と脳にインプットされた。名香ディオリッシモの濃厚なスズランとは桁違いに淡くてスッキリしている。「なぜ今さらこんなに淡いスズランを?」そう思った。それ以来、ボトルを見かけてもすぐに香りが脳内再生され、試さなくてもわかる的なスルーを繰り返すことになった。
ところが。
それ以後、MCDのボトルを何本か所有してみて驚いた。MCD香水の中で、実際最もよく使うのはそのラッキーだ。店頭ではいつもスルーしていた香水。淡くてわかりやすくて、フルーティーなスズラン香水、ラッキー。
ラッキーをつけるときは2〜3プッシュする。MCDの香りの中でも「淡い」スタンスにある香りだからだ。つけた瞬間、まず華やかなホワイトフローラルがふんわりと広がる。ジャスミン、オレンジフラワーをメインに、わずかにチュベローズとイランイランの陰影も。
そしてすぐにフルーティーなファセットがフローラルを包みこんでくる。青リンゴのような洋ナシのような、人によってはメロンのような香りだ。この香りはかなりウォータリーで、花の香にみずみずしさを与えている。濃厚なホワイトフローラルのエッジをスッキリグリーンウォータリーで溶かしているイメージだ。
そしてこれがラッキーの全て。MCDの香りは基本シングルノートなので、このまま減衰する。ときどき、間違ったように苦めのグリーンがメンズっぽく出ることはあるけれど、基本的に「グリーンフルーティー>ホワイトフローラル」というシンプルなアコードのまま続いてドライダウン。時間はやや短めで、3〜4時間程度。もはやスズランのオーデコロンといった印象。なんかずっと昔、北海道で買ったすずらん香水を思い出すまろやかな感じ。
でも
だからよく手が伸びるのかもしれない。そう思う。スズラン香はグリーンでシャープなエッジとふんわりホワイトフローラルという相反する二面性をもつので、スッキリさと柔らかさ、どちらがほしいときにも重宝する香りだ。オンにもオフにも使える。
なんかシャキッとしたいな、そう思ったらラッキー。ちょっと優しい気分になりたい。そう思ったときもラッキー。確かに、気付けばいつもそばにいてくれる友達のようだ。派手ではないけれど、フランクで、優しくて、一緒にいて気持ちが穏やかになる。
例年5月1日は、親しい友人や愛する人に小さなスズランの花束を贈る「スズランの日」として、フランスでは昔から親しまれている。スズランの花言葉は「幸福の訪れ」「純粋」「繊細」だ。スズランをもらった人にはすばらしい幸福が訪れるという。
花はディオール。ディオールの花といえばスズラン。それほどまでにクリスチャン・ディオールに愛された花の香りスズラン。名香ディオリッシモの花束感とは違うけれど、調香師フランソワ・ドゥマシーは、創業者ディオールの心を香りにこめて、この幸運のお守りを世界の人々に届けたかったのだろう。
「いつもありがとう。あなたに幸福が訪れますように。」
スズランの花一輪のラッキーチャーム。ディオール、ラッキー。
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[化粧水]
容量・税込価格:190ml・1,298円発売日:2021/3/15
2021/9/6 13:32:16
こちらでの評価も良かったので購入しました。
まとめ買いがお安かったので詰替え用を2パック購入し、空いていたポンプボトルにいれて使用しています。(この時は菊正宗の化粧水のピンク色のボトル)
だいたい1プッシュ、乾燥が気になるときは2プッシュしています。
癒される香りです。原料臭も気にならず肌荒れもせずに使えています。
問題なく使えていますがリピートするかは不明です。
飽き性なもので・・・
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