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[口紅]
税込価格:1,540円 (編集部調べ)発売日:2021/5/1 (2025/1/25追加発売)
2024/6/23 23:13:18
派手すぎずに顔色が良くなってとても気に入りました。
03陽炎が肌馴染みが良く普段使い用に気に入っていましたが使い切ってしまったので、気分を変えるのにぴったりでした。
(03は私の場合、写真で撮った時に何も塗ってないように見えるという小さい悩みもありました)
02ピンクバナナは何回か塗り直すとどんどん青みピンクになっていってしまい似合わなくなるのですが、15は塗り直してもブラウン寄りになっていく感じだったのでイエベの私には最適です。
2021/3/27 12:41:43
こじらせている。心の中でいつも何かが戦っている。闘争の赤と逃走の青。2つが混じり合って心はずっと紫だ。「そんなの絶対許せない」と赤く燃える一方で、「本当はどうでもいい」と青い斜陽を決めこむ。心の色はそのときどきの土によって紫陽花のように変わる。赤くなったり青くなったり。それでも100%の赤や青にはなれない。ただ、紫色でいれば心は落ち着く。だから人は、ときに紫の香りを心のどこかで求めることがある。
紫の香りと言えば、まずスミレの花の香りが思い浮かぶ。バイオレットフィズという紫のカクテルの香りや味わいを思う方もいるだろう。バイオレットフィズに使われるのはニオイスミレの香りを用いたパルフェ・タムールという紫のリキュールだ。ゲランのアンソレンス・オードパルファム(以下EDP)は、そんなスミレの香りがする。
では、スミレの香りと評されることが多いアンソレンスEDPは、一体どんな香りだろうか。
アンソレンスをつけると、まず立ちのぼってくるのはベリーキャンディ風の甘さだ。スミレのシングルノートで有名なグタールのラ・ヴィオレットは、トップからグリーンな苦味が立ちのぼってくるのに対し、こちらは甘くフルーティーなイントロ。ただその下にメランコリックな紫色の香りが広がっているのがわかる。さながら、いちごアメとスミレの砂糖漬けを同時に口に入れたような赤と紫のトップ。
アンソレンスはよく「スパイラルに変化する香り」と紹介される。これはどういうことかというと、調合香料がどの瞬間にどんな感じで出るのか予測がつかず「連鎖的な変動」をしていく、といった捉えでよいと思う。例えばアンソレンスを構成している香料のうち、特徴的なものは次の3つだ。
・不二家ポップのイチゴキャンディっぽい甘さ(赤)
・バイオレットフィズのようなスミレとローズ(紫)
・おしろいやベビーパウダーのふんわりパウダリー(白)
これらの香料が同時に出てくるタイプで、ときにどれかが強く香ったり全く感じなかったりと、連鎖し合いながらバランスを変えて香り続ける展開をする。「あ、いちごアメだ」と思った次の瞬間、スミレの香りが届いたり、不意にベビーパウダーを感じたりと、ふわりふわり螺旋状に旋回しながら登りつめていくイメージ。まさに初期ボトルの半球らせん3段型のように。
香料の割合的には、ベリー:スミレ:アイリス=1:5:4くらいなので、スミレのイオノンとアイリスのイロンの香料が強い香水ではある。この2つは親戚みたいな関係なので、混じり合うように香る特徴がある。同時に、スミレの香りのイオノンβはベリー系にも含まれるため、こちらも親和性が高い者同士。つまり、この3つは常にシンクロしながら個々に香ることで、幅広い嗅覚レンジを攻められるよう化学的にセットされているわけだ。まさに、どこから何が飛び出してくるかわからない紫色の波状攻撃、黒い三連星のジェットストリームアタックそのものだ。(←また言ったよ)
付けてから5〜7時間。イオノンもイロンも、重くて揮発の遅い香料なので、ゆっくりじっくり長く揮発する。清楚で控えめなスミレの香りにほんのりイチゴ味が寄り添っているので、成熟した大人の女性の香りになりすぎず、ほんのり可憐さを与えている。決してガーリーではないストロベリーの甘さ、この配合バランスが奇跡的にすばらしい。
スミレの香りは、心がやられているとき、曖昧な状況で先が見えないとき、心を安らげてくれる鎮静効果を持っている。香りにもバイタリティがあって、元気な香りは心が元気でなければつけられないし、華やかな香りは心がオープンに開いていなければ似合わない。けれど、スミレの紫フローラルは、心が辛いときに何も言わずただそばにいてくれる。寡黙な友だけれど、誠実な優しさに満ちている。
年度の変わり目、季節の変わり目、新しい環境に飛び込んで、心が戸惑って居場所をなくしているとき、もし心がため息をついていたら、こんな香りとともに過ごしてみるのもいいだろう。心を二極化する必要はない。赤い闘争にも青い逃走にも疲れたら、白い繭の中にこもって、紫の夢を見てゆっくり沈んでみるといい。そんなとき、ゲランのアンソレンスはあなたのわがままにとことん付き合ってくれるだろう。
こじらせている。なんてすてきなことだろう。人間はもともとDNAの二重らせんでできているねじれた生き物だ。二極化を目指す世界は悲劇の色彩に満ちている。赤と青のらせんが紫の心になって世界を優しく沈静させるなら、空はいつでも紫色でいい。心も紫色のままでいい。
人間は不確かな生き物。あなたはあなたの心を守るためなら、もっと自分に傲慢でいい。アンソレンスの紫の香りがそっとささやいている。
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:75ml・13,750円 / 150ml・21,450円発売日:-
2021/4/17 11:54:42
ね、ベルガモットって知ってる?ほら紅茶のさ、アールグレイってあるよね。シトラスの香りするやつ。あの香り付けに使われてるのがベルガモット。今日ぼくがつけてる香水、これね、アクアディパルマっていうイタリアの香水ブランドのベルガモットの香水。ちょっとここ、嗅いでみて。
どう?レモンみたいな香りしない?ちょっと時間たってるけど。これがアクアディパルマですごく売れてる香水「ベルガモット・ディ・カラブリア」の香り。そう、カラブリアのベルガモットっていう意味。でもこの名前さ、なんか「ベルガモットで空振りや!」って聞こえるんだよね。おかしくない?はは!…あ、面白くなかった?ごめん。
あ、でもさ、これオヤジギャグってわけじゃないんだよ。実は「ベルガモットで空振りや!」ってこと、本当にあるんだって。っていうのもさ。
ベルガモットって昔からイタリアのカラブリア州ってところで生産されてて、精油をとるためだけの柑橘の1つなんだって。果実はすごく苦くて生食には向かないみたい。でさ、そのカラブリア州が世界のベルガモット生産の95%を占めてるの。すごくない?世界中の香水のトップノートに使われてて、しかも世界中のアールグレイ紅茶の香り付けにも使われてる。それがほとんどカラブリア産なんだって。これって独占禁止法に引っかかる系だよね!…ま、そんな感じ。
でね、そんな風に聞くとさ、「カラブリアってとこに行ったらもう、街中いたるところに黄色いベルガモットがあふれてておみやげも全部ベルガモット!」みたいに思うじゃん?でも全然そんなことないんだって。ってゆーかカラブリアに住んでる人たちもね、「ベルガモット?見たことない。」って感じらしいよ。だからベルガモットだらけの街を期待して行くと、思いっきり「カラブリや!」ってなるらしいよ。いやほんと!
…あーごめん、一人で盛り上がっちゃって。そんなの興味ないか。あ!でもね、この香りはいいでしょ?よかったらちょっとつけてみない?ほら携帯用のボトル持ってきてるんだ。ね!きれいでしょ、これ地中海の青をイメージしたメディテラネオシリーズっていうんだ。ちょっとつけてみて。大丈夫!大丈夫!天然香料が多くて香り立ちが結構淡いから、周囲に迷惑かけないよ。そ。手首あたりに。そ。じゃちょっと手首かして。はい。
ね!いい香りでしょ。失礼。あー、ぼくがつけるより君がつけた方が似合う。レモンとゆずの中間てゆーか、爽やかでほんのり苦みもあって。ライムみたいなグリーンな感じもあるよね。このトップがベルガモットの香り。つけて1分くらいするとマンダリンオレンジみたいにほんのり甘さも出てくるよ。ベルガモットってすごいんだ。酸味と苦みと甘さがいいバランスで調和してて、ついでにフローラルっぽい感じも入ってる最高の香料。アロマテラピーでも最も大事な精油と言われてるらしいよ。ただ天然精油使ってるから揮発は早いんだ。そう、もうさっきとは香りが変わってきてるね。つけて3分でミドルになる。
ほら。なんかちょっとあったかい感じになってこない?ジンジャーの感じ。あと、乾いた草っぽい香り、ベチバーね。それも少し出てくる。最後はこのまま優しく消えてく感じ。ちょっとぼくの手首のとこ、嗅いでみて。こんな感じ。ほんのりウッディな感じしない?君の手首だとどんなラストになるかな。これはつけて1〜3時間くらいで消えるよ。きっとぼくより少しフローラルっぽく終わる気がする。香水はその人自身の匂いでも香り立ちが変わるから。君のベルガモット、きっとラストはすごくいい香りになると思う。
アクアディパルマの香水ってね、調香師もレシピも、作ってる場所も秘密なんだって。ベルガモット畑もさ、実はカラブリア州のどこにあるか秘密らしいよ。宝物のように育てて世界中に精油を売ってるから盗難防止だって。だからカラブリアに行ってもさ、誰もが見たことないって言うんだろうね。こんなに有名なのにそれってすごいよね。
そうそう。カラブリアの海沿いにね、すごく素敵な聖堂が建ってるんだ。ちょっとこの写真、見て。紺碧の地中海に切り立った岩山。その上に建つ白亜の聖堂。よくない?ここ、いつか行ってみたいなって思ってる。まばゆい太陽、青い風、白い街並が続く海岸線。こういう絶景の前でさ、ベルガモットの香りに包まれたら、きっと至福だろうなって。
…でさ、うん。もし君さえよければ、なんだけど。いつかぼくと…
…え?そろそろ時間?…そっか。このあと用事あるんだね。そ、そっか。
あ!いい。ここは払っとく。うん。じゃまたね。じゃ、後でラインするね。
え…? あ、そう…。
はー…いってぇー… 笑えねえ…
これマジに ベルガモットで空振りやん
2016/7/2 01:18:34
シャリマー、それは女性用香水の至高の逸品。あらゆる年代の女性の魅力を底上げする香り。
女性の美しさ、高貴さ、甘美さをひきだす琥珀色のヴェール。男性の本能を無意識下で揺さぶり続け、心に刻みつける香り。恍惚の媚薬。
この世には、本当に出会った瞬間、衝撃でのけぞるような香りがある。自分にとって、シャリマーはその1つだった。本当にときどきしかないが、初対面で心を奪われる人がいるように、香りにも心をわしづかみにされる物がある。「何を大げさな」と感じる方は、まだ出会っていないだけかも知れない。かけがえのない人にも、心震わせる香りにも。
だが「彼」は出会った。その人生において、何者にも代えられない運命の女性と。
ムガール帝国の第5代皇帝シャー・ジャハーン。彼と彼の愛妃、ムムターズ・マハルの物語。シャーはハーレムにいた他の女性には目もくれず、ただひたすらにタージ(ムムターズの愛称)だけを愛し、その間に13人の子をもうけたという。14人目を身ごもったタージが亡くなったとき、シャーの悲しみは天空を裂き、全ての権力と財を注いで、総大理石造りの彼女の霊廟、タージ・マハルを何十年もかけて建設させた。この愛の逸話はつとに有名だ。
もしもこの逸話に感銘を受けたジャック・ゲランが、「タージ・マハル」という名の香水を作っていたなら、それはおそらく、彼の叔父であるエメ・ゲランが作ったジッキーのように、愛する者との別離や深い喪失の色を呈した、もの哀しげなフレグランスになったことだろう。だが、彼はちがった。
ジャック・ゲランは、一途にタージを求め続けたシャーの偏愛とも言うべき姿を、2人が愛を睦み合った庭園の名である「シャリマー(愛の殿堂)」というイメージに凝集した。それは、愛する者を失った悲しみ以上に、深く強く心に刻まれていたであろう2人の歓喜の日々。そんな美しく官能的な日々を彷彿させるあたたかい香りだ。センシュアルではあれど、エロティックにはあらず。
そんなシャリマーのトップは、強烈なハーブと樹脂の辛みとベルガモットが、噴水のように空気中に霧散して開く。まるで、チェリーコークに花々やハーブを入れて煮詰めたような雰囲気だ。そして、確かにジッキーのオープニングを思わせる。シャリマーは、ジッキーのノートにさらに香料を加え、重層的にリファインしていく中で作られたようなので、なるほどと思う。心をわしづかみにする強烈なベルガモットの拡散と、その下から同じ熱量で鼻を刺激してくる薬草や樟脳っぽいスパイシーなオープニング。好き嫌いはあるにしても、ひとかぎで他の香水と全く違う繊細な複雑さ、高級さが感じ取れると思う。けれど、高慢ではない。絶え間なく鼻と脳を刺激し続け、あっという間にとりこにされる。まるで、シャーとタージの衝撃的な出会いのように。
そしてすぐにミドル。炭酸のように拡散していたベルガモットが落ち着いてくると、シャリマーのミドルは、驚くべきことに温度が上昇する。ここがジッキーとの大きな違いだ。もっと甘くかぐわしく昇りつめていく。暗くパウダリーなアイリスと樹脂の甘み、パチュリの苦みが入り混じり、重奏を奏でる。低い太鼓が鳴り、シタールの調べが聞こえる中、松明のオレンジ色の灯りに照らされて、2人の体温がどんどん上昇してゆくイメージ。それは、燃えさかる愛の調べ。誰にも邪魔されない2人の時間。
やがて気がつくと、穏やかなヴァニラとトンカビーンの香りに変わっていることに驚きを覚える。そんなクリーミーな甘さが感じられたらラスト。パルファムなので拡散力は弱めだが、点でつけたときのかぐわしさ、自分の体温や気温、湿度に応じて、さながらオーロラのようにさまざまに変化する香りの揺らぎは、トワレやオード・パルファムの比ではない。そのわずかな変化を楽しむだけで深い安息を得ることができる。それは、オポポナクスの甘い樹脂香と、白っぽくパウダリーに落ち着いたアイリスと、柔らかなヴァニラ。至福のラスト。恋人たちの体温であたたかみを増したシルクを思わせる香り。このラストに包まれて眠りにいざなわれたなら、どんなにか安らぎ、よい夢が見られるだろう、そう思えるようなドライダウン。シャリマーを特別な夜の寝香水にしている方が多いという話も頷ける。それは、2人の穏やかな寝息。白亜のパレスの蒼い夜。
シャリマー、それはゆるぎない愛と官能の泉。こんこんと湧き出る琥珀色の陶酔。一途な愛を現世にとどめつつ、時空を超え、天上での再会を誓って焚きしめられた聖なるバルサムの香り。思い出の庭園の上に広がるインディゴ・ブルーの夜空。星々のまたたきに吸いこまれ、消えていく白い燻煙のドレープ。とろけるような天使のヴァニリック・ゲルリナーデ。
その香り、別格。
2019/3/9 00:13:06
ランスタン・ド・ゲランEDTはかなり反則な香りだ。こんな香りをつけて女性に街を歩かれた日には、すれ違った男の心はざわつくだろう。もしかしたらすれ違いざまに振り返るかもしれない。あるいは怒り出すかも。前者はもちろん香りにときめいてしまうからだし、後者は「惚れてしまうからやめてくれ」と、歪んだ嫉妬心に駆られる可能性さえあるからだ。
そんな。まさか。そこまでの香りじゃないでしょう?そう思われるかも知れない。だが実際、ランスタンドゲランEDTをいい香りだと認識する男性は自分の身の周りでも多い。そしてそれ以上に女性ファンが世界中にいることでも有名な香りだ。ではなぜこれほどまでにランスタンは人気があるのか?パルファム、オードパルファム(EDP)、そしてオードトワレ(EDT)とそれぞれ香りが異なるランスタン。今回はその中でもフルーティーさに定評があるEDT、その人気の秘密に勝手にせまる。
最近はビーボトルに変わったが、ランスタンは厚底ガラスの旧ボトルの方が圧倒的にいい。淡いピンクオレンジのジュースカラーは夕暮れ空の柔らかな色合いで美しい。ほっとひと息つくような安息の空の色。そんなランスタンドゲランEDTをスプレーすると。
トップ。EDTはリンゴ系のみずみずしい香りが柔らかく広がってくる。このトップがとても印象的。酸味がなく、かぐわしいフルーティー。背後でマグノリアのこっくりした白い厚ぼったい花弁の香りがしている。リンゴ果汁を滴らせたような甘いフローラルがゆったりと花開く。
5分後、サンバックジャスミンのふんわりとしたコク、イランイランのわずかに暗い陰影、そしてエキゾティックなマグノリアの香りが明確になる。EDPの少し苦みを帯びたフローラルに比べて、EDTのミドルはクリアーでクリーミー、スッキリしていて透明感がある。ミドルのホワイトフローラルになっても、トップで感じたアップルの柔らかなフルーティーは続いており、とろけそうなハニー系の甘い香りも呈している。どこまでも心をほぐしていくようなミドルだ。
世にフルーティーフローラルは数あれど、これほどソフトなフルーティーで、しっとりとした雰囲気を漂わせるフローラルはなかなかない。ベースのクリーミーなヴァニラ、キラキラと光が明滅するような特別なアンバーの香りが輝きすら添えている。エステル系のリンゴの匂いがなり持続することで、EDPよりもジューシーかつ透明感あるマグノリア香を表現している。
ラストは少し甘い蜜の香りと甲高いアンバー、そしてクリーミーなヴァニラでフェイドアウト。このラストは女性が好みそうなグルマン系だ。全体にキリッとしたところが何もなく、とかくマイルド。時間は6〜8時間ほど柔らかく続く。
たぶん男性の多くはこういう香りに弱い。香水っぽさが少なく、薔薇のシャープさもジャスミンの濃厚さもない。けれど柔軟剤よりもはるかにふくよかで優しいからだ。男性が女性に求めるような甘さと柔らかさとクリーミーさと透明感が絶妙なバランスで出ているように思う。
ただ、あえて言うならランスタンはいい子過ぎる。そつがなく、きれいにまとまりすぎている。360度どの方向からシャッターを切られても影一つできないまばゆいスタジオで微笑むモデルさんみたいだ。可憐で可愛らしくいつも笑顔。そのせいか、心が闇だらけの懐疑的な自分からは、かなりあざとくも感じられる香りだ。
ランスタンは、ゲラン社が90年代に経営危機に陥り、メゾン存続の危機を迎えた際、紆余曲折を経て遂に外部から調香師を招いて作らせた香りだ。当時、エルメスのヴァンキャトルフォーブールで名声を博したモーリス・ルーセルに白羽の矢が立った。モーリスはゲランの秘伝ともいうべき「ゲルリナーデ」の技術に敬意を払いながらも、それまでメゾンが得意としていた「オーバードーズ&ショートフォーミュラ」を見直し、「輝くような一瞬の光」をイメージしてこの香りを創作したという。
この香りにふれる度、モーリスは調香するにあたって「引き算」の考えを大事にしたのではないかと感じる。それはゲランが大事にしてきたオーバードーズ(過剰投与)と反対の仕事だ。彼はゲラン秘伝のゲルリナーデの6香料、ベルガモット、アイリス、ローズ、ジャスミン、ヴァニラ、トンカビーンのうち、本作ではジャスミンとヴァニラしか使用していない。しかも量もわずかだ。こうしてあえてゲランらしさを破壊しつつ、新しい香料を加えてゲランらしい香りをリボーンさせたかのように思えて興味深い。
女性のまとう香りが男性の心に刷りこまれるのは、ほんの1秒あれば足りる。ランスタンドゲランEDTはその瞬間に賭けた香りだ。
すれちがいざま。ふわり秒殺。
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