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doggyhonzawaさん
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ルイ・ヴィトン / マティエール ノワール

ルイ・ヴィトン

マティエール ノワール

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2017/4/15 17:28:43

旅に出よう。ルイ・ヴィトンの7つの香りをカバンに詰めて。まだ見ぬ遠くの町へ。そこには見たこともない風景が広がっている。新しい風と光が満ちあふれている。

長らく香水を出していなかった最後の大ブランド、ルイ・ヴィトン。70年ぶりのフレグランス「レ・パルファン・ルイ・ヴィトン」は、2016年9月、満を持して発売された。1946年のオード・ヴォヤージュ以来となる香りのテーマは「旅」。それは旅行用カバンを創り続けてきた同ブランドにとって、永遠のテーマでもある。

話題となったのはそればかりではない。ゲランやシャネル、ディオールの最高級ラインにもひけをとらない贅沢なオードパルファンを一気に7本リリース。このニュースは各種女性用雑誌にも広く紹介され、ふだん香水を使わない方々の注目も集めた。

2013年にヴィトンの専属調香師となったジャック・キャバリエは、「肌の上にも旅を」のテーマのもと、7本同時リリースを決めたのが自分であると語っている。そこには、潤沢な開発資金と香料を背景に、4年もの歳月を調香に費やした彼の自信がうかがえる。目指したのは、女性が選ぶ最高の香り。

マティエール・ノワールは、その6番目の香りの旅。それは、最もミステリアスな黒のマティエール(素材)を用いた香り。

マティエール・ノワールのトップは、上品な革のような、なめらかなスエード調の香りで始まる。色で例えるならベージュ。複雑な香気が絡み合っている印象。やや青いローズとパチュリ、そして、ウッディな香ばしさにわずかな酸味があるウードの香り、この3つが混じりあって、柔らかで上質なレザーのような雰囲気に感じられる。まるで、ヴィトンのキーポルあたりのカバンに旅行用の荷物をパッキングしているかのようだ。旅の始まりを予感させる心躍る香り。

このオープニングには驚いた。なぜなら、ローズやパチュリ、ウードは、通常どれもミドル〜ラストに出てくる香料というイメージが強いからだ。このやや暗くウッディなトップで、「あ、無理」と感じた方も多いかも知れない。だが、ここでNGと見切るのはちょっと早い。せめて20分待ってほしい。なぜなら、

マティエール・ノワールは、付けてから20分もすると、香りが劇的に変化するからだ。そして、そこから現れるのは、ブラック・カラントの甘酸っぱいフルーティーな香り。

ブラック・カラントは、和名クロスグリ。フランス語で「カシス」と言った方が香りや味を容易に想像できる方は多いだろう。マティエール・ノワールのミドルは、このブラック・カラントの甘くて暗いジューシーな香りが強く主張してくるのだ。

ミドルは、カシスのリキュール、クレーム・ド・カシスを思わせる香りがみずみずしく広がる。ベリー種独特の果実風味は強めで、スッキリめのローズも背後には見え隠れするものの、他の香料が判別できないほど感じられる。トップのウッディ香から一転、通常トップで感じられるようなフルーティーな香りがミドルから出てくるというのは、ちょっと不思議な調香だ。それも含めて、ヴィトン広報では、「神秘的な香り」と謳っているのだろうか。ジャック・キャバリエ、一体どんなマジックを使ったのだろう。

そんな馥郁たるカシス&フローラルのミドルが、5〜6時間ほど続く。香り立ちじたいはまろやかだ。付けた場所付近で穏やかに香り続けるオーデパルファンらしい拡散の仕方をする。さすがによい香料を使っているようで、ラストはパチュリの湿った土っぽさが出たり、ウードの苦みや香ばしさにハニーのようなこっくりした蜜の風味が重なったりと、そのときどきで香料の出方が異なる。ときにわずかにヴァニラのようなクリーミーさが漂うときもあるが、最後はお香のスモーキーさを呈して消えていく。ラストの乾いたお香っぽさが全て消えるまでは、付けてから8〜10時間くらいだろう。ロングラスティングの部類だ。

全体的に、これまでの香水のような3段階の変化ではなく、前半20〜30分が革の匂いのようなウッディ、その後ずっとカシスと白いフローラルとウッディの香りが続くといった印象。ウードやカシスの香りがお好きな方にはおすすめの取り合わせだ。使える時期は、夏以外ならどの季節でもいいだろう。どこか透明感があって、スッキリとしていて、ウードを用いた香りとしては使いやすい部類だと思う。時間帯は、午後から夕暮れ、そして夜がいい。旅立ちと共に纏えば、一日の旅を終える頃には、心癒すスイートな香りになっていることだろう。

マティエール・ノワールは、黒を基調とした独特の質感。夕闇が迫る頃、たどりついた旅先の町で、深紫の雲に描く今日一日の甘美な思い出。それは、油絵の具を直接絵筆で塗り重ねたような雲のマティエール(絵肌)。

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資生堂 / 資生堂オードパルファム2011 水の香「滝」

資生堂

資生堂オードパルファム2011 水の香「滝」

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

3

2017/4/22 12:56:01

天然のブナ林が陽に輝いている。その新緑から幾筋もの木漏れ日が滝壺に降り注いでいる。雪解けの水はごうごうと音を立て、水煙を上げながら流れ落ちている。春の滝は勢いがあって壮観だ。空中に飛散した水の飛沫が光の中で踊り、虹色のスペクトルを輝かせている。

資生堂オードパルファム2011は非売品だ。店頭ではどこにも見当たらない。なぜならそれは資生堂の株主優待品として、2011年に株主へ贈られたオリジナル香水だからだ。コードネームは『水の香「滝」』。

資生堂は、あらゆる生命の根源である「水の恵み」をコンセプトとしたオードパルファムを2010〜2012までの3年間シリーズ化して開発し、株主優待品とした。1年目は透明ボトルの「湧水(ゆうすい)」、2年目がブルーボトルの「滝」、そして3年目は、透明とブラウンのグラデボトルの「大地の水」と名付けられている。2作目の水の香「滝」は、その名のとおり、勇壮な滝とその付近の山々の緑や花から香りのイメージを広げている。

では、その香りはどうかというと。

「滝の香りかあ…どんなんだろう?」と期待をこめてスプレーすると、ちょっと香水に詳しい方なら絶対苦笑いするだろう。なぜなら。

まんまエルメスの「ナイルの庭」の香りがするから。

トップからナイルの庭。透明感あふれるみずみずしいスイレンのアコードの上に、スッキリしたシトラスシャワーが感じられる3分ほどのトップ。やがて、ナイルに用いられているグリーンマンゴーのような甘くフルーティーな香りが漂うミドル。ただナイルに比べると、2段階ほどトーンは低めで、わずかにミンティな清涼感がある。ナイルの庭には、強烈に照り付けるまばゆい太陽を浴びたような、突き抜けた明るいグリーンのトーンがあるけれど、こちらは少し穏やかなブルーの水といった印象。

資生堂によると、オーストラリアのフェアトレード香料のサンダルウッドを使用し、繊細な甘さを秘めた山母子(やまははこ)の花の香りにちなんだシェアフレグランスだとのこと。山母子とは、北海道や本州北部に生育する小さな白色の花だ。ドライフラワーにすると、清楚な甘い香りを放つという。近種のカワラハハコは、滝壺周りの河原などに見られる礫の間に咲いて人目をひく。

サンダルウッド?ヤマハハコ?うーん、どうなんだろうという印象。説明によると、シトラス・ウッディだけれど、どう考えても人工的なスイレンのウォータリ―なアコードに甘い香料を添えてムスクで仕上げたようなフルーティー・フローラルのように思う。それより何より、「なんで滝の香りがナイルの庭??」という疑問と突っ込みが止まらない。

株主優待品だから?非売品だから?ふだん香水を使わないお客様にも気に入っていただける香りにしたかったから?それとも調香師がナイルの庭の香りが大好きすぎたから?

考えられる理由がありすぎる。それでもどこか悲しい気持ちでいっぱいだ。かつて、ノンブルノワールやインウイ、ZENやSASOを作ってきたすごい資生堂がなぜ?資生堂のフレグランスにときめいて、リスペクトしてきた自分としては、とても複雑な気分だ。

香りの持続時間は8〜10時間と長い。ただ、ナイルの庭とトップ〜ミドル〜ラストの変化もおもしろいくらい似ている。これは、リスペクトアーティストの作品を「カバー」したのとは訳が違う。複写すぎる。ガスクロマトグラフィーの解析技術を披露したかったわけでもないだろうに。

それでも自分は、水の香「滝」が好きだ。何かと比べることをしなければ、付けて心地よく、みずみずしい透明感あふれる香りだなあと思う。それにボトルデザインがとても気に入っている。濃いインディゴブルーのガラスの側面には、水流のような幾何学模様が面の凹凸で表現されていてすばらしい。ボトル上部の丸いキャップも可愛く、ノスタルジックな薬瓶のようで心そそられる。このボトルは、2013年に日本パッケージデザイン大賞の金賞を受賞しており、非売品であるにも関わらず公的な賞をとっている点は刮目に値する。正直、ボトルだけでも芸術品だ。これは、ぜひ今後の資生堂フレグランス作りにフィードバックしてほしい点。

初夏の鬱蒼とした新緑の森を分け入るとき、ブナの木が柔らかく積もらせたモコモコの腐葉土と倒木の合間に、美しいブナ林の水たまりを見つけることがある。そのたびに、天然の緑のダムだなあと実感する。どこからか滝の水音が響いている。

水の香「滝」は、そんな美しい森を歩いていて、まばゆい光に照らされた滝を見つけた時の香りだ。河原の石の間に咲き始めた小さな花々。もうもうと飛び散る水の飛沫、そして、滝の上に広がる、吸い込まれそうに青い夏空。

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アクア ディ パルマ / ブルー メディテラネオ アランチャ オーデトワレ

アクア ディ パルマ

ブルー メディテラネオ アランチャ オーデトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:75ml・13,750円 / 150ml・21,450円発売日:-

4購入品

2017/4/8 23:47:45

気温が上がり、モノトーンだった街が鮮やかな色に変わってくると、春物のコートや服に合わせて、香りもまた少し軽やかなものを纏いたくなる。アクア・ディ・パルマのアランチャ・ディ・カプリは、この時期から夏に向けて使ってみたいシトラス系の香りだ。

アランチャ・ディ・カプリ。「カプリ島のオレンジ」の意。カプリ島といえば、南イタリアに位置する小さな楽園として有名な島だ。イタリア人も憧れるというその島の特産物はレモン。島名産のレモンリキュール、リモンチェッロは爽やかで香り高く、名物のシーフードパスタにもよく合うという。

別名レモン島といわれるほど、レモンの生産が多いカプリ島。なのに、なぜこのオードトワレは、オレンジなのか?カプリ島には、古くから島名産のレモンや天然ハーブを原料にフレグランスやボディケア商品を作っているカルトゥージアという小さなパヒューマリーがある。そこが主にレモン系の香りを出しているから、向こうを張ったのだろうか?詳細は定かではない。

アランチャ・ディ・カプリは、アクア・ディ・パルマのアロマテラピースパラインであるブルー・メディテラネオ・シリーズの1本だ。このシリーズは、目にも鮮やかなブルーのボトルが印象的で、天然のエッセンシャルオイルをふんだんに用いた心地よい香りを提唱している。1999年にお目見えしたこのカプリ島のオレンジも、さっぱりとしたシトラスの香りで人気があるフレグランスだ。

アランチャ・ディ・カプリをスプレーすると、まず広がるのは爽やかなベルガモットの香り。まんまアールグレイティーの香りがする。ティーノートも添えたのではないかというほどコクもある。そしてすぐ、高いところでレモンとグレープフルーツの酸味が感じられ、同時に低音では、オレンジオイルの果皮の香りが漂い始める。果肉の香りを再現したようなオレンジ・サングインと付け比べると、やや地味なオレンジオイルの香りではあるが、天然のシトラス系ミックスといった感じで広がるトップだ。

やがて5分もすると、グリーンな香りがミドルで広がってくる。プチグレンの青い香り。同時に、アクアティックな雰囲気のベースのムスクも出てくる。ミントのクレジットはないものの、わずかにクールな清涼感もある。カプリ島は断崖絶壁に囲まれた島で、その高台には各国のセレブの別荘が立ち並ぶという。コバルトブルーのティレニア海を見下ろす絶景に、レモンやオレンジの濃い緑がよく映える。その太陽の恵みのような果実から発せられる黄色とオレンジ色の香気が、地中海の潮の香りに乗って鼻をくすぐっているかのようだ。

ラストはミドルとあまり変わらずにフェードアウトする。わずかにキッチンクリーナー系を思わせるオレンジオイルの香りに、グリーンな葉の香り、そこにシャープなムスクが混じり合いながら、3〜5時間ほどで消えてゆく。体温が高めだとトップのシトラスオイルの飛びは本当に早く、5分程度でムスキーな香りに移行するように思う。ラストのムスクにはほんのり焦がしキャラメルの風味も混じり、ユニセックスとはいえ、マニッシュな方に傾いている感がある。長めに香るこのアクアティックなムスクが気に入るかどうかは重要だろう。

してみると、アランチャ・ディ・カプリは、オレンジというよりも、海の潮風の香りといったイメージが強いように思う。それは、カプリ島のもう一つの名物である「青の洞窟」内で見られる不思議な海の色を彷彿させるような。

世界的にも有名な「青の洞窟」。だが、海上からボートで入るその入り口が高さ1mほどと極端に狭く、半分海中に埋もれていることは意外に知られていない。その日の天候次第で入れないことも多いといういわくつきの場所だ。4〜5人乗りの手漕ぎボートに乗った客は、船底に仰向けに横たわった姿勢になる。そして、船頭が引き潮のタイミングを見計らって一気にロープを伝い、海食洞内にボートを滑り込ませる。と、そこはぽっかりと広がった暗闇の空間。ただ海水だけが美しいネオンブルーにぼうっと光り輝いている。それは、海底にあいた穴を通して透過した外界の光が、暗闇の中で鮮やかに浮かび上がった神秘的な色彩。まるで海中からライトアップしているかのような不思議な光景だ。さながら、青い炎が幾重にも重なってゆらゆらと揺らめいているかのように。

燦々と降り注ぐ南イタリアの太陽の恵み、オレンジの香気。そして、それとは対照的に、暗闇の中で青白く光り輝く海の匂い。この2つはどちらもアランチャ・ディ・カプリに込められているのだろう。地中海の風を感じさせる紺碧のボトルの中に。

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メゾン フランシス クルジャン / アクア ユニヴェルサリス オードトワレ

メゾン フランシス クルジャン

アクア ユニヴェルサリス オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:35ml・19,030円 / 70ml・30,800円 / 200ml・60,500円発売日:-

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4購入品

2017/4/1 23:56:34

アクア・ユニヴェルサリス。ラテン語だ。英訳すれば、ユニヴァーサル・ウォーター。ユニヴァーサルは意味が広い。「普遍的な水」または「万能の水」、あるいは「世界共通の水」といったところか。もしかしたら「宇宙的な水」かも知れない(笑)。いずれにせよ、作者の自信が感じられる壮大なネーミングだ。

この香りをプロデュースしたフランシス・クルジャンは、かつてクエストや高砂フランスで活躍していた調香師で、2009年に彼自身の名を冠して、フランスでパヒュームメゾンを立ち上げた。それ以後、香水界のスターとか天才調香師の名を欲しいままにし、実際、幾多の名誉ある賞を受賞している今話題の人物。メゾン創設とともに発表され、今ではブランドアイコンとして認識されている香りが、このアクア・ユニヴェルサリス・オードトワレだ。

そんなアクア・ユニヴェルサリスは、シトラスとスズランの香気、ソーピーなムスクが不思議なバランスで香る、しっとりみずみずしいフレグランスだ。

アクア・ユニヴェルサリスをスプレーすると、まず感じられるのは、さっぱりとしたレモン様のシトラス香。だが、3秒もせずにその周りを甘くクリーミーな雰囲気の香りが包みこむ。まるで、シトラスの爽やかさやとがった部分を丸めるかのように。それはオレンジフラワーのこんもり感かも知れない。アクアティックではあるが、瓜系の青臭い感じはない。これは地味に重要なポイントだ。

やがて5分もすると、ミドルの香りが安定してくる。人工的ながら可憐な雰囲気のスズランの香り。そして、その下からせりあがってくるソーピーなムスク。この2つの香気が複雑に混じり合い、フローラルでもなく、ムスキーでもないバランスでハーモニーを奏で始める。このミドルを気にいるかどうかが大きな分かれ目だろう。このミックス香は、穏やかながら3〜4時間ほど肌の上で香り続け、大きな変化もないまま消えていく。

全体的にみると、最初から最後まで、シトラスもスズランもムスクも、それぞれの特徴が突出しないように、互いに角をとりあってまろやかにミックスされている。そんな印象。この手の香りは、明確な顔がないぶん、人に嫌われにくく、香り初心者の方にも「何だろう、いい香り」と受け止められやすいタイプだ。それは、特にビジネスライクなシーンで、イメージアップを図れるアイテムとして重宝するかもしれない。

だが。

いくつか気になる点はある。一つは香りじたいのことだ。この半年つけていて、ミドルでシトラス系キッチン洗剤の匂いというか、ビニルっぽいような特有の苦みが強く出て、気になることがよくあった。大体、気温の低い場合がそうだったので、試しに風呂上がりの上気した肌につけると、苦みが少なく、まろやかでふんわりとした心地よい香り立ちになることが分かった。だから、この香りを使うなら、気温や体温が上がってくる初夏〜夏がおすすめだ。一年中使いたい人は、特に入浴後に使うと苦みの少ないよい香り立ちが楽しめると思う。

二つ目は値段だ。正直、繊細でセンスある調香とは思うけれど、この手の淡いウォータリーな香りは、概して人工香料が多く使われているものだ。それは決して悪いことではないが、値段が70mlで3万円を超えるとなると話は別だ。これくらいの香料構成なら、5千円もあれば似た物がいくらでも手に入るだろう。ドバイやアラブの富豪ならポンポン買っていくかもしれないが、あいにくこの国には石油もターバンもない代わり、徹底したシビアさだけはある。良い香りなら、毎日でもつけたいのだから、安く買えるにこしたことはない。新時代のニッチメゾンは、そのへんも命題としてとらえてほしいと思う。

そんな庶民の願いなど露も知らぬクルジャンは、この香りについてこうコメントしている。

「シャワーを浴びた後、きれいな素肌に新しいシャツを着る。洗いたての清潔な肌と、アイロンのかかったパリッとしたシャツ。肌とシャツの間にある空間。そこにも小さな一つの宇宙があるんだ。そこに漂う香りはどのような香りが一番ふさわしい?」

うーむ、これって一番ありえないと思っていた「宇宙の水」だったとか?それにしても、洗いたての素肌と清潔なシャツ、その間に置きたい香りって…。その謎かけの答えは一体何だ…?

そうか、シャボン玉だ。お風呂上がりの肌と清潔なシャツの共通項は、石鹸や洗剤のシャボンの香り。そして、宇宙にきらめくのはたくさんの星々だ。さながら、七色の宝石のようなシャボン玉を幾つも幾つも散りばめたような……。

それで合点がいく。フランスのクルジャンの店には、幼な子が遊ぶためのシャボン玉が置いてあるそうだ。

アクア・ユニヴェルサリス、それは夢いっぱいふくらませた虹色シャボンの宇宙の香り。

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アトリエ・コロン / Oolang Infini

アトリエ・コロン

Oolang Infini

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2017/3/25 10:52:26

性別や年齢に関係なく使えそうな香り。そして、季節や時間を問わず一年中気軽に付けられ、オンオフどんなシーンにも合わせやすい魔法のようなフレグランス。そんな香りはないか?と聞かれたら、まずはアトリエ・コロンのウーロン・アンフィニをお薦めする。30mLボトルで¥9,720(税込)。

ウーロン・アンフィニ。直訳すれば無限のウーロン茶。なぜ烏龍茶が無限なのかは定かではないが、アトリエ・コロンはキー素材となる香料名にミステリアスな言葉を合体させたネーミングが特徴なので、そこは追求しない。むしろ追求したいのはその香りだ。ウーロン・アンフィニは、とある有名な香りに似ているとよく言われる。それはあのブルガリ・プールオムだ。では、本当に2つの香りは似ているのだろうか?

結論から言うと、ウーロンを付けたときに立ち上る香りは、ブルガリ・プールオムの香りを知っている方であれば、かなり間違えそうなレベル。それほど印象は似ていると思う。ではどこが似ているのだろう?

それは、ベルガモットの爽やかさと、その下から広がる穏やかなティー・ノート。そして他の香料が織りなすアクアティックな雰囲気の透明感といったところだろう。

ウーロン・アンフィニのトップは、スッキリした心地よいベルガモットの香気と、その下からわずかにフローラルな雰囲気をもったティーノートが主張してはじまる。ブルガリの場合は、トップから高音で透明感あるアルデハイドが、ベルガモットやスモーキーな紅茶の香りを引き立たせる。ベルガモットが強いウーロンに対して、ブルガリは紅茶のコクが強い。

トップから5分ほどすると、ウーロンの方はミドルに移行する。引き続き、高いところで酸味と苦みのバランスが効いたベルガモット、中音でわずかにジャスミンっぽさも感じるティーノート、さらに低音からほんのりとウッディの茶色の雰囲気が顔を出し始める。ブルガリの方は、相変わらずスモーキーな紅茶のノートとアクアティックなくアルデハイドだが、鼻がムズムズするようなペッパーなどのスパイシーノートが感じられ、メンズっぽさが出てくる。ウーロンの方がさっぱりとしていて、女性にも付けやすいライトさが感じられる。

ウーロン・アンフィニの香っている時間は、大体3〜5時間程度。ラストは、わずかにベチバーが感じられるうす茶色のウッディに、シトラスグリーンティーな清涼感を保ったまま消失していく。ブルガリのラストは、紅茶のコクにややソーピーなムスクが寄り添って消えていく。

全体的に見ると、ウーロン・アンフィニは、ベルガモットの爽やかさと苦み、ティーのスッキリ感、ウッディの香ばしさが5:3:2くらいの割合でずっと展開する。これに対し、ブルガリの方は、アルデハイドの透明感、紅茶のコクと渋み、ムスクの清潔感が、2:5:3くらいの割合で主張しているイメージ。つまり、紅茶のスモーキーなコクにこだわったブルガリに比べると、ウーロン・アンフィニはもっとライトで、どちらかというと緑茶に近い雰囲気のティーノートといった違いがある。

え?なんでウーロン茶なのに緑茶っぽいの?そう思われる方もいるだろう。ウーロン茶と言えば、多くの方がこげ茶色のペットボトル飲料を思い浮かべるかも知れない。だが、実際には、烏龍茶はブルーティー(青茶)と呼ばれる茶で、緑色のものからこげ茶色までさまざまな種類がある。発酵度が高い紅茶に対し、烏龍茶は半発酵させた種類であり、発酵度により味も香りも全く異なる。極上の烏龍茶は、緑茶と紅茶の中間に位置する極めて繊細で甘い香りのお茶であり、苦みと渋みが強くてどこか塩素っぽさも感じられる日本の黒いお茶とはかなり異なる。

今まで飲んだ烏龍茶で最も美味しかったのは、台湾土産にいただいた凍頂烏龍茶だ。これは、台湾の特定の高山部のみで栽培される高級烏龍茶の名称で、特級品ともなると100g数万円という品も珍しくないとう。発酵度は日本でよく飲まれる中国大陸産の黒い烏龍茶に比べて20%と低く、そのため味が緑茶に近い。独特のふくよかな蘭の花のような香りと爽やかさがあり、茶湯も澄んだ黄色で美しい。茶葉はコロコロした半球型の黒緑色の粒状だが、台湾茶の作法にしたがい器を温めて二番煎じ茶をいただく頃には、急須の中全体に緑の茶葉そのままの形で広がり、これでもかと詰まっていてとても驚く。

ウーロン・アンフィニは、そんな高級台湾ウーロン茶の清涼感をベルガモットで引き出した香り。いわばウーロン茶版アールグレイ。それは高山の草庵で晴耕雨読する日々に、いっときのくつろぎを与えてくれるお茶の時間のよう。庵の窓外には、灰青色に鈍く輝きはじめた雲海が幾重にも重なり合い、遠く彼方まで広がっている。そのまばゆさに目を細め、茶をすするひととき。

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Ка☆паさん
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