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doggyhonzawaさん
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ゲラン / シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー フィルトル ドゥ パルファン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:50ml・13,860円 (生産終了)発売日:2020/12/1

7購入品

2021/1/30 13:36:53

参りました。素直に。これはすばらしい香り。誰もが是非一度は肌にのせてみてほしい香水。超お薦め。

ゲランのシャリマー・フィルトル・ドゥ・パルファン。この見事なバランス感覚に脱帽。ゲラン5代目調香師ティエリー・ワッサーと彼の調香チームの真の実力を見た。もうワサ夫とか言わない。(←最初から言わないように)

世界初のオリエンタル香水として今なお燦然と輝くゲランのシャリマー。フィルトルはその亜種で、星の数ほども出されてきたフランカーの1本。2020年12月発売の数量限定品。50mlで税込13800円。初めてだ。1本使い切らないうちにもう1本キープかなと思った香水は。

シャリマーは、香りも含めてコーラと共通点が多い。オリジナルのコーラは百年以上前に発明され、今なお世界中で愛飲されている。シャリマーも同様だ。そしてどちらもシトラス、スパイス、ヴァニラなど、多くの共通香料が使われていて香り的にも近い。さらに、チェリーやレモンやシナモンなど、構成フレーバーの一部をあえて過剰投与した限定品を次々に出している点もだ。シャリマーはいわば、薬草と樹脂と花の香りを添えたコーラのような香水だ。

ただし、シャリマーは香水の名作だけあって、亜種作品に対する愛香家の気持ちと鼻は、コーラの味以上に手厳しい。「また亜種か」という冷笑と一瞥が必ずあり、新作の度に「これはシャリマーじゃない」「オリジナルよりピンとこない」など、猛烈な批判に晒される。そして「ワサ夫、何でもオレンジフラワーとホワイトムスク入れてごまかすなよ?」などと言われる始末。(←それは貴方の意見では?)

ともあれシャリマーフィルトル、この作品はどこか超えた。少なくとも自分はそう感じた。では一体、どんな香りなのか?

フィルトルをスプレーする。その瞬間、わきあがる金色の雲。爽やかなレモンの香りに包まれる。同時にほんのりハーバルな清涼感も寄り添っている。フローラル調のラベンダーの香りだ。レモン&ラベンダーは香料的にとても相性がいい。まばゆい春の陽射し。レモン色の雲。吹き抜ける青い風。それらが世界に色彩を与えてゆく季節、春を思わせる明るいイントロ。

5分後、レモンの高い酸味の下からベルガモットのシトラスが広がってくる。ベルガモットは豊かな酸味と苦みを加えつつレモンの黄色い香りを引き継いでいる。さらに、ラベンダーとカルダモンのスッキリ感、甘辛いクローブのほのかにスパイシーな風をはらみながら、春の庭園の様相を呈してくる。光。春の光。植物のシャープな葉の香り、風に揺れる野の花の香り、そして傷ついた樹木が出すツンと甘い樹脂の香り。そんな広大な野に出でて、少女が一人、若菜を摘んでいるようなイメージ。

このトップ〜ミドルは、シャリマーシリーズでいうとパルファム(P)の雰囲気に近い。ベルガモットを過剰投与したPに対して、フィルトルはコーラで言うなら、グラスコーラにレモンを丸ごと一個しぼって入れた超生絞りレモンコークな香りだ。フィルトルは、かなりPのイントロのシトラスの爽やかさにこだわって創っている。そしてこのシトラスが想像以上に長く続いてとても驚く。ミドルは、レモン&ベルガモットが5、ラベンダー1、スパイス1、フローラル1、トルーバルサム1、パチュリ1、的な構成で展開する。この比率が凄まじくいい。PとEDPは、次第にアニマリックとアンバー&ウッディが強く出てきて温度を下げ、艶っぽい夜の密会的雰囲気になるけれど、実際そこが濃厚で苦手という方も多かった。フィルトルは、P前半の爽やかさとスッキリ感をずっと保ち続けている印象。光に満ちた庭園の香り。これはデイタイムシャリマーだ。

やがて30分ほどすると、香りはさらに変化する。このままシングルノートで終焉かと思いきや、まさかのヴァニラアイス大量投入。さらにアイリスの甘いベビーパウダー香添え。レモン色の爽やかさを落とすことなく、白いヴァニラのわた雲な香りが広がってくる。そこにほんのり香るシナモン様トルーバルサムが超絶アクセント。これは悶絶級のクリーミー&パウダリー。そのまま、まろやかクリーミーな香りでドライダウン。付けてから5〜6時間。香り立ちは柔らかく使いやすい。これはPのシトラスとヴァニラを強調して重さを除いた、いいとこ取りの香水だ。

灰色の空の切れ間。突然現れた太陽の光が、雲のエッジを金色に染めてゆく。庭園の緑が鮮やかに色を取り戻す。あたりは瞬く間に光が満ち満ちてゆく。鳥が歌い、花々が揺れ、流れる水音が聞こえる。レモンとハーブと甘いバルサムの香りがしている。少女の白い服がホリゾントの光にまばゆく浮かび上がる。そして移ろうヴァニラホワイトの夢。

それは、太陽も恋する香水。光の庭園の媚薬、シャリマーフィルトル。

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トム フォード ビューティ / タバコ・バニラ オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

タバコ・バニラ オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:30ml・23,100円 / 50ml・37,180円発売日:2012/10/24 (2021/6/9追加発売)

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6購入品

2021/12/31 15:57:45

女がシガー(葉巻)をくわえている。無造作に髪をかきあげ、赤い唇からゆっくりと煙を吐き出す。ロンドンのシガーバー、常連の紳士たちが時折彼女に思わせぶりな視線を送るが、女はただ静かにウィスキーのグラスを傾け、最高の酒とプレミアムシガーの香りに酔いしれている。テーブルランプの灯りに包まれ、紫煙と極上の酒の匂いが立ちこめている。男たちの胸に小さな火が灯りはじめている。

タバコ・ヴァニラの香りも、人の心に火をつけるのだろう。

2007年、トム・フォードがリリースしたプライヴェート・ブレンド・シリーズ初期の名作。50mlボトルで現在31900円。当時は「こんな価格は高すぎる!」と大騒ぎしていたが、いつの間にか持ってしまっている。げにおそろしや香水沼。ただ、今もこのシリーズの価格はおしなべて高いとは思っている。物によっては4万円を越える作品もあるし。

さて、そんなタバコヴァニラ。今年伊勢丹サロンドパルファンで、老舗キャロンが新しくリリースしたタバック・エクスキが異常なほど大人気だったことから、巷にタバコノートの大ブームか?と思い「そういやタバコヴァニラ全然使ってなかったな」と引っ張りだしてきて使ったら、前述の古い映画の1シーンを思い出した。いい女に極上のシガーバーは似合いすぎる。

タバコヴァニラをスプレーする。その瞬間、芳醇な洋酒を一口すすったような、強烈で複雑な香りに包まれる。のっけからKOパンチ並の出力、改めて恐れ入る。

鼻の奥に突き刺さる甘く辛い香り。まず感じられるのはシナモンだ。すぐさま下の方から、じんわり湿った苦味の強い香りが一気に広がる。あー、これタバコの箱を開けたときのくぐもった匂いだ。続けて、スパイスがこれでもかと次々にやってくる。スッと冷たいカルダモン、甘く痺れる苦味のクローブ、ナツメグのホットなドライスパイシー感も出てくる。もうトップからエンジン全開な感じ。強烈スパイシームーブなトップ。そしてこの香りが8〜10時間ほど続く。超ロングラスティング。ヴァニラ?そんなものは見あたらない。騙されてはいけない。これはタバコヴァニラではない。スパイシータバコと名前を変えた方がいい香水。

とはいえ、前述のスパイスと暗いタバコノートだけでこんなに漆黒な香りができるはずはない。何か決定的な香料がこの作品をやたらと真っ黒にしている。もともとこげ茶なタバコノートだけじゃない何か。おそらくそれはビターチョコの風合いをもったカカオ系の香料だろう。

チョコというと甘いイメージがつきまとうが、ここで使われているのは真っ黒なカカオの苦味ばしった香り。ミルキーさはない。ただ若干のクリーミーさはある。それも茶色いこげたクリーミー。これがこの香水のヴァニラの正体だ。タバコヴァニラに使われているヴァニラは、同シリーズのヴァニラファタールにも使われているような、焦げたスモーキーヴァニラのようだ。それがラストあたりでほんのり感じられる。ほんのりだ。

それでも

この超絶ワイルドなスパイス&暗いタバコな香水には、切なくマイルドなハニーの甘さがずっと続いていて、心にやきつく。なぜならその蜜の香りが、クラフトコーラやスパイスチャイを思わせるからだ。そこに秘めやかなシガーの煙が濃厚に漂っている。甘く、辛く、苦く。心をシビれさせていく。

出力が高く、ひときわ強いスパイシーさとタバコノートを持った香水、それがタバコヴァニラだ。ヴァニラを感じることは少ないが、それでも人の心に炎と爪痕を残すには十分な香り。かなり男性向けの黒さ&暗さではあるが、女性でこの香りが好きな方も多いようだ。使いどころとしては寝香水にしているという声をよく聞く。こういう強い香りは、男性ならウェスト、女性なら内腿あたりにつけると、香りが揮発して上るうちにマイルドになっていい。そうすれば茶色いヴァニラが柔らかく効いて、かなり扇情的になるだろう。むろん誰かさんの言った「香水はkissしてほしい場所に付けるのよ」といった意味合いも含めて。

シガーバーの男性客たちが、いよいよ色めきたっている。女が脚を組み変えるたび、紫煙がゆるやかに男たちの元へ流れてゆく。それは甘いハチミツのようで、ダークチョコのようで、男たちの心をときめかせる。けれど誰一人、席を立って彼女を口説きに行くことができない。その隙のない身のこなしと、あまりに男性的でスパイシーな女の香水が男たちを躊躇させている。きっと立派な連れが遅れて来るのだろう。どんな男があんな美女をベッドに連れて行けるのかと、暗い炎に身をこがしながら。

女の唇に微笑が浮かぶ。フロアに女の香りが立ちこめる。

それはタバコヴァニラ。漆黒のワイルド&マイルド。

今宵この黒い煙に 心震わせて眠れ

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ディオール / ミス ディオール ブルーミング ブーケ オードゥトワレ

ディオールディオールからのお知らせがあります

ミス ディオール ブルーミング ブーケ オードゥトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・9,240円 / 50ml・14,520円 / 100ml・20,350円発売日:2008/7/25 (2023/2/3追加発売)

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4購入品

2021/3/20 10:50:23

春風に誘われて、新しい服に袖を通す。鏡の前であれこれとコーデを試す。真新しい靴をおろして、街をそぞろ歩きしたい。

春は女性の装いが最も華やぐ季節だと思う。水がゆるみ、風が命の芽吹きの香りを運んでくる季節。春らしい装いには、花咲く頃に似合う香りがある。これは自分的には最も距離を置いている香水だけれど、女性にはとても人気のある作品。ミスディオール・ブルーミングブーケ。

では、どんな香りかというと(←早いな)

トップ。つけた瞬間、スッと冷たいアルコールの揮発がある。賦香率がオードトワレなのでそれは折り込み済み。それでも鼻にツンとくる感じではない。むしろそのアルコールの冷たい揮発に載せて、ほんのりミント様の清涼感が抜けていき、心地よい。青いグリーンもかいま見える少しクールなイントロ。まだ肌寒い早春の風を思わせる開幕。

5分後、わずかな甘さを伴ったふんわりピンク色のフローラルが広がってくる。ピオニーのアコードだ。クレジットによるとダマスクローズとのミックスのようだけれど、ピオニーノートの柔らかいフェミニンフローラルが7、ローズの青みと高貴さが3といったイメージだ。バラの香りは思ったよりも複雑な香気を多く含み、成熟した女性を思わせる強さもあるので、そこをかなり抑えて若い女性の可憐さやナチュラリティに寄せている感がある。

このフローラルアコードの出来ばえは秀逸だ。ピオニーは自然の花からは抽出できない香料なのでアーティフィシャルだが、とても自然に感じられる。ダマスクローズの軽やかさがこのピオニーに自然な花のエッジを与えているよう。ちなみにディオールから2021年1月に発売されたリップスティック「ディオール・ルージュ」の香りも、ピオニーにザクロフラワーを添えることでナチュラリティにこだわっている。「ディオールは花」というデザインコンセプトは一貫していて、その中で若い女性に向けてピオニーやサクラなどのライトなフルーティーフローラル路線を展開しているのが今のディオールだ。

付けて1時間ほどすると、ピオニーの香りにあたたかみのあるソーピーな感じがつながってくる。ホワイトムスクの香りだ。この2つが華やかさと清潔感を演出しつつドライダウン。人にもよるが2〜4時間ほど続く。付け方はウェスト左右1プッシュでいい。体温で温められた香りが、胸元や袖口から少しずつ上気してくるのを楽しめる。ただしトワレ濃度なので「これじゃ全然匂いがしない」という方はデコルテあたりにプッシュするといい。立ち上った香りが顔や髪のあたりから時々ふっと香る感じでベスト。手首や耳の後ろはあまりおすすめしない。タッチは柔らかいけれど、香りじたいはとても強いからだ。香水はさりげなく、やわらかく、がいい。

春。真新しい靴。春めいたスカートコーデなどで少しレディライクに。そんな軽やかな装いなどに似合う香りだと思う。肝心なのは、これが若い女性だけに向けた香りではないということ。中性的な雰囲気の男性、そしてどの年代の女性がつけても全く違和感がない優れた調香だと思う。よく妙齢の女性が、「香りは可愛らしくていいと思うけど、若い人向きね」と敬遠することがあるけれど、それはもっとチープで甘ったるいベリー系の香水だけだろう。ディオールの香水に関しては、フランソワ・ドゥマシーという世界屈指の調香師が作っているので、どんな女性にも似合うようバランスがとられている。ボトルのシルバーリボンは、全ての女性への贈り物という意味だ。もちろん、初めて香水をつける方にもちょうどいい優しさも忘れていない。(←ほんとお前からは遠いな)

歴史的名香ミスディオール。香水沼には「亜種は論外」という方もいるだろう。それでも香水は時代とともに、人々のニーズと共に変わる。ブルーミングブーケは、よくできたフルーティーピンクの花の香りだ。ほんの少しの甘さと苦み、そしてダマスクローズのふくよかさをあわせもった可憐な香水。価格は30mlボトルが6600円(税抜き)。若い方はプチプラ香水を手にする機会も多いと思うが、値段的に大差なくても、こちらは世界最高の調香師が作ったライトな香水。ぜひ試してみてほしい。そのへんのコピー香水とは香料が違うから。

「誰にでも好かれる香り」なんてものはこの世に存在しない。それでも、多くの方に好かれている香りというのは実際ある。そこにはそれなりのよさが確かにあるものだ。

金色の太陽。新緑を揺らすさわがしい風。花々が咲き乱れる命の始まりの季節。髪が揺れるたびにふんわり香る、心ときめく花の香り。それはディオールが作る愛の花。

「あなたは愛のために何をする?」

ミスディオールブルーミングブーケは、あなたの心にそう語りかける。

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ラルチザン パフューム / シャッセ オ パピオン オードトワレ

ラルチザン パフューム

シャッセ オ パピオン オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・22,220円発売日:-

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5購入品

2021/2/13 12:17:55

「ねえママ、リボンにママの香水つけてー。」
「香水?あ、シャッセ・オ・パピヨン?」
「うん。あの匂い、だーい好き。つけてつけてー!」

ちょっと待ってね。そう言ってドレッサーから香水を取り出す。金色キャップのシャッセオパピヨン。そう言えば、最近つけてなかった。そう思いながらソファーに戻る。

座った瞬間、娘がひざの上にドン!と座ってくる。重っ!!いつの間にこんなに重くなったの?こんなんで来月のバレエの発表会、大丈夫かしら?目の前にはポニーテールをまとめたブルーのリボン。そのリボンにシャッセオパピヨンをスプレーする。娘はパッと立ち上がり、ピルエットでクルクル回り始めた。その瞬間、ふわふわとシャッセオパピヨンのフレッシュフローラルの香りが広がる。ああ、やっぱりいい香りね。リビングに春の日射しが差し込んでいる。その明度が一段階上がったような気がした。

シャッセオパピヨン。1999年発売。調香師はアン・フリッポ。香調はフレッシュフローラルブーケ。持続は5〜6時間。表参道の路面店に通いつめていたOL時代に買った香り。

あの頃のラルチザンは、詩的な作品が多くて本当に素敵だった。金メタルのキャップ。色とりどりのラベル。とりわけピンク色のラベルのシャッセオパピヨンは大のお気に入りで、「これぞ自分の香り」とばかりに何本もリピした。夫と初めてデートしたときにもつけていた香り。そして娘が生まれてからもずっとつけてたけど、それでも最近はとんとご無沙汰してた。そりゃま、いろいろご無沙汰な年だし(笑)。40才過ぎて、何となく香りが自分に不釣り合いな気がして。大体いい年して「ちょうちょをつかまえて」って、ちょっと痛い気もする。

それでも。娘はこの香りが大好きだ。シャッセオパピヨンをつけていると「ママのにおい〜」っていつも抱きついてクンクンしてた。そしてときどき、こうやってリボンにスプレーしてあげるようになった。

白いリビングに、シャッセオパピヨンのトップの香りがふわふわ漂っている。それは柔らかくて濃厚なチュベローズと、爽やかなグリーンのガルバナムのミックス。緑の庭。そこに白い花の香りだけがそこはかとなく漂っている。その在りかを探して緑の園をさまようイメージ。蝶のようにひらひらと、美味しい花の蜜を求めて。

蝶は緑の葉と木々の間をふわりふわりと漂っていく。庭の奥からオレンジの花の香りもしている。爽やかで心和むしっとりした白い香り。心が癒される。そして森の入口に立つ、見上げるほどの大きな菩提樹。その梢に咲いた黄色いリンデンの花から、ほんのりマスカットのような甘くて冷たいハーバルな香りがしてくる。これらのロマンティックな花々の香りの奥に、本当に強く惹かれる白い花の香がある。それがチュベローズ。きっと森のどこかで夜を待ってひっそり咲く花。そのややプラスティックなファセットも感じる強い香りが、静かに大胆に、緑の園で舞っている。そう、最初はアダージオ、そしてグランアレグロ…!

そのとき、ゴン!アゴに激痛が走る。痛ッ!!踊り疲れた娘が急に胸に飛び込んできて、小さな頭がアゴを直撃した。ボクサーなら一発で沈むやつ。なんて言ったっけ、アッパー?だからやめてって言ってるでしょそれ!!思わず頭を軽くペチンとしようとして、不意に手を止める。

「…ごめんなさい」と上目遣いに見る我が子のつぶらな瞳。ひとしきり踊って汗ばんだ額の匂い。そっか。また急に抱っこしてほしくなったんだね。その瞬間、頬がゆるむ。

「んー、もう!!」

娘をぎゅっと抱きしめる。その小さな身体を腕全体で受け止める。

大っきくなったね。重くなったね。でも、この重さがうれしいよ。

抱きしめた娘の青いリボンから、シャッセオパピヨンの香りがしている。柔らかくて涼しげで、ふんわりしていて春の花を全部花束にしたように。うん。あげるよ。ママの心の花束、全部あなたにあげる。そして私は、娘の小さな耳元に囁く。

「つかまえた。もう放さない!」

娘がじたばた暴れる。本当に心から嬉しそうに。キャッキャ騒いで。


そこは緑も何もない日だまりの白いリビング。それでも私は今日、可愛らしいちょうちょをつかまえた。

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Puredistance / No.12

Puredistance

No.12

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2021/10/9 11:55:41

ナンバー・トゥエルヴ。ピュアディスタンス12番目の使徒。この香水をつけると、体温でなめらかに溶け出し、ソフトでリッチな香りが肌とひとつになり、甘美なオーガズムをもたらす。この香水には、たとえ拒もうとしてもどこかあらがえない不思議な力がある。No.12。これはあなたの肌とSEXする香水だ。

No.12を肌にのせる。その瞬間広がるのは、シアーでスパイシーな風。カルダモンの透明な清涼感、コリアンダーの温かみある香り。それらが荒波のようにはじける。紺碧の海からスパイスミックスの波しぶきが押し寄せる。冷たく温かい背反したスプラッシュ。彼方には斜陽の黄色い光がぼうっとかすんでいる。それはベルガモットの酸味。ヘスペリディックの風が波をうねらせ、押し上げているトップ。

やがて香りの気配が真夜中の庭園のように思えてくる。深く青い闇が、秘密のささやきに満ちた森を黒く染めている。まばゆい月の光が、木々の葉や庭園の花々をぼうっと青く浮かび上がらせている。

青白い薔薇がかすかに揺れている。エレガントでクールな、孤高の薔薇の香りがしている。あたりにはセンシュアルなジャスミン、フルーティーなイランイラン、クールなゼラニウムの香りも漂っている。その月明かりの庭園を歩く。スパイスの風を胸に、青いフローラルミックスの花園の香りに心を酔わせながら。

時間がたつにつれ、森の気配が強くなる。黒い森の上方に、金色にライトアップされた聖堂のファサードが浮かび上がる。その金の威容と、暗闇の庭園に咲き乱れる花々の青が、美しいコントラストを醸し出す。歩を進めるたびに、あたりにはパチュリの湿った土のスパイシーと、モスのビターインクの香りが濃くなってゆく。次第にメランコリックな気配が強くなる。

自分の肌からスパイスとモッシーとホワイトフローラルと薔薇の香りがしている。そのミドルに酔いしれる。そしてそこには、秘めやかな快楽に堕ちてしまう懺悔のブルーの色が添えられている。

時計台が真夜中の12時を静かに告げる。12番目の使徒は白い香りに包まれる。自身の快楽への堕落も、心からの懺悔も包み込むように、ほんのり甘くふんわりとしたアイリスのパウダリーな香りに抱かれていることを知る。見上げると月が主のように自分を照らし出している。甘いヴァニラの光を投げかけ、いよいよ白くなって青い闇夜の中に浮かんでいる。時は止まり、スパイシーフローラルの残香が、白い月のパウダリーと青いムスクの空に静かに流れ、夜はふけてゆく。

つけてから8時間。夢のように香りはたゆたい、サファイヤブルーの背景に彩られた風景を次々に見せてくれる。きっとNo.12は最高の寝香水になるだろう。この香りはスパイシー&フローラルを基調としながら、ラストは白くパウダリーに終息してゆく。リッチではあるが派手でなく、センシュアルであるが扇情的ではない。肌にのせるたびに、毎回違った快楽がおとずれ、どの香料も突出せず、見事シームレスに溶け合っている。

シアーで、アンニュイで、ほんの少しセンチメンタルで。クールでフェミニンで、エレガントでシャープ。クラシカルなのにモダン、タイムレスかつシック。そして何よりビューティフル。そんな12の形容がふさわしい、とてもとらえどころの難しい香水。

ただ 美しいブルーだ。

オランダ初の香水ブランド、ピュアディスタンス。このたび、正式にピュアディスタンスジャパンが正規代理店として認証を受け、商品はe-storeの注文を受けて日本から発送される流れとなり、よりホスピタリティがグレードアップした。日本ではまだ実店舗に商品を置いているところはないが、ぜひ実現して、誰もが気軽にこの作品群を試せる時代になってほしいと心から思う。

なぜなら一度でもサンプルセットでも購入してみれば、理由はすぐ分かるはず。その対応の迅速さ、パッケージングや封入物の豪華さと丁寧さ、そして何よりフォス社長のセルフポートレートのドヤ顔(←それは毎回苦笑)。彼らは家族単位ほどの気心の知れたメンバーで、じっくり時間とお金をかけて本当にすばらしい香水を作り、世界中の一人一人のお客様に対して心を込めて商品を届けている。はっきり言って、そのへんの香水屋さんで買うときの何倍も大切に接客をしてもらってる感がある。そこだけはぜひ言っておきたい。

だから「すばらしいな」と心から思う。

この作品でこれまでのシリーズは一応の完結を見た。といった所だろうか。ただ12番目の使徒の役目は「裏切り者」ではない。それは、新たな伝説へ進むためのメッセージを託した「場面転換役」だと自分は思う。


No.12。Beauty in Blue。汝のなすべきことをなせ。この青き美しさに、御身を重ねたまへ。

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quick♪*さん
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プロフィール
  • 年齢・・・26歳
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  • 髪量・・・普通
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  • 血液型・・・A型
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自己紹介

コスメ沼のほとりで戯れる。最近はセルフネイルに凝っています。 パーソナルカラーは8分割のプロ診断で春パステル、セカンドが夏クリアで、やや色白です。骨… 続きをみる

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