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2020/1/15 06:51:52
アクアサクラエハンドクリーム現品とサンプルサイズのこちらリサンドラがセットになったプティデュオを購入しました。
スプレーした瞬間はアルコールがきつく鼻を刺しますが、すぐに引っ込みます。アルコール臭が飛ぶと、リマーカブルパルファムシリーズのパルマローラに近いなと感じました。ほろ苦さを伴う、奥ゆかしくも華やかな甘さで上質な石鹸のようなジャスミン。
これがほんの1分もしないうちに、どこかイチゴのような甘酸っぱくフルーティな香りがしてきます。ほろ苦さを伴ったままで、まるでシャンパンに付け込んだイチゴのような、ストロベリーマティーニのような。大人なパウダリーフローラル(+ちょっとフルーティ)。
徐々に徐々にゆっくりと柔らかく丸く優しくなりながら、けれどほろ苦さをずっとキープしたまま。甘くない優しさというか。構って構って甘やかす優しさでなく、遠くからでもずっと見守り続けてくれる優しさという感じ。1.5ml のサンプルを半分ほど使いましたが、まだ捉え切れていない、掴みそうで掴めないちょっと謎めいた香りです。素敵。
パウダリーもフローラルも今あまり好きではないので説明を読む限りではいまいちピンとこない香りだったのですが、使ってみると自分でも意外なほど好きかもしれません。甘さが上品ですっきりしていて使いやすい。
シンギュラーオーデパルファムシリーズは賦香率 15% で、18% のリマーカブルパルファムシリーズよりやや淡めの設定です。けれど持続時間もシヤージュも特に差は感じません。よく持ちますし、ほどよいシヤージュ。
リマーカブルパルファムは植物学者ルイ・フュイエが旅で寄港した世界各地の香りを再現したシリーズですが、対してシンギュラーオーデパルファムはフュイエが記してきた動物たちの記録にインスパイアされたシリーズです。植物学者で画家でもあったシャルル・プリュミエに学んだフュイエは、旅した先々で植物や動物を詳細にスケッチしています。彼が残した絵のうち特に有名なのが、1708年8月26日にブエノスアイレスで見ることを許可されたという雌羊から生まれた人間の子ども・馬・子牛に似た一つ目の怪物で、「フュイエの怪物」と呼ばれています。
リサンドラの香りが描くのは蝶。自然が目を覚ます朝の柔らかな光の中、風に乗った蝶が喜びに羽を広げ、鱗粉をふりまきながら花々の間を舞う、という情景だそう。核をなすのはジャスミンとマンダリン、それにラブダナムのヒント。だそうですが、正直ジャスミン以外はよくわからないというか。。どこかほろ苦いなと思っていたのはマンダリンの皮なのかな…。
担当調香師はフレグランス界の新星との呼び声高いジェローム・ディ・マリノ。スーパーアイドル、フランシス・クルジャンのお弟子さんです。師としてなかなか厳しいそうで「なぜその香料を入れようと思ったか」について明確な答えを求められるんですって。あまりそんなイメージがなかったので新鮮でした。
インタビューをいくつか読んで面白いなと思ったのは、調香師になるに至った道程です。元々建築デザインの方面を夢見ておられたそうですが、諸般の事情で諦めたと。それで化学を専攻してみたものの、クリエイティブでいることを諦められずフレグランス業界ならば化学分野を生かしつつそれが叶うということで調香師になったというあまり見ないタイプ。それゆえか、公と私をしっかり分けておられ、どのインタビューでも「ブランドのために調香するとき、僕の好みや考えは重要ではありません(クライアントの希望が優先)」というようなことをはっきり仰ってます。
こういうのが好きなので、担当調香師を明かしてくれているのは本当にありがたいです。
以前は英語版すらなかったのに、いつの間にか公式サイトの多言語サイトに日本が追加されていました。末永く日本で販売してくれたらいいなと思います。
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2024/5/4 22:26:42
チェリースモーク買ったらサンプルくれたので‥
欲しい香水のうちの一つだったため自身へのリマインドとして書き記しておきます。
バニラと白檀の組み合わせの、最強無敵ノートであることがまず最高。
それに合わさったトンカビーンとアーモンドがトムフォード味を醸し出してます。
そもそも、バニラと白檀の組み合わせ自体がなんとゆーか、菩薩感があるんですけど(ウードの寺感にバニラが人の形、柔らかさ、穏やかさを足してそうなる)、グタールのバニーユエクスキーズとかほんとそうで、無欲かつ人類愛を感じる匂いなんですよ。
だけどこのバニラセックス、すごい煩悩を感じる匂い。
多分トンカとアーモンドがちょっとエロいんですよね。アマレットってお酒を飲んだことがある方だとわかると思うんですけど、洋酒っぽさが人体への馴染み良さと芳醇さをプラスしてとんでもない矛盾した何かになってるんですよね。解脱してるようでとんでもなく性的。
この矛盾が頭を混乱させて、一筋縄ではいかない香りこそトムフォードだと痛感します。
バニーユエクスキーズ気に入ってるのにこれ買うと使わなくなりそうだから一旦控えるけど、冬になったら我慢できないかも。
あと、構成がロストチェリーのそれだから、きっとみんな好きな匂い。
ロストチェリーよりは食べ物感が少ない。
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2023/1/12 18:10:15
いい塩梅に南国感でてます。
いつどこでまとっても、1メートル四方に小さな常夏の楽園を作りだしてくれる、そんな感じの香り。
仮にこの「常夏」の部分を「春」に置き換えたなら、それは私にとってラルチザンのカリーニャってことになるわけですが……ともあれ、そういう類の香りは貴重です。
無理なく通年使えて、ブレない、裏切らない。無遠慮な季節の風からかばってくれる、ささやかな箱庭、あるいはシェルター的な?
中心となる花部分の香りは、率直に言って「自分の香り」という感じはまったくしませんでした。
あくまで個人的な感覚ですが、なじみやすくも親しみやすくもなく、どちらかというと突き放したみたいな強さや輪郭の濃さがある。
でもその違和が、斥力が、逆に「楽園」を作りだしているようにも思います。
「日常」とか「自分」とかってものから、秒ではじき出してくれるって意味で。
(「楽園」なんてもの、番地がどこであれ、「ここ」からきわめて遠い場所であることだけは確かな気がしますしね。)
わずかに青ささえ伴った鮮やかなフランジパニのアブソリュートは、紛れもなくこの香りの前半の主役。そして、上澄みみたいに純粋で甘いイランイランエクストラ。イランイランは「花の中の花」という意味だそうですが、蒸留によって得られる最初のエキスたるエクストラはいわば、「花の中の花、の中の花」ってところでしょうか。もうほとんど花のイデアですね笑
ふたつの花の香りはどちらもサリチル酸を含んでいて、それは多くの日焼け止めとも共通している。これらがマリンソルトアコードとあいまって、目映い日差しに照らされた空想上のビーチを想い起こさせるのでしょう。
そして、光と色の奔流を抜けて辿りついた楽園の夜は、美しくなめらかなバニラのラスト。それはもう、ただただ穏やかで幸せな……。
(ここまではっきりバニラが単離されて感じられるバランスというのは、個人的にすごくうれしかったりします。)
相反するものだとか異なるもの同士は、なんというか、結局のところなめらかにつながっていて。浜辺と野原、花と肌、旅と日常、遠くと近く……。
とりとめのないレビューになりましたが、きっとこの香りはジャン=クロード・エレナが思い描いたとある空想の香水と少なからぬつながりを持っているのだと、どこかで読んだどなたかのお説に私も深く同意するものです。
10mlサイズが有難くてクヴォンの香りはいくつも試していますが、今のところこれがいちばん好きです。
(何につけても万人に薦められるものなんてない、ってことで、原則☆7はつけないことにしてるのですが、これは自分の中でだけなら、7でもいいかな……。)
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