2019/6/30 11:31:03
巷には安っぽいローズ(風)の香りが溢れている。
そういうチープなローズから開放されたい、、、。
そして本物のローズの香りを感じたい!
いやいや最高のローズの香りを堪能したい!!
そういう時に決まって手に取るのが、このローズ デ ヴァンだ。
ローズ デ ヴァンには3種類のローズが使われている。
なかでも柱となっているローズこそ、co2抽出されたグラース産ローズ ド メイで、このローズはヴィトンしか持っていないマテリアルであり、そして本当に素晴らしい香りだと思う。
表参道ヴィトンで、co2抽出されたローズやジャスミンのオイルを実際に嗅がせていただくたびに、その奥豊かな香りに感動する。特にローズは、華やかさとハチミツのような甘さも合わせながら、さらに雑味を取り除いたクリアな香り立ち。通常のローズアブソリュートと比べて棘感がまるでなく、フルーティな甘さのコクも深い。素晴らしいの一言に尽きる。
そしてローズ デ ヴァンは、その伝家の宝刀のローズを存分に楽しむことができる香りに仕上がられている。
トップはローズ-レザリー。まずスプレーすると、オリスのレザー調やピリッとしたブラックペッパー、そして華やかでクリアなローズ ド メイ。オリスやピンクペッパーをアクセントとした、とてもクールなローズの香り。レザー調の焦げたような印象と華やかなローズの組み合わせが、まるで赤色の革ジャンのような雰囲気で、とても格好いい。
ミドルはローズ-フルーティ。そこから、ローズの甘さというよりも、トロピカル調のピーチの甘さや、柔らかなグリーン調のピオニーが香ることで、一気に可愛らしくなる。この香りに触れると決まってドギマギしてしまう。奥からは、魅惑的なオットーローズオイルとウッディの華やかな香り。特にローズは奥の方からどんどん香ってくるため、素材の良さを感じる。
クールなローズと、可愛らしいフルーティフローラルと、奥からは魅惑的なローズが重なり合う香り。「まるで呼吸しているかのように、風に揺らめくバラたち」は、その時の風の温度や湿度によって香り方が異なる。梅雨時の今であれば、ピーチの甘さがしっかり立つことで、キラキラと明るいローズを楽しむことができる。
ベースはウッディ-アンバー。アンバーやラクトンの甘さ、さらにはセダーウッド、オリスルートがローズの残香を支える。最後はフルーティなローズとウッディを、ムスクが柔らかく包み込んだ香りに。
ヴィトンの70年ぶりのフレグランスを任された調香師のジャック・キャヴァリエは、真っ先にローズやジャスミンの畑を押さえに行ったらしい。さらにはその最高の素材をどうやって抽出
すれば最高の香りになるのか、香料会社(?)で抽出を専門とする彼の兄と二人三脚で取り組んだ結果、このco2抽出されたローズや、タービュレンスのジャスミン、ダン ラ ポーのレザーエッセンスなどが生まれたとのこと。
ローズ デ ヴァンは、潤沢な資金と飽くなき情熱が注ぎ込まれた最高のローズを、調香師の技によって、そのローズをしっかりと感じながらも、かつどんなシチュエーションでも使えるような汎用性の高い香りに仕上げられている。ヴィトンの新たな香りの世界の羅針盤として、ローズ デ ヴァンを第一の香りにしたことに、このフレグランスへの自信を感じ取れる。
でも、ローズ デ ヴァンを肌に乗せるたび、ああ、この香りは女性にこそ似合うと感じてしまうのも事実。
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レ ゾー ドゥ シャネル パリ ビアリッツ オードゥ トワレット (ヴァポリザター)
容量・税込価格:50ml・14,520円 / 125ml・20,900円発売日:2018/6/1 (2019/6/1追加発売)
2019/6/17 00:34:55
シトラス系の香りが好みで、夏場に限らず、それこそ冬場以外はシトラス系の出番が多い。
さらに嗜好性重視で、清潔なシトラス-フローラルの香りであれば間違いなく好みのカテゴリーに入ってくるのに、このパリ ビアリッツはしっくり来ない、、、なぜだろうか。苦手な瓜系でもないのに。
レ ゾー ドゥ シャネルは、ガブリエル・シャネルの人生に深くかかわる地からインスピレーションを得て誕生したシリーズで、なかでもパル ビアリッツは、シトラスやグリーンを効かせたとても嗜好の良いフレッシュフローラルの香り。同時発売の3品のなかで、初見でも個人的にはもっとも好みだった。ただしキャタクターはかなり薄め。
ところが使い続けるうちに、嗜好重視、キャラクター弱めというよりも、わざとピントをぼかして作られているのでは、そのモヤモヤしている点にしっくり来ないのではと感じてきた。
トップはシトラス。果皮感の強いピリッとしたグレープフルーツに、少しフレーバーのようなジューシーなオレンジをミックスさせたシトラスの香り。思った以上に果皮感が強く、どちらかというと和柑橘のイメージに近い。
ミドルはグリーン-フローラル。オレンジの甘さや果皮感を残しながら、まろやかなミュゲやネロリのフローラルノートが香る。果皮感から移ろったグリーンが、特にミュゲの水っぽい感じをフレッシュでみずみずしいフローラルに仕上げている。
ベースはムスキー。果皮感やグリーンをしっかり残したミュゲの残香に、淡いムスクが柔らかく包み込んでいるような香り。
トップとミドルの香りをムスクが覆い隠してしまう流れで、肌に乗せると3-4時間持続する。
ムエットではシトラスやグリーンがはっきり香るため、水っぽいフローラルと合わせることで、爽快で清潔なフローラルとなり、とても嗜好が良い。
ところが、実際に肌に合わせてみると、途端に淡さが倍増して、特徴だったフレッシュ感が霞んでしまう。良く言えばどこか都会的で洗練されたイメージ、悪く言えばわざと上品ぶっていて付け心地が悪い。
おそらく、ゼクスクルジフの新作1957と同じように、複数のムスクを重ね合わせることで、トップ、ミドル、ベースそれぞれにフワッと柔らかい印象に仕上げたような香り。しかし1957は、ウッディやスパイシーやフローラルやシトラスのバランスが良く、それらをムスクでまとめることで、現代的で洗練された印象を受けたのに対して、パリ ビアリッツでは特にトップにムスクを効かせすぎることで、せっかくのフレッシュフローラルを上品にしすぎてしまい、結果として、個性を殺してしまっているように映る。
フレッシュでみずみずしいフローラルの香りであれば、パリ ビアリッツよりも先に発売されたヴィトンのル ジュール ス レーブの方が香りがはっきりしていて好みだ。
このレ ゾー ドゥ シャネルといい、1957といい、マドモワゼル・シャネルの愛した場所とか時代とかテーマにしながら、彼女のイメージに重ならない。果たして、シャネルはそんなお上品な香りが好みだったのだろうかと思ってしまう。
この柔らかさ7割、フレッシュさ3割の香りは、フレグランスよりもボディローションの方が向いているのではと感じる。
それと50ミリを出すのであれば、最初から出してよと言いたい。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2019/6/11 00:38:03
先月、オランダのパフューマリー、ピュアディスタンスの創業者ヤン・エワウト・フォス社長の来日イベントに参加する機会を得た。
ピュアディスタンスは、真の美しいマスターパフューム(名香)をつくるため、パルファム(エクストレ)濃度にこだわっており、全ての香りにその賦香率が記されている。
今回のイベントで入手したアエノータス(2019年)はピュアディスタンスの最新作であり、フォス社長が自身のシグニチャーセントとして、制作に3年も費やした香りで、その賦香率はなんと48%!
私が持っているフレグランスのなかで、間違いなく最も賦香率の高い香り。
トップはシトラス。フレッシュなレモンのすぐ後から、かなりビターなユズが力強く香る。シトラスというよりも、もはやグリーンやウッディに近い。この非常に苦いユズに、オレンジの甘さを添えたシトラスミックスの香り。奥から乾いたウッディノートがほんのり香る、とても男らしい幕開けだ。
ミドルはグリーン-シプレ。シトラスの爽快感から酸味への移ろいを、これもまたウッディ調グリーンの強いプチグレンがビターに香ることで、力技で仕立て上げているような印象。濃いプチグレンの一言。合わせてミントや甘さを抑えた青みの強いカシスのアロマティックな香りや、オークモスやパチョリ、さらにサンダルウッドのシプレウッディが、全体に男らしいキレや複雑な深みを与えている。
ベースはウッディ-ムスキー。グリーンの効かせたシプレウッディを、パチョリとムスクが柔らかいセクシーな印象で包み込む。
賦香率の高さから、持続力もハンパなく、余裕で一日中持つ。逆に夜につけると、ミドル以降の香りを持て余してしまうほどだ。
キリッとビターなシトラス-ウッディに、柔らかいシプレムスクを合わせることで、クールな男らしさと大人の余裕を、強引に力技でねじ込ませたような香り。さすがはピュアディスタンス、今まで出会ったことのない個性あふれる香りだ。
イベンドでアエノータスの開発ストーリーを聞くことができた。
フォス社長は、新作は自分自身のための香りを作ろうと考え、調香師のアントワーヌ・リーにこうオーダーした。
テニスを終えた後に付けたくなるようなフレッシュなシトラスの香り。
でも、シトラスの香りがすぐに消えることなく、そのまま肌になじんでずっと残るような香り。
当初、アントワーヌ・リーは、そんな香りは作れるわけないと答えたらしいが、3年という時間をかけることで、アエノータスは誕生した。
実際にアエノータスの香りに触れてみると、調香師が持てる情熱とエネルギーを注ぎこみ、さらには力技と驚異的な賦香率を駆使することで、フォス社長の想いに応えていることに気づく。
以下、ピュアディスタンス日本語版総合カタログより抜粋。
ピュアディスタンスは、フレグランスとしては最も濃度の高い、希少なパルファム(エクストレ) 濃度の香水だけを提供する世界で最もエクスクルーシブな香水会社のひとつです。私たちは 真の美しいマスター・パフューム(名香)をつくるため、持てる情熱とエネルギーすべてを注いでいます。ほかの何物でもない、魂と個性を持った香水、ただそれだけをつくるために。
ピュアディスタンスは流行を追いません。
私たちの願いは、抑制のきいたエレガンスとタイムレスな美しさを、真のエクスクルーシビティを手から手へと届け続けること、それに尽きるのです。
あなたが手にするピュアディスタンス製品には、私自身がひとつひとつ署名しています。このかけがえのない人のぬくもりは、現代においてもはや叶う事の少ないものかもしれません。私たちは謙虚に、しかし誇りをもってハイエンドなラグジュアリーをお届けしています。
私たちのゴール、それはあなたの人生に、もう少しだけ美しさを添えることです。
私はピュアディスタンスの香りと、魂と個性を持った香りを創り出すその姿勢に、リスペクトする。
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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:30ml・9,460円 / 100ml・19,030円発売日:2018/9/7
2019/6/2 11:47:01
正直、心を掴まれるような傑作が見当たらないジョーマローンの香りを、定期的に入手してしまう。
ジョーマローンの香りは、傑作はないけれど佳作は多い、独特な世界観とキャラクターがある、似た香りがない、だから手に入れる、でもすぐに飽きてしまう、そんな繰り返しだ。
昨年発売された、ハニーサックル&ダバナをかいだ時も、今までなかったようなタッチで、かつ初夏に似合うようなフローラルの香りと感じた。
トップはフルーティ-グリーン。まずスプレーすると、バナナに似たフルーティなべたっとした甘さが立ち込めるが、すぐにハーバルグリーン調なアロマティックな硬さが加わり、濃いグリーン色のバナナのような香りで落ち着く。
ミドルはフローラル。トップの硬く甘い印象を残しながら、ミュゲの水っぽいフローラル感を抑えて青っぽさ加えたような、ハニーサックルの軽やかなホワイトフローラルの香りに。とても心地よいフローラルの香り。個人的には、このナチュラルなアロマ調の硬さが、どこかしら英国的で、そしてジョーマローンらしいと感じる。ムエットだとさらにローズの酸味や甘さもしっかり香ってくるが、肌に乗せると思っていたよりも立ってこない。
ベースはシプレ-ウッディ。トップからずっと香っていたバナナのような甘さの強いフローラルフルーティの残香に、オークモスやセダーウッドのシプレウッディが加わることで、少し粘土のような暗さが出てくる。肌に乗せた方がさらに暗さを増し、よりメンズ的な香りになる。最後はクリーミーなムクスが加わり、濃いグレーから薄いグレーになるようなイメージ。
トップミドルのダバナとハニーサックルの組み合わせは、フローラルフルーティな甘さとアロマ調の硬さを合わせたような、春から梅雨前くらいまで似合う香りだと思う。特にトップのダバナの香りは独特なキャラがある。
しかし、ベースから粘土質でクリーミーな香りに移行することで、トップミドルのキャラ感が薄れてしまう。
まだ試せてないけれど、ベルガモット&ウードを合わせることで、ベースに深みを出すのが良いのかなと思いつつも、でもそうしたら初夏向きでなくなってしまうからダメじゃんと思い直す。
結局、ジョーマローンは香りをコンバイニングすることで、オリジナリティ溢れる傑作を創り出せる楽しみがある反面、単品では傑作なんていらない、傑作があれば誰もコンバイニングしなくなる、だからそれぞれの香りの完成度よりもしっかりとキャラを立たせた方がいいのと考えているのでは?
でもそれ1本で完成度されている香り、コンバイニングなんて香りを壊してしまうから不要。そんな香りがあってもいいのでは感じるのは私だけだろうか。
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2019/5/24 23:33:54
EAU ROSE(ローズ水)の名前にぴったりな、フレッシュで軽やかなローズコロン。春先から夏にかけて、爽やかで嫌味のないこの香りは、活躍の機会が多い。
ディプティックといえば、スパイシー(特にシナモン)をガツンと効かせたクセの強い香りが多いイメージがあった。しかし、実際に店頭で見てみるとそんなことはなくて、ほぼシングルノートに近い、コロンのような香りも多くあって、オーローズ(2012年)はその代表格といえる。
トップはフルーティ-ローズ。スプレーすると、まるでローズウォーターを思わせる軽やかなローズの香り。少し遅れて、ライチのフルーティな甘さと酸味、そこにカシスグリーンやベルガモットのアロマティックな香りが、全体にみずみずしさを与える。
ミドルはアロマティック-ローズ。トップの甘酸っぱさを残しながら、ゼラニウムローズのアロマティックなフローラルが前に出てくるような印象。このフレッシュなアロマティックなローズは、良く言えばナチュラル感があって気持ちがいい。そこからローズの甘さが増すが、それ以上にソープの粉っぽさも出てしまうのが惜しい。安っぽく感じてしまう。
ベースはウッディームスキー。ややフルーティなローズの残香に、ムスクとセダーウッドを合わせた、まさにローズ調石鹸の香りに。
フレッシュで可愛らしく、清潔で嗜好の良いローズ香り。それでいてアロマティックな雰囲気もあるため、男性目線でも使いやすいローズの香りだと感じる。
しかし、肝心要のローズそのものの香りがとてもケミカル的で、非常に薄っぺらく、安っぽい。「オー ローズは本物のバラのような香りを目指しました」とあるが、ローズオイルではなくローズウォーターに、フルーティやアロマティックを合わせることで、嗜好の良い天然調の香りに仕上げたような、まさにオーローズというネーミングを地で行った香り。それこそ、アロマティックなローズの良い香りは1時間も持たない。ベースのローズソープの香りも3時間程度で、全体的に淡い。
とはいえ、みずみずしく清潔な香りなので、フレグランスとして肌に合わせるよりも、ファブリックミストに近い感覚で、服のままスプレーした場所をくぐるような使い方や、部屋を換気させている時の風にこのローズを乗せる使い方が良いのではと感じている。
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