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doggyhonzawaさん
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ゲラン / ローズ バルバル

ゲランゲランからのお知らせがあります

ローズ バルバル

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・49,500円 / 200ml・70,290円発売日:2006/11/15 (2021/9/1追加発売)

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6購入品

2022/4/30 02:05:45

「カルメン!いつになったら振り向いてくれるんだい?」
「さあね、分からないわ。でも、今日でないことは確かね。」

世界中で愛されているオペラ「カルメン」の第一幕、大勢の男たちに言い寄られるジプシー娘、カルメン。彼女は鼻をツンとあげて次々と男たちを傷つける。棘だらけの野バラのように。

この歌劇「カルメン」をアートボードに据えた香水がある。ゲランの「最高素材による香水」シリーズ、ラールエラマティエールの最初の3作品として2005年に出たローズバルバルだ。ラールエラは2021年ボトル変更と共に、1つ1つの香水にアートイメージを添えて新生した。公式サイトでは『野生で反逆的な赤いローズ』と紹介されているローズバルバル、それはどんな香りなのか?

洋酒ライクな新型角ボトルからローズバルバルをスプレーする。つけた瞬間に広がるのは、爽やかに抜けていくハーブ様の透明な香り。これがフェヌグリークだろうか。ほんのりセロリ様の感はある。すぐさま追いかけてくるのはワクシーな薔薇の香り。薔薇の口紅によくある感じ。これはアルデハイドC-11の艶めいた香りだ。ピンク色のローズ・ド・メイを表しているのだろう。芳醇でボリューム感があり、ふんわりと漂う八重の薔薇の香り。けれど気を付けないとその棘で痛い目に合う。さながら官能的な見た目で男たちを魅了するカルメンの登場のような華やかなトップ。

5分後、わずかに蜜の香りが奥から感じられてきて、バラの香りがフルーティーに変わってくる。それはライチのようにみずみずしくピーチのようにふくよかな2つめの薔薇香だ。先ほどのワクシーローズよりも軽く、甘くかぐわしい。色に例えるならこちらの方がピンクだけれど、これが真っ赤なローズダマッセナの香り。公式サイトに「ダーマシーナローズ」と書かれているダマスクローズの香りだ。このフルーティーさは本当にすごい。もともとダマッセナが持っているフルーティーさに、ピーチ香がするアルデハイドC-11を合わせて増幅しているように思う。ミツコに使われた手法だ。

このミドルのフルーティーローズがこの香水の全て。これはバルバル(野蛮)ではない。男心をメロメロにする完熟果実ローズボムボムだ。

どんな男も、ひと目でカルメンに恋してしまう。それでもただ一人、群衆の中で彼女を見もしない男がいた。カルメンはその兵士に心を惹かれる。なぜ彼はあたしを見ないの?つかつかと歩み寄って、胸の谷間に入れていた花を男に向かって投げつける。それは弾丸のように男の心を撃ち抜いた。有名なアリア、カルメンの歌う「ハバネラ」が、兵士ホセを恋に引きずり落としてゆく。

”愛してくれない男を好きになる でも私に惚れられたらその時はご用心”

絡み合う視線。火傷しそうな心の熱量。カルメンの棘はホセの身体を貫き、真っ赤な血潮をたぎらせる。その噴き出す血を浴びた喜びのように彼女は歌い踊り、赤いドレスをひるがえす。

2人は激しく燃え上がり、そして互いに傷付け合い、やがて破局を迎える。

野蛮な薔薇。

つけて30分、ローズバルバルはこの上なく柔らかくセンシュアルなライチ&ピーチの薔薇になって続いていく。どこまでもカルメンを愛そうとするホセの心のように。ラストは、ほんのりパチュリのアーシーが効いたまっすぐなフルーティーローズの香りが引き波を作ってゆく。時間にして8〜9時間。どこまでも緩やかに優しく。

カルメンはすで新しい男、闘牛士に恋をしていた。すがるホセを冷たく突き放すカルメン。それでもホセは彼女の匂いから離れられない。復縁を迫り続ける。

彼女のローズ口紅の香りが忘れられない。ライチのような薔薇肌の匂いが狂おしく心をかき乱す。彼女が愛した2つの薔薇の匂いが憎しみを増大させる。その妖艶なのに清純な薔薇&薔薇への嫉妬にあらがえず、ホセは遂に短剣を握りしめる。彼女の匂い全てがあの闘牛士の元へ行くなら、いっそこの手で…。

闘技場の中でひときわ大きな歓声が上がる。カルメンの新しい情夫となる闘牛士が、赤いムレータで牛を誘いこみ、鋭い剣で牛の肩を突き刺したのだ。カルメンはホセの腕を逃れて闘技場の中へ入ろうとする。

そのとき

ホセの短剣がカルメンの赤いドレスに突き刺さった。地面にぽたぽたと薔薇の花びらが広がってゆく。

闘技場の中で、赤い布に包まれて牛が倒れる。
闘技場の外で、赤いドレスのカルメンが手折れる。

一人の男が歓声を上げる。男の一人が天を仰いで慟哭する。
2人は 出会った頃の女の歌を思い出している。あの日 真っ赤な薔薇は自分に微笑えんでいた。

”あたし好みの男はそうは居ない 週末だというのに 私を愛する人はいないかしら?”



いいところにいたわ

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Maison Margiela Fragrances(メゾン マルジェラ フレグランス) / レプリカ オードトワレ レイジーサンデー モーニング

Maison Margiela Fragrances(メゾン マルジェラ フレグランス)

レプリカ オードトワレ レイジーサンデー モーニング

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:10ml・5,280円 / 30ml・11,880円 / 100ml(リフィル)・19,800円 / 100ml・23,540円発売日:2013年12月 (2023/4/13追加発売)

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4購入品

2022/4/23 09:56:07

レイジーサンデーモーニングは、メゾン・マルジェラの香水の中でも、特に日本人女性に人気の高い「石けん系」の香りがする香水だ。サイズは10ml、30ml、100ml展開。最近はお試しサイズ的な10mlの人気が高い。価格は税込4180円。

◎どんなとき、どんな方ににおすすめ?
文字どおり、休日の午前中。まだベッドの中でシーツとブランケットにくるまったまま、ゆっくりしていたいときに。素肌や下着にプッシュするのもいいし、枕カバーやシーツに吹いてリネンウォーターっぽく使うのもいい。さっぱりとした清潔感ある香りを探している方に。特に女性向け。

◎この香水のよさを4つあげるとしたら?
・「素肌とベッドリネン」を表現した香りだけに、自分につけることで、リネンや下着、白のシャツやブラウスなどに、洗い立ての清潔な柔軟剤っぽい香りをプラスできそうな点
・ほのかな洋ナシの香り&スズラン様のホワイトフローラル&サボンな香り。みずみずしくスッキリした「白」のイメージを香りで表現できそうな点。
・「ザ・香水」的なアプローチでなく、シャンプーや石けんの残り香的にさりげない「身だしなみ」的な印象を作ることができそうな点。
・10mlサイズがあること。価格的にはやや高くなるものの、トラベルサイズはバッグにそのまま入れてアトマイザーになるし、お試しで使う量としては必要かつ十分。

▲逆にちょっと「うーん」な点
・「清潔感」ある香りだが、かなり洗剤や柔軟剤、漂白剤や石けんといったトイレタリー商品(トイレじゃないよ)の匂いに傾いている。つまりケミカルさが強い香り。そうした洗浄系製品の匂いを再現したであろうメタリックなアルデハイドや、石けん系ムスクの香りが、ときにきつく感じられるときがある。ともすると頭痛がして受け付けない方も多そうな人工的な香り。
・リネン系統の清潔&フローラルがお好きな方には、すでにエスティー・ローダーのホワイトリネンという名作があるのでそちらがおすすめ。また、この香水以上に安価で強い石けん香が売りのCLEANの香水群やサボン系香水が星の数ほど出回っているので、安価な代用品がいくらでもあること。
・よく似た香りでジョー・マローンのイングリッシュペアー&フリージアやバイレードのブランシュがある。オリジナリティが低め。

◎背景(ブランド 調香師)
・メゾン・マルジェラの香水は「レプリカ」と名付けられ、思い出の時間、場所、香りの記憶を「複製・再現」するようなアプローチで作られている。レイジーサンデーモーニングが映し出すのは、2003年イタリアのフローレンスで迎えたすがすがしい朝の空気感。調香師は、キャロライナ・ヘレナのグッドガールやトム・フォードのドル箱香水、ロストチェリーで一躍名を挙げた女性調香師ルイーズ・ターナー。

◎展開
トップ。つけた瞬間、スッとアルコールの香りが抜ける。オードトワレ濃度なので、透明な風が一瞬吹き抜けるようなオープニング。そこからすぐに出てくるのは穏やかでウォータリーな洋ナシの香り。このトップはとても柔らかくみずみずしい印象。

少しすると、ほんのりグリーンが効いたスズランの香りが感じられる。と同時に、キンキンしたメタリックな酸味がその上をオーバーラップしてくる。シトラスのようで、ラムネのようで、あるいはカーフレグランスによくあるスカッシュ系のような香り、これが強く出てくる。これはアルデハイドの一種だ。ここで使われているのはアイロンをかけたような金属っぽさを感じるタイプ。「酸味が出たな」と感じたら、これが出てきたミドル。クレジットにはローズやオレンジフラワーなども書かれているが、このアルデハイドの主張が強め。

やがて清潔なランドリーノートに、ツンとした苦味をもった石けん様のホワイトムスクが重なってくるとラスト。温度が上昇し、人肌の温かみを感じさせる。硬く冷たかった昨夜のシーツが体温で温められ、寝返りを打つ度に柔らかくなって、心地よく自分を包んでいる。そんなぬくもりの朝。次第にカーテンの向こうが明るくなっていくように、サボン香が高くなっていき、3〜5時間でクロージング。

・・・・・

目覚めたら休日の朝。今日は鳴らない目覚ましの音。安堵。もう起きようか。寝返り。まだいい。もう少し布団の中でうだうだしていよう。布団もシーツも枕も、体温と同じ感じに温まって、もう一人の自分に包まれているような感覚。

久々の休日。一番わがままでいたい時間。

あと少し。少しだけ。そしたらゆっくりこの優しい繭の中からはい出していこう。枕に顔をうずめる。柔らかなサボンの香りがしている。このままずっと。こうしていたい。まどろみのひととき。

レイジーサンデーモーニング

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セルジュ・ルタンス / La Dompteuse Encagee

セルジュ・ルタンス

La Dompteuse Encagee

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2022/4/16 15:04:25

はじめに自由を奪われた。

気がつくと、手足を縛られていて身動きできなかった。ぼんやりした意識の中、あたりを見渡して気付いた。ここは猛獣の檻だ。自分が調教している奴らの檻。ど、どうなってんだ?

次に味覚と嗅覚を奪われたことを知った。冷たい鉄の床から身体を起こそうとした。頭全体が締め付けられていて息がしづらい。どうやら目あきの拘束ラバーマスクをつけられているようだ。猛獣調教用の口輪。なんてこった。ずっと奴らを調教してきた自分が、逆に檻の中に閉じこめられている。一体何が起きたんだ!?

”ラ・ドントゥーズ・アンカジェ(檻の中の調教師)”

不意に高い鉄窓の外から声が聞こえた。そしてその瞬間、身体中に戦慄が走った…。

ラ・ドントゥーズ・アンカジェ。和訳「檻の中の調教師」。これは、2021年にセルジュ・ルタンスからリリースされたコレクション・ノワールの香水だ。価格は50mlで14300円(税込)。この香水は、耽美でダークサイド偏愛なルタンス作品にあって、初めて南国の花フランジパニの香りを使用したという点で話題になった作品。

まるで南国リゾートのウェルカム・レイのような花の香り。なのにその名は性癖に刺さる「檻の中の調教師」というアンビバレント。一体どんな香りなのか?

「檻の中の調教師」は、シングルノートな展開をする濃厚なフローラル系の香水だ。ただ、わずかではあるが、香りは変化する。

ドントゥーズをスプレーすると、最初にたちのぼるのは、熟したバナナのファセットをもつイランイランの低音、その上からは甘く華やかにフランジパニの花の香りが強烈に広がってくる。フランジパニはハワイではプルメリアと呼ばれ「神が宿る花」とも言われる。そして、その間で両者の香りを引き立たせているのは中音のインドールジャスミン。この3音のアコードが濃厚に香る。イメージはとても明るくまばゆい。檻の中?いや真逆だ。これなら南国リゾートホテルの、開放感あふれるラナイだろう。

ただそう思う反面、どこか違和感があることにも気付く。なにか暗い。せっかくリゾート地に来たのに、明るいビーチが望めるラナイにも出ず、暗い室内でじっとしているような抑制された暗いヴェールがかかっている。その理由は、ギリリとしたビターアーモンドの苦味だ。

香水で使われるビターアーモンドは、杏仁の香りのような香料。独特の暗い苦味があって粉っぽい甘さもあるベンズアルデヒド。こちらは揮発しやすいトップ系の香料で、サクラ香やチェリー香の再現にはよく使用される。この暗いヴェールが南国フローラルにダークさを醸しだし、さながら「光と影」を演出しているかのような香料構成となっている。

このアーモンドの苦味は15分ほどで消え、その後は次第に明るくまろやかな南国フローラルとなって落ち着く。そしてドライダウン。持続時間は8〜10時間程。かなりロングラスティング。

なるほど。ふだんは華やかなサーカスでスポットライトを浴びる調教師が、暗い猛獣の檻に入れられている。そこに込められた意味を思う。

新型ウイルスの蔓延による世界中の沈黙、イベントの自粛、不自由なマスクや引きこもり生活。それらをルタンスは「檻の中」と表現したのだろう。多くの方が命を失い、味覚や嗅覚が鈍くなった方もいる。それは今なお出口の見えない暗澹たる世界。狭い檻…。

調教師は戦慄した。高い小窓から白い雪が降りそそいでくるのが見えた。まるで白いジャスミンの花弁のようにひらひらと舞い落ちる雪。遠い地響き。もしや雪崩が来るのでは!?そして白い悪魔の渦に飲み込まれて、この檻の中で息絶えてしまうのでは?恐怖や不安などのネガティヴが、心の中でパンデミックに加速してゆく。

そのとき

小窓の鉄柵の向こうが突然明るくなり、そのまばゆさに調教師は目をつぶる。雪崩だ!だが、そこには白い服を纏った真っ白な顔の少女が一人、宙にたたずんで冷たい目で男を見下ろしていた。少女の手には、自分が猛獣の調教に使っていたカギ爪と革の鞭が握られている。何だ?何をするつもりだ!あいつは天使か、それとも悪魔か?男の胸がドクンドクンと早鐘のように鳴る。

カ、カギ爪で刺す気か!?俺が猛獣にしたように!鞭で痛めつける気か?や、やめてくれ!!だが声は出ない。

その瞬間、目の前に少女のカギ爪が振り下ろされた。男の顔マスクが引きちぎれ、鉄柵に吹っ飛んだ。男の鼻に嗅覚が戻った。動物たちを縛り付け、傷つけ、恐怖で支配してきた。その全ての血の臭いが蘇った。

檻の中の調教師は、身体を震わせて泣き叫んだ。涙と汗と体中の体液を放出しながら

「もうやらない!やらない!!」


あたりには光と、美しい天上の花の香りが満ちていた。

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FUEGUIA1833 / Muskara Neroli

FUEGUIA1833

Muskara Neroli

[香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2022/4/9 15:36:56

フエギア1833のムスカラネロリは、グリーンなファセットが爽やかな、淡いネロリのシングルノート香水だ。50mlで33000円。

◎どんなときにおすすめか?
春先。季節の変わりめ。気分が堕ちているとき。疲れているとき。強い香りではなく、飾らない自分に寄り添った、安らげる香りがほしいとき。また、グリーンな葉のトップから柔らかなオレンジフラワーの香りに変化するナチュラルな香りが好きな方にもおすすめだ。

◎この香水のよさを3つあげるとしたら?
・香りがシンプルでさっぱりしたグリーンフローラルなこと。「香水つけてます感」が少ないから、オンオフ問わず使用でき、汎用性が高いこと
・自然な葉と花の香りなので、女性ならうなじやデコルテなど、肌が露出しているところに1プッシュでもさりげなく香り、ふとした瞬間に感じられて付けすぎがない。
・ネロリやプチグレン(オレンジの葉)の香りが柔らかく香るので、アロマテラピー的に気持ちが安らぐ。

●この香水の短所は?
・良くも悪くも、立ち上がりから香り立ちがうすいこと。同じムスカラシングルノートでも、カカオあたりだと濃厚なビターチョコ香が6〜8時間も続くが、こちらはトップ〜ミドルの柔らかい香り。ずっと香らせたいなら日に何度もタッチアップが必要。
・ムスカラのフェロモン的な効果は疑問。もともとヒトフェロモンの研究分野はまだ未開拓。したがって「フェロモン=媚薬」的なイメージはいったん捨てた方がいい。調香師ジュリアン・ベデルが影響を受けたアクセル博士とバック博士の「香りの受容体タンパク質に関する研究」やブテナム博士の「エストロゲンや男性ホルモンに関する研究」の論文概要を読んだが、ムスコンと分子構造が似ている南米産植物の根茎(ここも定かでない。マカかムイラプアマかウアナルポマチョあたりか。是非公開してほしい)を使ったからといって、男女が惹かれ合う効果を有するとは言えない。←ここ重要。ブランドが公開しているのは「自身の香りを吸着してそれを浮かび上がらせる」効果。
・香水として値段が高い。フエギアはどの国でも一等地に店舗を構えている。それもあるかもしれないが、全体的に香水じたいの価格に上乗せされている部分がかなりあると思う。自分は庶民なので全般的にフエギア価格はきつい。
・調香がシンプル。これも好きずきではある。ただ調香体験した方なら、2〜3種の香料があれば、ある程度模倣できそうな作品のように思う。

◎ブランドとその特徴について
・南米の自然・文化・歴史・哲学を色濃く香水づくりに反映してきた稀有なブランド、フエギア1833。香りじたいは他に似た物が少なく、さらに作品数が膨大であるため、人とかぶりにくいよさがある。100本以上の作品がフラスコの帽子をかぶって店舗に並ぶさまは圧巻!たとえ香水好きでなくても、あれこれ試したくなる楽しさがある。そういった意味で、誰ともかぶらない自分だけのシグネイチャーを探すことが可能。反面、作品数が多いということは人気のない作品は廃盤にもなりやすい。また、どれも400本ずつ作るロット生産であり、原料からの香料抽出具合が毎回異なるらしく、香りがロットごとに変化するという面をもつ。

◎香りの展開
トップ。アルコールの揮発とともに強いグリーンな葉の香り。一瞬、注射するためのアルコールを塗ったかなと思う。結構エッジが鋭いオレンジの葉の香り、プチグレンの香りがする。すぐさま、柔らかく甘いネロリがグリーンなプチグレンの下から出てくる。ほんのりアールグレイを思わせるベルガモットも感じられる。このうち、葉の香りが3、花の香りが7くらいの割合で柔らかく2〜3時間ほど香る。

ムスカラは基本匂いがしない。通常、ムスク系の香りは、小さい環は樟脳の香り、炭素数10〜13ではウッディな香り、炭素数14個あたりからムスク香が現われ,20個になると無臭になるという。ということは、調香師ジュリアンが見つけたムスクと分子構造が似ている植物は無臭だそうだから、大環状ケトン構造をもつ物質と推察する。そのうち特定してみたい。

春。南欧。ビターオレンジの木に日が差し、濃い緑の大きな葉が風に揺れる。そこに咲き乱れる5弁の白い花。柔らかな甘さと芳醇な香りがあたりに降りそそぐ。しどけなくオレンジの樹の下で昼寝をしたくなるような春の午後。あたたかな日射しを感じるオレンジの花の香り。その奥からムスカラでライトアップされた自分の匂いがしてくる。葉のプチグレンと、ネロリの白い花、そして自分の肌のムスキー。日がオレンジ色に傾くまで、そっと大樹の下でもたれかかって、シエスタでまどろみたい春のひととき。

オレンジの樹の下、あなたの肌とオレンジフラワーの匂いが風にそよぐ。ムスカラネロリ。

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ELLA K / メモワール・ド・ダイセンイン

ELLA K

メモワール・ド・ダイセンイン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:-発売日:-

5購入品

2022/4/2 12:41:46

変化の大きい時期には、自分を見つめ直せる香水が1本あるといい。そんなときおすすめしたいのが、エラ・ケイのメモワール・ド・ダイセンインだ。70ml税込28600円。

卒業、入学、そして進級や就職。そのたびの出会いと別れ。とかく春は環境の変化が大きい季節だ。そしてそれに伴って心が揺れやすくなる時期でもある。だからこそ、心をメンテナンスしてくれる香りが必要だ。

メモワール・ド・ダイセンイン。「大仙院の記憶」と題したこの香水は、ジボダン社の女性調香師、ソニア・コンスタンが2018年にパリで興したエラ・ケイ・パルファムから2019年にリリースされた。

ダイセンインとは、京都にある臨済宗、大徳寺内にある寺院の名前。臨済宗は禅宗なので、座禅によって自然や自分と向き合い、悟りを得んとするタイプのお寺だ。名物は、なんといっても、室町時代を代表する枯山水庭園として名高い「大仙院書院庭園」。こちらは方丈(本堂)の北東から東にかけて築かれた石庭であり、そそり立つ岩の間から流れ落ちる滝が、次第に河となって大海に流れ込む様を表現し、滝、橋、舟などをすべて石で表している。狭い面積に広大な景観を具象表現したのも見事で、座禅体験や抹茶体験と合わせて、特に外国の方に人気を博している。

この寺院を訪れたソニアは、この枯山水の石庭から得られたインスピレーションを基に、ダイセンインをつくりあげた。ブランドが出している香りイメージは次のとおり。

「枯山水の美しい庭園。静けさと深い瞑想の場を満たす、花、木、植物、岩、優しい光。」
【砂利のミネラル感】アンブロクサン、ナツメグ、ベンゾイン
【木】メイプルウッド、ケファリス
【花、植物】グリーンノート、ホワイトローズ、日本の芍薬、日本の金柑

心が不安になりやすい時期に、この香水をすすめる理由は主に次の2点だ。

〇上記香料が、トップ〜ミドル〜ラストと変化するのでなく、シンクロしながらそれぞれの表情をかいま見せる柔らかな香り立ちであること。したがって変化が少ない展開をするので、心が落ち着きやすい。
〇キーとなるノートは、シトラス、フローラル、ウッディ、ウォータリーの4つ。これらは、寺界隈の四季の花や果実、石庭を彩る樹木、そして白砂や小石を用いて表現した滝から海に至るまでの水の流れを「香り化」していて、まるで大仙院の石庭そのものといった幽玄さと穏やかさに満ちていること。

実際に付けてみると。

付けた瞬間は、やや金属的なタッチの硬さと苦みがあるシトラスムーブがある。朝の太陽のようなキンカンの強さに、ティー風味のあるベルガモットがミックスされ、ホワイトティー香水にも感じられるトップ。石庭の朝、晴れやかな白砂が目にまばゆいイメージ。

次第にウォータリーなベースノートが下からせりあがってくる。深山幽谷、巨岩の間から流れ出る滝が思い浮かぶ。同時に、酸味とシャープさの効いた白薔薇の香り、ピンクのふんわりした甘さを伴った芍薬の香りが広がってくる。大仙院の庭に植えられた花々が、水の流れとともに香をたなびかせるような印象。

つけて4〜5時間までフローラル&ウォータリーが続き、最後は乾いたウッディアンバーの香りで終息する。大海原。白砂の浜と緑の松林がどこまでも続く。そんな壮大なイメージ。心は研ぎ澄まされ、こうした流れの変化にこそ、命は巡り巡っているのだということを実感させられるラスト。

考えてみれば

人は日々、流れていくもの。生々流転。日々同じルーティンの繰り返しと思っていても、万物は少しずつ千変万化している。そのことに気付いた時、心はスッと軽くなる。そうだ。誰もが毎日、変化し続けているのだ。

人はみな、大河を泳ぐ一匹の魚のようなもの。

ゴーゴーと滝の流れ落ちる音がする。雨のような水蒸気が身体を包み込む。深山の新緑が、日の光をいっぱいに浴びようと枝を伸ばす。花が咲いている。鳥がさえずっている。巨岩を削りながら、水しぶきをあげて水が下流へと流れてゆく。やがて広大な海へと注ぐ。

それが自分の進んだ道になる。

変化の大きい時期は心が不安に陥りやすい。そんなときは、家族や旧知の友人、大好きな物にふれたり、心落ち着く場所を訪れたり、ちょっとした自然の中に身を置いてみる。すると、不変と思われた物も少しずつ変化していることが感じられるはずだ。そうすれば、不安は少しだけ安心に変わってゆく。その心の水の流れを少しずつ広げていけばいい。

大仙院の石庭はそれを静かに物語る。

枯山水の記憶をトレースする、花々と水と木の香り。メモワール・ド・ダイセンイン。

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プロフィール
  • 年齢・・・58歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・普通
  • 星座・・・山羊座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 読書
  • 音楽鑑賞
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自己紹介

いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水好きな方がた… 続きをみる

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