2020/1/24 08:25:13
ゲランの高級ライン「ラールエラマティエール」のデビューは2005年、シャンゼリゼ通り68番地のゲランブティックがリニューアルした際に三人の外部調香師に依頼をしてゲランが誇るハイクオリティな素材を用いた香りを作らせたのが始まり。
この「アンジェリークノアール」は初期の三作品のうちのひとつで、調香師はプラダのキャンディやブルガリのレジェンメシリーズで有名なダニエラ・アンドリエ。
“小さな花が放射状に咲く控えめなアンジェリカに、ゲランが新たな個性を吹きこみます。「アンジェリークノアール」は、フレッシュな魅力あふれるフレグランス。輝くようなベルガモットが広がると、やがてフェミニンでなめらかな甘いバニラの香りと溶け合いらうっとりするハーモニーを奏でます。”(公式サイトより)
香調はフレッシュオリエンタルとありますが、以前はたしかフローラルナーコティックでした。
トップはかなりメタリック。アンジェリカ、ベルガモット(クレジットにはなくて説明にはありますね。なんで?)、ペアが合わさってまるで冷えた金属に触った瞬間を思い起こさせる出だし。
金属的なファセットが落ち着くとベースの土っぽいアンジェリカルートとバニラ。甘いバニラですがグルマンなバニラとは違う甘さ。苦味とウッディな風味がきいていてべったり甘くなりすぎない絶妙な加減。
持続はかなり長めで八時間ほど。最初はトップの金属臭とバニラがどう繋がるの、と思いました香りの対比がとてもキレイで上品なオリエンタルな香水。
使うなら夏以外がオススメ。特に秋〜冬は香りの移り変わりを存分に楽しめます。
フレッシュオリエンタル
センシュアルで壮快な、コントラストを感じさせる香り。
トップ:アンジェリカシード、ピンクペッパー、ペア
ハート:ジャスミンサンバック、キャラウェイ
ベース:アンジェリカルート、バニラ、シダーウッド
(公式サイトより)
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2022/9/16 13:18:52
MMW という名前を聞いたとき「マジック、ミラクル、ワンダーか?」と、小学生でも考え付きそうな英単語を思い浮かべたが当然のようにそんなことはなく、2020年にジバンシイクチュールのクリエイティブディレクターに就任したマシュー・M・ウィリアムズのイニシャル由来であった。香りとしてはパロサントを中心に据えたフレッシュウッディとのこと。
アコールパルティキュリエと同じ中身が見えないツヤのあるブラックボトル、キャップ上面のプレートは通常は交換できる仕様だが、MMW はジバンシイクチュールのロゴマークになっていて変更ができない。ラベルの部分はシールではなくプレートになっている。
スプレーすると少し柑橘類の果皮を思わせるようなアロマティックな香りと、ほろ苦くスーッとした清涼感のあるカルダモンが香る。ファッションフレグランスの高級ラインではあるが、意外にも静謐で瞑想的な落ち着きのあるスタート。
5分ほどで、カルダモンに苦味の下からクリーミーなウッディが香り立つ。コンポジットにはサンダルウッドとパロサント両方の記載があるが、サンダルウッドほどの濃厚さや暗さはないので、目立っているのはやはりパロサントの方だろう。ほんの少し白いヴェールがかけられたかのようなウッディ、木屑のようなパウダリーな香りも感じられる。ここの香りが3時間ほど香る。
ドライダウンになるとベチバー、イソEスーパー、アンブロクサンがパロサントに肌馴染みのいい温かさをプラスするが、ミドルから大きく変化することはない。ベース部分は3、4時間ほど持続するので全体の香り持ちは6、7時間といったところ。
一応ジェンダーフリーを謳うフレグランスなだけあって(高いヤツはだいたいそう言うけどね)、ウッディ主体ではあるが特別男性的な印象に寄っているわけではない。これも他のラコレクションパルティキュリエと重ね付けして使うこともできるらしく、このシリーズを複数本お持ちの方は試してみてもよいのではないだろうか。個人的には単体で使った方がオススメ。
全体的には好印象なのだが、日によってイソEスーパーやアンブロクサンが悪目立ちして少しキッチュな香り立ちになってしまう。日本円で100ミリリットル約3万円の高級シリーズ、安い香料が透けて見えてしまうのはあまりスマートではない。
ノート:グアテマラ産カルダモン、パロサント、パウダリーノート、フローラルノート、インド産サンダルウッド、バージニア産シダー、アトラス産シダー、ベチバー(CO2抽出)、イソEスーパー、アンブロクサン
調香師は、オリヴィエ・クレスプ。
(parfumoより)
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2021/10/30 02:35:33
トップから非常に甘いベースノートが主張するが、それと同時にキーの高い柑橘も感じられる。オレンジの甘さとベルガモットのみずみずしい酸味をネロリのフローラルがまとめ上げ、カロリーの高そうな甘さをうまくいなしている。
続いて主役のローズが展開していく。この「ラブエクストリーム」はローズがオーバードーズされているという。ローズは通常の「ラブ」にも含まれているが、あくまで脇役でそれ以上にハニーサックルやオレンジフラワーが強かった。エクストリームではミドルのメインに据えられている。甘美なローズに、ザラッとしたマルトール的な甘さが合わさっても甘さ一辺倒にならずしっかりフローラル感があるのはさすがキリアン。名前だけじゃなくて値段もエクストリームなんだからそれくらいしてもらわないと困る。
ドライダウンになると、ラブシリーズお馴染みの真っ白いムスクとマシュマロアコードのふんわりした甘さが香り全体を包み込む。ローズの赤に、白い甘さが溶けてピンク色に染まるイメージ。持続はオリジナルよりかは控えめだが、八時間は余裕だ。
キリアンの人気フレグランス「ラブドントビーシャイ」のフランカーとしては、ウードを合わせた「ラブローズウード」の二種を除けば二作品め。一作めの「ラブオーフレッシュ」は、マシュマロからインスパイアされたイメージを崩さない良アレンジであったが、このエクストリームもしっかりオリジナルを踏襲しつつ、新たな表情が付けられたイキのいいドジョウだ。さすがカリス・ベッカー。
トップ:ネロリ、ベルガモット
ミドル:ブルガリアンローズ、オレンジブロッサム
ベース:マシュマロ、バニラ、ムスク、ポメグラネート
調香師は、カリス・ベッカー。
(fragranticaより)
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:75ml・31,680円発売日:2021年9月
2021/10/15 13:08:55
正直、ブルーベルのラルチザンコーナーにはあまり興味がなかった。アムールノクターンもラペルトワももう無いし、頼みの綱のナチュラファビュラリスシリーズはたまにサロンドパルファンで限定販売されるだけだし…。そう思っていたら、そのナチュラファビュラリスシリーズがラボタニックコレクションとして日本に本格上陸。各フレグランスの名前の前に付いている数字は試作回数で、この「ヴェネナム」は32回の調整を経て完成したものらしい。
丸い蓋を外してスプレーする。ボトルの色が暗くてわかりにくいが、けっこう着色されているようだ(それならいっそのこと透明なボトルにした方がカラフルでカワイイ気もする)。マルトールっぽい甘さに、なんだか香辛料があれこれ入ってそうなスパイシーなトップ。シナモン、カルダモン、ジンジャーあたりはしっかりわかる。それらに加えて、乾燥したレモンピールのような酸味も感じる。構成にはマサラチャイとあるが、個人的には少し違うように思う。
シナモン、カルダモン、ジンジャー、レモンピール…これはチャイというよりクラフトコーラだ。甘辛いスパイシーさにシュガーの甘さが加わった香りは、まさにスパイスと砂糖を煮詰めたクラフトコーラシロップそのもの。
トップのスパイスミックスを鼻先にほんの少し残しつつ、段々とあっさりめのミルキーなファセットが出てくる。パンや米といった穀物系の香りらしいが、そうだとはっきり認識できるほどではない。香りはこのままドライダウンへ向かい、消えていく。持続は四、五時間ほど。
ヴェネナムという言葉は「毒」という意味らしいが、正直毒っけはない。構成だけ見るとクセとコクのあるスパイシーグルマンかと思ったが、むしろ控えめでかわいい香り印象の香りだ。うーん、なんでこの香りが毒なんだろうか。わからない。一本使い切ってみようか、毒を食らわば皿までとも言うし。
ノート:パン、ミルク、マサラチャイ、セイロン産サンダルウッド、米
調香師は、ダフネ・ブジェ。
(parfumoより)
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2021/7/16 19:29:40
トムフォードの夏の香りと言えば、やはりソレイユブランだと思う。南国のスパを思わせるような、ホワイトフラワーとココナッツを主軸にした甘く、どことなく扇情的でセクシーな香りだ。このオールオーバーボディスプレィは、通常EDPよりもライトに、全身にまとえるように調整されたもの。価格は一万円を切っており、PBシリーズが税込約三万(最近の新作は四万オーバーのものばかりだけど)のため、非常にお手頃価格に感じる。
トップに感じられるのは、ピンクペッパーやカルダモンのような爽やかなスパイスとベルガモット。シトラスとスパイスの合わせ技はそこまで珍しいものではないが、爽快感があって心地いい。
付けてニ、三分もするとミドルへ。現れるのは甘く濃厚、エキゾチックなホワイトフラワーとイランイランのコクのあるフローラルだ。こちらはオールオーバーボディスプレィのため、通常EDPよりもフローラルのリッチさは控えめだと思う。それでもしっかりとチュベローズやジャスミン、フランジパニ調の甘さは充分に楽しめる。
ドライダウンになると、ホワイトフラワーの白い甘さはココナッツのコクのあるミルキーなテイストとすり替わっている。その白さに、ベンゾインとアンバーがほんのり茶色い深みを足して終了。持続は三、四時間ほど。
EDPと比べるともちろん香りはライトになっているものの、それでもソレイユブランらしさはしっかり楽しめる香りだと思う。
トップ:ベルガモット
ミドル:ジャスミン、チュべローズ、イランイラン
ベース:トンカビーン、ベンゾイン、ココナッツ
(parfumoより)
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