2024/1/30 19:37:36
昨年日本に本格上陸したゲランの中東地域を強く意識したフレグランスシリーズ、アブソリュドリオン(ドリオンという言葉ももう無くなるのかね)。「キュイルインテンス」もひっそりと一部店舗限定で購入可能になったものの内のひとつ。ゲランの香水も近年はすっかりNo.2パフューマーのデルフィーヌ・ジェルク名義の作品が多いが、このシリーズは今のところ全てティエリー・ワッサーの名義で発表されている。
トップから甘い。かなり拡散する甘いアンバリーレザームスク。服を突き抜けて香りそうだ。レザーといっても少し柔らかでスエードのような印象なのは、オスマンサスやイランイランのフローラルで縁取られているからだ。
甘いレザームスクはアロマティックなタバコと乾いたシダーウッドを交えながらその甘さをどんどん増していく。持続がとても長い。6時間ほど経っても全然ドライダウンが見えてこない。
そろそろ10時間は経っただろうか?サンダルウッドとモスの苦味でシプレ調のニュアンスが入ってくるとようやくドライダウン。持続は半日は余裕、さすが中東向けだ。
拡散力、持続力共に高いアンバリーレザーの香りは、付けるシチュエーションは選ぶが荒々しくはなく綺麗にまとまったエレガントな印象だ。どっちかというとメンズフレグランス寄りの香調で、品のいい革ジャケット羽織ったイケメン?やはり秋冬の乾いた空気によく合うだろう。こんな香りを漂わせているイケメンがいたらホイホイついて行ってしまうかも(?)。
試香&オーダーができるのは一部店舗のみではあるが、エレガントなレザーフレグランスをお探しの方は一考の余地ありだと思う。
トップ:オスマンサス、イランイラン
ミドル:レザー、ムスク
ベース:サンダルウッド、タバコ、バージニア産シダー
調香師は、ティエリー・ワッサー。
(fragranticaより)
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2023/9/3 22:25:53
2022年のアクアアレゴリアのリニューアルの際にラインナップ入りしたネロリアベチバー。どうやら期待の新人(?)扱いされていて、今年はフォルテバージョンだけでなくハーベストバージョンも発売された。調香師は近年のゲランのフレグランスを数多く調香しているデルフィーヌ・ジェルクだ。
新しい子をちやほやしたい気持ちもわかるけど、20年以上一度もラインナップを外れたことないパンプルリューヌとハーバフレスカもかまってやれよ、と思いながらボトルを手に取る。やっぱりハーベスト版はボトルネックの飾りがオシャレだな、ネロリアベチバーハーベストの淡い黄緑色も発売時期に合っていて涼しげでいい。
付けたてはスッキリ明るいネロリオイルの香りだが、すぐにハチミツのコクのある甘さが出てくる。ハチミツは蜜蜂がどの花から蜜を集めてくるかによって風味が変わるが、このネロリアベチバーハーベストに使われているハチミツはオレンジブロッサムの蜜を集めさせたものらしい。ちょっと花粉多めでワイルドな味わい、個人的にはタンポポのハチミツに似ていると感じた。
このコクのある甘さがかなり長く続く。現行のフォルテシリーズ以外のアクアアレゴリアの中では一番ロングラスティングではないだろうか。タイトルにあるベチバーはかなり待たないと出てこず、最後の最後、消え際に乾いたウッディの形で感じられる程度。持続は5、6時間といったところ。
香り自体の出来はいいと思っているのだが、同時発売されたマンダリンバジリックとローザロッサのハーベスト版と比べると明らかにオリジナルとは別物に仕上がってしまっているため(これじゃネロリアハニーだ)、別物として楽しむことをおすすめする。限定品としてのクオリティはあるので買って損はない。
トップ:オレンジブロッサムハニー
ミドル:ネロリエッセンス、フィグ
ベース:ベチバー
調香師はデルフィーヌ・ジェルク。
(i fragrance officialより)
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レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル シャネル N°18 オードゥ パルファム(ヴァポリザター)
容量・税込価格:75ml・27,500円 / 200ml・50,600円 / -・33,000円 / -・57,200円発売日:2016/10/14
2024/3/31 07:13:16
ファインジュエリーの聖地であるヴァンドーム広場18番地、それにちなんだ名前が付けられたレゼクスクルジフドゥシャネルのNo.18はシャネルの中ではかなり異色の存在だ。煌びやかなフローラルや弾けるような柑橘はないし、流行りを狙ったような香りでもない。でも不思議と惹きつけられてしまう。レゼクスクルジフシリーズの初期のEDT時代からある香りで、現行品はEDP75ml税込33,000円、200mlは57,200円。幾度の価格改定を免れてきたが、ついこの間初めて値上げされてしまった。
まずはムエットに付けて確認。うーん、いまいちピンとこない?うっすらムスクっぽい?あとは曖昧な甘さをなんとなく感じるだけだ。
今度は肌に付けてみる。やっぱり香水は肌に付けてナンボのものだ。ムスク調の香りの正体はアンブレットシード柔らかな甘さ、ムエットでは分からなかったがクミンのような人肌を思わせるスパイシーな要素も見えてくる。
クミンの人肌の香りが落ちついてくると、ムエットでわずかに感じていた抽象的な甘さが展開してくる。レジンのようなドライフルーツのような、詳しい正体はわからない。その周囲を、これまた曖昧なフローラルで縁取ったような香りがする。強いて言えばローズかなという程度。
ドライダウンになるとアイリスやベチバーも顔を出してくるが、全面に出てくるというよりもミドルの不思議な甘さをソフトランディングさせるように広がっていく。持続は5時間程度で、拡散性は高くなくわりと控えめな香り立ちだと思う。
ひと嗅ぎでパッと「◯◯の香りだ」とわかるタイプの香水ではなく、付けるたびにその様々な側面に気付ける、香りとじっくり向き合う事が好きな方にはかなり刺さるフレグランスだろう。
今回の価格改定に合わせてレゼクスクルジフをひと通り見直してきたが、そのクオリティに改めて感嘆した。どれとは言わないが、ニッチブランドであることが取り柄の香水を無闇に買い漁るくらいなら、シャネルのこのシリーズから選ぶことをオススメしたい。75ml33,000円でも法外な価格ではないと思う。
ノート:アンブレット(ムスクマロウ)、フルーティノート、ウッディノート、アイリス、フローラルノート
調香師は、ジャックポルジュ。
(fragranticaより)
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2023/11/15 11:30:11
11/3にパッケージが一新された「ド ジバンシイ」シリーズの最新作、テメレール(向こうみずな、という意味)。華やかなチュベローズとインクアコードのコントラストが売りだ。価格は33,500円+税で、このシリーズが始まった当初と比べると随分値上がりしてしまった。値上げしただけでなく、ラベル部分がシールからプレートにリニューアルされ、さらにキャップがマグネット式ではなくなっている。
トップはカルダモンの爽やかな苦味、そして主役のチュベローズの甘く酔わせるようなホワイトフラワー香。チュベローズやジャスミンといったホワイトフローラルは、あまりいい香料を使用していない場合、まるでグレープ味のバブルガムのようにベタベタした甘さが続くばかりでちっとも花っぽくないが(意地悪く言えば今のランテルディのような香り)、このテメレールのチュベローズは生花らしさもわりと感じられる。しっかりアブソリュートも使われているのだろう。アイリスの粉感もいい仕事をしている。
次第にチュベローズの白さにインクアコードの黒が加わってくる。インクアコードってなんぞや?、と注意深く探っていくと、パチュリ、ベチバー、レザー、ケードオイルあたりが正体だと思う。いちばんインクっぽいツンとしたニュアンスを演出しているのはコールタールのような香りを持つケードオイルだろう。
このインクアコードがホワイトフローラルの白さを力強く漆黒に染めあげていく…と思いきやけっこう控えめでおとなしい。白にほんの少し黒が加わり淡いグレーになってドライダウン。持続は6、7時間程度。
チュベローズの白とインクアコードの黒の対比が売りだが、そこまでガッツリコントラストが効いているわけではない。多分、別売りのアコールパルティキュリエ買ってレイヤリングしてくれ、ってことなんだろうけど。単なるチュベローズ香水としては及第点だと思う。
このシリーズにはもうひとつチュベローズが主役の香水(デザンヴォルト)があるが、それらのチュベローズ香と今のランテルディを比べると、本当に差を付けられているんだなとしみじみしてしまう。
コントラストをつけるのはそこじゃない。
トップ:グアテマラ産カルダモン、インドネシア産クローヴリーフ
ミドル:インド産チュベローズアブソリュート、モロッコ産アイリスコンクリート
ベース:アトラスシダー、シャム産ベンゾイン、ジャワ産ベチバー、スペイン産ケードジュニパーウッド、woodleather
調香師は、ニコラ・ボンヌヴィル。
(parfumoより)
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2024/3/19 10:34:19
来た。
やっと来た。
待ち侘びた。
今年の3/12?の価格改定の直前に日本に再上陸したシャンダローム(日本語で「香りの歌」)。初出は1962年で、ゲランの四代目であるジャン=ポール・ゲランの実質的なデビュー作。レジェンダリーシリーズのうちのひとつとして、日本では極一部の店舗でのみ販売されている。価格は75mLで税込17,600円。
ゲランあるあるの「導入予定だけど具体的にいつになるかはサッパリワカンネ」を耐え忍ぶことンヶ月、ようやく手に入れたボトルからスプレーする。パウダリーなアルデヒドとまだまだ青い柑橘の香りがする。やはりレジェンダリーシリーズ、とてもクラシカルな出だしだ。いや、一周回って新しいのか?
ミドルから展開してくるのはフローラルミックス。メインはおそらくハニーサックル(スイカズラ)だろう。花粉っぽくて少しワックスのようなコクのあるホワイトフラワー。ハニーサックルの下で、イランイラン、チュベローズ、ジャスミン、ガーデニア、ネロリが低音を奏でている。花屋のゴージャスなブーケの香りではないな。キラキラとした陽光を浴びる野の花の香りだ。
ドライダウンはモスと乾いたサンダルウッドでシプレ調に落ち着いていく。全体的に軽めの香り立ちだが、しっかりとアルデヒドシトラス→ライトフローラル→シプレと展開していく様子はさすがゲラン、老舗の矜持というものだろう。持続は4時間程度。
この香りによく合う季節はやはり春だ。ハニーサックルの花の時期は4?5月でぴったり、グリーンな側面が強いトップのシトラスと、ドライダウンの軽さも春のイメージだ。暑い季節では香りがこもりすぎ、寒いとうまく香りが立たない印象だ。パウダリーなフローラルシプレは春の野のイメージにピッタリ、クラシカルな香水がお好きな方の春の香りの選択肢には充分に入ると思う。
ずっと待っていた香りを、日本で正規品で入手できて満足ではあるのだが、どっかのGにはもうちょっと顧客に計画的な案内をしてほしいもの。いくらなんでも待たせ過ぎだ。また売る前から値上げされるのかと思ったぞ。それでも待ち続けるのがゲランの顧客なんだろうけど。
トップ:シトラスフルーツ、ハニーサックル
ミドル:ガーデニア、ジャスミン、イランイラン
ベース:オークモス、ウッディノート、バニラ
調香師は、ジャン=ポール・ゲラン。
(parfumoより)
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