






















doggyhonzawaさん
|
---|
2025/1/16 19:46:28
天使の庭に咲く花々の香り、ジャルダン ダンジュ。
オーモンド・ジェインの「ジャルダン ダンジュ」は、2017年に発売された英国の香水だ。オフィシャルサイトによれば、この香水は英国の老舗百貨店フォートナム&メイソンで独占販売されている特別なコレクション香水の1本。賦香率は25%。パルファムだ。ジャルダン ダンジュは、同ブランドの中でも特に繊細で詩的な印象を与える作品とされている。フレッシュフローラルなフロリエンタル系の香りが特徴で、日だまりの美しい庭園にいるかのような感覚を呼び起こすという。
では、実際につけるとどんな感じか?
ジャルダン ダンジュをスプレーする。その瞬間まず感じられるのは、濃厚な茶色いトップ。ベルガモット、スパイシーなローズ、バナナみたいな香りのイランイラン、そこにスパイシーなモスとベチバーのアーシーさがまじった複雑な開幕。
香料を見ると、ローズではなくローズっぽいファセットをもつローズウッドのクレジットがある。どうりで茶色い雰囲気だ。この香水のトップノートは、ベルガモット、ローズウッド、イランイランがミックスで出てくるエキゾティックな印象。ベルガモットの明るいシトラス感がはじけた後、続くローズウッドが温かみを加え、イランイランがクリーミーさをもたらしている。
5分ほどするとミドルになる。ベルガモットの酸味が消失するにつれ、ローズとイランイランの輪郭が明確になってくる。クレジットにはスミレやアイリスも書かれているが、さほどパウダリーなノートは感じない。むしろイランイランかクマリン、ベースのムスクのどれかかが醸し出す「妙にクリーミー」なベールがすごい。フローラルをクリーミーに包み込んでいるイメージ。
さすがに賦香率が高いだけあって、このクリーミーなローズ&イランイランは肌に近いところでこんもりと香り立ち、比較的長く続く。拡散が低いので周囲に迷惑はかけにくいタイプだが、とにかくまろやかでクリーミーなフローラル。それが2〜4時間柔らかく香る。
最後にはムスクとモスがベースノートとして残り、温かみのある甘さとスパイシーさを演出する。ムスクは甘みのあるタイプで肌に溶け込むように馴染み、モスは心地よいドライなウッディ感をもたらす。全体の持続時間については、体温高めの自分の肌で4〜5時間程度。
「天使の庭園」という名の香り。フォートナム&メイソンがオーモンド・ジェインにどのような香りを依頼したかは定かでないが、この香りに包まれていると「柔らかさ」「優しさ」「穏やかさ」そしてどこか「南国っぽさ」を感じる。
英国式庭園でのティータイム。この香りがそばにあると、そのまどろみの時間はさらに優雅なものになりそうだ。イングリッシュローズが咲き乱れる美しいテラス。高低順にきれいに刈り込まれたボーダー式の草木。柔らかな風が吹き抜ける午後、色とりどりの花々の香りが咲き誇っている。そぞろ歩きすれば、四季折々の花々の香りが漂い、自分自身もその一部になったかのような感覚を味わえる。この香水は、その瞬間瞬間の光や風を感じさせ、自分自身の安らぎを再発見する一助となるだろう。
フォートナム&メイソンは、イングリッシュガーデンをテーマにした紅茶も販売しており、同時に、英国最大の花の祭典であるチェルシーフラワーショーに出展し、庭園デザインでゴールドメダルを獲得したこともあるという。そうした「庭園の花々と優雅なティータイム」を彩る香りとして、この香水をオファーしたのかもしれない。
ジャルダン・ダンジュの香りは、天使の羽でふわりといざなう。そこはきっと、あなた自身のエデンになる。
いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はX(旧Twitter)でも時折つぶやいています。香水好き… 続きをみる