CookieyukiさんのGlossier. / Youへのクチコミ |
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- Cookieyukiさん
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- 53歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿142件
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2022/6/22 21:12:07
「自分を大事に。」
今となっては特別感が何もない言葉。初めて聞いたのは40年も昔の中学校の退任式だった。他校に転勤していく全く面識のない先生がお別れの挨拶の中で強調していた。
彼は続けた。「あなたの周りの人も自分を大事にしている。それは世の中に大事な人が沢山いるということ。」
自分を大事にという言葉はかなり抽象的で、自分の感情や意見を大事にとか身体を大事にとか色々に解釈できる。他人の顔色や評価ばかり伺って自分の個性に蓋をし続けていた私にとって突き刺さるような言葉で、それ以来何かにつけて頭をよぎる。その頃は子供も大人も何かに向けてひたすら機械の歯車になったように頑張る時代。何につけても機械の規格みたいに横並びであることが良しとされ、個々の個性にはあまり重きが置かれていなかった印象を抱いていた。高度成長期だったのもあるだろう。
自分らしさの追求。これは衣食住に困らなくなった人の一生のテーマかもしれない。近年多様化する美の基準にもそれは見て取れる。痩せたモデルばかりだったビクトリアシークレットでさえ、多様な体型に対応するためついにプラスサイズモデルを起用した。
GlossierのYouは纏う人によってその人らしい香りになるようにデザインされている。英語のウェブサイトによると「あなたを足して初めて完成するように作られた、それだけでは完結しない香り」だそう。
瓶もある意味未完成。それには持った時に親指がピッタリ収まるように窪みがデザインされている。「あなたが持った時にあなたの一部として完成します」ってことか。
でも、ごめん。素敵なコンセプトを台無しにするコメントを今からする。
赤いキャップに半透明なボトル。それってお弁当に付いてくるソース入れに似てない?
吹き付ける側からいい匂いがする。アルコール感やケミカル感はほとんどなく、何だかよくわからないがホッとするいい香り。トイレタリー製品、柔軟剤、シャンプー、石鹸、花、果物、スパイスのどれにも該当しない不思議な魅力的な香り。香水臭いツンとしたところが全くない。矛盾するが素朴でありながら洗練されている。
やがてピンクペッパーの小粋な香りが控えめに浮き出てくる。パッと振り返るような派手さではなく、昔からの気心のしれた友人のような親しみやすさのある香り。幼馴染の女の子にふと女性性を感じてドキッとしてしまうようなイメージもある。
しばらく経つとムスクのようでムスクではなく、アンバーのようでアンバーではない香りと、アイリスのパウダリーさが混ざった不思議な香りが広がる。昔のヨーロッパではオリスルートで洗濯物に香り付けしていたそうだが、どこかそれに似た心地よい安らぎが感じられる。
ん?潮の匂い?
突然どこからか微かな潮風の香り。私、自分の部屋でくつろいでいるんだけど?
Youをつけた手首からだ。どうやらアンブロキサンには塩気を感じる成分が含まれているらしい。磯臭いわけでは決してない。塩気を含んだ乾いた心地よい香り。清涼感とは違う空気の流れを感じる。夏以外の季節以外向けと思いきや、真夏日でなければ夏でもつけられるのでは?
「あなたを足して完成する香り」ってつける人によって香りが変わるってことか。他人がつけるとどうなるのかな?日本未発売なので英文の口コミを読んでみる。ウッディ、ムスク、ホワイトフローラル、海風の香り、アンバー、パウダリーなどといった意見がならんでいる。私がつけるとホワイトフローラルはほとんど感じられないが、よく嗅いでみると確かにオレンジの花のような香りも含まれている。
何日かつけ続けると体調や天候によって香りが異なることに気づいた。基本的には潮風ウッディアンバーだけど時々ホワイトフローラル、アイリス、石鹸風に傾く。
地味だけど味わいがあって毎日つけても飽きない日常使いの香り。自分の匂いとブランドされて個性的に仕上がって肌によく馴染む。着替えの時にずっと着ていた服の匂いを嗅ぐのがちょっとした楽しみになった。ヤバい人に見えるので人前では絶対やらないけど。
見かけだって個性があるし、性格だって個性がある。当然匂いだって個性がある。
他人と違ってもいいんだ。
自分を大事に。
自分らしさを大事に。
ノート: ピンクペッパー、アンブレットシード、アイリス、アンブロキサン
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