Cookieyukiさんのランコム / トレゾァ オー ドゥ パルファンへのクチコミ |
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- Cookieyukiさん
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- 53歳
- 乾燥肌
- クチコミ投稿142件
2022/6/1 23:51:16
懐かしい香り。90年代に大ヒットして色々なところで嗅いだし、イザベラロッセリーニにがモデルに起用されていたのが印象に残っている。なんでも調香師ソフィアグロスマンが広告塔がイザベラロッセリーニだと聞いて、自信作を情熱的に売り込んだとか。
トップはピーチとアプリコットブロッサム。桃を木からもぎ取る時に焦って枝まで折ってしまったかのようなグリーンな匂いが混ざっている。ポキっとあっけなく折れたのではなく、弾力があってなかなか折れないのをやっと折った茎のよう。それが未熟なピーチの果実とアプリコットの花の香りなのかも。少しだけアクとエグみを感じる。
そしてフローラルが加わる。薔薇、ジャスミン、鈴蘭、ライラック。ライラックと鈴蘭はグリーンさとフルーティさの両方を持ち、フルーツと花を上手に繋げている。甘味でありながら爽やかで初々しい。パウダリーさはアイリスか。
ラストは柔らかで女性らしい香り。女性性を謳歌しているイメージ。確かに熟したピーチとアプリコットの香りはするが、アンバーが加わることによって洋酒感のある大人の香りになっている。フルーツ系の香りは10代が好きな香りだが、それよりもぐっと大人びた香り。可愛らしい少女のような雰囲気が残る人なら何歳でもつけられそう。面白いことに実際に可愛らしい少女達には似合わない。言ってみれば成熟した女性が遠くから自分が若くて無邪気だった時期を眺めているみたいなところがある。
私がつけるとなぜか青臭さが目立つことが多いのだが、苦笑いしてしまう高校時代の思い出と繋がるので時々つけてみる。発売が1990年なので私の高校時代よりも後であり、本人がつけていなかったのにもかかわらず、ある人物を思い出す。
それは色づきだした桃みたいなほっぺのC子先輩。トレゾァの桃の香りを擬人化したら彼女なるだろうと思わせる。
高校2年生の時かなりの確率で私の席は窓際だった。毎週2回クラスメートの男の子が席を変わってくれという。嫌だ。H先生の理科の授業はお日様の程よく入る窓際で昼寝と決めている。
「あのさ、ただとは言わないぜ。ほら、これ」
彼が鞄からゴソゴソ取り出したものは…
「母ちゃんの特性唐揚げだ。お前に全部やるから席替われよ。」
彼の母ちゃんの唐揚げは夢のように美味しい。食欲が睡眠欲に打ち勝った。音速で。
唐揚げで買収された私はH先生の真前に座り質問攻めの餌食に。まあいいか。唐揚げ手に入れたし。気づくと毎週2回の理科の授業のときに何人もの男子たちに席を変わってくれと頼まれるようになった。当然お弁当のおかずと引き換えに。でもなんでうちのクラスの男子たちは理科の時間に窓際に座りたいんだろう?
せしめたお弁当のオカズを教科書で隠してつまみ食い。当然バレて叱られる。その時「ファイトー!」と外で黄色い声。体操服にブルマ姿の女子高生たちが集団で走っている。そこにはボンキュッボンで有名なC子先輩の姿が。私は女なので彼女の身体はどうでもいいのだが、思わず触ってみたくなるような熟しかけた桃のようなほっぺは羨ましいと思っていた。
ふと気付くと窓際の席は全部男子たちで占領されている。当然誰も授業は聞いていない。
「あーあ、彼女と付き合えないかなあ」
うちのクラスの男子たちは独り言がやたらとデカい。
C子先輩は卒業するまで我がクラスの男子たちのの夢を膨らませ続けた。そしてお弁当のオカズで買収され続けた私のお腹も膨らみ続けた。
ところで若い女性特有の匂いとして桃の香りと成分が同じものがあるらしい。
待てよ?それなら私がトレゾァつけても匂いだけなら若い女性になれるんじゃ?年齢を重ねた女性は若い女性がさらに大人になったものだし。確かに表面は干からびかけてはいるが、まだ芯のところは若いのでは?
私は後ろ姿だけが美人だ。決してスタイルがいいわけではない。やたらと若々しい髪の毛のせいだ。脳に行くはずの栄養が全部髪の毛に投入されるため未だに髪だけ真っ黒で艶々。他は全部いい感じに枯れている。一瞬のすれ違いざまなら魅力的な若い女性と勘違いしてくれるかもしれない。でも前に回られて「チッ、ババアか」とか言われたら悔しいな。
あっそうか。
サッと通り過ぎた後、絶対に追い抜かれないように早く走ればいいんだよ。
というわけで逃げ足が異常に早くなった今日この頃。
トップノート: ピーチ、アプリコットフラワー、ライラック、ローズ、鈴蘭、ベルガモット、パイナップル
ミドルノート: ローズ、 アイリス、ヘリオトロープ、ジャスミン
ラストノート:ピーチ、アプリコット、サンダルウッド、バニラ、ムスク、アンバー
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