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doggyhonzawaさん
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Maison Margiela Fragrances(メゾン マルジェラ フレグランス) / レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス

Maison Margiela Fragrances(メゾン マルジェラ フレグランス)

レプリカ オードトワレ バイ ザ ファイヤープレイス

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:10ml・4,180円 / 30ml・9,020円 / 100ml・18,150円発売日:-

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4購入品

2022/1/29 09:10:04

「親父?奴はいねえ。とっくの昔に死んだよ。」

そのひげづらの男は吐き捨てるように言った。山奥の粗末な小屋。暗い室内には、赤々と燃える暖炉のオレンジの光だけが揺れている。男は椅子に座ってこちらに背を向けている。

「奴の借金だか何だか知らねえが、俺には何も関係ねえ。」

男はそう言うなり、サイドテーブルにあったガラスボトルをつかむと、不意に空気中に何かを噴霧した。とたん、あたりに木を燃やしたような香りが広がった。

「何ですか、それ?」思わずたずねた。
「あぁ?香水だよ。ふん、いやな気分のときは、こいつを空気中にふりまくのさ。」

ははあ。「お前は煙たいやつ」ってことか。そう思いつつスマホを取り出し、香水の名前を調べる。バイ・ザ・ファイヤープレイス。なるほど。暖炉で木を燃やした時の香り…か。でも、目の前に本物の暖炉が燃えてるのに、なぜわざわざそんな香りを持ってる?

「親父が残した物は、家の借金とこの香水、それだけだ。俺には返す金なんかねえ!」
「でも、死亡届は出されていませんよね。」
「知るか、んなもん。奴はいつものようにここを出て鹿撃ちに行った。で、それきり帰ってこねえ。何度も言ってるだろ!」

男の表情を探りながらスマホにメモする。借金回収の件はともかく、香水の話は初耳だ。親父さんの香水?何かありそうだ。

暖炉では時折、パチッ、パチッと薪がはぜている。先ほど男が空中にスプレーした香水が、スパイシーな香りに変わり始めている。スマホで調べる。これはクローブか。香辛料だ。ハンバーグに使うナツメグの香りもしている。燃えた木の香りにスパイスのトップノート。こげ茶色の強い香りが、男と自分の間に壁を作っている。くん、くん。

「お前、さっきから鼻を鳴らしてるな。そんなに香りが気になるか?」
「ええ、まあ。今、調べてみました。これは暖炉で木が燃える香りなんですね?」
「だったらどうした?」
「ええ。不思議だなと思いまして。目の前の暖炉で火が燃えてるのに、わざわざ似たような香りをスプレーするって、どういうことなのかなと。」
「そりゃ、おめえが煙てえからだよ。」
「やっぱり?(笑)」
「は!おめえ、自分が疎まれてるのを知ってて食い下がってるわけだ。」
「ええまあ。これも仕事なんで。」

男の態度が少し和らいだ。同時に、先ほどまでギリギリと焦げていた香水の匂いに、ほんのり甘い栗のような香りが混じった気がした。スマホで確認する。チェストナット、なるほどこれか。少し時間がたって、さっきより空気が甘くなってきている。暖炉の火と時間に溶かされて、栗のほくほくした甘さが出てきたようだ。どこか洋酒っぽい香りもする。あー、これはお菓子のモンブランの香りだ。しかも、ブランデーと砂糖で煮詰めたマロングラッセを乗せた本格的なやつ。スマホでさらに香水のラベル詳細をチェックする。

来歴&時期「シャモニ― 1971」 …ん?

「俺はな、親父が大嫌いだった。こんな山奥で暮らし始めて、おふくろが出てってからは、俺を学校にも行かせなかった。それからはずっと奴の鹿狩りの手伝いさ。夏には木を切って薪を割り、冬はその薪を焚いて雪に埋もれて過ごす。それだけの人生だ。奴は俺をこの山に閉じこめたんだ。」
「お父様は…、なぜこの香水を大事にしてたんでしょうね?」
「は?知らねえよ。街に下りたとき、どっかの飲み屋の女にでももらったんじゃねえのか?香水なんてガラでもねえくせによ。」
「もしかしてあなたは、1971年生まれ…ですか?」
「え?なんだ急に。…なぜわかった?」
「え?じゃ、もしかして生まれも海外とか?例えばモンブランの見える街…。」
「おい!どこで調べた!なぜ知ってる?確かにそうだ。うちの親父は若い頃、モンブランでシェルパをしてたんだ。登山客の案内でな。で、そこでおふくろと出会って俺が生まれた。」
「…なるほど。1971年、シャモニー=モン=ブラン。ラベルに書いてますもんね。」
「えっ?」

ボトルを男に手渡して言った。

「シャモニー1971。場所と時間ですよ。この香水は名峰モンブランの麓にあるシャモニーで過ごした思い出から作られた物です。だからきっと…お父様は大切になさってたんですよ。あなたの生まれた場所と年が、たまたまこの香水に書いてるから。」

「!…」

ボトルを握りしめた男の手が少し震えた。

「…よければ、もっとお父様のお話を聞かせてもらえませんか?」

赤々と燃える薪がパチリと音を立てた。男がうなだれるように頷く。2人の間に、グラッセしたヴァニラの柔らかいラストノートが香っていた。

バイ・ザ・ファイヤープレイス、赤々と燃える暖炉のそばで。

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いつもご覧いただき、ありがとうございます。週一ペースで香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水… 続きをみる

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