doggyhonzawaさんのMONTALE(モンタル) / チョコレート・グリーディーへのクチコミ |
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- doggyhonzawaさん 認証済
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- 56歳
- 乾燥肌
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:50ml・12,100円発売日:-
2022/1/14 23:46:54
なぜ冬になると、こんなにもチョコレートの香りが恋しくなるんだろう。
冬さびた公園で、白銀のゲレンデで、そして暖炉のオレンジの炎の前で。気が付くと、さまざまな場面でチョコレートを手にしては、つい口に放りこんでしまう。
板チョコは音がいい。包み紙をはずして、銀紙をシャラシャラめくり、ダークブラウンの美しい台形の山を手で割る。パキッ。
かけらを口にほおばる。噛むたびに音がする。パキッ。パキリ。ファキ。ファリ。そしてなめらかに舌の上で溶けてゆく。
また、高級な一粒チョコのアソートは選ぶ楽しみがある。特に好きなのはゴディバのグランプラス。あのヌバック調の宝石箱みたいなダークブラウンの箱に入ってるチョコ。上蓋を開けると、モールドされたひとくちチョコがずらりと並んでいて、どれから食べようかと楽しく悩む。下の引き出しにも正方形のチョコレートが3種類、キレイに収まっていてあれもおいしい。グランプラスは30個入りでも8000円ほどするから、そうおいそれと口にできないけれど、美しい化粧箱は香水のサンプル収納にも使えて何げに便利だ。
そんな冬の煩悩とも言うべき、チョコレートの香りを忠実に再現した香水がある。モンタルのチョコレートグリーディーだ。
モンタルはフランスの香水ブランドだが、創業者のピエール・モンタルは長年サウジアラビアで暮らしていた方なので、彼が創る香りはかなり中東系に傾いているように思う。どの香水もベースに激しく黒く焦げたウード香を持つ作品が多いものの、このチョコレートグリーディーだけは、本当に珍しくモンタルウードベースの香りがしない。そして特に日本の女性に大人気の香りとなっている。おそらくモンタルの60以上ある香水の中でも、日本では断トツの売れ行きだろう。
では、大人気のチョコレートグリーディー、それはどんな香りなのか?
チョコレートグリーディー、和訳すると「欲張りなチョコレート」。モンタルの香水はどれも光対策のためアルミ缶ボトルに入っている。しかも小さいため、実際に手に取ると軽くてやや安っぽく感じる方もいるかと思う。それでも、チャームが揺れるスプレーストッパーや巾着袋がついているので、携帯性は高いし、落として割れることもない。この意匠は好みが分かれるところだろう。
ネックのストッパーを外してプッシュする。すると一番最初に感じられるのは、実はチョコレートの香りではない。とても塩みのきいたナッツ系の香りだ。やや焦げた香りと共に現れるナッティーな雰囲気、ああ、これはよく高級トリュフチョコの中に入ってる茶色いヘーゼルナッツクリーム、あのプラリネの香りだ。そう感じるトップ。
このコクのあるナッツ香は、結構好き嫌いがあると思う。ほとんどの方は「チョコレートの香り」をイメージしてこの香水のトップを嗅ぐので「なんかチョコレートっぽくない」と思われる方も多いようだ。だが、香水をトップノートのひと嗅ぎだけで判断するのはちょっと待ってほしい。チョコレートグリーディーは、時間がたつにつれて少しずつ変化していく香水だ。その点、最初から最後までビターなカカオの香りが変わらない、フエギアのムスカラカカオのようなシングルノートとは少し異なる。
チョコレートグリーディーは、つけて30分くらいからチョコレート香になる。ヘーゼルナッツやアーモンドを焦がして砂糖と一緒にペースト状にしたフィリングの香りから、それを包むダークチョコレートの香りに変化してゆく。これはまさにゴディバのトリュフの風合いだ。そしてここからずっと、チョコレートの香りがまろやかに続いていく。なんとつけてから10時間以上も穏やかに、ふんわりと。やがて、ヴァニラ香も感じられてきて、ビターチョコレートからミルクチョコレートの香りに変わってゆく。
とはいえ、出力は強い方ではない。ビターカカオの風味、ミルキーなヴァニラの風合い、ほんのりとしたドライフルーツ様の甘さがとけあって、柔らかく香り続ける感じだ。つけて5〜10時間頃のラストノートが、本当にミルクチョコレートの香りに近い。それも、手首やデコルテなど、つけたところから不意にチョコレートの香りが鼻をかすめる感じ。そんな香り方をするから、逆にちょっとたまらない。
なんでこんなにミルクチョコレートの香りは 心をときめかせるんだろう?
香ばしい黒いカカオの香りは、人の心をゆったりリラックスさせるという。白いミルクの香りは、気持ちを安心させる効果がある。だから2つを合わせたチョコレートの香りは、この肌寒く人恋しい時期、甘い麻薬みたいに心をとろけさせるのだろう。
チョコレートグリーディー。それはナッツプラリネを包んだ甘いトリュフチョコの香り。黒と白、禁断のおいしいマリアージュ。
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