★キャプテンD★さんのシャネル / レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル シコモア オードゥ パルファム(ヴァポリザター)へのクチコミ |
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レ ゼクスクルジフ ドゥ シャネル シコモア オードゥ パルファム(ヴァポリザター)
容量・税込価格:75ml・27,500円 / 75ml・33,000円 / 200ml・50,600円 / 200ml・57,200円発売日:2016/10/14
2020/12/15 20:23:56
シャネルのレ クルジフ コレクションのシコモア(EDT 2008年、EDP 2016年)に対して、ずっと地味なイメージを持っていたけれど、このコロナ禍でようやくその素晴らしさが分かってきた。
先行きが見えない不安や、いつ感染するか分からない緊張感のなか、今日は家から一歩も出たくない、でも一日家にいると気が滅入るからリフレッシュしたい、公園や山に行って自然に囲まれたい、でも人が多い場所は避けたい、、、。
シコモアは、そんなささくれだった心をリセットしてくれるような、まさに自分だけの香り。
シコモアとはエジプトイチジクのことで、旧約聖書にも登場し、古代エジプトでは、生命の木として扱われていたらしい。
シャネルが創り出したシコモアは、堂々とした一本の樹をイメージした、樹木が色づく秋や、大地に根を張り、空まで届きそうな枝を思い起こさせる、ピュアで雄大なフレグランスとある。
トップはウッディ・アロマティック。
硬質なサイプレスのアロマティック感と、鋭いピンクペッパーの刺激。そこにジュニパーベリーがみずみずしいを加える。透明な空気と、木々の硬さや湿気を連想させるようなオープニング。
ミドルはウッディ。
鼻先はピンクペッパーやカルダモンのような爽やかな風、中ほどはメタリックなバイオレットを効かせたサイプレスの木枝感を、奥からはスモーキーなタバコとチンキのようなベチバーが全体を包み込む。とてもスモーキーなウッディノートだ。
そこから鬱蒼とした森の香りに沈んでいくと思いきや、鼻先にアルデヒドが現れることで、枝葉の隙間をぬって陽光が差し込むような明るさを添えてくれる。
実際に肌に合わせてみると、ジュニパーベリーのみずみずしさがさらに増して、まるで森の中にいるような心地よさを感じる。
ベースはウッディ・ムスキー。
チンキのようなスモーキーなベチバーと、嗅ぎなれたドライなベチバーの二重奏を、クリーミーなサンダルウッドが柔らかく包み込んでいく。サンダルウッドに隠れたムスクが、ウッディ感やクリーミーなコクを目立たせることなく、まろやかにまとめていることに気づく。
このベースの香りはウッディの温もりと柔らかさのバランスが良いため、肌に合わせると得も言われぬ安心感を与えてくれる。
持続時間はみずみずしいウッディが3時間程度、柔らかいウッディとムスクの香りは8時間くらい続く。
個人的にはシコモアはもっともシャネルらしくない香りだと感じている。
ココシャネルのようなアイデンティティや、華やかさ、着飾った感、さらには高級ラインらしいラグジュアリー感もない。癒される香りというレベルではなく、心に直接働きかけてくるような、とても内観的な香り。
ではアロマ的かというとそうではなく、紙ではなく肌に合わせることで香りが完成するため、間違いなくフレグランスだと思う。
そして、クリストファー・シェルドレイクの影響がもっとも色濃く出ている。明らかに他のジャック・ポルジュの作品と作風が異なっている。
私の鼻では、2種類のベチバーを感じ取ることができる。チンキのようなベチバーにジュニパーを合わせることで生き生きとしたベチバーに仕立て、力強いベチバーにサンダルウッドを合わせることで柔らかな深みを与えている。さらにそのサンダルウッドをムスクで薄めることで、サンダルウッドが出すぎることを防いでいる。素晴らしい調香だと感じる。
シコモアは自分の心をリセットしてくれる、自分のためだけの、真のラグジュアリーな香り。
こういう香りまでラインアップできるのは、シャネルとレ クルジフ コレクションしかないのではと思う。
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