新真昼さんのセリーヌ / サン・ジェルマン・デ・プレへのクチコミ |
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2020/10/30 12:05:34
ひとふきして顕著に感じられるのはプチグレン。このプチグレンはウッディなニュアンスが強く、ひょっとしてメンズ寄りの香りなのか?と思うくらい。そう思ったのもつかの間、付けたてのプチグレンのウッディな感じはすぐに抜けて、トップのメインはネロリの爽やかなフローラルに置き換わる。アクやクセが少なく、さらっとしたきれいめなネロリだ。その下からやや粉っぽいニュアンスも感じられる。
ネロリの爽やかさを残したまま、ミドルのフローラルへ。パウダリーでどことなく懐かしくて柔らかな甘さ。ヘリオトロープで冷涼感とほのかな甘さを、オリスルートでサラサラとしたパウダリーな質感が演出されているようだ。公式サイトには「マシュマロや粉砂糖のパフのような甘さ」とあり、たしかにそんな感じ。甘さのあるフローラルではあるが、フローラルブーケのような豪奢な印象ではなく、とてもミニマルで落ち着いている。
ドライダウンは淡いバニラ。消え入りそうなほど微かで、あまり存在感はない。鼻を近づけないとわからないくらいで、香り全体の持続は3〜4時間程度。オートパフューマリ―コレクションの中ではフェミニン寄りのユニセックス、最低限の要素でコンパクトにまとまっているのはやっぱりスリマン監修なんだな、と納得。
セリーヌのどのフレグランスにも言えることだが、このシリーズは今までにない個性的な香りが揃っているわけではない。むしろ既視感がある。それでも不思議と飽きがこなくて、何度でも付けたくなるような香りだ。さんざん試してきた系統の量産型の香りに見えるけどしっかりエディ節を感じられる、そういうシリーズだと思う。
大きな教会が中心にあるサンジェルマンデプレは、多くの芸術家や知識人に愛されフランス文化をけん引してきた地区。若きエディ・スリマンはここのカフェでどんなことを考えていたのだろう。ぱさぱさと粉っぽいオリスルートとヘリオトロープの甘さは、どことなくノスタルジックでセンチメンタル。華奢な青年によく似合う香りだ。
ノート:ネロリ、プチグレン、オリスルート、ヘリオトロープ、バニラ
(フレグランティカより)
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