analaighさんのル ラボ / BAIE 19へのクチコミ |
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:15ml・11,770円 / 50ml・26,950円 / 100ml・41,250円発売日:-
2020/7/12 08:02:33
理想のマリン系を探す旅に(たったの3本トライしただけで)疲れて迷走をはじめ何を思ったか「別にルームスプレーでもいいんじゃないか」などとルラボの門を叩いてしまいました。
ホームフレグランスの CALONE 17 が目当てだったのですが、ムエットに出してもらったところ何の変哲もないメロン系で「ルラボに期待しすぎたかしら……」とちょっぴりガッカリしていたところ、「ウッディ系お好きでしたよね(ごくたまにしか行かないのにスタッフさんの優秀ぶり…)、水っぽい香りでしたらこちらも」ということですすめられたのが BAIE 19 でした。
2006年にスタートしたルラボの中では新顔の、昨年2019年に発表された BAIE 19。BAIE というと、香りもの好きさんの中にはディプティックのキャンドルが浮かぶ方もいらっしゃるかと思いますが、ベリーという意味のフランス語です。下調べせずに BAIE =ベリーと頭で変換してから嗅いでみて「んっ????????」となりました。
ベリーといっても、ラズベリーやクランベリーやブラックベリー、ブルーベリー、ブラックカラントといったよくある甘酸っぱくジューシーなベリーでなく、ジュニパーベリー(セイヨウネズの球果 / baie de genievre)です。ジンの香りづけに使われるものというとお酒が好きな方ならピコーン!とくるかもしれないですね。
このジュニパーベリーの、深い森のようなウッディさ、爽やかなスパイシーさと、パチュリのくすんだほろ苦さがしっかりと手を取り合ってくれたのが BAIE 19 の香りです。「長い間日照りが続いた後の最初の雨」が打つ大地が放つ香りを表現しているんですって。アメリカ版の説明では「BAIE 19 でなく WATER 19 という名前にすべきだったかも」とあるほど、水や雨を意識した香り。
スプレーしたてはややシャープで、ほんのり酸っぱい。すでにパチュリが感じられ、ほろ苦すっぱい、といった感じ。個人的な好みからすると、ものによってはこの苦すっぱい系統の香りって非常に不愉快なのですが、こちらは自分で驚いたほど最初から好きでした。おかしいな、好みが変わったかな、と思ってあまり好きでない苦酸っぱい他の香水を再確認してみてもやっぱり不愉快だったんですよねえ。ふしぎ。
酸味とほろ苦さがまろやかになってくると、なるほど雨っぽい。降りだしてすぐ、または日が出て蒸発し始めたときの立ち上る土っぽさを感じる香りがします。「長い間日照りが続いた後の」と仰るとおり、「水」を意識した香りにしてはややドライさがあります。湿った感じがする香りではありながら、まだ雨が染みきらない大地の乾いた表面のようなのがふっと香ります。
自分でもどうしてだかわからないくらい好きです。森の中、大きな木の陰で霧雨が上がるのを待っているような、しんとして落ち着く香り。
乾いて落ち着いてからはシヤージュはあまりありません。なので持続もしないかなと予想していましたが、思いのほか持ちます。そして軽めのシャワーくらいなら負けずに残ります。びっくり。
万人受けはまったくしないと思います。甘い香りが好きな方は試香すらしない方がいいと思いますし、「雨」からアクアティック系を期待する方にとっても期待外れだと思います。CALONE 17 のようなよくあるマリン系と比べるとまったく異なる水へのアプローチです。ルラボでアクアティックなのが欲しいんじゃいという方には CALONE 17 か NEROLI 36 をおすすめします。
パチュリやジュニパーがお好きで甘さのない香りをお求めの方ぜひ試してみてください。女性らしい香りを好む方にはマスキュリンに感じられるかもしれませんが、水のように性別を感じさせない香りに感じます。ミステリアスな雰囲気の方に、男女問わず、よく似合うのではないでしょうか。
調香は大ヒット作 SANTAL 33 を含むルラボの多くを手掛け、最近だとミキモトやカルト的人気のコスメブランド Glossier のそれぞれブランド初となる香水を担当するなど引っ張りだこのフランク・ヴォークル(ご出身のドイツだと発音異なるのかな?)。ヴォークルさんの香りには好きなものが多いような気がしてきました(サンタルも好き)。
こちらも「探し求めているマリン系」ではないのですが、これは現品リピートすると思います。出会えてよかったです。
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