TOP > doggyhonzawaさんのクチコミ投稿一覧(投稿日時順) > ジャン ポール・ゴルチエ / クラシック オードトワレ ETSへのクチコミ

doggyhonzawaさん500人以上のメンバーにフォローされていますジャン ポール・ゴルチエ / クラシック オードトワレ ETSへのクチコミ

表示
一覧
個別

クチコミ426件中138件目表示

前へ

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 54歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
ジャン ポール・ゴルチエ / クラシック オードトワレ ETS

ジャン ポール・ゴルチエ

クラシック オードトワレ ETS

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・9,900円 / 100ml・13,750円発売日:-

4購入品

2020/2/15 12:25:44

世界の名香の中には、エポックメイキングなボトルデザインで爆発的にヒットした作品が少なからずある。80年代、モード界のアンファンテリブルとしてその名を全世界にとどろかせたジャン・ポール・ゴルチェ。彼が1993年に初めてリリースした香水。それは女性のボディをかたどった肉感的なボトルをアルミ缶に収めたスキャンダラスな作品だった。その名はクラシック。

クラシックのボトルは女性のトルソー(胴体部分の人型)をデザインしていて、とても目を引く。このデザインは元をたどれば、スキャパレリ社のショッキング(1940)という香水に行きつくが、ゴルチェはこのショッキングへの敬愛と、自身が服を作るときに使っているストックマン社製のトルソーへの愛情を込めてこのボトル形状にこだわったという。このボトルに関する彼の執着は強かったようで、商標認可のために何度か訴訟も起こしていたようだ。

クラシックのボトルを久々に手にとってみると、流石にちょっと気恥ずかしい感があるものの、手に収まるフィット感がとてもいいことに驚く。このボトルは2つの理由で商業的に大ヒットした。

1つめは、マスマーケティングによる強烈なアピールだ。ゴルチェはこの香水を売り出すために、当時としては珍しく何本ものトレーラーを作り、映像と広告で話題をふりまいた。この反響は大きく、以後、他のブランドも追随し、香水を売るために莫大な広告費をかけるようになった。

2つめは、90年代のセックスシンボルとなったマドンナが、ゴルチェの下着ファッションを好んで取り入れて世界的ブームを巻き起こしていたことだ。このマドンナの影響はすさまじかった。クラシックのボトルじたいが、当時マドンナそのもののように感じた方も多かっただろう。

では、肝心の香りの方はどうなのか?今なおコンスタントに売れ続けているというゴルチェのクラシックとはどんな香りなのか?

トルソーボトルの頭を押してクラシックをスプレーする。はじめに感じられるのは、甘くかぐわしいフルーツの甘さとコクだ。チェリーリキュールのような洋酒の香り。すぐさまパウダリーなアイリスの香りが追いかけてくる。このトップがとても印象的だ。

3分もせずに香りは変化してゆく。さすがに30年ほど前に作られた香りなので、トップからミドルへの変容が大きい。ミドルはわずかにシナモンのスパイスが効いたホワイトフローラルになる。オレンジフラワーの柔らかな香りにローズの青み、そして、チュベローズの妖しい感じも出ている。イランイランも感じるがとても弱めだ。つけて5分が最も濃厚にこれらのフローラルミックスが感じられる。

やがて30分もすると、かなり香りがうすらいでくる。フローラルがスッと抜けて、温かみのある香りと石鹸風のほんのりツンとしたムスクが感じられるようになる。これはジンジャーと昔よく使われていたムスクのコンボだ。濃密なフローラルの時間が30分前後で薄れ、あっという間にわずかにクリーミーな石鹸ムスクに変わる。オードトワレなのでパッと広がってすぐに終焉といったイメージの展開。華やかながら、引き際が早い。つけて2時間もするとうっすらとした石鹸ぽい香りだけが漂う。

全体的に香料濃度が薄めで、香りの変化が早い香水。最初は甘く酔わせるように始まり、すぐに濃厚なホワイトフローラルになる。最後はソーピーなムスクという、今なら多くありそうな香り。調香師は現在ルイ・ヴィトン専属のジャック・キャバリエ。彼がフィルメニッヒ社時代に手がけた作品の中でもかなり初期の物だ。ロードゥ・イッセイでアクア系と呼ばれる分野を開いて注目された彼が、その後、ブルガリプールオムを作るまでの間にこのクラシックを手がけている。世界香水ガイド2では、タニア・サンチェスがこのクラシックを酷評しているけれど、どこかバイアスがかっている感はある。この香水はフロリエンタルという流れを世界に強くアピールする記念碑的作品になった。

2020年、長年モード界を牽引してきたゴルチェの引退が発表された。かつて幾多の大スターの衣装を手がけ、映画の衣装でもその独自のセンスを輝かせた巨匠ゴルチェ。今久々にクラシックの香りを嗅ぐと、彼が前衛的なものばかり求めていたのではないことにはっきりと気付く。

「イメージしていたのは、新しい香りではなくおばあちゃんの白粉を思い出させる香り。存在感があって美しく、未来まで残って『クラシック』と呼ばれる香り」

ゴルチェはクラシカルな物を大切にしつつ、自分らしい斬新さを織り込んでいくデザイナーだった。今日、クラシックの香りにゴルチェが歩んできたであろう軌跡を思った。

石鹸の香りのように慎ましい残り香がしている。美しいボトルが春の日に輝いている。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済

doggyhonzawa さんのMyブログへ

プロフィール
  • 年齢・・・58歳
  • 肌質・・・乾燥肌
  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・普通
  • 星座・・・山羊座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 映画鑑賞
  • Twitter
  • 読書
  • ブログ
  • 音楽鑑賞

もっとみる

自己紹介

いつもご覧いただき、ありがとうございます。香水について細々とレビューしています。 最近はTwitterでも時折つぶやいています。香水好きな方がた… 続きをみる

  • メンバーメールを送る