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doggyhonzawaさん
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キリアン / ストレート トゥ ヘブン ホワイト クリスタル オード パルファム

キリアン

ストレート トゥ ヘブン ホワイト クリスタル オード パルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,400円発売日:-

4購入品

2019/11/16 21:19:45

「天国へ直行の香り」。キリアンのストレイト・トゥ・ヘブンという香水を直訳するとそんな言葉になる。この香りは2007年にキリアン・ヘネシーが自身の名を冠した香水メゾンをブランディングさせた際、一番最初にリリースされた6本の香水のうちの1つだ。

「アートとしてのパルファム」をテーマに、彼が調香師と共に作り出すラグジュアリーで神秘的な香水たち。初期の作品には、彼が幼少期を過ごしたコニャック貯蔵庫の甘くかぐわしい木樽の芳香のイメージが色濃く反映されている。コニャックを木樽に入れて熟成させると、いつの間にかほんの少しコニャックの量が減る。これをセラーの人々は「あれは天使が飲んだんだ。エンジェルズシェア(天使の分け前)さ。」と呼んでいた。神に捧ぐ供物を大切に創るセラーの人々の姿が、彼のアートのバックボーンにあるという。

ストレイトトゥヘブンは、まさにその原風景になぞらえた香りだ。

美しい黒ボトルから天国直行をプッシュする。最初に鼻を直撃するのは、ラム酒の透明感ある苦味。ほんのりとした甘さを連れながらも、強烈に酔わせるようなアルコールの香りが立ちのぼる。かと思うと、すぐさまその下から出てくるのは、シダーの清涼感あるウッディ。削りたての鉛筆の木くずの匂いだ。同時にフルーティーなファセット、黒い墨の香りと評されるパチュリのスパイシーさも出てくる。

トップにベースノートの香料を一瞬感じることはよくあるけれど、一瞬ホワイトラムの苦味が立ちのぼってその後はシダーとパチュリのスパイシーウッディなベースアコードがずっと続くリニアな展開だ。香りがほぼ変化しない。それでもつけているうちに、パチュリの奥からナツメグのツンと来るような独特のスパイシーアロマも感じるし、パイナップルをドライフルーツにしたような酸味ある香りも感じられるときがある。

1時間経っても、パチュリのスパイシーな土っぽい匂い、ナツメグの乾いた清涼感、そしてそれらを包みこむような涼しげなシダーの赤い木肌の香りが続いていて、全体にキリッとした風情。ただ持続時間は短め。付けて3〜4時間経つ頃にシダーの残香がかすかに残っているくらい。付けたところに鼻を近づけてやっとかぎ取れるような淡さになる。

全体的な香りイメージを描いてみると、パチュリの苦味と拮抗するようにスパイシーなナツメグ香が強く出ていて、黒くて茶色い香りといった感じ。その周囲にシダーが清涼感を演出している様子。キーノートはこの3つだ。

ミドルにラムの香りがクレジットされているが、この作品はラムの香水というより、ラムを仕込む木樽の香りを表現したような香水だ。暗い地下貯蔵室に眠る何百という木の樽の匂い。ラム酒は、木樽の中で静かに外部の空気を取り込んで、呼吸しながら見事なアンバー色に熟成していく。その辛口蒸留酒を作り出す強い木の匂い。キリリとドライな分、香り立ちもスッキリしていて妙に後味を残さないクール&スマートな香り。まさにキリアン・ヘネシーが育った貯蔵庫と影のある彼自身のイメージ。

キリアン・ヘネシーは、言わずもがな、コニャックの世界的メゾン、ヘネシーの御曹司にして生まれながらの超セレブリティ。ただ彼の内面にある、かなりダークでクローズドな闇が作品のそこかしこにうかがえる。彼は香りの創造を通して自身のの過去と未来、内面の光と闇を常に見つめ、自らを孤独の淵から救済しようとしているように思えるのは気のせいだろうか。(←同じ厨二のヲタを感じると素直に言え)

キリアン・ヘネシーはかつて、テーマと香りについてのインタビューで次のように答えている。

「幸福の匂いは祖父がつけていたオーソバージュとタバコの匂い。愛の匂いは、私の愛する女性達が好んでいるチュベローズの匂い。そして友情の匂いは、ストレイトトゥヘブンの香りだ。私の大切な親友5人は全員この香りを選んでつけている。もちろん私もだ。」

善と悪、男と女、そして天国と地獄。彼の香水のテーマには、そうした深い二律背反の対比が織りこまれている。もしかしたら彼にとっての天国は、輝きに満ちた平和な場所ではないのかもしれない。そこが自身の影さえ見えないほどの漆黒の闇の中にある安らぎの場所だとしたら。

暗い貯蔵庫で一人遊んでいた孤独な少年も、いつか大人になる。ダークラムの甘く焦がしたカラメルの匂い、その強いアルコールが喉に流れ、ひりつくような熱を感じた瞬間、スパイスの香りとともに彼の精神と肉体は一気に覚醒する。栄華と退廃、理性と官能の狭間にあるしがらみから逃れて、黒い天国の狭き門の奥にある狂おしい官能の世界へ。

ストレイトトゥヘブン。それは彼の名刺代わりのシグネイチャーセント。愛すべき地上の亡者へ贈る天使の分け前。

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