doggyhonzawaさんのラボラトリオオルファティーボ / コズメルへのクチコミ |
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- doggyhonzawaさん 認証済
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- 53歳
- 乾燥肌
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2019/10/12 19:20:24
コズメル。それはメキシコの東海上に浮かぶ小さな島の名前。どこまでも野性味あふれる手つかずの自然が織りなす美しい風景がコズメル島の魅力。ラボラトリオ・オルファティーボのコズメル・オードパルファムは、そんなワイルドアイランドの香りをイメージしたメンズ向けのフレグランスだ。
「嗅覚の実験室」という名のラボラトリオ・オルファティーボが、ブランド創業時にリリースした最初のフレグランス4本のうちの1つ、コズメル。ブランドはこの作品を次のように紹介している。
「この情熱的なフレグランスは冷静と情熱の間をいとも簡単に行き来します。メキシコの太陽から、男性の素肌とハーブのアロマが混ざり合ったような親密な香りは、フレッシュなタバコ、インドヘンプ、ベルベットの木の芳香がアクセントに。そして、無人島の深い森の奥に流れる野性的な香り立ちへと変化を遂げるでしょう。」
30mlで8千円前後と価格はお手頃。調香師はマリー・デュシェーヌ。イタリア発の自由な香水メゾンであるラボラトリオの先陣を切った代表的なフレグランス、コズメルはどんな香りだろうか?
トップ。透明感あるスッキリしたベルガモット。と同時にアロマティックなハーブの香り。透明感があるバジルだ。同時に柔らかなスエードの香りがふんわりと包み込むように広がってくる。暑く乾いた大地を思わせるオープニング。
3分もしないうちに、ロースティーな茶色の香りが表出してくる。タバコの熟成されたコクのようだ。どこかグリーンなハーブの香りとタバコの苦く辛みの効いた風味がまじりあうように出てくるとミドル。ミドルはトップから続く柔らかなスエードレザー風の香りと、このまろやかなタバコの香りがメインとなって主張してくる。フローラルの気配は一切ない。まるで太陽に焦がされた砂浜、なめした革と焚き火と森の匂い。
柔らかなレザーノートの中に、次第にサンダルウッドの香ばしさ、シダーの清涼感が感じられてきたらラスト。持続時間は、体温高めの自分の肌で大体3〜4時間ほど。なめらかな革の香りからクリーミーなサンダルウッド系の香りを漂わせて終息する。
まとめると、コズメルは動物の皮で作った革製品の匂いと乾いた木々の香りを感じることができるフレグランスだ。スパイスもフローラルもなく、レザー&ウッディで展開し、自然を感じさせるような作りになっている。香り立ちが柔らかく、主張も穏やか。それでも、海や風のアクアやオゾニックな香料はあえて入れず、レザー調の香料を際だたせてウッディ系で支えている点はどこかモダンにも思える。あっさりとではあるが、トップ〜ミドル〜ラストと変わる展開を見ても、まばゆい太陽〜革の香り〜ジャングルの木々の匂いへと、島の奥へと進む風景の変化も描いているようだ。
調香師が自由に自分の作りたい香りを創造するのがブランドの意志だから、イタリアから大西洋を越えたカリブ海の島のイメージを投影した作品なのだろう。カリブ海に浮かぶ手つかずの大自然、特に美しい海の背後に広がるジャングルの木々の香りをフィーチャーしたように感じられる落ち着いた香りだ。
眼前に広がる紺碧のカリブ海。どこまでも広がる白砂のまばゆいビーチ。男たちは世界中からダイビングのためにこの島に訪れる。彼らがくゆらすタバコの煙。強いアルコールの香り。灼けた肌とナイフを研ぐ革研の匂い。海の底には宝石のような美しい珊瑚礁が広がっている。男たちはそこに神秘的なグランブルーの夢を見る。
ひとしきりダイビングを楽しんでビーチに帰港するとき、彼らが見るもの。それは人間の侵入を拒むかのようにそそり立つジャングルの猛々しい緑。そのむせかえる樹々の匂い。灼けた頬に触れるのは、自然に回帰せよと告げる荒々しいコズメルの風。
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