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doggyhonzawaさん
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ラルチザン パフューム / プルミエ フィグエ オードトワレ

ラルチザン パフューム

プルミエ フィグエ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

本体価格:100mL・17,000円 / 50mL・13,500円発売日:-

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5購入品

2019/7/13 14:19:59

幼い頃、家の裏に1本のイチジクの木があった。人の手の平のように大きな葉。その間にたくさんついている緑色のたまごのような果実。その実をもぐと白い液がじわじわ出てきて、あたり一面に不思議な匂いをふりまいた。そのねばついた汁は手につくと簡単には取れず、家に帰ると強い匂いのせいで祖母にバレてよく注意されたものだ。かぶれるとか、かゆくなるとかエトセトラ。「あの木にはさわっちゃいけないよ」祖母のその言葉は幼な心にもはっきりと刻まれた。イチジクはあの頃の自分にとって禁断の木だった。

たぶん4歳くらいだったろう。当時祖母はよくイチジクの実をとってはザラメで煮詰め、甘露煮を作ってくれた。父も母も仕事で不在で、日中はいつも祖母と二人きりだった。友達もうまく作れなかった自分にとって、イチジクの甘露煮はおばあちゃんと二人で楽しむ最高のスイーツだった。さわっちゃいけない緑の木と、とろけるように甘く柔らかいイチジクが同じものだと知ったのは、ずっと後になってからだ。

「イチジクの香りの香水がある」それを知ったのはつい10年ほど前だ。世界で初めてイチジクの香りを創ったのは調香師オリヴィア・ジャコベッティ。彼女の調香の特徴は、女性らしいたおやかで繊細、知的な雰囲気が感じられるシンプルな香りが多いことだと思う。プルミエ・フィグエは彼女の経歴において、おそらく最も輝かしいステップとなった作品。ラルチザンで創ったこの作品が大ヒットとなり、同ブランドから詩的な作品を次々とリリースし、エルメスのイリス、フレデリック・マルのアンパッサンなども手掛けた。

プルミエ・フィグエ、青いイチジクの意。スプレーすると、その瞬間とても透明感のある香りに包まれて心地いい。クリーミーなヴェールがかかったみずみずしいフルーツの香りと、青さを残した木々の葉の香りが同じくらいの出力で広がってくるトップだ。ナッツのコク、ピーチのような柔らかな甘さを伴いながら、刻々と香りの微粒子が明滅する。感じられるのは真夏の太陽の熱。その下で青々と揺れる木々の葉。日光で温められたイチジクの果実の香り。

香料の構成を見るとトップにはガルバナムがあり、グリーンの青さの陰でわずかな苦みを効かせていることがわかる。そのブレンド具合がとても自然で心に残る。5分もするとグリーンノートは次第に消失し、クリーミーなココナッツの香り、わずかなジャスミン、ほんのりビターなアーモンドオイルの香りが相まって、南国風の青いフルーティーさを醸し出してくるとミドル。

このミドルもとてもスッキリしている。繊細で柔らかく、フルーティーでありながらフローラルを感じさせず、クリーミーでありながらココナッツは控えめだ。風に揺れる緑の大きな葉。その大きな葉の間からこぼれる陽射しが次々に別の葉にあたって白い汁を果実にためていく。そのあふれるようなクリーミーフルーティーな香り。これは本当にまだ青いイチジクの果実だ。

1時間ほどすると果実の香りは思った以上に早く消えてゆく。体温高めなので香りの変化も飛びも早い方だけれど、夏に向かう時期は特にそうだ。ラストはほんのり香ばしいサンダルウッドの香りに変わって、イチジクの木全体を表すようなウッディに変化して幕を閉じる。

全体的にドライダウンまで2〜3時間と短めで主張は穏やかだ。オードトワレなので仕方ないが、日本の梅雨や夏は湿度が高く香りがこもりがちになるから、このくらいの出力が丁度いいかもしれない。もっと強めの香りや果実香を探している方は、同エクストリームを試すか、オリヴィアがディプティックで作ったイチジクの香り、フィロシコスを試してみるといい。

プルミエフィグエの透明でクリーミーな香りに包まれていたら、今はもうない祖母の家を思い出した。

祖父も祖母も亡くなり、幼い頃一緒に住んだ家を取り壊すことになったある日、一人車で祖母の家に向かった。あの頃大きく感じた家はとても小さく思えた。ガランとした家の中には、じっと動かぬ思い出たちの気配がそこかしこに感じられて鼻の奥がツーンとした。家の裏に出ると、祖母に触れることを禁じられたイチジクの木がまだそこにあった。半分枯れかけたその木の葉をなでていたら、不意に祖母がいつも作ってくれたイチジクの甘露煮の味がよみがえって顔がぐしゃぐしゃになった。

「イチジクできたよ。いっぱい食べなさい。」

自分が喜んでイチジクをほおばる顔をいつも見ていた祖母。その顔はいつも優しく慈愛に満ちていた。そのせいだろう。プルミエフィグエをつけていると、時々ちょっと切ない。

久しぶりに出かけてみるか。昔住んでたあの町に。もう祖母の家もイチジクの木もないけれど。

仰ぎ見た空はどこまでも広がる夏空。青いイチジクの風が吹いている。

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