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doggyhonzawaさん
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クリード / スプリングフラワー オードパルファム

クリード

スプリングフラワー オードパルファム

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:30ml・20,900円 / 75ml・30,800円発売日:-

4購入品

2019/3/16 13:34:33

クリードのスプリングフラワーは謎めいた香水だ。「春の花」という名のこの女性用EDPは、かのオードリー・ヘプバーンのために作られた香水とされているが、実際には詳細がよく分かっていない。

この香りはヘプバーンが亡くなった3年後の1996年にリリースされた。このときクリードは「1951年に彼女のために作った作品。45年ぶりに公開。」としている。ただこれには1980年代中頃に製作されたという説もあるのだ。「どっちだっていいじゃん」そんな声も聞こえそうだがそうもいかない。もし1951年リリースならば、あの名作「ローマの休日」の撮影時、彼女はこの香りを纏っていたかも知れないからだ。

英国で王室御用達ブランドとして地位を築いたクリードは、幾多の有名人のプライベート香水を作ってきたことでも有名だ。ただこの作品が本当に1951年に作られたのだとしたら、少し辻褄の合わないことが出てくる。

第一にその年にはまだオードリーが著名人ではないこと。英国で何本かの映画に出た程度の新人女優。そんな彼女のために専用香水をクリード側が進んで作るだろうか?そうは思えない。だとしたら彼女の方から余程の金額を出して依頼したことになる。とはいえ「ローマの休日」でブレイク前の彼女に果たしてそんなことができたかということ。

第二にその年に作られたとすると時代と香調にズレが生じる。スプリングフラワーは明らかにフルーティフローラル系で、これは1985年以降にブームとなった香調だ。ピーチアルデヒドは1919年ミツコの時代からあったとはいえ、この香水に使われているメロン等の香料は80年代以降に開発、使用されるようになったものだ。だとすればやはり80年代にクリードがオードリーに贈った作品だったのだろうか?

ちなみにオードリーといえば、1957年にジバンシィが彼女のために作った香水、ランテルディの方がずっと有名だ。ランテルディの香りはアルデハイディック・フローラル系で、シャネルの5番に近いタイプだ。実際その時代はそうした香りがまだまだ主流だった。であればなおさら、その5年以上前にフルーティフローラルが作られたとは思えないのだがどうなんだろう。

ともあれ、そんな製作年の謎にこだわり過ぎているのは自分だけだろうから(←正解)肝心の香りはどうかというと。

クリードのスプリングフラワーをスプレーする。すぐに広がるのはフルーティーなファセット。D&Gのライトブルーをわずかに思わせる青リンゴ系のすっきりした香り、そこにクリーミーでほんのり甘いピーチ系香料が重なる。ややアクアティックなのはメロン系香料だろう。トップはこのリンゴ、ピーチ、メロンがほぼ同等の割合でみずみずしく香る。酸味はほぼない。ミルクフレーバーが効いたスイートフルーツポンチといった印象。

5分ほどすると、フルーツの下から白いジャスミンの香りが明確になってくる。確かにフルーティフローラルだなと感じる展開。ミドルの香りは終始このフルーツとジャスミンのユニゾンで展開する。決してハーモニーではなく。それでもフルーツや花は思っていたより重たげでマニッシュ。理由はクリード独特のムスクかなと。それは多少アンバーグリスの潮風感の効いたエアリーで塩っぽい感じのムスクで、クリードの作品にはよく感じられるベースだ。その風味がジャスミンの下から出ててどこか海岸線にいるような雰囲気。苦手な方はよく「瓜系」とまとめる風味。このあたりが好きになるかどうかの一番のポイントかと。あとメチャ高い値段にこの香りが見合うか。(←それだよ)

ラストは大きな変化なく香りが消失してゆく。ピーチやメロンが、塩っぽいみずみずしさを呈したアンバーグリス&ムスクでほの温かくなって。まだ少し肌寒い空、まばゆい日差しを浴びて少しずつ色彩が戻り始めている春の園を思い浮かべる。そんな庭園の柔らかな風を感じるエンディング。

オードリー・ヘプバーン自身、世間の喧騒を離れてハリウッドには住まず、スイスに構えた自宅で四季折々の庭を楽しみながら慎ましく暮らしていたという。春には庭のテーブルに花々を飾り、愛する子どもたちとゆったりとした時間を楽しんだそうだ。晩年の彼女はユニセフ親善大使として何度もアフリカに渡り、その生涯を子どもたちのための慈善活動に捧げた。

そんな彼女こそが永遠の花。この世界に平和と生命の喜びをもたらすスプリングフラワー。クリードはきっとそんなふうに考え、彼女のためにこの香りを創ったのだろう。製作年は分からずとも、クリードのその意気に感じたい。

まばゆい日差し、水蒸気をたっぷりはらんだ大気、清冽な水の流れ、春の息吹に目覚めはじめた庭園。彼女はいつもそこにいる。花の香りをかいで、天使のように微笑んで。

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