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doggyhonzawaさん
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ラボラトリオオルファティーボ / ヌン(Nun)

ラボラトリオオルファティーボ

ヌン(Nun)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2019/6/22 13:29:37

「はじめこの世界には『原初の水』ヌン(Nun)しかなかった。やがてその水面に美しい太陽のような形のハスの花が咲き、そこからラーが誕生した。ラーはヌンより出でて他の神々を生み出し、自身は太陽神として世界を支配した。」

古代エジプトにはさまざまな神話がある。中でもひときわ興味を惹くのがこの太陽神ラーの誕生に関する話だ。そこには原初の水と呼ばれるヌンが世界の最初にあったこと、そしてハスの花が咲き、世界を統べる神が誕生したことが語られている。

その世界創造の「原初の水」をモチーフにした香水がある。ラボラトリオ・オルファティーボのヌン・オードパルファムだ。

ラボラトリオ・オルファティーボは、2010年にイタリアで誕生したニッチフレグランスメゾン。かのメディチ家の時代からイタリアには星の数ほどの香水メゾンが存在しているが、この「嗅覚の研究室」と銘打った新進気鋭のブランドは、マーケティング度外視で力のある調香師に自由に作品を創ってもらおうという主旨で香水をリリースしている。ではそんなラボラトリオから2016年にリリースされたヌンとはどんな香りだろうか?

ヌンをスプレーする。その瞬間、立ちのぼってくるのは透明感のある優しいホワイトフローラルだ。水のようにスッキリした香り、柔らかな甘さを伴ったペアー、そしてクチナシ様のクリーミーな白い花の香りが豊かに広がる。

何だろう。何度かいでもこのトップには心がとろけそうになる。←お前だけな

メゾンによる香りの構成を見ると、トップの香料はベルガモット、レモン、洋ナシ、ネロリなどのよう。ただ一緒にハスの花のみずみずしい香り、ロータスノートが出てくるので、実際はかなりウォータリーに感じられる。ウォータリーといえば、これまでのキュウリやスイカ、メロンを思わせるもわっとした野菜系の香りを思い浮かべる方もいると思うが、ヌンのウォータリーは全く違う。

これまで数多くウォータリーな香りを体験してきたけれど、ヌンほどみずみずしくスッキリ感じられる水系の香りはなかった。そう思う。

ポイントはわずかに使用していると思われる洋ナシ、ペアーのジューシー感だろう。それがロータスの少し冷たい感じと相まってリラグゼーションを引き出している。この取り合わせはありそうでなかったかも知れない。

やがて5分もするとトップでわずかに感じられたシトラスは消失し、クリーミーなホワイトフローラルがふんわり広がってきてとてもフェミニンな雰囲気になる。わずかにグリーンのエッジをもっている花の香りだ。チュベローズの感じやヒヤシンスの感じもあるちょっと涼しげなアコード。トップの香りが水だとすれば、ミドルは明らかに水面に咲いた白く輝くようなスイレンの趣。

一般にロータスといえば、水面から長い茎を伸ばしてピンク色の花を咲かせるハスを思い浮かべることが多いが、古代エジプトで神々の花とされたのは水面で咲くスイレンの方だったようだ。1億4千万年も前からこの地球上にあるといわれる最古の花、ロータス。まさに原初の水から生まれた世界最初の花といっても過言ではないだろう。ヌンのミドルは水とスイレン、両方のアコードを持っている。

やがて4〜5時間すると香りは全体にうすれてくる。香りがほぼ変化せず、ミドルの白い花の香りのままドライダウン。終始ココナッツのようなクリーミーなヴェールがかかっているようにも思うが、試しに別ブランドのココナッツウォーターと同時につけ比べたら、そんなことはなかった。ココナッツにある特有の塩バター風なテイストがなく、ヌンの方が温度感も低くよりみずみずしい。

全体的な香調は、ペアーの効いたフルーティーなウォータリーと、ミドルのエキゾティックなホワイトフラワーに支えられている。それがそのままドライダウンというイメージ。原初の水から日の出とともに白い花を咲かせ、やがて静かにその花弁を閉じていくロータス。まさに盛夏にふさわしい香りだと思う。同じロータス系ならエルメスのナイルの庭より水辺の雰囲気がある。

夏。水面に広がるまるい緑の葉は、人の心にいっときの涼を与えるとともに、命についてふと考えさせる。ロータスは古代エジプトにおいても、命の再生を司る神々の花だった。やがて仏教などでも神々しい花として珍重されていったロータス。原初の水ヌンとは、人にしてみれば母の胎内で自分を包んでいた羊水といっても過言ではない。その絶対的な安らぎとぬくもりの中で命は育まれ、脈々と紡がれてゆく。人もまた水の中から生まれ、水を体内に巡らせ、水と共に生きている生き物だ。その本質はハスやスイレンと何ら変わらない。

原初の水ヌン、それは世界のはじまりの水の香り、泥中にあってなお清らかに咲く命の花の香りだ。

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ラルチザン パフューム / プルミエ フィグエ オードトワレ

ラルチザン パフューム

プルミエ フィグエ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・22,220円発売日:-

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5購入品

2019/7/13 14:19:59

幼い頃、家の裏に1本のイチジクの木があった。人の手の平のように大きな葉。その間にたくさんついている緑色のたまごのような果実。その実をもぐと白い液がじわじわ出てきて、あたり一面に不思議な匂いをふりまいた。そのねばついた汁は手につくと簡単には取れず、家に帰ると強い匂いのせいで祖母にバレてよく注意されたものだ。かぶれるとか、かゆくなるとかエトセトラ。「あの木にはさわっちゃいけないよ」祖母のその言葉は幼な心にもはっきりと刻まれた。イチジクはあの頃の自分にとって禁断の木だった。

たぶん4歳くらいだったろう。当時祖母はよくイチジクの実をとってはザラメで煮詰め、甘露煮を作ってくれた。父も母も仕事で不在で、日中はいつも祖母と二人きりだった。友達もうまく作れなかった自分にとって、イチジクの甘露煮はおばあちゃんと二人で楽しむ最高のスイーツだった。さわっちゃいけない緑の木と、とろけるように甘く柔らかいイチジクが同じものだと知ったのは、ずっと後になってからだ。

「イチジクの香りの香水がある」それを知ったのはつい10年ほど前だ。世界で初めてイチジクの香りを創ったのは調香師オリヴィア・ジャコベッティ。彼女の調香の特徴は、女性らしいたおやかで繊細、知的な雰囲気が感じられるシンプルな香りが多いことだと思う。プルミエ・フィグエは彼女の経歴において、おそらく最も輝かしいステップとなった作品。ラルチザンで創ったこの作品が大ヒットとなり、同ブランドから詩的な作品を次々とリリースし、エルメスのイリス、フレデリック・マルのアンパッサンなども手掛けた。

プルミエ・フィグエ、青いイチジクの意。スプレーすると、その瞬間とても透明感のある香りに包まれて心地いい。クリーミーなヴェールがかかったみずみずしいフルーツの香りと、青さを残した木々の葉の香りが同じくらいの出力で広がってくるトップだ。ナッツのコク、ピーチのような柔らかな甘さを伴いながら、刻々と香りの微粒子が明滅する。感じられるのは真夏の太陽の熱。その下で青々と揺れる木々の葉。日光で温められたイチジクの果実の香り。

香料の構成を見るとトップにはガルバナムがあり、グリーンの青さの陰でわずかな苦みを効かせていることがわかる。そのブレンド具合がとても自然で心に残る。5分もするとグリーンノートは次第に消失し、クリーミーなココナッツの香り、わずかなジャスミン、ほんのりビターなアーモンドオイルの香りが相まって、南国風の青いフルーティーさを醸し出してくるとミドル。

このミドルもとてもスッキリしている。繊細で柔らかく、フルーティーでありながらフローラルを感じさせず、クリーミーでありながらココナッツは控えめだ。風に揺れる緑の大きな葉。その大きな葉の間からこぼれる陽射しが次々に別の葉にあたって白い汁を果実にためていく。そのあふれるようなクリーミーフルーティーな香り。これは本当にまだ青いイチジクの果実だ。

1時間ほどすると果実の香りは思った以上に早く消えてゆく。体温高めなので香りの変化も飛びも早い方だけれど、夏に向かう時期は特にそうだ。ラストはほんのり香ばしいサンダルウッドの香りに変わって、イチジクの木全体を表すようなウッディに変化して幕を閉じる。

全体的にドライダウンまで2〜3時間と短めで主張は穏やかだ。オードトワレなので仕方ないが、日本の梅雨や夏は湿度が高く香りがこもりがちになるから、このくらいの出力が丁度いいかもしれない。もっと強めの香りや果実香を探している方は、同エクストリームを試すか、オリヴィアがディプティックで作ったイチジクの香り、フィロシコスを試してみるといい。

プルミエフィグエの透明でクリーミーな香りに包まれていたら、今はもうない祖母の家を思い出した。

祖父も祖母も亡くなり、幼い頃一緒に住んだ家を取り壊すことになったある日、一人車で祖母の家に向かった。あの頃大きく感じた家はとても小さく思えた。ガランとした家の中には、じっと動かぬ思い出たちの気配がそこかしこに感じられて鼻の奥がツーンとした。家の裏に出ると、祖母に触れることを禁じられたイチジクの木がまだそこにあった。半分枯れかけたその木の葉をなでていたら、不意に祖母がいつも作ってくれたイチジクの甘露煮の味がよみがえって顔がぐしゃぐしゃになった。

「イチジクできたよ。いっぱい食べなさい。」

自分が喜んでイチジクをほおばる顔をいつも見ていた祖母。その顔はいつも優しく慈愛に満ちていた。そのせいだろう。プルミエフィグエをつけていると、時々ちょっと切ない。

久しぶりに出かけてみるか。昔住んでたあの町に。もう祖母の家もイチジクの木もないけれど。

仰ぎ見た空はどこまでも広がる夏空。青いイチジクの風が吹いている。

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トム フォード ビューティ / ソレイユ ブラン オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

ソレイユ ブラン オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・37,180円発売日:2016/5/13

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5購入品

2019/8/3 08:30:26

ハワイに行きたい。亜熱帯化した高温多湿の日本を脱出して、真っ白な太陽が照りつけるワイキキビーチでのんびりしたい。パームツリーの木陰、ホテルのオープンテラスで、フルーツてんこもりの金魚鉢みたいな大きなグラスにストローを何本も差して、トロピカルカクテルをゴクゴク飲みたい。バンズではさめないダイナミックなハンバーガーに悪戦苦闘しながらむしゃぶりついて、口の周りについたパイナップル混じりのソースを指で無造作に拭きとってなめたい。爽やかなオフショアにそよがれて、西の空が燃えるオレンジに染まるまでビーチでゆったりくつろぎたい。

トムフォードのソレイユブランをつけていると、いつもそう思う。心はオアフ島の白い浜辺へひとっ飛びだ。

ソレイユブラン・オードパルファム。「白い太陽」の意。まばゆい夏の陽射しを思わせる、トム・フォードによる真夏のデイタイム・フレグランス。2016年発売。ディオールのハイヤーエナジーやバーバリーのブリットなどを手掛けたナタリー・グラシア・セット調香による作品。

トム・フォードのプライヴェートブレンド唯一の真っ白なボトル。この白ボトルは通常の黒ボトルよりも中身の液量が見えにくい。照明の光を近くに当てるなどするとやっと見える感じで、チェスの駒からインスパイアされたこのボトルの美しさを上手く引き立てているように思う。これなら使っていくうちに液量が減っても、美しいボトルの外見をずっと楽しめるからだ。

そんな白ボトルからスプレーすると、まず立ち上るのはスッキリした透明感あるスパイシー。ほのかなカルダモンの清涼感と爽やかなベルガモットの香りだ。このトップがとても心地よく、ピンクペッパーの酸味と辛みも感じられて絶妙のブレンドだ。

やがて5分もすると、カルダモンとベルガモットの下からココナッツのクリーミーな香り、エキゾティックなホワイトフラワーの香りがじわじわと出てくる。一番強く感じられるのはイランイランだ。イランイランの香りは低くて濃厚だけれど、ここではココナッツのまろやかなヴェールに包まれているせいか、とても穏やか。さらに似た系統のチュベローズの妖しさ、一段階高いジャスミンの柔らかな香りが出てきて、まさに南の島の楽園を思わせる風合いになってくる。

このミドルはザ・ボディショップから以前出ていたポリネシアン・アイランド・ティアレの香りに似ている。そう思ってつけ比べしてみた。ティアレの方はかなりよくできたタヒチアン・ティアレ風のオードトワレで、現在は廃盤になっているが再販を強く希望したい逸品。何しろ3000円前後でこのトムフォードのソレイユブランに引けをとらない香りを呈している。対するソレイユブランは50mlでその10倍近い価格だ。

つけ比べると、さすがトム・フォードというべきか。かなり好きだったザ・ボディショップのティアレは、エキゾティックな白い花の香りと共にどこか殺虫剤っぽいエアゾル系の匂いが感じられるのに対し、ソレイユブランのココナッツ&イランイランの香りはとてもまろやかで温かみすら感じられて好印象。ティアレの方には少し低音のプルメリア系の花も混じっているよう。対してソレイユブランは、イランイランとチュベローズのふくよかな白い花弁の香りがそこはかとなく煽情的だ。

付けて3時間もすると香りは薄らいでくる。値段が値段なだけに持続時間が短いように感じるが、ソレイユブランは人肌に溶け込こような香り方をするので自分で気付きにくいだけかもしれない。すれちがった人は灼けた肌から香るココナッツノートのふんわりしたミルキーな匂いを本人以上に感じやすいように思う。ラストはほの甘いアンバーとトンカビーン、そしてトップからずっと続くココナッツミルクの白いナッティーな香りをキープしたままドライダウン。

これは真昼の香りと謳っているけれど、実はリゾートホテルの夜の部屋の雰囲気も感じられるセンシュアルさも秘めている。

琥珀色のベッドサイドランプ。カーテンを開け放したラナイ。その向こうに広がるダイヤモンドヘッドの黒い稜線。オレンジ色の星々を思わせる街の夜景、ほの白く浮かび上がったキングサイズベッドのシーツ。そんな情景をも想像させる誘惑の香り。

だからソレイユブランをつけているとハワイに行きたくてたまらなくなる。あのまばゆい日差しと、汗をかかない爽やかな空気が恋しくなる。ビーチウォークの人々の笑顔と、オープンエアーのホテルロビーから見渡せる青い海に心がはやる。きっとソレイユブランは完璧なオフのための香りだ。人目を気にせず、童心にかえって、自然やリゾートで過ごす極上のリラグゼーションのための。

見上げればパームツリーが揺れている。吸い込まれそうな青空にソレイユブランが微笑んでいる。

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美容のお仕事をしていることもあり、美容にはとっても興味があります。 @コスメさんでは、主に皆さんの口コミからお勉強になっていましたが、私の使ってきた… 続きをみる

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