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2022/1/8 03:11:14
「ウード」と呼ばれる香りがある。どんな香りが思い浮かぶだろうか?最近では柔軟剤にまでウードという言葉が見られるようになったので、何となく木の香りかなと思う方もいるだろう。ただおそらく、誰も本当のウードの香りは知らない。なぜなら、ウードは産地や木の種類、熟成の仕方によって、ありとあらゆる香りがあるからだ。
最も高価なウード、つまり沈香は「伽羅(きゃら)」と呼ばれていて有名だ。高品質な伽羅は、100gほどでも何十万円もするという。ウードは、沈香属の木が貴腐菌に感染し、自ら黒い油状の樹脂を出して菌と反応し、50〜300年かけて木全体が樹脂化することで作られる。その木片を焚くと、類い希な芳香が立ちのぼるというわけだ。
このウードの香りは、中世以降の日本や中東で大切に用いられてきた。特にアラブ諸国では、各家ごとにウードを焚きしめ、男性はウードの香油を身体中に「これでもか」と塗りたくっているという。このウードをヨーロッパ向けの香水として初めてフィーチャーしたのが、YSLから2002年にリリースされた「M7」というメンズ香水だった。当時のディレクターはトム・フォード。胸毛をアピールした男性の裸体を広告に使うなど、スキャンダラスな話題を集めたが、残念ながら斬新すぎるM7の売り上げは振るわなかったという。
やがてトム・フォードが辞任し、YSLは彼の遺産をどうしたものかと検討をしたようだ。そこで2011年に生まれたのがM7ウードアブソリュだ。
M7ウードアブソリュ。名前だけ見ると、M7よりもずっとウードが強いように思えるこのオードトワレ。ではいったいどんな香りなのか?
M7ウードアブソリュをスプレーする。肌にのせた瞬間、立ちのぼるのはほんのり甘くジューシーなマンダリンの香りだ。だがそれを全て消し去るほど強く、焦げた木の香りがかぶさってくる。色に例えるなら茶色だ。スモーキーで香ばしく、かん高い木の香り。サンダルウッドやローズウッドのミックスのような。
つけて3分ほどすると、レザーの香りが混じってくる。ウードの香りを「これ」と定義することは前述のように難しいのだが、よく言われるのは五味(辛・甘・酸・苦・鹹)をもった深い木の香りということ。最後の鹹(かん)は塩からさ。その中で言うと、酸味と苦味と辛みが出ている香ばしい木の香り。これがこのトップの香りイメージだ。
次第に香りは乾いてくる。パチュリの暗く湿った土のようなスパイシーもわずかに出て、木の香りが強くなってくる。同時に独特の焦げたスモーキーさと、強い酸味、やや動物の毛の匂いのようなアニマリックが寄り添っているように感じられる。そこにほんのりとハニーの甘さも感じられてくるミドル。
ウードといえば、本場中東で香水を作っているモンタルというブランドがある。モンタルの香水は全てではないものの、かなり高い確率でベースに真っ黒く焦げたウードの香りがあって、試しにダークパープルと付け比べしたところ、M7ウードアブソリュの香りは、ハーバルな葉の香りもしてとても柔らかく感じた。こちらはマイルドウードといったイメージ。
つけて1時間ほどすると焦げ感が徐々に少なくなり、意外にも清潔感あるソーピーなムスクやスモーキーなヴァニラのまろやかさが出てきて減衰する。このラストは比較的多くの方に好まれやすいかもしれない。初代M7の、どこまでいっても暗くアニマリックでスパイシーで焦げた香りとは全く別物のようにスマートなラストだ。
まとめると。
M7ウードアブソリュは、名前だけ見るととても濃いウードを想像してしまうものの、持続時間が3〜4時間と短く、ウードも比較的柔らかく使いやすくなっているオードトワレだ。昨今ではウード以上にレザー香が強い香水も多いけれど、乾いて温かみのあるウッディノートの香水を探している方は試してみるといいだろう。トムほどではないにしても、こうした香水はひげの男性、胸毛や毛の濃い男性に似つかわしいように思う。
M7を作ったものの、当時はウードの良さをなかなか認めてもらえなかったトム。だが彼はYSLを出てすぐ自身のブランドを立ち上げ、ウードウッドという香水を作り、アラブ諸国を中心に世界的に大ヒットを記録した。以後、どこのブランドからも「ウード」と名の付いた香水が出るわ出るわ。
YSLも複雑だったろうな。トムが作ったウードのM7が売れなかったのに、トムが出て行って作ったウードウッドが爆売れして。だからこの名で出したんだろう。ウードアブソリュ。実はM7こそウード香水なんですよ!って。
ウードの香りってどんな香り?それは一概に言えない。でもたぶんこんな感じ。
無精ひげをはやした男性の、分厚い胸元から立ちのぼるワイルドな木の香り。
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[メイクブラシ]
税込価格:1,320円発売日:2021/3/16
2021/11/19 11:09:47
以前、白鳳堂の玉毛のアイシャドウブラシを使用していましたが、それに匹敵するアイシャドウブラシだと思います。
コントロール性は抜群で、細くアイシャドウを入れるのに最適。指でアイシャドウを乗せていましたが、こちらだと綺麗に線を描いて乗せる事ができます。
また、敏感肌なためにブラシ等でも刺激を感じやすいのですが、こちらは全くチクチクしませんでした。
柄は短めですが使用には問題ありませんでしたし、手入れの簡単さを含めれば、動物毛である白鳳堂の玉毛のアイシャドウブラシよりも素晴らしいのではないかと感じました。
ただ……テープが……。
外箱のフタ部分を留めていたテープが思った以上に粘着力が強く、テープを外すのを諦めてハサミで開けたところ、中のブラシケースまで少し切れてしまいました。
また、箱からブラシを取り出す際にも、ブラシが留められていたセロハンテープのようなものの粘着力が強く、ベタベタが残ってしまったので、それを取るのに苦労しました。
なので、本体に関しては☆6なのですが、テープの事も含めて☆4にさせていただきました。
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2021/11/13 13:48:44
香水界の闇の帝王、セルジュ・ルタンス。彼の耽美かつゴシックな美学に彩られた香水作品群に、2019年、新たな作品が加わった。
ローダルモアーズ。ヨモギの水。
は?ヨモギ?そのへんに生えてるあのヨモギ?
思わず緑色のまんまるな「よもぎ餅」の色と味を思い浮かべる。甘くてほんのり草の味がするおいしいよもぎ餅。
ま、まさか!あの魔窟の錬金術師が「そのへんの草の香り」だなんて、そんな「50円くらいで買えそうな香水」を出すはずがない!嘘だ。嘘に決まってる!そう思ってにわかに信じられず、気がつくと試香もせずに買っていた。(←あなたのそのへんが…)
コレクションポリテス。これは、「悪魔の寝床」などという地獄の魔薬みたいな闇の香りばかり作り続けてきたルタンスが、何をどうとっ散らかしたのか、突然リリースした「キラキラ透明感あふれる光の香水」シリーズだ。ローダルモアーズは、その1本として登場した。とはいえヨモギ水。なぜだ?何を考えているルタンス?絶対何かウラがあるに違いない!
その秘密にせまる。
透明感あふれるボトルからヨモギ水をプッシュする。つけた瞬間立ちのぼるのは、苦味の強いハーブとミントが混在したリフレッシュな香り。ん。何かに似ている。あ、これ、薬草を練り込んだ緑色の歯磨きペーストみたいな感じだ。そう思うトップ。
2分もせずに、シャープなラベンダーの香りが鼻をよぎる。同じポリテスシリーズのグリクレールで使われたモロッコの灰色のラベンダー香に似ている。ほんのりコーラテイストもよぎる。カルダモン、アニスあたりがスッと清涼感と共に抜けていく。コーラっぽく感じたのはわずかなシナモン、クローブだろう。トップからハーブとスパイスが心地よく流れる。とはいえ、これまでのルタンスのノワール香水ほどの強さではない。淡く軽やかな出力。抽象的に言えば、スーツなどから香っても問題ないような透明感。
5分後、ミントが抜けてハーブの苦味が増してくる。グリーンというよりも、苦味がバシバシ効いたハーバルだ。そして同時に温かみあるクミンっぽい香りが増してくる。ん?これ、何だかカレー粉の香りに似てる。なるほどイモーテルか。
キク科の花から抽出されるイモーテル(ヘリクリサム)の精油は、別名「カレーの木」とも呼ばれるように、ホットスパイシーな香りが特徴だ。ミドルでは、このイモーテルのカレー粉っぽい香りがじわじわしみ出してきて、ギリギリ苦味の効いたハーブ香とデュエットを始め、モロッコのスーク、スパイスマーケットの風情を醸し出す。ビターなハーブ、ホットなスパイス、そこにほんのり甘みが加わった香りに落ち着く。
えー、でもヨモギってこんな香りがしたっけ??
気になったので、そのへんに出たついでにヨモギを見つけて指で葉をこすってかいでみた。んー、全然違うんだけどな。ヨモギってもっと落ち着くグリーンな香りがするんだが、一体どういうわけだ?
実はそれもそのはず。ルタンスがこの香水でモチーフにした植物は、ヨモギはヨモギでもモロッコ周辺の乾燥した大地に育つニガヨモギという種だ。実はこれ、日本のヨモギとは全く違う植物で、ギリギリとした苦味の強い香りは日本のヨモギの香りとは似ても似つかない。しかも幻覚作用をもつツヨンという毒性を含むという。
ほらきた!「毒」だよ。ルタンスがただの草の香りを創る訳ない!さすがタナトスの申し子、神への冒涜を恐れぬダークトライアド、ルタンス卿だ!(←厨二とまらんな)
ニガヨモギと言えば、まず思い浮かべるのが「緑の魔酒」と言われたアブサンだ。アルコール度数70°という強さに加えて、ニガヨモギやアニスで風味付けしたことで、美しい緑色と強い苦味が楽しめるリキュールだ。かつてゴッホや多くの芸術家が愛飲し、ツヨンの毒性によって幻覚を見たり感性を高めたりしたとされる禁断の酒アブサン。現在は原料が規制されているので前述の症状は出ないが、かつては合法ハーブ酒としてもてはやされたという。
なるほど。このグリーンな苦味とほんのりカレー粉を思わせるフローラルの香り、これらはモロッコに自生し、月の女神アルテミスに献上されたとされるアルテミシア、ニガヨモギの香りをイメージしたわけか。
ビターハーブ&ホットスパイスのミドルは、そのままうっすらと減衰する。時間は短い。2〜3時間ほど。モロッコではミントティーをはじめとしてハーブティーが本当によく飲まれていて、健胃などの薬効が高いこのニガヨモギも淹れて飲むことがあるという。
毒にも薬にもなるニガヨモギの水、それは緑の魔酒アブサンの香り。ローダルモアーズ。
さすがルタンス。闇だわ。これは50円じゃ買えない。
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[化粧水]
税込価格:- (生産終了)発売日:2020/6/17
2021/9/18 15:34:03
コロンを買った時にサンプルをもらい、あまりにも良くてワタシプラスで買いました!
香りに癒されるし、肌はモチモチ。
普段はポーラのBAでスキンケアしてますが、気分によってバウムも使っていこうと思います。
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