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2018/11/10 12:33:03
どうしようもなく落ちる日がある。わけもなく人恋しい夜がある。そんなときには、トム・フォードのチャンパカ・アブソルートの香りに包まれるといい。天然のチャンパカ精油を軸に、ワインやジャスミン、蘭の花などを添えたエキゾティックで甘いフローラルの香りだ。
チャンパカはインド・東南アジア原産の樹高が20m以上にもなるモクレン科の高木。春に細長い黄色の花をつけ、その馥郁たる香りはジャスミンやチュベローズ、イランイランを思わせる濃厚さだという。インドでは女神ラクシュミの化身として寺院の周囲に植えられ、インドネシアでは神への供物として捧げる「聖なる木」として大切にされている。日本では金香木と呼ばれ、招霊木(オガタマノキ)属であることから、こちらも縁起のよい木とされている。
アブソリュートの名のとおり、チャンパカの花からは天然の精油が採れるので希少だ。アロマテラピーでは東南アジアで生産された物がよく使われている。初めてチャンパカアブソルートの香りを嗅いだ時に懐かしく感じたのは、昔バリ島に旅行した際に島の至るところでこの花の香りを嗅いだことを思い出したからだ。適当にさすってるだけのような現地のアロママッサージで塗られたオイルの匂いも似ていた。プルメリアとかフランジパニ系の。
このチャンパカの精油にはリナロールが含まれている。だから心の鎮静作用や抗不安症作用が期待できるし、ネロリドールも含まれているので男性ホルモンの作用を促す働きもあるはず。男性がつけても、女性がつけても、男性の性的作用を促す力は感じられそうだ。
トム・フォードのプライヴェートブレンドの中では、いわゆるミドルの位置づけとして他の香りと重ねて楽しむフローラルノートの類。ではどんな香りかというと。
トップ。一瞬、ベルガモットの酸味。すぐさま洋酒っぽい香り。構成を見るとコニャックとある。確かにそんな感じで酔わせる酒の香りが漂う芳醇な開幕。
3分ほどしてエキゾティックな甘いフローラルが広がってくるのを感じる。イランイランを軽くしたような、チュベローズを少しグリーン系にしたような、ジャスミンのインド―ル(尿っぽさ)もあしらったような花の香りだ。南国風の白い花の香り。キンモクセイに似た杏っぽさも少し感じ取れる。ふくよかで甘くて、少しだけグリーン。そんなミドルが30分ほど続く。
おそらくチャンパカ精油は少ししか入っていなくてすぐに飛ぶのだろう。30分ほどすると合成ジャスミン&チュベローズ香に変わり、それが変調せずにしばらく続くようになる。このあたりになると、よくホワイトラムを入れた香水で感じられるエグミみたいなものが背後から出てくる。構成を見るとトカイワインという貴重な貴腐ワインのノートのようだ。嗅いでいるだけではそんなこと全くわからないけど。
そんなホワイトフローラル&ワインのミドル後半はバランス的には絶妙で、どこか心をほっとさせてくれる仕上がりになっている。正直トム・フォードの香りと対峙するにはいつも、どこか自分のテンションを上げてないと香りに負けそうな気がしてしまうと感じていたけれど、この作品は意外だった。ややスパイシーなれど、気持ちをリラックスさせてくれるタイプだ。調香師はロドリゴ・フローレス・ルー、ああそういえばこの方はネロリ・ポルトフィーノをブレンドした方だと思い出す。
持続時間はだいたい8〜9時間ほど。付けたところでゆったりホワイトフローラルが漂い、拡散性はそれほどでもない。ラストは石鹸の香りがしてくるのでほぼムスクだと思う。構成イメ―ジでは、ヴァニラ、アンバー、サンダルウッド、マロングラッセとなっているようだ。自分はムスクしか感じないけれど。
気持ちが何だかのらないな。そんな日は、朝にネロリ・ポルトフィーノなどのシトラス系を肌にのせて気持ちを上向ける。午後の物憂い時間には、チャンパカアブソリュートを上から重ねてひと息つく。夕方には、少し重ためのウッディヴァニラ、ノワールデノワールなどを重ね付けして夜の雰囲気に心と体をシンクロさせていく。そうすれば、1日の時間推移とともに香りと気持ちを変えられて少し落ち着く。実際、トム・フォード自身も朝から晩まで気の向くままに香りを重ね付けして、肌の上でどんな香り立ちになるか楽しんでいるそうだ。
どうしようもなく落ちる日や、わけもなく人恋しい夜には、チャンパカ・アブソリュートのエキゾティックな香りに包まれるといい。ラクシュミは富と幸運を司る女神だ。女神の愛の加護に包まれて、そっと憂いの瞳を閉じるといい。そして暗いスクリーンに映し出されるもの。
熱帯の真っ青な空の下、天高く緑の葉を広げた大樹。その枝先に咲いた何千もの黄色い花が、さわさわと風にそよいでいる。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2018/9/29 23:08:29
人生には4つのタイプの香水が必要だ。1つめはふだん使いの香り、2つめは気分転換用、3つめはここぞという時のとっておきの香り、そして4つめは自分だけのお守りとなる香り。
新間美也さんの著書「香水のゴールデンルール」には、そんな4種類の香水のラインナップ作りが提案されている。このうち、1と2のタイプに春夏秋冬それぞれ1本ずつ用意して香りのシーズナルパターンを作ると、1年間に使いたい香りは少なくとも10本以上になるだろう。香りも服と同等にTPOに応じた着替えや衣替えが必要というとらえ方だ。
季節はまさに秋、シトラスや軽めのさっぱりした香りをチョイスしがちだった猛暑を越えた今は、センシュアルなオリエンタル系や、デザートのようにスイートなグルマン系が華やかに香るいい頃合いになってきた。
ディファレントカンパニーから2017年秋にリリースされたばかりのマジャイナシンは、そんな清々しい秋の空気感に似つかわしいフロリエンタル&グルマン系のオードパルファムだ。レスプリコロンと名付けられた比較的ライトな香りだちを提案するシリーズの最新作で、調香はジャン・クロード・エレナから指導を受けた女性調香師エミリー・コッパーマンが手がけている。100mlで2.1万前後。
では、どんな香りかというと。
ラグジュアリー度が高い白キャップ、そして見るからに「濃厚なオリエンタルに酔いなさい」と言わんばかりのブラウンの液体色とスクゥエアガラスボトルは、まさに高級感&ザ・香水な感じ。そんなボトルからスプレーすると、一瞬くらっときそうな甘い香りに包まれる。とても甘いトップ。まるで幼少の頃にかんだアメリカのバブルガムのような強い甘さ。あの歯が溶けそうなほどに甘いショッキングピンクのウォーターメロン味を思い出す。クレジットによると砂糖漬けビガラードと書いている。つまりビターオレンジの砂糖漬けだ。ベルガモットのサッパリ感もあるけれど、とにかくガムシロそのものといったこっくりした甘さが強烈に主張してくる開幕。
ただ、その甘さは3分ほどしてうすらいでくる。綿アメのような甘さが消失してくると、わずかなシナモンのスパイシー、そして温かみのあるジンジャーの辛みがじわじわと聞こえてくる。そこにフェノリックな薬品っぽさも感じられ、オリエンタルムードが出てくる。ほのかにスパイスチャイのテイストになり、バブルガムの甘さから少し大人びてビター&スパイシーになってきた気配。さながら甘ちゃんな子ども時代から成長して、ピリッとした辛口な大人になったような変化。
このミドルには、トップとは異なったクリーミーな甘さが出てくる。何となくラッシュの「みつばちマーチ」のようなコクのある甘さ。クレジットによるとマロンクリームとある。そこにシナモン系スパイシーが柔らかく重なってグルマン系なイメージ。香料表記にランの花やヘリオトロープもあるけれど、あまり感じない。甘さ:シナモン&ジンジャー:フローラル=5:3:2くらいの割合で主張しながら、ミドルは2時間ほどゆったりと香り続ける。
やがて、この香水の真骨頂であるヴァニラが静かに香るラストを迎える。ここで使われているマダガスカル産のブルボンヴァニラは、通常アイスクリームなどに使われているようなクリーミーな香りではない。結構スモーキーでカカオの風味をもったような、ちょっと焦げた感じのヴァニラだ。トンカビーンの香ばしさ、木の樹脂っぽいアンバーのムードに支えられて大人系の茶色いヴァニラ香となっている。ひかえめだけど、とても心安らぐヴァニラとウッディのコンボだ。そんなスモーキーなヴァニラ香が3時間ほど柔らかく続く。人生で言えば、酸いも甘いも知って、穏やかに日々を過ごす晩年を感じさせるような静かなラスト。
調香師エミリー・コッパーマンは、この香りを創るために直接マダガスカル島を訪れ、現地の人が手作業で作っているブルボンヴァニラをはじめ、薫り高いシナモン、爽やかな辛みのジンジャーを入手したそうだ。人工香料のバニリンを使えば安価で済むところを手間暇かけて抽出した天然香料にすることで、あえて本物のラグジュアリーとは何かを香りで語ろうとしたのだろう。彼女はこの作品名"MajainaSin"という言葉の中に、マダガスカル語の"aina"という語を入れた。それは現地で「人生」を意味する大切な言葉だという。
人生には4つの香りが必要だと説く方もいる。それでも、その4つを全て満たす1本が見つけられたら、必要な香りは1つで済むと考える人もいるだろう。謎かけのような話だ。では最後におひとつ。
「マジャイナシン」とかけて「理想の人生」と解く。その心は?
どちらも「はじめは甘く、それからピリッと辛く、最後は柔らかくクロージングする。」
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2018/2/16 11:35:35
※ボトル購入しましたので評価をつけておきます。
チューブサンプルではなくスプレーでつけると、やはりこの香水本来のよさがしっかりと感じられました。
あまり似たもののない、ミルキーベリーからのムスクへの変化…これからも、愛用していきたいです^^*
パルファムBOXのサンプル使用のため、星はまだ控えておきます。
つけてすぐは少しつんとした酸味あるベリーの香りがしますが、それは長く続かずにムスクの香りがメインになりました。
このムスクの香りがいたって上品な石鹸のような香りで、好きでした!
ですがサンプルゆえなのか、もともと持続性がないのか、1時間もすると手首に顔を近づけてようやっと香りの気配を感じるといったくらいの薄さで…。
ボトルを買ってみないとわからないのかもしれませんが、この持続力としたらちょっとコスパよろしくないかも??と思ってしまいました。
香りそのものは、上質さが伝わります。
頭が痛くなることもなく、肌になじみ、安い材料は使ってないのだろうなぁというのはよく分かりました。
大人ベリーの香りを心ゆくまで楽しみたいというならば、ラリックのアメジストのほうが香りだちもよいようです。
ベリーとムスクの融合にこそこの香りの意味があるのでしょうけど。
香りは申し分ないので、ボトルを買ってみるかどうか…目下悩み中です。
追記:
香りも消えはてたと思っていた、つけてから5時間後くらいに帰ってきた息子がくんくん…今日なんかつけてる?というのでそこまで香り残ってるのか?とびっくり。
彼いわく動くたびにふわっと、匂いがするとのこと。
その香りはとてもいい匂いで安物ではなく高い香水なんだろうなーと思ったと^^;
自分が思うよりも、香り持ちはいいようでした。
さらに追記。
試し続けるうちに似たものがあまりないこの香りのとりこに。
ボトル購入しました。
そして、評価アップ。
一目惚れまではいかなかったのに、付き合い続けるうちにより好きになってこれがないと困る...ところまでくるなんて(笑)
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2018/8/22 02:44:48
この夏、ロジェ・ガレの新作フィグリーフウォーターが人気らしい。
しかしながら、正直、フィグの香りは苦手だ。グリーンの青臭さと、ココナッツのようなモタっとした甘さに酔ってしまう。
で、このフィグリーフウォーターを実際に店頭でチェックし、真っ先に思い出したのが、ラルチザンの代表作プルミエ フィグエだ。プルミエ フィグエの方が、グリーンやウッディが強く男性的で、好みな香り。フィグの香りは苦手なくせに、このプルミエ フィグエだけは、たまに嗅ぎたくなる香りの一つ。
1994年に発売されたプルミエ フィグエは、世界で初めてイチジク(フィグ)をテーマにして作られたフレグランスであり、個人的に(フィグの香りが苦手なので積極的に香りをチェックしていない要因が大きいかと思われるが)フィグの中でもっとも好きな香り。
トップはグリーン-フルーティ。最初、かなり青臭いリーフグリーンに鼻を取られるも、あとからフィグのまろやかな甘さがほんのり香る。とてもバランスの良い香り立ちだ。
ミドルはフルーティ-グリーン。少しずつ、グリーンとフルーティが逆転していくイメージ。リーフグリーンの青臭さを残しつつ、フィグにフレッシュなアーモンドが合わさったザラッとした甘さ。このフィグとアーモンドの組み合わせはクセになる。さらに奥からは、ミルクを思わせるクリーミーなコクのある甘さも香る。
ベースはウッディ-フルーティ。青みがかったザラッとしたフィグ、ドライなサンダルウッドが加わった深み、ココナッツやピーチのようなフルーティの三層構造の香り。この三層のバランスが良く、特にサンダルウッドがフルーティにナチュラル感を与えていると感じる。最後はサンダルウッドやセダーウッド、ザラッとしたフィグ、クマリンの甘さやムスクの香りに。
ムエットで嗅ぐと、グリーンやアーモンド、ドライなウッディが調和して、苦手なココナッツやフィグのもったりした甘さがナチュラルに感じる。
さながらコンセプトにある「南仏のきらめく日の光に、イチジクの葉が香るそよ風。昼下がりの庭園、イチジクの木の下で眩しい太陽を見上げる」というシーンがムエットだと実感できる。
しかし、私の肌とは相性が悪いのか、肌で何度試してみても、グリーン、フルーティな甘さ、ウッディがバラバラに主張してしまい、特にウッディがココナッツやアーモンドのコクの下に隠れてしまい、苦手な甘い香りをさらに力強く後押しするように香ってしまう。冒頭のロジェ・ガレのフィグリーフウォーターは、それをさらに薄めたような香り。
結果、南仏のきらめく日の光に、イチジクの葉が香るそよ風のような香りを楽しみたいときは、ムエットにつけてみたり、そのまま部屋にスプレーしてみたりする使い方に落ち着いてしまったフレグランス。
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2011/5/9 21:03:32
付けたては透き通ったグリーンとウッディな香り。
透明感を保ったままお花の匂いがしてきたかと思うと、ふわーっと甘くてパウダリーなお砂糖とアーモンドの匂いになります。
甘いのに軽やかでべったりしません。
化粧品臭いパウダリーじゃなくて、小麦粉と砂糖っぽいパウダリーです。
最初に感じるすっきりした透明感が、パウダリーになってからもずっと続きます。
少女っぽさを確かに感じるのに、同時に大人っぽさも感じる不思議な匂いです。
もう何年も前、毎日のようにお店に通って「近いうちに絶対買うぞ!」と思いながらテスターをプシュっとやっていたら、急にテスターが無くなっていました。
廃盤になるなら前もって予告して欲しかった…。
しかし!
先日オープンした梅田のデパートで限定販売されましたー!
あー懐かしい!
このやさしい匂い。
なぜかキャップだけ昔のラルチザン仕様です。
昔のビンかわいかったなー。
何年も経てようやく入手できました。
ボワファリンヌと一緒に付けると、もうめちゃくちゃ幸せです。
アニックのミモザやプチシェリーと一緒に付けると、かわいすぎて申し訳ない!という感じになります。
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