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doggyhonzawaさん
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シャネル / チャンス オー タンドゥル オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

シャネル

チャンス オー タンドゥル オードゥ トワレット(ヴァポリザター)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:35ml・10,120円 / 50ml・14,520円 / 100ml・20,350円発売日:2010/2/19 (2018/1/5追加発売)

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6購入品

2016/12/4 12:34:54

心惹かれる人はいない。出会うきっかけも、時間も、気持ちの余裕もない。ちょっといいと思う人はいる。でも自分からは何もできない。待っているわけではないけど、仕事上の都合や今までの関係性がこわれたら困るから、愛想笑いや冗談しか言えない。

心惹かれる物はある。でも自分には縁のない物のようにも思う。使えるお金もそんなにない。大体自分に似合わない。ただただ、仕事や家事、育児などのToDoリストをこなすことに神経と体力をすり減らし、延々とルーティンを繰り返す日々。

今を生きる女性には、あらゆる面でリミッターが働いている。シャネルのチャンス・オー・タンドゥルは、そんな見えない縛りと真摯に向き合っている女性におすすめしたいフレグランスだ。ピンクのチャンスを上手に身にまとって街を歩く。それだけで、昨日までの自分には見えなかった景色や風に出会えるかも知れない。

チャンス。

チャンス・オー・タンドゥルは、2010年にシャネルから発売された、チャンスシリーズ3作目の作品。香調はフルーティ・フローラルで、前2作のシプレ調と比べると、柔らかく優しい印象。淡い桜色の液体は、ピンクのボックスと相まって、特に若い世代に強くアピールする。ただ、若い女性向きのガーリーな雰囲気というわけではない。全ての世代の女性につけてほしい、そんなブランドの願いが感じられるしっとりとした穏やかな香りだ。

シリーズ共通の円形ボトルは、正面から見ると、淡い液体色の向こう側に広がる風景がほんのり色づき、まるで夢や希望というフィルターを透かして見る未来のようにも思えて美しい。斜めから見ると、シルバーメタルのプレートが円形のボトル全体を包み込んでいて、大きな平打ちリングのようだ。半透明のスクウェアキャップは、さながらリングのセンターストーン。とても大きな指輪を思わせる。

そんなピンクのチャンスの香りは。

銀色のボタンをスプレーすると、一瞬、柑橘系の酸味と苦みが、アルコールの揮発と共にふわりと立ちのぼる。クレジットにはグレープフルーツとあるが、フルーツやフローラルと共に感じられるので、明確なエッジではない。

スッキリしたそのトップは、2分とせず落ち着き、とろけるようなフルーツの香りと、穏やかなフローラルが立ち上ってくる。これがミドルとなってしばらく肌の上にたたずむ。ここからがピンクのチャンスの真骨頂。

このフルーツ香はマルメロの香りだ。マルメロは、果肉が生食できないことと、寒冷地向きという特徴をもつため、市場にはあまり流通しない果実。だが、その黄色い洋ナシ様の大きな果実から発せられる香りは、ことのほか心を酔わせる。洋ナシのようなコクのある甘さの上に、リンゴの甘ずっぱさをミックスしたような、とてもスイートな香り。花梨(カリン)の優しい香りに近いと言えば、想像がつく方もいるだろう。

秋の陽によく熟れた鮮やかな黄色の果実、マルメロのしっとりとしたみずみずしい香り。そして、静かでほんのりクールな印象のヒヤシンスのノート。そこに、シャネル特有の可憐なジャスミンがミックスされ、果実と花のやわらかいブレンドが、かなり長く続く。

ラストは、クリーミーなベールがかかったホワイトムスクの香りに変わってゆく。どこにもスパイシーさや、とがった部分が感じられない。最初から最後まで、ボトル同様、ふんわりとまるい香りが続く。持続時間は8〜10時間程度。

ただ、香りは優しげなものの、拡散力は驚くほど強いので、付け方はとても注意が必要。ロールオンアトマイザーに移し替え、点で付けるようにしたり、うなじの髪の生え際につけて髪をかき上げたりすれば、ヘアミスト代わりにも使える。女性の髪からチャンス・オー・タンドゥルの香りがふわりと鼻をかすめてきたら、周囲の男は、心中穏やかではいられないだろう。

チャンス・オー・タンドゥル。それは大きな指輪の形のボトルに入った、淡いピンクのフレグランス。まるで、未来を見る大きなレンズのように、美しい桜色の液体を透かして見る世界は、昨日とは少しだけ違う彩りを日々の暮らしに添えてくれるだろう。

性別とか、年齢とか、見た目とか、そんなもので自分にリミッターをかけるのはナンセンスだ。この香りを知っている人生と、知らずに生きていく人生。それはどちらが幸運なのだろう?いつもシンプルにそれだけだ。自分に課しているあらゆる制限を解除できるのも、やはり自分自身だから。

ピンクのチャンス。それはありふれた日常を淡い桜色に上書きしてくれる魔法の指輪。「チャンスはいつも自分の中にある」いつもそう背中を押してくれるココからのメッセージ。

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BYREDO / GYPSY WATER

BYREDO

GYPSY WATER

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

7購入品

2015/12/17 00:06:20

秋冬になると、なぜかしらウッディとヴァニラの香りが恋しくなる。もしその2つが、これ以上ないバランスで調合されていたら、それは自分にとってたまらない快感を呼び起こすはずだ。ただ、これまでの香りの旅では、まだ「そこまでの物」には出会っていなかった。そんなとき、ジプシー・ウォーターに出会った。

バレードのジプシー・ウォーターは、自分がこれまで出会った中で、最も柔らかく穏やかなウッディ&ヴァニラの香りだ。何よりも、ウッディ系の香りを苦手とする香水嫌いの方にも、「この香り、一度つけてみて」と勧められる点で、他のウッディの名香より1つ抜きんでる。それだけシンプルで、より多くの人に好まれやすい要素を持っていると思える香りだ。

ジプシー・ウォーターのトップは、一瞬のレモンが駆け抜けたかと思うと、アール・グレイそのものの香りと言った風情の、爽やかなベルガモットがパーンと鼻腔をくすぐる。同時に、サンダルウッドの香ばしい木の香りが、背後から乾いた風を運んでくる。そして、その瞬間、まるでガムシロップを1滴こぼしたような甘さが広がる。それはまるで、芳醇な紅茶の雰囲気。そして、このトップが意外なくらい長続きする。

自分は体温が高めなので、どんな香水でもあっという間にトップ系の香料は揮発していくが、この香りに限っては、5分ほどベルガモットの酸味が持続する。これはすごいなと思ってよくよく見ると、スプレーした手首のところがテカっているのだ。おそらく、粘度の高い甘い香料が、ほんのりベタついて肌にヴェールをかけることで、ベルガモットの揮発を遅らせているのだろう。

最初はそれを見て、「こんなにテカって跡が残るんじゃ、香水としてまずいだろう」と思ったが、5分もするとテカりや粘りはかなり薄くなることが分かった。気にならない程度になる。試しになめてみたが、甘くはない。一体どんな工夫で、揮発しやすいベルガモットを保留しているのか興味深い。

やがてシトラスが静かに消え、同時に、奥からとても落ち着いたお香の香りがしてくる。それは日本のお寺の香りではなく、どこか中東の寺院を思わせるインセンス。とても静かでくせがなく、ほんのり甘い上品なお香。有名なチャンダン(白檀のお香)の香りをかなり淡くして、ちょっと暗めにしたような芳香だ。

通常、ハーブやフローラルをもってくるミドルに、いきなりのインセンス。まるで、ど真ん中を省略して、トップからいきなりラストに飛んだように感じられる大胆な構成だ。

そして、奥からクリーミーでふくよかなヴァニラの香りが浸出してくる頃、インセンスの香りは、ベースのサンダルウッドと相まって、より温かく、マイルドになってくる。そして。

驚くべきことに、自分の肌の香りと混じり合って、何ともいえない甘くせつないウッディ&ヴァニラの香りに高まってくる。これには本当に感じ入った。

試しに、ファブリックと試香紙にも香りをのせ、手首との揮発の違いを確かめたところ、布地や紙では、いつまでもトップのベルガモットの香りがしていて、なかなかインセンス&サンダルウッドが出てこなかった。さらに、ヴァニラが出ても、とてもはかなく、手首に付けた時のような心地よい香り立ちにはならない。この結果から推測できることは何かと言うと。

1つには、体温高めの人に、このウッディ&ヴァニラは、よい香り立ちが出やすいのではないかということ。そして、もう1つは、人がもともと持っている匂い、それは動物っぽいアンバーのような香りと言っていいと思うが、それを合わせたときに、この香りが完成するのではないか、ということ。言い換えれば、これは、その人の肌の匂いをひきたてるスキン・セントの部類だ。

通常、ウッディは重ための香料が強く主張するので、あまり肌の露出しているところには付けないことが多いように思う。けれど、ジプシー・ウォーターなら、例えば、うなじや首筋、手首の内側などに付けても、香り立ちがシンプルかつフェミニンなので大丈夫だと思う。体温が低めの人であれば、紅茶の香りを思わせるベルガモットの爽やかさが続くだろうし、体温高めの人なら、サンダルウッド&ヴァニラのラストを長く楽しめるだろう。このオー・デ・パルファンは、香り立ちこそ淡いけれど、ミドル〜ラストが、かなり長い時間、ゆったりと香り続ける。ほんのりと、じんわりと。日によっては、5時間以上も。

ジプシー・ウォーター。それは、理想郷を求めて旅を続ける、流浪の民の象徴。かつてインドから欧州へと移り住んだロマたちの、荒ぶる魂と自然に寄り添う静謐さを思い描いた香り。その歴史の裏に見え隠れする、不当な差別や偏見、貧困や悲しみを超えてなお、自然や世界に対峙し続けるさすらい人たちに捧げる香りだ。

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トム フォード ビューティ / ウード・ウッド オード パルファム スプレィ

トム フォード ビューティ

ウード・ウッド オード パルファム スプレィ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

容量・税込価格:10ml・12,100円 / 30ml・25,850円 / 50ml・38,500円発売日:2012/10/24 (2023/6/2追加発売)

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4購入品

2017/1/7 22:38:38

ウードウッドは、ずるい香りだ。トップから薬漬けのセロリみたいな香りがするのに、2007年の登場以来、世界中で売れ続けている。かなりマスキュリンでウッディな香りなのに、男女問わずセレブがこぞって買っている。さらに、50mlボトルが28080円(税込)もするのに、セレブじゃない方々も買っていく。一体なぜこの香りはこんなに売れているのか?

ウードウッドは、トム・フォードが2007年にリリースした「香りの実験室」ともいうべきプライベートブレンドシリーズ最初の12本のうちの一つ。それまでのシグネーチャーラインから一線を画したこれらの作品群は、香水愛好家のみならず、世界中のセレブも巻き込んで大きな話題となった。「チャン・グンソク氏のセカンドバッグの中身拝見!」という意図不明な雑誌の企画で、バッグの中にネロリ・ポルトフィーノ様がやけにドヤ顔で鎮座されていたのもこの頃だ。(←誰の仕込み?)(←やめろ)

このシリーズが世界的にヒットした背景にはさまざまな理由があると思うが、最も大きな理由は「よりプライベートに、よりラグジュアリーに」と、香水の付加価値を高めたことに依るものだろう。具体的には、フレグランス・コンバイニング(重ね付け)で一世を風靡していたジョー・マローンのアイディアを、より高級感あふれる濃厚なオードパルファンで提案したことではないだろうか。

ジョー・マローンのコロンの香りやボトルは、みずみずしさや透明感が特徴だ。これに対し、プライベートブレンドは、香りも濃厚、ボトルも薬瓶を思わせるダークでスクウェアなデザインにし、ゴールドラベルなどを配する対極的な位置づけでヒットした。後年、ジョー・マローンがブラックボトルのコロン・インテンス・シリーズを発売したが、そこにはプライベートブレンドの逆影響が少なからずあっただろう。そしてそのインセンスブームの火付け役となった香りこそ、このウード・ウッドだった。

ウードウッドは、トム・フォードが実際に訪れたブータン王国で出会った香りをモチーフにして作られた。ブータンはチベット仏教の地で、断崖絶壁の上に建つタクツァン僧院などが有名だ。この香りは、発売されるやいなや、日常的にウードを用いる中東で人気を博し、ドバイなどではセレブの御用達となり、世界的ウードブームをけん引することとなった。

では、そんなウードウッドはどんな香りかというと。

ウードウッドのトップは、スパイシーなセロリのような香りで始まる。苦みのきいた漢方薬セロリ風味。ラルチザンのゾンカもまた、クリーミーなタッチのセロリ風のトップをもっているが、ゾンカに比べるとウードウッドは、最初から低くウッディなベース香が広がってくる。さながら茶色の薬湯の匂いを思わせる雰囲気だ。それでも奥からスッキリとした清涼感のような酸味が流れていて、確かに複雑な五味を感じさせるトップ。

やがて3分もすると、薬草っぽい苦みや酸味はうすらいできて、じわじわと暗くて低いウッディな雰囲気になってくる。トップがガツンときて好き嫌いが分かれそうだが、ミドルは、ソフトレザーのようなアニマリックな香りも出てきて、木の香ばしさが増してくる。キンとしたセロリ風の香りが高いところで鳴っていて、ローズウッドなどのウッディと同時に香っている印象。濃厚で温かみのある木々の香りが、刻々とさまざまな表情を見せて心地よい。この思いきり焦げ茶色なウッディの香りが、大体5時間ほど静かに続く。

ラストは、ほんのりスパイシーに変化する。ペッパーの辛みが出てドライな香りになり、その後にほんのり甘いクリーミーなヴァニラノートが残る。このお香とミックスされた淡いヴァニラがフェードアウトするまで、約8時間ほども続く。

プライベートブレンドの一本一本は、あらかじめレイヤリングを考慮して、シングルノート風に作られている。このウードウッドは、通常の香水でベースノートに使用される分子の重たい香料ばかりが配合されている。だから、ライトな柑橘やフルーツ香、フェミニンなフローラルなどを上からレイヤリングすると、香り全体に深みとエッジが効いておもしろいと思う。ちなみに上からネロリ・ポルトフィーノを重ねたら、柑橘やネロリ、ジャスミンがより強調されて、とてもしっとりとしたいい感じになった。

欠点を挙げるとすれば、やはり値段の高さだ。正直、この香りでこの値段は高すぎる。ただこのボトルはコレクション欲を刺激してやまない。で、ジレンマに苦しむ。(←で、買う)

柔らかくスモーキーな樹脂の匂いとウッディの香ばしさ。それらが、ときに苦く、ときに辛みや酸味を帯びて、少しずつ表情を変えながら立ち上る香り。それは偶然の積み重ねにより奇跡のようにこの世に生まれた、貴重なウードの煙る香り。

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ゲラン / シャリマー スフル ドゥ パルファン(旧)

ゲランゲランからのお知らせがあります

シャリマー スフル ドゥ パルファン(旧)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

5購入品

2016/12/25 23:12:11

その広大な庭園は、パキスタンの北東部、インドとの国境にあるラホール市に今も豊かな水をたたえている。四方を赤い煉瓦壁に囲まれた長方形の巨大な庭園は、1641年にムガル帝国皇帝シャー・ジャハーンによって建設が開始され、翌年完成した。その名はシャーラマール庭園。1925年に発売され、オリエンタルの名香として人々を魅了し続けるゲランのシャリマー命名の由来となった地としてつとに有名だ。

シャリマーは、その誕生以来、さまざまな人々に愛され、幾多の派生作品を生みだしてきた。そして2014年、ゲラン調香師ティエリー・ワッサーは、新たなシャリマーをシリーズに追加した。それがこのシャリマー・スフル・ド・パルファン。これまでのシャリマー派生品の中でも、特に印象的な青ボトルに閉じ込められた液体は、通称「青シャリマー」「スフル」などと称される。

Souffle(スフル)とは、フランス語で「ささやき・息・風」の意。同じ綴りで「e」の上に綴り記号のアクサン・テギュ(´)がついたSouffle(スフレ)は、メレンゲの軽い焼き菓子「スフレ」を意味し、区別される。ただ、そんな意味も暗に込めているかも知れない。

美しいブルーボトルは、ここ3年で毎年異なるデザインを展開している。初年度の2014版が、下部へ向かって濃い青となるグラデボトル、2015年版が「シャリマー誕生90周年記念」として制作されたタージ・マハルのイラストボトル、そして今年のボトルは、豊作を願って色とりどりのパウダーをかけ合うインドの「ホーリー祭」をイメージしたブルーパウダーボトル。日本では毎年限定発売となっていて、2016バージョンは12月1日より販売されている。

そんなスフルのトップは、爽やかな柑橘と華やかな樹脂っぽい香りとが一瞬花開き、わずかにオリジナルの雰囲気を思わせる。本家シャリマーは約30%ものベルガモットを過剰投与させていることで有名だが、スフルのトップの柑橘は爽やかながらあっさりとしていて、水面でキラキラ光る太陽光の破片のようなまばゆさを感じさせる。ほどなくその柑橘の風はゆるやかに消え、次第に下から穏やかでしっとりとした香りが現れてくる。それは、優しくて心を落ち着かせる、ややアクアティックな印象の香り。

ゲラン公式サイトによると、このスフルでは、新たな試みとして「オレンジブロッサムの香りを際立たせるために、オレンジブロッサム ウォーターアブソリュートを配合した」とある。だが、これはよくわからない。自分にはミドルでオレンジブロッサムの香りは捉えられず、控えめなジャスミンとアクアティックなゆったりした香りがメインストリームに感じられる。

やがて、1時間もすると、みずみずしい香りの下からヴァニラの甘さが豊かに広がってくる。このヴァニラは、甘さもふくよかさも心地よく、本家シャリマーの濃厚な香りの奥からくるヴァニラよりもすっきりとしている印象。同時に、ずっとベースを流れていたであろう、ホワイトムスクの少しツンとしたソーピーさが支流となって感じられてくるような印象。

香調は、テンダー・フローラル・オリエンタルとなっている。具体的な印象は、アクアティック・ジャスミン&ホワイトムスキー・ヴァニラといった風情。本家との共通点は、ベルガモット、アイリス、ヴァニラの豊かな香気が感じられること。大きな相違点は、本家の濃厚なアニマリックノートと樹脂のノートがなく、とても静かで控えめな香りに仕上がっていること。ひとかぎで感じ取れる特徴は薄いけれど、使えるTPOは多い香りだろう。ちょっとクールで、何事もさらりとスマートにこなすようなタイプの人に似合うと思う。拡散性もそれほど強くなく使いやすい部類。何よりこの青ボトルは、思わずボトル買いしたくなるほど所有欲をそそってやまない。

シャーラマール庭園は、夏に摂氏48度まで気温が上昇する酷暑のラホールに、運河から水を供給し、涼しさと豊かさと安らぎを与えるべく作られた保養地だ。この「水の庭園」は、川や運河から引いた水を中央の池にたたえ、さらに綿密に計算された段差によって、410もの噴水から水を噴き出すシステムであったと考えられている。だが、今なおその技術の秘密は解明されていないという。シャリマーのボトルの造形にはいくつか説があり、その一つは、この庭園の噴水の形を模したというものだ。400を越える小さな噴水、それらはかつて、皇帝と愛妃の前で、空中に幾重にも連なった水の弧を描いていたのだろう。

乾いた大地に広がる長方形のオアシス。整然と区画されたペルシア式泉水庭園のカナル(運河)の交わるところに、大理石のプールがある。満面とたたえられた水、噴きあがる噴水。その上を吹き抜ける涼風、それは、青いスフル。

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ディプティック / オーデサンス

ディプティック

オーデサンス

[香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

4購入品

2016/12/30 17:21:28

ディプティックの香りはいつもどこか哲学的だ。そう思う。2016年に発売されたこのオーデサンスの紹介文を見た時にもそれを強く感じた。

「オーデサンス。これまでにない新しい香りに対するアプロ―チ」

この文章は秀逸だ。とても人の心を惹きつける。ただこれは、「これまでにない新しい香り」ではなく、「これまでにない新しいアプロ―チ」という意味なので、やや誤解しやすい表現だ。では、これまでにはない新しいアプローチとは一体どんなものなのか?

オーデサンスを調香したオリヴィエ・ペシューは次のように語っている。
「これまでのディプティックのオードトワレは、つねに原材料からインスピレーションを得て創られてきた。だが、この新しいトワレでは、『五感のすべてを刺激する』というアイディアが最初に生まれ、それを形にするための原材料としてビターオレンジが選ばれた。つまり、真逆で対称的な経緯で生まれた作品だ。」

五感(センス)の共振、そして、それをエッセンスどうしの共鳴で表現すること。このデュアル感覚のテーマが先にあったということこそ、新しいアプローチであり、プロダクツとしての原点回帰であるとしている。

それでは、一体どんな香りかというと。

オーデサンスのトップは、ややシャープな青みがかったオレンジの果皮の香りから始まる。レモンやベルガモットが入っていないぶん、感じ取りにくい低音で香るビターオレンジの果皮は、一瞬キッチン用クリーナーのような苦みを呈して現れる。そしてすぐにプチグレンの青苦いグリーン系の香り。ごつごつとしたビターオレンジの果実の周りで、風に揺れる緑の葉を思わせる雰囲気。ここまで3分。

やがてプチグレンの青苦さが消失すると、ほんのり冷たい雰囲気のスッキリした香りが、ネロリのこんもりした香りと共に現れる。ジンの香りづけに使われるジュニパーベリーだ。まるみがあって柔らかなネロリの香りのエッジを明確にして、フレッシュでクールな印象をかもし出すことに成功している。このジュニパーベリーとネロリのミックスが、次第に、オレンジの果肉を思わせるやや甘いジューシーなオレンジフラワーの香りに収束していく。

はじめに、果皮の苦みと葉のグリーンな匂いを呈し、そこからオレンジの花の香りが広がっていくというイメージ。その輪郭を支えているのがジュニパーベリーといった印象。ほんのりとした甘さはアンジェリカのようだが、よくは分からない。このミドルが大体1〜3時間ほど続く。

ラストは早い。体温高めの自分の肌では、淡くあっさりと1時間〜1時間半ほどで消えていく。ラストは、ミドルのオレンジフラワーがほんのりアーシーな土っぽさを伴いながらフェードアウト。ベースにパチュリがクレジットされているが、わずかに添えられているイメージ。

全体的に見ると、「新しいアプローチ」と銘打ったわりには、香りのイメージはクラシックなよくあるオーデコロンタイプだ。「今になってなぜ?」と思わざるを得ないような、あっさりとした香り。天然香料は多く使用しているように思う。だが、香水はそれだけでは地味な印象になりがちだ。この香りでオレンジの樹全体をイメージする感じは少ないし、五官を全て刺激され、それらが共振するような感じはしないなあというのが本音。穏やかでスッキリした香りだとは思う。ただ、特に目新しさがないように感じるのは自分だけだろうか。

オーデサンスのラベルをボトルの後ろから見ると、60年代に流行した錯視的感覚の放射線が何本も入ったオレンジの樹が描かれていることに気付く。これはオプアートといって、受け止める人の感覚を揺らすアート。この香りのもう一つの側面である「感覚を惑わせる、震わせる」を表現していて興味深い。こういう細かな点にも深い思惑を見せるところが、ディプティック・フィロソフィーの面白さだろう。

太陽の恵みを真空パックしたようなオレンジ。そのまるい果実をたわわに実らせた一本の樹が目の前に立っている。でこぼこした果皮にそっと触れると、ひんやりとして心地よい。果実を鼻に近づけると、苦みと酸味があるジューシーな香り。見上げると、緑の葉が風を受けてさらさらと鳴り、太陽のかけらをその間から散らしている。ふと、春先に咲いていた甘く濃厚な白い花々の香りを思い出す。オレンジの花の奥にあった、かぐわしい蜜の味を心に描く。

オーデサンスは、センス(感覚)とエッセンス(香料)をともに揺らす香り。オレンジの樹全体から放射される豊かな刺激に、五官の全てを預けて感じたい香り。オプアートの錯視的な線描のように、じっとしていてもどこまでも広がっていくように感じられる、自分の感覚を研ぎ澄ます太陽の香り。

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★キャプテンD★さん
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プロフィール
  • 年齢・・・48歳
  • 肌質・・・普通肌
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  • 髪量・・・少ない
  • 星座・・・乙女座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • 旅行
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自己紹介

キャプテン ドラです。 いつもクチコミやブログを見ていただき、ありがとうございます。 この度、フレグランス専用「フレグランス アッセンブル… 続きをみる

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