TOP > ドギマギの夏さんのLikeしたクチコミ(Like件数順)

66件中 1〜5件表示

doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 52歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
イッセイ ミヤケ パルファム / ロードゥ イッセイ オードトワレ

イッセイ ミヤケ パルファム

ロードゥ イッセイ オードトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:10ml・3,190円 / 25ml・8,690円 / 50ml・12,540円 / 100ml・17,600円発売日:- (2022/2/1追加発売)

ショッピングサイトへ

5購入品

2018/10/27 14:47:51

「香水なんてシミを消すわけでもないし、肌にいいわけでもない。何の効果があるの?」コスメに機能を求める方は言う。そのとおりかもしれない。ざっくり言えば香水なんて香りをつけたアルコールだし。それでもあえて言う。香水はすごい。それはときに人の心や世界の流れまで大きく変えることがあるからだ。

ここに1本の有名な香水がある。細長い円錐形のすりガラスボトルに入った透明な液体。作品名はロードゥイッセイ(イッセイの水)。世界的デザイナーとして有名な三宅一生氏の最初の香水にして最大のヒット作だ。このオードトワレは、それまでの香水文化を大きく変えたといっても過言ではない。

ロードゥイッセイは、まず人の心を大きく変えた。「香水なんて派手だし、くさいし、嫌い」そう感じていた女性たちがこぞってこの香りを買うという現象を生んだ。もともとこの香水は、香水嫌いで有名だった三宅一生氏のブランド戦略として提案されたもので、当然ながら彼は最初は乗り気ではなかった。しかしどの服飾ブランドもイメージアップ戦略の一つとして香水を扱いだした流れにもまれ、遂にイッセイ・ミヤケの香水を出すことが決まったとき、彼は新人調香師に向かってこう言った。

「創るなら、ぼくを驚かせる香りであってほしい。それは例えば、自然の中で深呼吸しているような香り、水のような透明感のある香りだ。」と。

それを聞いた関係者は、みな首をすくめたという。「水の香り?そんなの作れるか。作ったとしても売れるわけがない。」だが新人調香師だけは違った。当時、カルバンクラインのエスケイプで大量に使用された新しい人工香料カロンを使えば、彼の厳しい要求に応えられるかもしれない。そう感じていた。

その調香師の名はジャック・キャバリエ。今でこそルイ・ヴィトンの香水部門の専属パフューマ―として世界的に有名な彼だが、当時はフィルメニッヒ社に入ったばかりの無名の新人だった。彼は試作に試作を重ね、1992年、今までにない新しい香りをこの世に誕生させた。それまで派手なフローラル中心だった濃厚な香水は日本のバブル崩壊と共に影を潜め、時代はこのあっさりとした優しい香りを全面的に迎えた。世界は緊縮財政に向かい、香水業界はこの香水のヒットをきっかけに、新たなトレンドである「水の香り」「オゾン系」「マリン系」「ユニセックス」へとシフトしていった。

そんな記念碑的な香りとなったロードゥイッセイ、どんな香りだろうか。

ロ―ドゥイッセイをスプレーすると、まず広がるのはユリの花のたおやかな香り。そこにシクラメンの低いしっとりした香りが混じってくる。トップからフローラルブーケ全開で、シトラスはない。水滴がしたたるような白い花の香りだけが漂う。そこにわずかにツンとした透明感ある匂いがする。うっすらと潮風のように吹き抜ける感じがあって、それでいて花の香りもするカロンという香料だ。

このカロンという香料物質こそ、このロードゥイッセイ最大の特徴。よくいう「メロンのような香り」と称される元祖「瓜系」の香り。カロンは1960年代にファイザー社で開発された人工香料で、もともとは洗濯洗剤の基材臭をマスキングする目的で研究されていたものだ。これが1980年代になって少しずつ香水に使用されるようになり、脚光を浴びた。ロードゥイッセイはこのカロンを多用したことで「みずみずしさ」や「しっとりした空気感」を表すことに成功している。そのため、オゾン様ノートの元祖とされる。

優しく穏やかな香り立ちに思えるが、実はかなり強い拡散力をもっているので、気を付けないと周りにとても迷惑をかける類だ。人工香料が多く使われているため、天然香料の多い香水に比べて香りがシンプルで透明感が感じられるというメリットがある反面、強い香りがずっと続くという特徴がある。付けた瞬間に鼻を近づけたりすると、頭痛をおこしかねないので付け方には注意が必要だ。ラストまであまり変化なくウォータリーな白い花のブーケが6〜8時間ほども続く。香水が苦手な方になぜかこの香りを好む人が多いのも特徴だ。今となってはこれに似た香りはたくさんあるが、26年前は本当に新鮮だった。まさにこの一滴がその後の世界を変えた。

大河も海も「一滴の水」の集まりでできている。三宅氏は常に「1枚の布」という素材勝負のデザインをし続けてきた。この香りから始まったオゾン系の「大河の一滴」は、今なお多くの香りを生み続けている。円錐型の美しいボトルは、エッフェル塔の上に満月が重なった姿と同時に、一滴の水がはじけた瞬間を表しているという。

ロードゥイッセイは、香水界の「大河の一滴」だ。たった一滴で混沌とした時代の空気を塗り変え、文化という水の流れを変えた美しい香りだ。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 49歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
ディオール / ボア ダルジャン

ディオールディオールからのお知らせがあります

ボア ダルジャン

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)]

税込価格:- (生産終了)発売日:-

6購入品

2015/7/29 16:13:16

「125mlで3万円の香水、あなたはどう思いますか?」そう聞かれたら、どう答えるだろう。「高い」「買えない」「いらない」の3拍子に始まり、「スキンケアみたいに肌に効果のあるものならまだしも」「600mlで800円の高級柔軟剤使ってるから必要ない」などなど、いろんな声が聞こえてきそう。わかる。自分もそう思っていた。ボア・ダルジャンのような香りに出会うまでは。

この香りに出会ったとき、またしても撃沈した。「またそんな高い香りか。購入はないな」って思ってたのに、出会ったとたん、「あ、欲しい・・・」と、ひと嗅ぎ惚れしてしまった。人って不思議な生き物だ。嫌いな香りだと、たとえ100円でも買わないのに、本当に欲しいと思うと、たとえ3万円以上の香水でも、そのお金をどう工面しようかと考えてしまうのだから。頼むから25mlで6000円にしてくれ、ディオール。←切実だな

ボア・ダルジャンは、2004年にディオールから発売された3種類のユニセックス・フレグランスのうちの1つだ。これらは、コロン・ブランシュ(白のコロン)、オー・ノワール(黒の水)、そして、ボア・ダルジャン(銀の木)というラインナップで、3つの色をキーワードにして創造されたオー・デ・パルファン。中でもボア・ダルジャンは、高価なアイリスをふんだんに使った香りとして、発売当時からヨーロッパで一番人気だったという。現在の物は、ラ・コレクシオン・プリヴェに選ばれた際、ウッディを抑えてリファインされたものだ。

そんな高級な香りの展開を詳しく見ると。

トップから土っぽさのあるパチュリが鼻をくすぐる。その下でほの暗いアイリスの香り。だが、これまで味わったアイリスとはどこか違う。ほこりっぽさというか、くすんだ感じというか、通常アイリス(イリス・オリス)の根茎から感じられるそういった雰囲気が少ない。スミレの香気でもなく、白い穏やかな花の印象。そして同時に、高いところで香木を炊いたような香りがじんわりと鳴り響く。これがイエメン産のインセンスだろうか。そんなオリエンタル風も感じられる温かみのあるトップ。ほんのりスパイシー。

5分とせず、ミルラの酸っぱさが感じられてくる。鼻の奥に軽く刺激を残すような、発酵した樹脂のような香り。そして、気がつくと、アイリスの香りが美しいパウダリーなテイストに変わってくるのを感じる。あー、なにこれ。これが噂の「フィレンツェから送られてくるディオール秘蔵のアイリス」の香りだろうか?それは、これまでの「暗いくぐもった香り」というアイリスのイメージを大きくくつがえした。

これは粉だ。美しく柔らかい銀色の粉。白粉ほど石けんぽい香りでなく、小麦粉ほど生っぽくもない。例えるならそれは、月光に照らされた夜の海の波光。静かで,キラキラと明滅するかのような、妙なるパウダーの香り。

やがて、3〜4時間もすると、微細なパウダーのきらめきがフェードアウトし、洋酒っぽい柔らかいレザーテイスト、ほんのり甘いハニー、そして、ムスクのソーピーな雰囲気に落ち着き、ドライダウン。ムスクは苦手という方も、この不思議な透明感あるラストなら、あまり気にならないかもしれない。

全体の印象としては、まろやかなお香とアイリス。そのエッジを際立たせるミルラとパチュリ。しめくくりは、甘くおだやかなハニー&レザー、ムスクで消えていくイメージ。香りのピラミッドでいうと、おだやかな変化だし、終始アイリスのノスタルジックで安らぎに満ちた香りが持続する印象。

1日の時間帯で言うなら、トワイライトからナイトタイムがおすすめ。厳しい季節である夏であっても、気温が落ち着く夕暮れ以降の時間なら、この香りはとても心地よいリラグゼーションを与えてくれると思う。1日の終わり、好きな音楽や美味しいお酒、世界の扉を開いてくれる小説や映画、そうしたものに心を寄せてまどろむひととき。そんなクロージング・タイムに、この香りは似つかわしい。誰にも邪魔されない自分だけの時間を楽しみたいとき、この銀色のパウダー香は、ゆったりくつろぐ心に寄り添いながら、時の澱を静かに積もらせていくだろう。

夏の夜半。開けた窓の外、ぬるびた風が運んでくるのは、木々の葉をあたためた生っぽさ。日中、蒸散した森の水分が、未だムンとした気配を漂わせている。星々のまたたき。宝石箱を散らかしたような遠くの街の灯り。かすかに響いてくる電車の音。汗をかいたグラスの中で、氷がカランと揺れる音。部屋の明かりを少しトーンダウンして、月明かりのベランダに出てみる。

月はレモンの形。煌々と下界を銀色に照らし出している。そのほの明るい水底のような世界に、一人でいる切なさと恍惚。少しべたつく夜気に立ちのぼる、ボワ・ダルジャンの香り。それは天上のアイリス。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 49歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
ゲラン / オーデフルール セドラ オーデトワレ

ゲランゲランからのお知らせがあります

オーデフルール セドラ オーデトワレ

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:100ml・14,850円発売日:-

ショッピングサイトへ

4購入品

2015/7/9 22:11:05

香水ってきついし、くさい。だから嫌い。そういう人は存外多い。

つけると頭が痛くなる方もいる。そして、満員電車や混み合った場所で、つけすぎの香水をかがされて辟易する人もいる。そんな経験のある方は、当然ながら、「香水なんて」と思ってしまう。それはある意味当然だろう。

さまざまな香料のブレンドである香水は、香りを印象的にし、残香性を高めるために、たくさんの人工的な香料を使っている。そのため、強く濃くなりがちだ。また、香りが多層的で複雑であるがゆえに、「トップの香りはいいけど、ミドルで嫌いな香りが出てくる」といったことも往々にして起こる。香りがどんどん変化すること、そこになじめない方もいるだろう。だから、シンプルで自然な香りを好む人ほど、香水嫌いになりやすい傾向がある。

ならば、香りの構成をシンプルにしたらどうか?もちろん長年の歴史の中で、そうした試みもなされてきた。通称シングルノートと呼ばれる単一香料をきわだたせたもの、精油のみを希釈したものなどなど。

オーデフルールセドラは、そんな挑戦によって生まれた香りだ。今から95年前に作られたこの香りは、誕生以来さまざまな評価を受けてきたようだ。まさに賛否両論。「この香りしか使わない」と称賛する人がいる一方、これをゲランの香水とは認めたくないと首を横にふる人もいる。それはいったいなぜなのか?理由はこの香水の大胆な構成にある。

オーデフルールセドラは、たった5分で揮発するシトラス系の香料だけで作られている。ミドルもベースもない。これは、当時の香水作りのセオリーを全く無視した、大胆なオーデ・トワレなのだ。

付けたて。通常、プレリュードとも言うべきこの出だしの香りは、このオーデフルールセドラにとっては、何よりも重要だ。なぜならこの香りのまま消えていくからだ。

トップ。全ての憂鬱を吹き飛ばすかのようなレモンのシャワー。ベルガモットのふくよかさ以上に軽く、心地よい苦み。グレープフルーツのような酸っぱい黄色の柑橘ジュースが、脳天を直撃する。思わず唾液が出そうなほど生っぽい。これが、セドラ(英名シトロン)の香り。セドラは、「太陽の果実」と形容される柑橘系の果物で、レモンの原種と言われる。形はごつごつしているが、果肉をおおう白いわたの部分が分厚く、これが心地よい香りを放つ。これは本当に、そんな肉厚レモンの白いわたのところに、鼻でキスをしたかのようなシトラス。絶頂フレッシュ&ジューシー。

つけて3分で、柔らかく煮詰めた蜜のような、それでいてややグリーンな香りがほんのり背後に漂う。ヴァーベナのハーバルな部分か。前面では酸味が、さながら炭酸の飛沫のように軽やかに揮発し続け、天上に向かって立ち上るかのよう。シトラス系の香りが好きな人には、たまらない瞬間だと思う。そして。

5分で美しい夢は消える。ファイブ・ミニッツ・オンリー。←いいよ英訳せんで

オーデ・コロンの始祖と言われる4711でも、王妃の水でも、もっと香りは続く。それは、シトラスの次に揮発していくハーバルな香料がミックスされているからだ。そして、精油の希釈のようなパシャ!やシュパ!でさえも、もう少しは続く。けれど、時間じゃない。純粋にシトラス系の香りとして味わったとき、このセドラの5分間は・・・。

至福。

気持ちをすっきりさせたいとき、アッパーな気分になりたいとき、鬱々とした気持ちを切り替えたいとき、この潔いシトラスオンリーな香りは、一瞬で自分の影を拭い去り、リフレッシュしてくれる。すぐに揮発するから、周囲に香害も与えにくい。スポーツで汗をかき、シャワーを浴びた後にも使える。汗ばんだ肌も何だか中和してくれそうな爽やかさだ。ただ、体温高めの自分で、ファイブ・ミニッツ・オンリーだが。←やめろ

日本では長らく販売されていなかった期間もあり、入手困難な香水の1つだったが、2015年7月より全国店舗で発売が決定。1920年に作られたシンプルな香りが、ついに95年の時を経て、多くの人々の前に姿を現すこととなった。

より入手しやすくなったという点は喜ばしい。ただ、この超刹那的な香りに、1万円前後の価値をもてるかどうかは微妙だと思う。それでも、「毎年夏はセドラのみ」といった熱烈なファンがいるのは事実だ。機会があったら試してみるといいと思う。特に、「香水なんてきつい、くさい、複雑でいや」という方には。

オーデフルールセドラは、梶井基次郎が愛した「檸檬」だ。
それは、黄色い時限爆弾。鬱々とした気持ちを一瞬で吹き飛ばす、よく熟れたレモン・ダイナマイト。

ただし、セットされたタイマーは短い。わかってるな?何といっても、体温高めの自分で、ファイブ・ミニ・・←バキッ!ボキッ!

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 49歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
セルジュ・ルタンス / アンボワバニール (Un bois vanille)

セルジュ・ルタンス

アンボワバニール (Un bois vanille)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)]

容量・税込価格:50ml・14,300円 / 100ml・22,000円発売日:-

5購入品

2015/5/23 23:33:56

ヴァニラの歴史は、征服の歴史そのものだ。

ヴァニラは、メキシコのトトナコ族によって栽培が始められ、それが、彼らを征服したアステカ族の手に渡り、やがてアステカを征服したスペイン人によって初めてヨーロッパに伝えられたとされる。

最初の征服者、アステカ族の王は、金と同等の価値をもつとされたカカオをすりつぶし、スパイス等を加えたどろりとした黒い飲み物、ショコラトルを大変好んだという。その苦みを緩和するために加えられたのが、トトナコ族から得たヴァニラの香りだった。当時、ショコラトルは、王や特別階級の者しか口にできない大変貴重なものだったという。

二番目の征服者は、スペイン人フェルナンド・コルテス。彼は、今から500年前、少数の部隊を引き連れ、アステカ帝国へ攻め入った。当時の王モンテスマ二世は、戦わずに彼らを迎え入れ、恭順の意を示した。このとき、コルテスに献上されたのがショコラトルだった。

やがてヴァニラは、アステカの数々の宝と共にスペインへ渡り、次第に広まった。だが、ヴァニラの木が各地で栽培されるようになっても、あの甘く柔らかい香りを得ることはかなわず、その後300年以上、メキシコがヴァニラの生産を独占し続けたという。それは一体なぜだったのか?

実は、ヴァニラの香りを発する実、ヴァニラビーンズが全く結実しなかったのである。その秘密はこうだ。1年にたった1日、数時間しか開花しないというヴァニラの花に受粉してくれる奇蹟のハチが、メキシコにしかいなかったという事実。このことに気付き、レユニオン島でヴァニラの人工受粉が成功するまで、実に300年を有したのだ。

長い前置き。だが、このアン・ボワ・ヴァニール(ヴァニラの木)にこめられた「アステカの繁栄と滅亡に寄せる思い」とは、こういうことを指すのだろう。

トップ。いきなり「ホットキャラメルソースがけヴァニラアイス(ナッツ入り)」の香りが主張。唾液が出そうになる。濃厚で焦げた甘さが思いきり押し出してくる。ヴァニラの香りに、リコリスの甘苦さがかぶさって暗い。クレーム・ブリュレの焦げたカラメルの香りにも似ている。いくぶんココナッツの青臭さも添えて。おもしろいのは、カカオを使わず、あえて外して、漢方薬リコリスの煮詰めた苦みで開口したこと。まんまショコラトルを狙っていない。エンジェルやロリータ・レンピカの影響かも。

すぐにミドル。リコリスが淡くなり、焦げたバター風味のふくよかさが増してくる。香ばしいアーモンド系の香りも。感じるのは、ヴァニラと焦がしバターの脂っぽさ。甘苦さが消えた分、ややドライで温かみが増してきた印象。たぶんサンダルウッドの香りもじわりと。ややウッディな印象が出てくる。

そしてラスト。このラストが好きだ。←最近、これ多いな。
高い方のサンダルウッド、中音のガヤック・ウッドに支えられ、焦げたヴァニラが余韻を残して温かく消えていくイメージ。ウッディ・ヴァニラだなあと実感するのはこのラストだ。淡いながら、ヴァニラとウッディのミックス。トップほど焦げた甘さといった印象はなく、穏やかで、凛としていて、けれど柔らかなイメージで減衰。

総じて、出だしのリコリスが全体に暗いオブラートをかけているけれど、中身は、バターとナッツ類をふんだんに使ったキャラメルヴァニラデザートだった、という印象。稀少なメキシカン・ブラック・ヴァニラの香りをメインにすえたかったというノートスケッチだろう。

ヴァニラの香りの素であるヴァニリンには、怒り、哀しみ、ストレスなどを軽減する抗うつ作用があるという。最近では、母乳にもヴァニリンが含まれていて、赤ん坊を香りの面からもリラックスさせていることが研究から明らかだ。イライラしてるなと思ったとき、悲しくて誰かに優しくされたいと思ったとき、そしてそんな弱音を誰にも吐けずにうつむいているときに、この香りが誰よりも優しく感じられる人はいるだろう。好きか嫌いかという振幅は大きいと思うけれど。

自分は、夏に向かう爽やかな時期にこの香りをよく使う。ヴァニラやチョコレートは秋冬のイメージが強いが、その頃はむしろ町中にそんな香りがあふれていて、かえってオーバードーズ気味だ。気温も湿度もあっさりめの時期こそ、こういうこってりした香りは合うだろう。

つけるなら、男女とも、下半身がいいと思う。特に女性のひざ裏や内ももからこの香りが立ちのぼれば、上半身に抜ける頃には、ほどよく淡い香りになって衣服の間を揮発していくことだろう。ヴァニラは、つけ方次第でとてつもなくセクシャルな感じになるときがある。そう、男が放っておけなくなるほどに。

アン・ボワ・ヴァニール。それは、今なお男たちの征服欲をかきたて続けるアステカの秘宝。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品
doggyhonzawaさん
doggyhonzawaさん 500人以上のメンバーにフォローされています 認証済
  • 49歳
  • 乾燥肌
  • クチコミ投稿426
アトリエ・コロン / Orange Sanguine (ブラッドオレンジ)

アトリエ・コロン

Orange Sanguine (ブラッドオレンジ)

[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)香水・フレグランス(メンズ)香水・フレグランス(その他)]

税込価格:-発売日:-

6購入品

2015/8/6 01:10:56

「この香水、つけたての香りは好きなんだけど、それがすぐに消えて重たい香りになるのがいや。」そんな声をよく聞く。特に、シトラス系の香りが好きな方は、そう言うことが多い。言うまでもなく、柑橘系精油は揮発が早いトップ系の香りだ。だからこそ他の香料が保留剤として使われ、揮発速度の遅い重たい香りがその後から出てくる。それは香水の構成上仕方がないことだ。ただ、それでも柑橘系の香りが好きな人は求めてしまうのだ。付けたてのフレッシュなシトラスフルーツの風が、ずっと続くような香水がどこかにないかなと。

アトリエ・コロンのオレンジ・サングインは、そんな願いをかなえる香水の1つかも知れない。

アトリエ・コロンは、2009年にフランスで生まれたメゾンフレグランスブランド。日本には2013年に上陸したばかりで、まだまだ知る人が少ない香水ブランドだ。そんなアトリエ・コロンは、軽やかながら香りが長く持続するコロン・アブソリュという新しい香りのカテゴリーのコロンを打ちだしたことで大きな話題を呼んでいる。

コロン・アブソリュは、オーデコロン独特のフレッシュ感を保ちつつも、オードパルファンのような賦香率の高さ(15%!)により、これまでにない持続性と奥行きのある香りの印象を与える特殊な濃縮フォーミュラだ。中でも、このオレンジ・サングインは特筆に値する。なぜなら、生オレンジのフレッシュで優しい香りが、あまり変化しないまま、5〜6時間も持続するのだから。その驚異を詳細に記すと。

驚きの1つ目。オレンジ・サングインとはブラッド・オレンジという意味のフランス語だが、付けたてから本当に、生オレンジの外果皮と内果皮(白い部分)をミックスしたような香りが漂ってくること。これは、当たり前のようでいて、実はとてもすごいことだ。精油は本来、抽出された時点で元の素材の香りとは異なるのが一般的だ。ということは、そんな精油どうしを組み合わせて、あえて元のフルーツの生の香りを逆再現したということになる。こうした生オレンジのみの香りといったようなコロンは、なかなかないと思う。

驚きの2つ目。そんな揮発しやすいシトラスの甘くさっぱりした香りが、あまり変化しないまま、驚くほど長く香り続けること。この高温多湿の夏で、しかも体温高めの自分の肌で、5〜6時間も穏やかに香っている。これには本当に驚いた。これが、コロン・アブソリュの力なのか。いったいどんな方法で、こんな淡いシトラスを長く持続させられるのか製法を知りたくなったほどだ。

そして、驚きの3つ目。それは、2013年に日本に参入した新進ブランドのこのオレンジ・サングインが、第5回日本フレグランス大賞「ラグジュアリー・レディース部門」(2014秋)を受賞したこと。つまり、名だたるメーカーの香水にひけをとらない高評価をすでに受けていると言うことだ。しかもまだまだ知る人ぞ知るブランドだけに、話題性がありながら人とかぶる可能性が少ないというメリットも。

全体的な印象としては、ブラッド・オレンジというより、日本人なら誰でも知っている温州ミカンの香りに似ている印象。オレンジ色の外果皮に指を入れて、爽やかなオレンジオイルの飛沫の香りを感じながら皮をむいたときの、内果皮(白いスジ)と果肉の柔らかく香ばしい甘みを味わうあの瞬間。その一瞬の芳香に似ている気がする。また、香りの変化はあまりないと書いたが、ミドルにはゼラニウムやジャスミン、ベースにアンバー、トンカビーン、サンダルウッドなどの香料を注意深く配しているようだ。それらは、とかく「生オレンジ」の香りを再現するために、補助的に用いられているような気がする。

だから、5〜6時間もオレンジのシングルノートが続くように感じながらも、後半は若干だが、樹脂様の甘さやゴムっぽい香りが出てくるように思う。ラストはそんな印象だ。

まばゆい光があふれる夏。それでもこのコロンは、汗にも高温にも負けず、夏の朝から素敵なデイドリームを見せてくれることだろう。オレンジ・サングインは今までありそうでなかったコロンだ。驚くほど長く続く、フレッシュ&サワーなオレンジ色の夢。

真っ白な朝の食卓。丸々としたオレンジに、真横からナイフを入れる。滴るしずくは、まるでブドウの皮をすりつぶしたかのような深いワイン色。その半球のオレンジを真っ白なセラミックの絞り器の突起に当てて、一気にねじり回し、果汁をしぼり出す。ジュワーッとあふれ出る果汁は、やがて絞り器の帽子のつばにたまり、赤々とした生ジュースになる。立ち上る甘く爽やかな酸味。それは灼熱の太陽の恵み、オレンジ・サングインの香り。

使用した商品
  • 現品
  • 購入品

66件中 1〜5件表示

ドギマギの夏さん
ドギマギの夏さん 10人以上のメンバーにフォローされています 認証済

ドギマギの夏 さんのMyブログへ

プロフィール
  • 年齢・・・58歳
  • 肌質・・・混合肌
  • 髪質・・・柔らかい
  • 髪量・・・少ない
  • 星座・・・山羊座
  • 血液型・・・O型
趣味
  • ファッション
  • インターネット
  • 映画鑑賞
  • 料理
  • 食べ歩き

もっとみる

自己紹介

【警告】 *プロフィール(自己紹介文)又は 挨拶を割愛してのフォロワー 登録は、ご遠慮ください。 *猥雑なニックネームの方も同様に ご遠慮く… 続きをみる

  • メンバーメールを送る