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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:50ml・2,200円発売日:1792/10/8
2018/9/1 10:54:35
その時代にピタッとはまったり、トレンドを創り出すような香りもあれば、どの時代にもはまることなく愛され続ける香りもある。
1792年に発売された4711はまさしく後者で、発売から200年以上経った香りを、今でも使うのはなぜだろうか。
まず香りが良い。年齢や性別など関係ない、純粋にとても気持ち良いシトラスの香り。
それと非常にライトな香り。持続時間は10分程度。
さらに価格が超手頃。2,000円以下で買える。
トップはシトラス。爽快なレモンから、ビターオレンジやプチグレンの少し苦めなシトラスに、奥からはカチッとしたラベンダーのハーバルへと連なる香りの流れ。
ミドルはシトラス。爽快なシトラスが抜けると、ベルガモットのみずみずしい甘さ。さらにローズマリーやラベンダーのハーバルがベルガモットの甘さを引き立てているように映る。
ベースはフローラル。ビターなオレンジフラワーがうっすらと香る。ビターなところが減退すると、最後はネロリが仄かに香る。
香調はいたってシンプルで、レモン、ビターオレンジ、オレンジフラワーの流れに、ハーバルなベルガモットの甘さがうまい具合にアクセントとなっている。
トップの爽快なレモンもとても好きだけど、個人的にはレモンが抜けた後のベルガモットが、性別や世代を超えた嗜好性の高い香りだと感じている。
気にせずにバシャバシャ使用しても、10分立つと香りがほとんどなくなる。後はリナロールの淡いフローラルがわずかに漂うだけ。
この淡さはもはやフレグランスというカテゴリーに当てはまらない、水のような香り。
そう考えると、4711が長きにわたって使われて続ける最大の理由は、この水のような軽さだと思われる。
トップの香りで潔く終わる香りなどなかなか見当たらない。ライトなシトラスコロンでさえ、多くはムスクやウッディがうっすらと香る。
今日のフレグランスの始祖とされる「ケルンの水」や、その流れを汲む4711は水のような淡い香りだったのに、合成原料が開発されるとともに、香り立ちが強く、さらに持続するようなフレグランスが主流となり、逆に昔からあった4711が他のフレグランスとは異なるポジショニングを得たと考えている。
個人的にはこの4711の香りは好みだけど、いわゆるフレグランス目的で使いたい場合、少なくても3時間は香ってほしい。
結果として、4711の香りを現代のフレグランスとしてアレンジした、シャネルのオードゥコローニュや、トムフォードのネロリポルトフィーノがお気に入りとなったのは必然的だと感じる。
オードゥコローニュは、爽快なシトラスやペチグレンのグリーンは残しつつも、ハーバル感は抑え、ネロリやムスクの女性らしい柔らかさを大幅に増やした香り。
ネロリポルトフィーノは、シトラス以上に硬いグリーンを際立たせ、オレンジフラワーやジャスミンで深みを与えた香り。
共に3時間は持続するため、特にこの季節は出番が多い。
とはいえ、4711はこれらアレンジ品とバッティングすることなく、非常に使用頻度が高い。どんなシーンで使っても清々しい気持ちになり、癒される。そしてあと腐れなく、10分で消え去る。価格も含めて、実に使いやすい香りで、名香だと思う。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:70ml・32,670円発売日:2016年10月
2018/8/5 11:39:10
評価を変えます。
朝から気だるくなるような、こもった暑さが続く今年の夏、同じクルジャンのアクアユニヴェルサリスをつけようかと思った時、ふと気が変わり、隣に置いてあったこのプティマタンに選びなおした。
で、このフレグランスの素晴らしさを再認識することになった。
プティマタンには、暑苦しさを助長させる要素が全くない。
朝、ウエストに1プッシュだけ重ねてみると、昼過ぎでも時折、ラバンジンの硬いハーバルノートと、ムスクやアンバーやクマリンの柔らかな甘さの絶妙なコントラストが香り立つ。体から、どこまでも透明で淡い香りがフワッと漂うと、暑くてげんなりした気持ちを和らげてくれるようだ。
肌になじんだ時の香りは、シャネルのジャージーに似た雰囲気だ。
これだけ蒸し風呂にいるような暑い日が続くと、良い香りでさえも不快に感じる時がある。
冬だと少し物足りなく感じた香りが、真夏にもっとも合う香りだった。
以下、2018年1月20日のコメント(★★★★)
パリの早朝は、どんな香りがするのだろうか?
フランシス・クルジャンが2016年に発表したプティ マタンは、早朝という名前のとおり、日の出とともに朝日に包まれて、心地よく爽やかな空気がみなぎったパリの街の早朝をイメージして創り出された香り。
トップはシトラス。とても清々しいレモンと、かなりシトラス感の強いオレンジフラワーの甘さ。レモネードを思わせるような爽やかなシトラスと、アクセントとして、ペッパーとパインニードルを合わせたようなスパイシー-ハーバルが香る。香調説明をみると、インドネシア産リツェアクベバとある。リツェアクベバはメイチャン(中国の女神)と呼ばれ、古くから料理や薬として使われている、レモンに似た香りとのこと。
ミドルはアロマティック-フローラル。レモンの爽やかな印象を残しつつ、ラバンジンの硬いハーバルノートを効かせた、キラキラとまぶしいオレンジフラワーの香り。さらに、レモンやラバンジンのアロマティック感が、オレンジフラワーをとてもすっきりさせていて、まさに早朝の淡い太陽の光をイメージするような香り。
ベースはムスキー-アンバー。オレンジフラワーの少しモタっとした残香と、薬草のようなハーバルな香り。これがサンザシかもしれない。さらに、ぬくもりのあるアンブロクサンと、バイオレットグリーンが合わさったような硬質な粉っぽいムスクの香りでフィニッシュ。
フランシス・クルジャンは、よほど朝の香りが好きなのか、このプティ マタンのほかに、コロン プール ル マタンと、アブソリュ プール ル マタンの2つの朝の香りがある。
コロン プール ル マタンは、シトラスとラベンダーにタイムを合わせた、かなりナチュラル感の強い、アロマティックな香り。
アブソリュ プール ル マタンは、コロンにパウダリーなバイオレットフラワーや、かなりウッディ感の強いドライアンバーを加えた力強い香り。
プティ マタンは、コロンのナチュラル感と、アブソリュートと力強さの中間くらいに、シトラスやフローラルの明るさを加えたようなイメージ。
パリの気候は、梅雨がなく、乾燥しているので、夏はさわやかで過ごしやすい。7・8月の日中は30℃前後になる日もあるが、朝晩は肌寒いこともあるとのこと。と考えると、個人的には、このプティ マタンは、空気が硬く、乾燥した秋・冬の早朝に使いたい香りだ。トップのレモンから、ラバンジン、オレンジフラワーへの流れは、冷たく乾いた空気に、冬場の朝陽のような淡い彩りを与えて、感覚を研ぎ澄ませてくれるようだ。
なんといってもネックは価格だ。どこまでもピュアで希少なエッセンシャルオイルを厳選し、細部にまで気を配り、品質と真のノウハウにこだわっているとはいえ、この透明感の強い繊細な香りが70mlで27,000円もするのだから、正直、おすすめはできない。
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[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
税込価格:-発売日:-
2019/2/17 15:07:02
754はメゾン フランシス クルジャンの代表作アクアユニヴェリサリスの流れをなぞったような香りでありながら、よりスタイリッシュにリファインされ、さらにメンズらしい力強さも加わったため、個人的にはフローラルムスキーシトラスの傑作だと感じている。
ニューヨーク5番街にある高級百貨店バーグドルフ・グッドマンの番地が754で、754はバーグドルフ・グッドマンと、パリにあるクルジャンのブティックのみで販売されている。
トップはシトラス-フローラル。搾りたての爽快なレモンと、少し後から濃厚なミュゲが香る。果皮感と強いシトラスと、上品なミュゲの組み合わせはアクアユニヴェリサリスと似ている。754の方がシトラスがフレッシュで甘さがなくすっきりしている分、ミュゲのみずみずしいフローラル感がより際立つと感じる。
ミドルはフローラル。レモンを残香と、よりフローラル感を増した強いミュゲの香り。この組み合わせは、さながらレモンフラワー的で、さらにグリーンの効いたフリージア、奥からはプラムのよう甘さのあるスイートピーが折り重なる。ミドルのフレッシュフローラルブーケは、爽やかさ、清潔感、上品さを合わせ持つ完成度の高い香り。
ベースはウッディ-ムスキー。スイートピーのややフルーティ寄りの残香と、レモン-ミュゲを支えていたドライアンバーやセダーウッド、それらを包み込むようなムスクアコード。ミドルの印象をそのままムスクが柔らかく持続させているようなイメージ。
全体的に香りの変化はあまりなく、基本的な流れはアクアユニヴェリサリスに似ているが、レモンの果皮感やドライアンバーのシャープさや、フローラルの厚みを加えた上位モデルの香りと感じる。
同じく、アクアユニヴェリサリスの上位モデルのフォルテほどフローラルが弾けない分、754の方が断然使いやすい。
この754の香りが映えるのは、初春から夏のデイタイムで、まだ肌寒さが残る初春はミュゲやスイートピーのフローラが上品な華やかさを演出し、夏場はフレッシュさ弾けるレモン-ミュゲが爽やかさを添える。そして、なんといってもクルジャンお得意の清潔なウッディムスクの嗜好が良く、とても使いやすい。
持続時間はミドルのスイートピーの甘さが抜けるまで3時間弱で、全体的には6時間以上持つ。肌の露出する部位に重ねると、思った以上にドライアンバーやウッディが強く立ってしまうため、ウエストや内股に使ったほうが、この香りの気持ちよさを堪能できる。
日中は少しずつ春の気配を感じる今日この頃、754は肌寒さにも調和して、フレッシュでみずみずしいフローラルの香りで包み込んでくれる。
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2017/10/27 02:19:08
大好きなネロリと、ティーを組み合わせたら、どんな香りになるのだろうか。
そんなこと想像したこともなかったが、ゲランのネロリウートルノワは、ネロリとティーノート、さらにミステリアスなバルサム調を合わせた、フレッシュエレガントな神秘的な香り。
ネロリウートルノワは、ゲランの高級ライン、ラール エ ラ マティエールの一つで、日本では2016年の伊勢丹サロンドパルファムで先行販売された。
ラール エ ラ マティエールとは、素材と調香師との特別な関係の意。ゲランならではの調香師の技と貴重な天然素材が織りなすことで生まれる独創的な香りの世界。
このシリーズはどれも素材の良さだけに収まらない、まるで麻薬のような、五感を鷲づかみされるゲランらしい世界観があって、一度その香りに触れると、その世界にどっぷり漬かっていたい衝動にかられる。
個人的には、フレグランスはジプシーでありつづけたい。だから、ラール エ ラ マティエールとは距離を保ちつつ、甘噛み状態でいたのだが、店頭で大好きなネロリと聞き、何気なく腕に試したその数分後には、この香りに骨の髄までしゃぶりつくされてしまった。
まさに商品説明にある「華麗なオーラを漂わせる稀少な香りが、心を揺さぶり、感情に語りかけるフレグランス」。
トップはシトラス-グリーン。レモンやグレープフルーツの爽やかなシトラスと、ペチグレンの強いグリーンノート。その奥から、ベルガモットとティのみずみずしい甘さがうっすらと香る。肌に乗せると、タンジェリンのようなシトラスの甘さが増したティーノートに。
ミドルはフローラル-グリーン。ベルガモットの甘さから、一気にフローラルなネロリの香りに変わる。しかし、ザラッと硬いペチグレンも残っているためか、オレンジフラワーのように感じる時もある。そして、キラキラとしたネロリの香りのすぐ下から、重厚で柔らかなスモーキーなティノート。ティーノートだけ嗅ぐと、かなり燻したようなビターなティであるが、その香りの上をネロリやオレンジフラワーが明るく香る。この組み合わせがとても魅惑的で、このミドルにハートを鷲づかみされる。
ベースはバルサミック。ティーノートやオレンジフラワーが飛ぶが、ネロリはしっかり残っている。ネロリのフローラル感に、ミルラの濃厚なスモーキーな香りと、ベンゾインのバルサミックな甘さ。徐々にバニラの甘さが出てくるが、オークモスも香るため、バニラぽい甘さよりもミステリアスな樹脂の深みに、どこかさっぱりとしたアーシーな印象を受ける。最後はビターなバルサミックの甘さのあるムスクの香りに。
ラール エ ラ マティエールの中では、ベースよりもミドルの比重が高いためか、持続時間は5〜6時間とやや短い。とはいえフローラル-ティという香調を考えると、かなり持続する方だと思う。また、シリーズの中では、キャラクターよりも嗜好重視なので、少し物足りなく感じるかもしれない。
とはいえ、フレグランスを選ぶ際には、ビジネスシーンでも使える嗜好性の良さ(嫌われにくい)、他と被らないキャラクター性、安っぽくない上質な香りを重要視しているため、そういう視点で見ると、このネロリウートルノワはかなり満足できる香り。
大好きなネロリとティを組み合わせた香りは、大大大好きな香りだった。
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Jo Malone London(ジョー マローン ロンドン)
[香水・フレグランス(レディース・ウィメンズ)・香水・フレグランス(メンズ)]
容量・税込価格:30ml・11,000円 / 100ml・21,560円発売日:2012/9/1
2020/5/22 20:25:58
個人的にはこのブラックベリー&ベイ(2012年)こそが、ジョーマローンの代表作ではないかと感じている。いくつかあるジョーマローンの香りのなかで、圧倒的に使用頻度が高いのが、このブラックベリー&ベイだ。
その理由として、かなりキャラクターがしっかりしている点、またフルーティメインでありながら甘さが抑えられている点、季節を問わずに使いやすい点などが挙げられる。特に男性にとって、甘くないフルーティな香りはとても貴重ではないだろうか。ジョーマローンのなかでも常に人気上位なのもうなずける。
トップはシトラス・フルーティ。スプレーすると、グレープフルーツと甘酸っぱいカシスのとてもフレッシュな香り。最初は果皮感の強いグレープフルーツから、ほんのりとジューシーな甘さが滴る。グレープフルーツの存在感が大きく、かなり男性的な幕開け。
ミドルはスパイシー・フルーティ。トップのフレッシュな印象から、カシスの香りが前に出てくるが、ピリッとしたベイのスパイシー感や、青臭いグリーンで強引にフレッシュさを持続させたような香り。奥から男性的なアロマティックなウッディがしっかりと香る。
ベースはアロマティック・ウッディ。グレープフルーツやカシスの甘さをうっすらと残しながら、少し埃くさいセダーウッドとベチバーの香り。かなり男性的なウッディベースでありながら、アロマティックなラズベリーとムスクが、何となくおしゃれな印象に見せる。
全体的にみると、甘さを抑えたフレッシュなカシスと、アロマティックなウッディを組み合わせた、非常にキャラクターの立ったユニークな香りだと感じる。
トップ、ミドル、ベースのどの部分を切り取ってもかなりメンズの骨格でありながらも、フレッシュなカシスや、可愛らしいラズベリーが上手く嗜好を底上げしている。これだけメンズな香りにもかかわらず、女性が付けても全く違和感のない香りに仕上げられている。
特に、かなりカシス感の強いこの香りを、ブラックベリーの香りと名付けた点にうまさを感じる。カシスを効かせた香りは、一緒にラズベリーのような甘さも連れた香りも多く、このブラックベリーという名前がとてもしっくりくる。
私の場合、カシスのフレッシュな青さやアロマティック感が好みであるが、アロマティック感と甘さの組み合わせはかなり苦手で酔ってしまうため、甘さを抑えたブラックベリー&ベイのカシスの香りはとても重宝していて、特に春から夏の端境期に、青っぽくそしてフレッシュなこのカシスの出番が多くなる。代表作と考える所以だ。
ところで、最近限定品で発売されたラベンダーシリーズのシルバーバーチ&ラベンダー。これもどこからみてもアロマティックなメンズの香りを、強引にユニセックスに仕立てたタイプであるが、残念ながらこちらはやりすぎだったと感じている(★★)。
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