- ロサ・ケンティフォリアさん 認証済
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- 59歳
- 乾燥肌
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2017/6/13 15:10:40
太陽が降り注ぐ国イタリアの最南端に位置するレッジョ・ディ・カラブリア。
ベルガモットの生産量のおよそ9割が11月から2月にかけてこの地で収穫され、
北風をさけた沿岸150km続く細長い地形に、果樹園はある。
ベルガモットは、アールグレイのフレーバーでもお馴染みだが、
主に飲食用としてではなく香料を採取するのが目的で栽培されるそうだ。
アクアアレゴリア 新作「ベルガモットカラブリア」の
香調は、グリーンシトラス ムスキー。
青いベルガモットをいきなりぐりぐりと鼻先に擦り付けられたかのような
苦味の混じった柑橘香のSensationalなトップは、
搾ったライム果汁とジンをシェイクしたショートカクテル、ギムレットを思わせる。
錐のように鋭い刺激が鼻腔を突き抜けた後の爽快感たるや・・・たまらない!
メンズライクな調べなのかな?・・と思いきや、
急ぎ足でくるジンジャー、ジンジャー系の甘さとスパイシーなカルダモンが加わり
体温と溶けあい、温かみのある香りへと変化する。
ラストは、重みを感じさせないしなやかなホワイトムスク、
そこにふんわりとアンバーバニラが柔らかさを添えて全体的に淑やかな印象を与える。
最初から最後まで品が良く、香りの変化も好み。
コロンは苦手でしたがどうやら食わず嫌いだったみたいです^^
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- goldenlilacさん
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- 57歳
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2021/6/24 19:15:35
10年以上ぶりにEDPをリピートしました。あらためていいなと再確認しています。
シャリマーは私が幼い頃から身近にありましたが、とても苦手だったのを覚えています。いくらトップは柑橘系よと言われましても、こちらのそれはレモンキャンディやオレンジジュースとはかけ離れた辛いほどの酸っぱさです。少し待てばお花の香りになると説明されても、アイリス・パチョリ・ベチバーはハードル高いですから。
今も昔も変わらずに大好きなのはラストの甘さだけ。でも正直シャリマーをつけるくらいなら、最初から潔くバニラエッセンスをつけた方がずっとましと思っていた少女時代でした。
そのまま時は流れ、いつの間にか蕎麦にはネギを入れるのが普通になり、エスニック料理にパクチーが乗っていても食べられるようになった頃から、シャリマーの良さがわかるようになりました。
それは突然の事でした。実家の鏡台に放置されていたシャリマーを何気なくつけた瞬間に色が見えたような気がしました。
トップ?そこらのチープなレモンフレーバーとは違うのよ。お花?ローズやジャスミンに深みを与えるためにパチョリもベチバーも入ってるの。これがなかったらただの爽やかサワデーになっちゃうわ。と手のひら返しのほれ込みよう(笑)
近年は沢山の派生品が生まれ賑やかですが、元祖が本当によかったです。そこまで気軽な香りではありませんが、切らさないよう持っているつもりです。
今回の購入にあたり、廃盤決定のジッキーEDTと散々迷いましたが、妹分のこちらをリピートすることにしました。シベット臭が格段に穏やかだったのが決め手です。(とはいえ残りの生涯をジッキーEDTなしでもいいのかと自問すれば、悔いのないよう買っておいた方がいいのかもと迷う気持ちもあります)
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- doggyhonzawaさん 認証済
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- 56歳
- 乾燥肌
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2022/5/28 08:53:57
400本めの香水レビュー。ここまでちょうど9年間、書き続けてきた。週一度1本ペースだから、レビュー数じたいは多くはない。それでもその1本を書くために、香料分析、背景リサーチ、比較検討、推敲編集やらで、1本につき平均6時間はかかってるから、9年で400×6=2400時間は香水の勉強をしてきたことになる。←そのわりにわかってないけどな
珍しい機会なので、その400本の中から心に残っている香水をほんの少しまとめてみる。
◎最もリスペクトしたクラシック香水3本
・シャリマー(ゲラン) ・ルールブルーEDP(ゲラン) ・N°9(シャネル)
◎最も心に突き刺さった香水2本
・ラペルトワ(ラルチザンパフューム) ・フェミニテ・ドゥ・ボワ(セルジュ・ルタンス)
◎最も偏愛して日常使用してきた香水
・エンジェルEDP&EDT(ミュグレー) ・コローニュロワイヤル(ディオール)
◎出す作品どれも恐ろしくできがいいと思う香水ブランド
・ピュアディスタンス ・フラッサイ
◎400書いた中で心に焼きついているレビュー3つ
・ラペルトワ(ラルチザン・パフュ―ム) ・エンジェル(ミュグレー) ・ロストチェリー(トム・フォード)
世界中で年間何万本も新作が生まれる香水業界。その中にあって、これまで出会えた香水はまさに「ご縁」。そんな中、紹介する400番目の香水は、初めからちょっと「ごめんなさい」しておきたい作品。なぜなら日本未発売かつ限定品という超入手難しい系。たぶん自分も、この先もう1本ストックを入手することはできない。そういう意味では本来紹介するつもりはなかった香水。ただあまりにも香水としてできがよく、個人的にもラペルトワに匹敵するほど美しく、自分の性癖にぐっさり刺さった香りなので、このまま誰にも知られず消えていくのは悲しいと思ったから、そっとここに置いていく。
それは、フランシス・クルジャンが2015年にパリの百貨店プランタンの150周年記念のためだけに製作したル・ボー・パルファム。この香水は自分の中で特別すばらしい作品、極上品。星をつけるなら☆7満点のところ、☆70はつけたい香水。ただそれはもちろん自分にとっての超どストライクであって、貴方にとって好きな香り、またはベストマッチとは限らない。香水に「万人に好かれる香り」なんて存在しないからだ。
ルボーの香料イメージはシンプルだ。クレジットによると以下のとおり。
インドのチュベローズ&ジャスミン、チュニジアのオレンジブロッサム、マダガスカルのイランイラン。いわゆる濃厚なホワイトフローラルブーケ系統の香り。
ただ使用している花の香料はどれも高品質ですばらしく、同時にそれらを際立たせるための「つなぎ香料」が超絶いい。しかもナイスバランス。はっきり申し上げる。さすが天下のプランタン。これを作らせるために、クルジャンにどんだけ対価を支払ったのだろうというくらい、スペシャリティ香料をふんだんに使用しているように思う。つまり「売っても赤字」なくらいゴージャス&センシュアルな出来。だから周年記念の限定香水なのだろう。
ルボーを肌にのせる。その瞬間、あまりに甘くかぐわしい花の蜜の香に脳がよろめく。体がふらつく。矢吹ジョー渾身のクロスカウンター一発もらった気分。腰からくだけ落ちる。花園に倒れこむようにマットに沈む。お花畑で好きな女の子を追いかけるスローな白日夢を見る→人間終了。な開幕。それほど左脳崩壊で言葉にならない美しいフローラル爆弾なトップ。
それでも、カウント9でギリギリ立ち上がって香りを分析するなら
ルボーは偏愛するラルチザンのラペルトワにインスパイアされて創ったのでは?と思うくらい雰囲気が酷似している。クリーミーガーデニア&山椒という「花の優しさ&スパイスの棘」の取り合わせで、内面の感情を激しく揺さぶるラペルトワ。その山椒部分をごく微量のキャラメルノート&シナモンが代替するような形で、白い花束に甘いグルマンを補完している。これがたまらない。クルジャン、あなたさてはラペルトワのベースをヒントに、同ラルチザンのアムールノクターンを組み込みましたね?と言いたくなるくらい。わからない方はわからなくていい。これはほぼ自分にあてた周年記念レビューだ。
サイレージは5時間程度。ジャスミンの残香強めでルボーは消えてゆく。ルボーは「プランタンおめでとう!」で作られたけれど、その甘くてノーブルで、どこかノスタルジックなクリーミーな花束は、プランタンとクルジャンがあなたに贈る感謝の花束の香りだ。
いつもありがとう
あなたのおかげで 今があります
あなたの一日が 美しい香りに包まれますように
おめでとう あなたへ
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- doggyhonzawaさん 認証済
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2022/12/10 13:41:09
あなたをたった5秒で強く颯爽とした女性に変える。それは簡単なことだ。シャネルN°19のパルファムを1滴指にとり、耳たぶの裏につける。それだけでいい。
「また何言ってるんだ、大げさな」そう思うなら試してみるといい。香りが好きかどうかは別。N°19パルファムは、強き女性の代名詞として君臨し続けるココ・シャネルが「世界一売れたN°5を超える香りを!」と「自分のためだけに」作らせた最強のシグネイチャー香水だ。
ただしEDPやEDTでは効果は薄い。N°19の破壊力を実感するためにはパルファム一択だ。15mlで31350円。高い?そうだろうか。「なんでこんな香料でこんなに高いの?」と首を傾げるようなそのへんのニッチ香水に比べたら、100倍良心的な価格だと思う。まず歴史とブランド信用力と品質が別格だ。さらに、スプレーでなく指で1滴ずつつけるフラコンなので、本当に減らない。そして超至近距離でだけ高濃度香料がなめらかにずっと香る。実は香害に一番なりにくいのがこのパルファム濃度だ。これぞ本物の香水。香水に詳しくない方なら、なおさら「本物の凄み」というやつをまず体験すべきだろう。
ココ・シャネルはこのN°19を創るために、調香師アンリ・ロベールに何度も試作品を用意させ、香りを纏ってパリの街を歩いたという。そして人々が香りについてどんなふうに声を掛けてくるか確かめた。全く声を掛けられなかったときは、怒号と共に調香師を責めたという話もある。当時ココは86才。ある日、長年住んでいたリッツホテルから出てきた際、若いアメリカ人男性2人に引き留められ「その香水の名前をぜひ教えてください!」と迫られたことが決定打となってこの香りは生まれたという。
ではそんなN°19パルファム、いったいどんな香りなのか?世界的に「グリーンフレグランスの最高峰」と言われる香りの展開を追ってみる。
N°19パルファムを肌にのせる。するとまずはじめに立ち上るのは、ギリリと青臭いグリーンノート、そして粉っぽいアイリスの白い香りだ。そこにまろやかなネロリの甘さが加わり、キレのいいスッキリとした緑と白の香りが広がるトップ。
3分後、ジャスミンのふくよかさとグリーン香が相まって、スズラン様のフローラルが広がってくる。同時に下の方から冷たく青いヒヤシンスの香りも感じられる。ガルバナムのシャープなキレのある香りを軸としながら、ソリッドで青緑なフローラルが感じられてくるミドルになる。
このミドルは知的でスタイリッシュ。キリっとして本当にかっこいい。全くフェミニンじゃない。若々しく、怜悧で、背筋がスッと立っているイメージ。全てに妥協を許さず、自分のめざすベクトルを見定め、どこまでも一直線で闊歩してゆくような、潔さと強さを感じさせる草原と大地の香りだ。
リラックスというなら、それは大自然の中に放り出されたような心地よさがこの香りにはある。けれどそこには同時に、厳しい自然界の現実に対峙する強さもまた要求される。そんな苛酷さを感じさせる香りでもある。ミドルは、大草原に吹く風がオークモスのビター、ベチバーの土の匂いを運びながら3〜4時間続いていく。
ラストはとてつもなく優しい。土深く眠り続け、長年かけて香りを熟成させたアイリスパリダのパウダリーが優しく心と体を包みこむ。ほのかに甘いムスクとともに、小麦粉のようにきめ細かな白い香りを呈してドライダウン。ここまで5〜6時間。たった1滴で。
N°19はココ・シャネルの誕生日である8月19日から命名されたナンバーフレグランスだ。人は一人で生まれ、空と大地の狭間で必死に生きて、その短い生を全うする。「香水をつけない女に未来はない」と言い切ったココが、人生の最後に自分のためだけに徹底的にブラッシュアップして作り上げた香り、N°19。そこに込められたのは、世界中の女性が男性の下に屈することなく、自分自身を強く美しく保ち続け、欲しいものを欲しいと言い、自分の力で未来を貪欲につかみとれ、というメッセージのように思える。
一面の大地。草原が風に揺れている。湿ったベチバーの土っぽい香りがしている。濡れた苔類のビターな匂いが森から運ばれてくる。自然はどこまでも広く、容赦なく、そして気高い香りに満ちている。服が風をはらむ。草原と森の匂いが髪を洗う。
青いガルバナム。苦みばしったオークモス、乾草のベチバー、白いアイリスパリダ。それらが織りなす、今にも発火しそうな残虐なグリーンノート。クールで、スタイリッシュで、挑戦的。常に現代で戦い続けるハンサムウーマンの香り、実装完了。
最終戦闘に備えよ。
大地を疾走するパルファム「ナンバーナインティーン」発動。
5秒だ。5秒で未来にカタをつけろ。
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プラダ ビューティプラダ ビューティからのお知らせがあります
容量・税込価格:30ml・6,600円 / 50ml・9,680円 / 80ml・14,080円発売日:2013/5/10
2022/10/22 07:00:26
真夜中に目覚めた。時計を見た。3:40。女は頭をかいて舌打ちした。あーもう、またやっちまった。完全な寝落ち。シャワーしてない。歯磨きしてない。なんなら洗い物も洗濯もしてない。しなきゃいけない「マスト」、全部しないで寝てしまった。
もう一度寝返りを打つ。明日は休み。どうしよう?夜のしじまの中で頭が動き出す。
このまま眠れるか。起きて何かするか。したいことは?特にない。しなきゃいけないことは?鬼のようにある。はーイヤだ。したくない。「全自動めんどうくさいこと全部お任せ機」がほしい。てゆーか、おなかすいた。ヤバい。甘い物食べたい。ここんとこダイエットきつめで、脳がブドウ糖を欲しがってるのがわかる。ええい!ブランケットをはねのけた。
ボサボサ頭。貞子状態で冷蔵庫をあける。ビールとチーズある。んーちがう。こってり甘いものが食べたい。ケーキとかアイスとか死ぬほど食いたい。あったかいキャラメルラテとかゴクゴク飲みたい。ヤバ。アタマが変になりそう。
そのとき、突然ひらめいた。
あ こういうとき 「あまい香りの香水」 嗅ぐといいって 聞いた気がする
そういえば… めったにつけない あまーいやつ あったな…
ドレッサーの引き出しの一番奥にそれはあった。プラダのキャンディ・ロー・オードトワレ。昔、もらったやつ。これ確か「キャラメル」の風味ムンムンしてたような。これ嗅いだら食欲おさまるかな?
女はキャンディローを左手首にプッシュした。瞬間、ちょっと苦手な匂いがした。
あ、そうだ。このトップで「あーちがうわ」って思ったんだ。思い出した。
まだ暗い窓の外。カーテンを少し開けて外を眺めながら、手首の匂いをそっと確かめる。
トップはシトラスと少しひんやりしたフローラルのミックス。でも3秒もせずにキャラメルシロップがとろーりとかぶさってくる。どこかベリー系な感じもする。ジミー・チューもこんな感じで敬遠したな―と思う。いつもつけてる香水はたいていゲランかシャネルのEDPだから、ほんと違う系統だなーと思う。あくびしながらスマホで調べてみる。
え?ダニエラ・アンドリエ調香じゃん。アンジェリーク・ノワールの人だ!
3分ほどすると、キャラメルの甘い香りが強くなる。あー甘い。でもこれ、おなかすいてるときはいい!なんかキャラメルラテ飲まなくても乗り切れそう。そうか。甘い香水にはこんな使い方もあるか。ミドルはスイートピー?うーんなんかフローラルあるけど判別できない。とにかくキャラメル。でももったりしてない。スッキリ抜けていくフローラル&キャラメルだ。え、なにげにいいかも。なんで使わなかったんだ?
そして思い出した。このキャンディ・ローをプレゼントしてくれた人。
今の会社に移る前。めちゃモテてた頃だ。あの頃、スカートを短くして髪をふんわりさせてるだけで言い寄ってくる男たちがたくさんいた。金持ちも見た目いいのもいたけど、たいていは下心丸出しで袖にしてた。でも、あの人は違ったな。出身大学も顔も身なりもフツー。なんにも特徴ない人。ただいつも静かに笑ってた。てかその顔すら思い出せない(汗)。でもこの香水もらったのは覚えてる。
1回ごはんを食べに行った。イタリアンの店だった。ん?それでプラダ?あーそう言えばイタリアに行ったこと話したかな。プラダのバッグ買ったとか言ったかも。なにげに好みをリサーチしてくれてたのかな?
キャンディ・ローのミドルに柔らかなヴァニラが出てきて、ミルクキャラメルの香りに変わった。
でもあの頃は、あんな人、鼻にもかけなかった。20代後半、一番焦ってた時期。早く条件のいい相手見つけて結婚しないと!って。ダサいのわかるけど心の奥では思ってた。王子様どこよ?早く現れてよ!って。
コポコポと音がする。さっきスイッチを入れたポットのお湯が沸く。
結婚しなくちゃ!早く子ども作らなきゃ!あの頃、何でもかんでも「マスト」って思ってた。
いつの間にか、空はしらみ始めていた。コーヒーを淹れる。香ばしい湯気の匂いをかぐ。はー落ち着く。手首につけたキャンディ・ローがキャラメル風味を添えて、キャラメルラテみたいになった。
夜明けのコーヒー。一人で。うん。悪くない。
不思議だね。あの頃苦手だった香りが、今はこんなにいいと思う。もし今あの人が隣にいたら、こんな何げない時間も、一緒に笑っていてくれたのかな。
一人の部屋。広すきる部屋。ふりかえって少し笑う。あの頃大事だったのは、マストより「ニード」だったかもね。
ちょっと涙が出そうになった。きっとまだ私 眠いんだ。やっぱもう一回寝ようっと。
昨夜の「マスト」を片付ける気は まだない。
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