- doggyhonzawaさん 認証済
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- 50歳
- 乾燥肌
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2016/2/13 16:13:47
バイオレットシロップを使ったそのドリンクを初めて飲んだのは、14歳のときだ。フランスから帰国していた叔父が、ごく親しい者だけで開いたホームパーティーでのこと。そのとき、叔母がふるまったうす紫色のドリンク。思わず、目が釘付けになった。な、なにこれ?
「パルフェ・タムールが来た。さあ、飲もう。」病気を患って以来、アルコールをやめていた叔父が、紫色のドリンクに鼻を近づけ、うまそうに一口すすった姿を今も覚えている。パルフェ・タムールと呼ばれたそのドリンクを口元に運ぶと、それは甘いような苦いような、暗くて湿った花の香りがした。一口飲むと、かつて経験したことのないかぐわしい花の味に、「フランスの人っていつもこんな飲物を飲んでいるのか」と感慨深く感じた。
それがバイオレット・フィズのノンアルコール版だったことを知ったのは、もう少し後のことだ。ソルティ・ドッグやスクリュー・ドライバー、マイタイやチチなどのライトなカクテルが人気の「カフェ・バー」ブームがあった頃。街にはブランド服をまとったソバージュやロングカーリーの女の子たちがあふれていた。
トム・フォードのノワール・オードトワレは、そんな頃をふと思わせるバイオレット・フィズの香りがする。オープニングに使われているほんのりとしたレモンの香りも、このカクテルのレシピになくてはならない物だ。ウッディ&ムスクのベースは柔らかく平凡だけれど、ニオイスミレの暗くひっそりした香りが効果的に使われたフレグランスだと思う。
ノワール・オードトワレ(透明ボトル)は、トム・フォードが2012年に発表したノワール・オーデパルファン(黒ボトル)のコンポジションを受け継ぎながら、2013年に発売された。オーデパルファンよりも軽く、スッキリした雰囲気に仕上がっているのは、スペアミントの清涼感やシトラスとハーブオイルのアクセントを用いているからだろう。そのおかげで、パウダリーなアイリスが感じられるオーデパルファンよりも、ライトで使いやすい雰囲気になっているように思う。
とは言え、あのブラックオーキッドやグレイベチバーなどの初期の作品に比べれば、トム・フォードの作品は、おしなべて軽く、シンプルな構成に変わってきているように思う。それはプライヴェート・コレクション発表の頃から彼が言っている「香りが薄くなったらどんどんレイヤーしていき、1日の終わりには何種類かのブレンドが自身の体から立ち上っているのが好きだ」という言葉からも伺える。つまり、最近の立ち位置は、ジョー・マローンのフレグランス・コンバイニングに近いと言えるだろう。
この作品においてもそれは感じられ、トップに淡いレモンやシトラス&ハーブの雰囲気を感じたかと思うと、3分もしないうちからバイオレットの密やかな香りが主体となる。ニオイスミレをフィーチャーしたものと言えば、ペンハリガンのヴィオレッタがまず思い浮かぶが、あれほどスミレスミレしているわけではない。ほのかに暗く、ややアイリスの白粉っぽさに支えられて上品なイメージだ。とても穏やかで、スッキリしていて心地よいスミレの香り。注意深く背後の香りを感じようとすれば、バラの清涼感も感じられるけれど、全体にうっすらと香る印象。持続時間もオーデコロン並に短く、1〜2時間という感じ。最初から淡く、あっという間に消えていくフィーリング。ラストにはややヴァニラの雰囲気も。
中世フランスにおいて、ニオイスミレはバラとともに高貴な女性から漂う香りの象徴であったという。対して高級娼婦は、ジャスミンやチュベローズなど、蠱惑的でセンシュアルな香りを身に付けることが多く、香りだけでその女性の出自がある程度判断できたそうだ。
ノワール・オードトワレは、淡くて持続時間も短いが、その分、手首やうなじ、デコルテなど、肌が露出している部分に直接スプレーしても周りに大きな影響を与えないほど穏やかだ。
スミレやアイリスの香りは、とがった心を鎮静させ、落ち着かせてくれる意味で、アロマ的な効果も高いと思う。このトワレは、憂鬱とは言わないまでも、何か心に心配事や憂いを抱えているとき、一人になりたいけれど何だかそれも淋しいようなとき、そっと心に寄り添ってくれるような香りだ。特に、男性用にプレゼントを考えている人には、抜群のセンスを感じさせる逸品になるだろう。
パルフェ・タムール。バイオレット・リキュールの仏名の意味は「完璧な愛」。ニオイスミレの香りがするノワール・オードトワレは、静かに、けれど一途に人を愛し続ける人に似つかわしいフレグランスだ。
今はもう、天国の住人となってしまった叔父。彼の豪放な笑い声が好きだった。ノワール・オードトワレの香りに、彼が教えてくれたパルフェ・タムールの味が、今も重なる。
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2016/1/19 00:02:02
2015年は紫外線対策&色付きリップクリームの当たり年だったように思います。
このオルビスのものもよかったですし、それ以外ですとケイト、そしてベスコスも受賞したキュレル。
どれもそこそこ良かったのですが、一通り試して、家置き用と持ち歩き用の2本を購入したのは、結局オルビスでした。
オルビス、ケイト(レッド)、キュレルを比べますと、発色がもっともよかったのはケイトでした。レッドを選んだせいもあり、ちょっとしたメイク感も出て、若い方なんかはこれ一本で十分なのではないかな、という印象でした。
ただ、こちらのオルビスは、何といっても細さが絶妙、本当に塗りやすい。
そして、保湿効果はもっとも高かったように思います。やはりリップクリームですので、唇の保護効果が一番重要かと思います。
発色は、決して良いほうではなかったですが、これ単体でもそれなりにきちんと感は出ますし、発色良すぎ(派手すぎ)のピンクの口紅の下地などとしてこちらを使うと、非常にいい感じにトーンを落とすことが出来、かるーく渋さをプラスすることが出来るので、大変使いやすく感じました。
(もちろんこれは好みの問題ですが、私はリップカラーは渋めなお色が好きなので・・・。)
紫外線防止効果はよくわかりませんでしたが、こちらを使っていた今年は唇のくすみの進行はかなり防げたような気がしています。
夜は紫外線防止効果はないがアンチエイジング効果は絶大なクレ・ド・ポーのソワンレーブル、そして問答無用で大好きなディオールのマキシマイザーも併用しますが、こちらのオルビスはお出かけ前と外出先、一日何度も登場するもので、すっかりなじみました。なくなったら必ずリピートすると思います。
難点を挙げるとすると、せっかく細身で使いやすいボディを彩るパッケージがしょぼすぎます。たいへんがっかりなレベルです。こちらをもう少し何とかしてくれたら、100点満点でした。
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2015/8/12 16:37:30
評価はまだしません。
30代で恋人もいないで、どうすれば良いか考えた挙句、「チュベローズ」を使った香水を使えばモテるかななんて浅はかな考えを持った私は「チュベローズ」をメインにした香りのクイーンズを購入。
クイーンズは特に私の好きなベリーや金木犀が入っていたので、間違いないでしょと思って購入。
ですが、ずっと嗅いでいると、トップノートは香りがとっ散らかっている印象もあったり、でもミドル以降は甘さもありつつ、とても落ち着いた印象を持つこともあり、いまいち評価しにくいのです。
トップノートは、ベルガモットやベリーやらで香りが柑橘系とフルーツ系が別個になりすぎていてバラバラな感じがしていまう自分がいます。そのうちファンタのグレープフルーツ味みたいになって、値段の割にはとても安っぽいと思いました。
お値段も高めの設定で、店員さん曰く「他の物に比べて良い香料」を使っているからとのこと。
そう言われると、高い香料をふんだんに使った結果収まりがなくなってしまったのかしらとさえ思います。
ですが、ミドル以降は前述した通り、とても良い香りです。今は猛暑酷暑真っ盛りなので、まだわかりませんが、店員さんが「ジャケットを脱いだときにふわっと香ると素敵ですよ」と言われると確かに納得できる香りなのです。その落ち着いた甘さ加減がユニセックスを思い起こさせる香りになっています。
なので、まだ評価はしません。口コミのみといたします。
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2016/1/17 03:50:17
むむむぅ。
高評価の中すみません。私はこれ、あまりピンと来ませんでした・・・。
発売当初から気にはなっていたのですが、ファンデもBBもCCもそこそこたくさん持っているので、手を出さずにおりました。
しかし年末に、こちらがアットコスメでCC部門のベスコスに選ばれたこともあって一気に心が動き、おためしもせず楽天でぽちっと買いました。
使ってみますと、しっとり、肌疲れがない、色むらなどを丁寧に補正、など、口コミ通りの効果は感じることが出来ました。
しかし、おそらくこの商品のグレーベージュっぽいお色味が、私の肌色にとことんあっていなかったのだと思います。つけると、色むらはなくなるものの、なんだか非常に不健康で疲れた印象に・・・。生気がなくなっちゃうんですよね。
私は残念ながら、SKIIのベースものとの相性があまりよくなく、とくに色付きの下地やルースパウダーのお色があいません。
おそらく、SKII独特のトーンがだめなのでしょうね。つけるとかなり老け顔になってしまいます。
それはわかっていたのですが、SKII商品のスキンケア効果は十分に感じることが出来ていたこともあり、今回もつい手を出してしまった次第です・・・。
こちら単体にお粉では、休日メイクとはいえ、とても耐えられない状態だったので、クリームファンデの下地として何とか使い切るようにしています。
パウダーファンデ(ゲランのぺルルブラン)の下地としても使ってみましたが、ぺルルブランがかなり薄付きなこともあり、こちらのCCクリームがファンデの色味を微妙に変えてしまうので、少し使いづらかったです。
なお、私はおそらくCCよりもBB派でして、これまで購入して非常に気に入っていたのが、ゲランのランジェリードポーBB(お気に入りメンバー様の素敵すぎる口コミを見て買い、その後気に入りすぎてリピートしまくった。口コミはしていません)、それからディオールのイドラライフBB(日本未発売?英国で購入。こちらも口コミはまだ・・・)でした。
どちらも、十分ファンデの代わりとして使用できていたので単体使用(フェイスパウダーすら要らない)、スキンケア効果も申し分なく、そして適度な艶肌を作ってくれるので、BB・CCならば今後もこの2品をリピートかな、と考えております。
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- innocent-sheepさん
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- 25歳
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